松尾潔さんがNHK FM『松尾潔のメロウな夜』の中でメイヤー・ホーソーン以降顕著になってきている白人主導のネオ・ソウルについてトーク。ローレンスとザ・ジャック・ムーブスを紹介していました。
(松尾潔)このザ・サファーズ(The Suffers)、アルバムのジャケットにメンバー全員が後ろ姿で写っているんですが。後ろ姿を見ただけでも、このバンドが様々な人種によって構成されていることがよくわかるのですが。
まあ最近のネオ・ソウルと言われている、特に60年代、70年代の音楽に強い憧れを隠さない人たちですね。そういった人たちが作るネオ・ソウルの世界というのは、ひとつの特徴として、アフリカン・アメリカンだけではなくて、白人ミュージシャンたちがたくさん集っているということが言えるんじゃないでしょうか。まあ、誤解を恐れずに言うと、白人主導のネオ・ソウルの世界と言うこともできるんじゃないかと思います。
そのネオ・ソウルの世界のここ数年のあり方を見てみますと、「白人主導」という言葉が相応しいかなと思いますし。その中のキーパーソンというのはもちろんいるわけですけども。その1人に挙げられるのが、先ごろタキシード(Tuxedo)というユニットを成功させましたメイヤー・ホーソーン(Mayer Hawthorne)あたりじゃないかと思いますね。いま、バックに流れております『Cosmic Love』っていうのは彼のソロ名義での曲なんですけども。
まあソロであろうが、タキシードであろうが、メイヤー・ホーソーンのこのメジャーな活躍っていうのはね、いろんなミュージシャンたちを勇気づけたんじゃないかなと思います。では、そんなメイヤー・ホーソーン以降の流れと言って差し支えない、そんな2組をご紹介したいと思います。まずは、ローレンス(Lawrence)という、ジャケットには男女が写っていますね。ですが、この男性がもともとソロでやっていたユニットだったようですね。元はね。僕も詳しくは知りませんけどもね。まだ。『Breakfast』っていうアルバムがちょっと面白い出来だったので、今日はその中から1曲、ご用意してまいりました。では、こちらから聞いていただきましょう。アルバム『Breakfast』の中から、ローレンスで『Where It Started From』。
Lawrence『Where It Started From』
The Jack Moves『Make Love』
ネオ・ソウル。または最近ですと、モダン・ヴィンテージ・ソウルっていう言い方もするみたいですね。そのシーンから2組、ご紹介いたしました。まずはローレンスで『Where It Started From』。これはリリースされたばかりのアルバム『Breakfast』に収録されていました。そうですね。物憂げなエレクトリック・ピアノから始まりまして、まあある種、フォーマットに則った作り方なんですけども。
途中で曲調が変わったりする瞬間に、まあロック的な衝動と呼べるようなものが感じられもするのですが。まあ、それにしても、そうですね。これが2016年の新作、新曲なのかというのがにわかには信じがたいような、そんなヴィンテージ感には満ち満ちております。ローレンスで『Where It Started From』。
続いてお聞きいただいたのはザ・ジャック・ムーブス(The Jack Moves)ですね。ジャック・ムーブスの方は、これはちょっと前のリリース。昨年のリリースで、ご紹介するタイミングがいまになってしまいましたが、それ故に、「知っているよ」という方もたくさんいらっしゃるんじゃないでしょうかね。これこそ、、メイヤー・ホーソーンとかタキシードを好きな人。後は、ボビー・コールドウェル(Bobby Caldwell)のクールアンクル(Cool Unkle)とか。ああいうのが好きな人には、ばっちりじゃないでしょうかね。
アルバム『The Jack Moves』に収録されている『Make Love』。これはね、まあタキシードですとか、クールアンクルがそうであるのと同じように、このジャック・ムーブスも男性2人でやっているんですけども。ズィー・デスモンデス(Zee Desmondes)っていうシンガーが白人なんですよね。パートナーのテディ・パウエル(Teddy Powell)っていう人はアフリカ系でありまして。この人は割とヒップホップシーンでいままでトラックメイカーとして名前を認めることができる人なんですけども。
この、非常にレトロな味わいに満ちた白人ソウルシンガーを立ててユニットを運営していくっていうこの感じが、いかにも今日びのモダン・ヴィンテージ・ソウルっていう感じがしますね。曲が短いのもいいですね。『Make Love』という。これ、大変セクシーな仕上がりになっているビデオもございますので。ぜひ、そちらの方もチェックしていただきたいと思います。ローレンスとザ・ジャック・ムーブス、続けてご紹介いたしました。
<書き起こしおわり>