菊地成孔 デビッド・ボウイを追悼する

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菊地成孔さんがTBSラジオ『菊地成孔の粋な夜電波』の中で、デビッド・ボウイさんを追悼。訃報を悲しむリスナーからの投稿メールを読んだ後、このように話していました。

(菊地成孔)まあ、それはともかくデビッド・ボウイが・・・私がデビッド・ボウイをとうとうと語ったりなんかしたら、バチが当たりますから。最低限のことに留めたいですし。あと、この番組も含めて私、追悼に関しては『レクイエムの名手』ってまとめて本にして出しちゃったんで。しばらくはあんまりやめておこうかなと思って。じゃないと、『レクイエムの名手2』とかになっちゃって。ぜったいに『2冊目を出せ』って。本屋はもう、本当にたかりギリギリですからね。もう、なんかネタがあったら『本を出せ』って言ってきますから(笑)。まあ、断わりゃいいんですけどね。

まあ、そういうことにならないようにしたいと思うんですけど。ただ、ピエール・ブーレーズも亡くなりました。私が熱にうかされている間に。『うわー、ブーレーズ、死んだ』。体温計を見たら8度6分とかって、すごいなと思って(笑)。『俺、すごい状態になっている、いま』と思いながら。まあ、その直後かな?デビッド・ボウイは。いまは、つまりこういうことなんですね。北野武さんの話が出まして、デビッド・ボウイさんの訃報に触れ、今日の最後は坂本龍一さんの曲を聞いていこうじゃないかというような形で番組を締めさせていただきたいと思うわけなんですけども。

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坂本龍一の曲で追悼

本当に一言だけコメントをさせていただくと、まあデビッド・ボウイが亡くなったっていう訃報は、そんなにデビッド・ボウイの熱烈なファンだっていうわけではない私にとっても、相当こたえました。それは非常に不思議な感覚です。『なんでこんなにこたえるんだろう?ボウイのことが』と思うぐらい、こたえましたね。なんでまあ、思わずね、1曲・・・いっぱいあるわけですよ。そんなね、ボウイのいい曲なんて、あらゆる時代にあるわけなんで。で、1曲かけて、ちょっとなんか言ってっていうことをしようかなと思って。まあ、やめましたけどね。今日は、ギリギリのところで。

でも、(デビッド・ボウイの訃報を悲しむメール投稿者の)お気持ちは非常によくわかります。私の周りにいるロックファンとか、ましてやデビッド・ボウイに影響を受けた・・・それはもう、単に楽曲だとか英国式のグラムロックのスタイルとか、そういう問題じゃなくて、もうボウイとしか言いようがない、ライフスタイル全体で憧れ。ある意味、ジョン・レノンに匹敵する重みで語っている友人の音楽家は多いですね。

というわけで、いささか不謹慎なのかもしれませんが、三題噺のようにしてですね。つまりこれは、『戦場のメリークリスマス』っていうことなんだけど。まあ、ボウイが亡くなって、テレビに『戦場のメリークリスマス』の当時の写真がいっぱい出ましたね。そうすると、大島渚、いまはなく。ビートたけしは健在。デビッド・ボウイが長い闘病の末に亡くなり、坂本龍一さんが長い闘病の果てに現役復帰されたというような、本当に悲喜こもごもだなという、『戦場のメリークリスマス』という1本の映画からのね、非常に変わった映画ですけどね。あれこそ、前衛映画だと思いますけども。

あの1本からのパースペクティブでもこんなことがあるんだと思う中、本日最後の病み上がりで聞きたい女の人の歌ですけどね。名盤です。『食物連鎖』。中谷美紀さんが、まだ現在の中谷美紀さんになられる前と言った方がいいんですかね?自己更新される前の時代に坂本龍一さんが全面プロデュースしたアルバムで。まあ、『MIND CIRCUS』『STRANGE PARADISE』といった名曲が入っているアルバムなんですけども。今回はあえて、比較的異色の曲なんですけど。これが、私が熱を出していた時にちょうどよく聞いたんで。

まあ、今回やっているのって、自分に対する漢方菊地堂みたいな感じですけどね(笑)。自分に効いた!っていう感じなんですけども。はい。ええと、『TATOO』っていう曲が入っているんですよ。これ、比較的大胆な歌詞なんですけども。サウンドもそれに沿って大胆で。坂本龍一さんがたまにね、抜く。めったに抜かないんだけど。いつもは刀が鞘に収まっている。坂本龍一さんはね。芸大の作曲科、大学院まで出たら・・・まあ、それは小田朋美さんも一緒なんですけど。なんでもできるわけです。結局。

そうすると、ポップな曲もすぐ書ける。ポップだけど凝っている曲も書ける。シンプルな曲も書ける。インストでチャートの1位にもなれる。なんでもできる。もう本当に、ある種万能なような力をお持ちの坂本さんが、たまに抜くの。スッて。それはね、ファンクミュージックなんだけど、ちょっと調性が薄いファンクミュージックで。多くの人はアルバムの中の捨て曲として聞いてしまうんだけども、ミュージシャンが聞くと『ヤバい!これ、坂本龍一、すげーことやってるよ』っていう曲がだいたい入ってたりするんですよね。そういう曲です。これは。

なんとですね、作詞が中谷美紀さんご本人です。アルバム全体は10曲以上、当然入ってまして。売野さんから小西さんから大貫さんからといった、素晴らしいというか、一線級の方の作詞が提供される中、1曲だけ中谷美紀さんが作詞したのがこの曲だっていうことを意識しながら聞くと、本当の大人のエロティークっていうのはこういうことだし、こういう曲こそ、熱にうかされている時に聞くべき音楽だなという気が強くいたします。中谷美紀さんが作詞。そして作曲、編曲坂本龍一さんで『TATOO』という曲です。

えー、ジャズミュージシャンの菊地成孔がお送りしてまいりました『菊地成孔の粋な夜電波』。そろそろお別れの時間でございます。それではまた来週、金曜深夜0時にお会いしましょう。来週は、そうですね。いまより東欧が暗かった頃の東欧ジャズ特集というような感じにしましょうかね?(笑)。いま、しゃべりながら思いついたんですけども。お相手は菊地成孔でございました。ありがとうございました。

<書き起こしおわり>

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