宇多丸 品川ヒロシ監督『Zアイランド』を語る

宇多丸 品川ヒロシ監督『Zアイランド』を語る 宇多丸のウィークエンド・シャッフル

ライムスター宇多丸さんがTBSラジオ『タマフル』で般若さんとのビーフの発端となった品川ヒロシさん監督の映画『Zアイランド』を公約通り評論。『正直、期待外れだった』と語っていました。

Zアイランド

(宇多丸)で、だから風邪をひいてですね、安静にしてたんですけど。プラス、やっぱりですね、こっち、準備が必要だったんですよね。私にとってのなんて言うんですかね?個別的自衛権と言いますか。私にとっての安全保障問題。こういうものがありまして、それのために準備しなきゃいけなかった。どういうことか?と申しますと、品川ヒロシさんの映画監督4作目『Zアイランド』。こちらを、ブルーレイを見てですね、本日、このオープニングトークでちょっと、この時間を借りて評論をしますよという私、公約をいたしました。

何週間前ですかね?まあ、ラッパーの般若くんという、この映画に出演されている般若くんという人が、まあプロレス的なね、仕掛けも込みということだとは思いますが、まあ私に対してですね、『Zアイランドをちゃんと評論しなかった、このハゲ!』みたいな感じでですね、ラップでちょっとバトルを仕掛けてきた。まあ、ヒップホップ業界、バトルっていうのがね、ある意味ひとつのヒップホップゲームの一部でございますので。まあ、そんなのとして仕掛けてきて、私も番組上で即席ではございましたがアカペラで返してと。

で、それに対してよくわからない集団的自衛権を発動したK DUB SHINE。まあ、そういうのでね、よくわからない展開になっていたりしたんですけど。とにかくその返しのラップの中で、私ね、公約いたしました。『「Zアイランド」、ブルーレイをアマゾンで予約したから、出たらそれでまとめてやるから。それまで待ってろ』みたいなことをね、8月8日で。だから1月以上たっている。8月8日にそれを公約したわけですけど。

般若 ライムスター宇多丸ディスを発表する
般若さんが自身のBLOGでRHYMESTER宇多丸さんのディスソングを発表したようです。 般若さんは毎週、ラップ音源をBLOGとして発表しているのですが、8月7日更新分で、般若さんも出演している品川祐さんの映画『Zアイランド』を宇多丸さんが

で、9月17日に『Zアイランド』のブルーレイ・DVD発売になりまして。まあ、アマゾンからそれが届きましてですね。私、それを見てですね、私、この時間を使って『Zアイランド』、公約通り、普段のムービーウォッチメン級に・・・まあ時間はそんなにね、どんぐらい使えるかわからないですけど。なんなら『カリフォルニア・ダウン』を短めにすませればいいっていう話なんでね。がっつり、じゃあここでやろうかなということにしていきたいと思います。

はい。『Zアイランド』、まあブルーレイで見てまいりました(笑)。すいませんね。劇場は間に合わなかったんです。ねえ。『Zアイランド』、勝手にコケやがってですね、劇場公開が終わっちゃって見れなかったんですけど。見たかったですよ。っていうのはやっぱりゾンビ映画というですね、世界的にいまやすっかり一ジャンルとして定番化したフォーマットにある意味乗っかるんですから、これまでの品川さん監督作に私、苦言は呈してまいりましたが、それよりはまあ、あるフォーマットがあるわけですから。

定番フォーマットがあるんだから、かなり安心して見れる部分、あるだろう?あるんじゃないか?まあ、実際にそういう風に安心して見られる部分はたしかにある作品でございました。ただちょっと時間がないので結論からどんどん言ってきますけども。だが同時にですね、映画の作り手としての品川さんの技量の限界のようなもの。まあ、はっきり言うとですね、まあ、やっぱり別に人と比べてすげー上手いとかってわけじゃ、別にねえよな?っていうのが逆にはっきり見えてしまった。

品川ヒロシ監督の技量の限界

ある型っていうか、定番的な型があるところに乗っけたことで、技量の限界っていうか、『そこまでじゃないね、やっぱりね』みたいなのを逆に見えちゃった。なんとなくいままで、品川さんがご自分で選んだ題材でやってた時にあった、ある種ここには余地があるんじゃないか?みたいな幻想が完全に崩れてしまった結果にもなったという風に思っております。

まず、はっきり言えるのはですね、これ品川さんご自身で書かれている脚本。明らかにこれ、練り込み不足ですよね。っていうのは構成が雑すぎます。群像劇なんですけど、群像劇が全くさばききれてないですよね。たとえばですね、序盤の話運び。もう本当に鈍くさいんですけども。もう、鈍くさくて。まあ、イライラするのを我慢しながら見ていると、宮川大輔さん演じるですね、チンピラがついにゾンビ化する。まあ最初にゾンビ化するのが宮川さんだというのは、よくワイドショーでも宣伝されているのでこれ、いいと思いますけど。

まあ、ついにゾンビ化する。で、そっから事態が動き出すわけじゃないですか。要するにゾンビ映画としていちばんアガる重要な場面ですよね。ところがですね、この『Zアイランド』ではなぜかそこでですね、女子高生コンビ。山本舞香さん。山本舞香さんね、コンバットREC?春日さんかな?注目だなんて言ってましたけど。空手有段者なんですよね。とか、もう1人、水野絵梨奈さん。元E-girlsの方。要するに非常の動ける方。非常に本作の中では体が動いていて。格闘が、要するに格好がつくというかですね。非常にいい。

この2人のコンビ自体はいいんですけど、この2人の女子高生コンビと舞台となる島にいるチンピラたちの乱闘っていうのと、あと東京のですね、ヤクザの元組長の哀川翔さんとその幹部の鶴見辰吾さんが、まあしょうもない口喧嘩を始めるというですね、要するにゾンビがガッと発動するっていうのと、女子高生がチンピラと格闘してるっていうのと、東京で年取ったヤクザ同士が口喧嘩を始めるっていう。いいですか?緊迫度もシーンの意味も全く異なる3つのシーンをなぜか、最もその重要な、ゾンビが最初に現れるといういちばん重要な切迫したシーンとなぜかカットバックで並行して見せているんですよ。

なにがしたいの?なにがしたいのかな、これ?っていう。まあ、物語上の効果を考えたら、こんなことぜったいにしないですよね。ゾンビが現れるっていうところの効果が薄れるわけですから。要はですね、これ、品川さんが考えるですよ、かっこよさげな、もしくは気の利いているつもりのシークエンスを並べてみた。で、こうやってカットバックで見ると、なんか気が利いている風に見えね?みたいな。なんかそういう風にしか見えない。

とにかく、物語上の効果をものすごい削いでますよね。こっちが感情移入して見ていると。で、その後ですね、舞台となる島ではどんどんどんどんゾンビが増殖していってですね。当然その生き残った者たちの決死のサバイバルが始まるという、まあゾンビ映画のある種の定型的な話が始まるはずなんですけども。この『Zアイランド』、そうやってすでに本筋のゾンビからのサバイバルっていうストーリーが本科k的に動き出しているにもかかわらず、その間ずーっと、同じぐらいの分量で。前半いっぱいぐらい使って、東京でのさっき言った、ゾンビとはぜんぜん関係がないヤクザ同士のアウトレイジ風ゴタゴタみたいなのを延々こう、続けているんですよ。

で、要するに肝心のゾンビ側の話を著しく緊迫感を削いでいるという風にですね。そんな作りになっている。で、こんなのはもっと整理して、要するに序盤にヤクザ同士の経緯とか全部まとめて。いろんなキャラクターが全員さっさと島に上陸してから、ゾンビ騒動が発動して、さあ、このグチャグチャのキャラクターがどういう風にサバイブしていくか?っていう風に整理すること、いくらでもできるはずなのに。まあ、『サンブンノイチ』っていうね、前作は私、評価してないですけど、密室劇というのに一応ね、挑戦してたのに。うーん、これはものすごく未整理なままですね、始めちゃってるなと。話を。

で、ですね、実際にはどういう風になるか?っていうと、東京でアウトレイジ的なモメをしていたヤクザチームは、もうすでにゾンビが大量発生しているはずの島に、普通にフェリーで乗り付けて上陸するんですよ。普通に運行しているフェリーで上陸するんですね。もう、ゾンビいっぱいいるはずなんですよ?普通にフェリー、運行しているんですよ。で、百歩譲ってですよ、そのへんにはね、フェリー乗り場あたりにはまだゾンビが来ていなんだという風にしたとしてもですよ・・・

お話上、上陸したヤクザたちが途中から事態に気づいて、慌ててフェリー乗り場に戻ったけど、そのフェリー乗り場はすでにゾンビでいっぱいになっちゃって、ああ、戻れない。つまり、島を脱出する手段がなくなっちゃったっていうプロセスを一旦見せないと、後半で港に行って船で逃げるんだっていうくだりが、何のためにその船のところに行かなきゃいけないか。要するに、他がないからそこに行くんだっていう説得力がなくて。さっきのフェリーはなんだったの?フェリーは動いてないの?とかさ。そういうところが全くないから。プロセスが。説得力が全く欠く展開が続いてしまったりするわけなんですね。

そもそも、ヤクザが来るんですけど。離島にわざわざ小回りのきかないトラックで乗り付けているわけですよ。この湘南乃風のレッドライスくん演じるキャラクターが。味はすごくいいんですけど。うーん。トラックで乗り付けて。それ自体もう、『あ、なんかクライマックスでトラックの荷台でなんかしたいんでしょ?そのためにトラック付けてるんだよね?』って。トラックで離島に乗り付けるやつ、いないでしょ?だって。

一事が万事、こういう、『為にする展開』とか『為にする設定』とか『為にする演出』のオンパレード。『あ、あとでなんかやりたいのね。はいはい』みたいな感じ。で、ですね、先ほどその『脱出手段っていうのに対しての説得力がぜんぜんないよ。脱出手段が断たれたっていう描写がないから、切迫感がない』っていう風に言いましたけど、それ以上にひどいのが通信手段。あの、とりあえずたとえば電話線がつながっているとか、電話が通じるんだったら東京なり何なりに助けを求めりゃいいじゃないかと。

当然、警察に電話するわけですけど、そこがですね、わかりやすいボケとツッコミのお笑い処理。その、ゾンビという言葉を言う言わないみたいなので。それも延々と、いわゆる天丼と言うんですか?何回も何回も繰り返してという。それがそもそもお笑いとして大して面白くもないためにですね、要は一生懸命助けを求めるというくだりのはずなのに、物語上の真剣味を致命的に削いでいるわけですよ。もう、誰も本気で助かろうとしているように見えない。なんかその、おもしろやり取りみたいなのを優先する。何なの?っていう。

もうこのへんで、もう真剣に話を見る気がだんだんなくなってきてしまう。とかですね。あとですね、話上の展開で言うと、クライマックスではですね、愛する人がゾンビになってしまったとか。あるいは、俺がゾンビになりきってしまう前に殺してくれ!もう噛まれちゃったから!みたいな展開がいくつか出てきて。おそらく品川さん的に、こういうのこそゾンビ映画のツボなんだと。彼、思っているフシがあるからこそ、こういうのをいっぱい出しているんだけど。

えー、そういう展開がツボ、ありきで話をご都合主義的にとか安易に進めすぎていて。要するに、愛する人がゾンビになっちゃうのがツボだよね。ゾンビになる前に殺してくれがツボだよねっていうところをありきで、もうさっさとそっちに話を持っていこうとして。なおかつ、その同じ構造の話を何度も繰り返す。何パターンもその話が出てくるため、結果的にですね、どいつもこいつも真剣に生き残る気、ねえんじゃねえのか?っていうか。自らゾンビに噛まれに行っちゃう人が続出する展開になっちゃって。なんか、真剣に生き残る気、あんの?みたいな感じに見えちゃっているというね。

しかもそれをなんか、繰り返し繰り返し、感動的な話でしょ?っていう感じの音楽の使い方なり何なりで演出されてもですね、正直まあ、鼻白むだけというね、感じが本当に続きました。やりたいことはわかるんだけど・・・っていう感じなんだよね。いつもそうなんですけど。海辺でね、脱出するクライマックスとか、『ファン・オブ・ザ・デッド』っていうキューバのゾンビ映画があって。まあ、あの感じなんでしょう。哀川翔さんが1人残って。刀で残るとか、そういう感じなんでしょうけど。うーん・・・

他にもね、例によってですよ。おそろしく半可通な映画ネタにイラッと来るとかね。なんかその『ゾンビ映画をよく見てるから・・・』とか言うんだけど。それで言うことが、『えっ?そうかな?』みたいな(笑)。ちょっと恐ろしく妥当性があんまりないっていうかですね。前のクリスチャン・スレイターをめぐる発言とかを見ても、『えっ?そうか?』みたいな感じがするのとか、相変わらずイラッと来るのは相変わらずなんですけども。

いちばん残念だったところ

ここ!いちばん残念だったところ。今回、『Zアイランド』を見る前にですね、いちばん期待していた部分。要はですね、品川さんの過去作を見ていて、僕が唯一、ここは評価の余地があるんじゃないか?っていう風に見ていたアクションとか格闘演出。要するに、アクション映画、格闘技もの、すごいお好きらしくて。そこの撮り方のこだわりとか見せ方みたいなのがあるみたいだから。で、そこだけはまあ、熱意みたいなのも感じるし。様にもなっているっぽいから、じゃあそこを全面展開すればいいんじゃないですか?お笑い要素とかもう排除しちゃってさ・・・っていうのは、『サンブンノイチ』評の時に私、言ったところでございますが。

今回、それが全面展開実際にされるんだから、これは絶対によくなるはずじゃん!っていう風に思っていたわけですよ。ところが、これ本当に残念だったんですけど。アクションはいっぱいあるんです。あるんですけど、とにかく全部が全部、まあ品川さん、過去作でもいっぱいお使いになってましたけども、スローモーションからのチャカチャカ早回しでスローモーションからのチャカチャカ早回し。わかりますかね?まあ、いまやもう、正直手法としては古臭い部類に入るあれだと思うんですよね。

まあ『300』風っていうけど、『300』はあれ、元のグラフィックノベルの絵面を再現するために、あのアクションの見せ方が効果的だったとか。まあ、効果的に使われている作品はスロー・早回しがそれなりの理屈をもって使われているんですけど。別にそういう理屈とかはなく。たとえばガイ・リッチーの『シャーロック・ホームズ』だったら、シャーロック・ホームズの頭の回転が早いことを示すのでそれをやるとかはわかるんだけど。まあとにかく、そういう理由はなく、スロー・チャカチャカ・スロー・チャカチャカ。とにかく全部が全部、その見せ方なわけですよ。

で、それもね、あんまりアクションとか格闘ができない俳優さんをそれ風に見せるためのごまかしで使っているんだったらまだわからなくもないですよ。本作もそういう風な使い方をしてるところは何箇所かあって。それならばまだ、わかるよ。あんまり感心はしないけど、まだわかる。けど、さっき言ったようにたとえば、女子高生コンビ。この2人は動けるわけですよ。実際多分かなりいい線に行っているはずなのに、この2人も全く同じぶつ切り編集で、ちゃんとアクションを連続した体技として見せてくれなかったりするので、あんまり活きてなかったりするというね。

とにかくですね、過去作に比べてアクションシーンの分量が圧倒的に今回、『Zアイランド』多い分、その、申し訳ないですけど言っちゃ悪いけど、やっぱり引き出しのなさっていうか。あとはその、やっぱり、まだこれやってんの?っていうそのセンス的な。いまとなってはセンス的にもどうかな?っていう部分。格闘の見せ方のセンスっていう部分でも、ちょっとどうなんだ?みたいな感じもちょっと露呈してしまった感じがありますね。分量が増えた分、そこが明らかになっちゃった。

あと、まあね、編集や音楽の付け方の垢抜けなさっていうのも本当に、なんか今回特に目立った感じがしますけども。はい。よかった部分もあります。よかった部分。あの、これ、ひょっとしたら品川さんの過去4作全部に通じている部分かもしれないですけど。ええと、一部の役者さんはすごくいい活かし方をする。これは間違いないと思います。特にやっぱり、吉本勢ですよね。

っていうのはたぶん、品川さん自身がご自分、映画をずっと撮り続けるにあたって、同僚というかお仲間の吉本のお笑い芸人さんで、この人はこういう使い方をしたらとても映えるんじゃないか?みたいなのを普段から考えてらっしゃるからだと思うんですよ。なので、そこに関してはやっぱりすごくいいです。それはたぶん全作通して、そこはいいところかもしれないです。特にですね、『漫才ギャング』でもすごいよかったですけど、千鳥の大悟さんですか。『漫才ギャング』の時も僕、すごく褒めましたけど。あの輩演技、本当に素晴らしいですね。岡山弁がすごい効いていてですね、素晴らしいと思います。

あと、木村祐一さん。キム兄。俳優さんとして、たとえば『松ヶ根乱射事件』。 山下敦弘監督の『松ヶ根乱射事件』とかでやっていたようなああいう・・・まあ、ぶっちゃけ怖いじゃないですか。キム兄って。まあ、非常にハマってます。普通に怖いです(笑)。キム兄は普通に怖い。だから素晴らしい。この殺し屋というかね、ものすごい手が早いヤクザ役、ばっちり合っていたと思いますし。で、いま挙げたその2人ともう1人。トリオで出て来るんですけど。野性爆弾の川島さん。まあ、見た目がね、非常に異形のというか、感じですけど。

も、素材としてはいいと思うんですよね。ああいう感じでヌボーッとした。要は対話不能な感じの怖さ感。これ、出ててとてもいいんですよ。なにかって言うと、すぐ女と見ると犯そうとするとかね、いいと思うんですが。ただちょっとここは、もうちょっと演出が手綱を握ってあげないとですね、ちょっとのびのびしすぎてて。結局いつもの野性爆弾の川島さんっぽい感じが出ちゃって。結局怖さに着地してないのが、ちょっと川島さん、もったいなかったですね。ここはやっぱり演出がもうちょっと、手綱を引かないとと。でもまあ、このお三方とかとても良かったですし。

あと、それとは全く違うテンションで、普通にやっぱり中野英雄さんはアウトレイジな感じで。やっぱ演技の質がもうちょっと違うというか。なんて言うのかな?ちょっと笑わすような展開のところも含めて、中野さんはやっぱりさすがですね。素晴らしいと思いました。あとは先ほど言いましたけど、女子高生コンビ。すごく体動くっていう感じでとてもよかった。要はフックアップ力っていうんですかね?それまでそんなに知られてない人とかも、結構適材に配せると結構、『あ、こういう人がいるんだ』みたいなところも含めて。そこも品川さんの技量の部分なんだとは思います。フックアップ力。

で、フックアップっていう意味では、たとえば湘南乃風のレッドライスくんとかもすごく、なんて言うんですかね?あの位置。ヤクザの中の舎弟の中のあの位置の人として、すごくいい味を出してていとてもよかったですし。あとはやっぱり、今回の発端になりました般若くん。般若くんはですね、役柄としてそもそも美味しいんですよね。レゲエ好きの漁師っていうね。まあ、ケーダブの歌詞の中にもありましたけど。要は事態を本気に取っていない。ドッキリだと思っているっていう役柄。で、クライマックスにも伏線込みで本当に美味しく絡んでくるというか。

ただ、ちなみにこの伏線自体が上手いかどうかはちょっと別としてっていう感じはあるけれど、まあ、非常に物語上美味しく絡んでいて。役柄として美味しいっていうのもあるし。信じてなくてニヤニヤしながらずーっとついてくるあの感じとか、般若くんのちょっとこう、ナメた感じっていうか。とてもいい味を出している。もともと見た目はすごくいい人ですから。いい味を出していると思います。

もちろんその演技としては、まだちょっと不器用に見えるところは多々ありますが。般若くんのたたずまいとしてはすげーよかったです。ただ、これ本当にもったいないのはやっぱり、その事態を本気にとっていない、ドッキリだと思っているという役柄の美味し差を、お話側が十分に活かしきれてないですよ。彼が事態に本当に気づくところっていうのはすっごくおもしろくなりそうなところじゃないですか。なのに、実際の映画だと、『えっ、本当なの?やべーじゃん!』『遅っ!』とか言って。要するにすごくかわいい、軽いお笑いで処理しちゃっていて。

彼が本当にその事態に気づいて、ウワーッ!ってなるところとかって、もっと笑えるし、もっと映画的に盛り上がる。もっと要するに彼の役が美味しくなるところだったと思うのは非常にもったいないと思います。あと、般若くん絡みでもうひとつ、もったいないと思うのは、せっかくの彼の肉体美をなんで見せない?と。脱げよ!最後、一肌脱いでくれよ!そしたらガン上がりするじゃないですか。もう、彼のボディーの美しさはそれ自体がスキルなわけですから。これも非常にもったいなあたりだなという風に思ったりいたしました。

ということでね、もう20分たってしまいましたね。私、このね、『Zアイランド』を当てるために、ガチャ1回まわすのに1万円とこのDVD代で1万ウン千円、この映画につぎ込んでるわけです。その身として言わせてもらいますと、あと、なおかつ品川さんの次回作でアクションが全開になればきっとよくなるに違いないと期待してた身からすると、正直、残念ながら、期待外れでした。すごい期待外れでした。正直、品川さんの次回作への期待値も前より下がっちゃったぐらいですね。たぶん、これが上限なんだろうなって思っちゃうと、ちょっとなんか、ああ・・・っていう感じがする感じでございました。

ということで、嘘はつけないので。はい。なんか、こんな感じで納得していただけたでしょうか?はい。ということでございます。もちろん、ジャンルもの。ゾンビ映画っていうジャンルのフォーマット分の面白さっていうのはある程度担保されてますので。いま僕が挙げた問題点みたいなものを気にしなければ、面白かったりもするんじゃん?OK!みたいな感じでございます。それでは、ここで1曲、お聞きいただきたいと思います。

<書き起こしおわり>

Zアイランド
Posted at 2018.4.7
品川ヒロシ
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