樋口真嗣 特撮に目覚めたきっかけ TV版『日本沈没』を語る

樋口真嗣 特撮に目覚めたきっかけ TV版『日本沈没』を語る たまむすび

映画監督の樋口真嗣さんがTBSラジオ『たまむすび』に出演。特撮に目覚めたきっかけ、テレビドラマ版『日本沈没』について話していました。

(玉袋筋太郎)やっぱ特撮に目覚めちゃったっつーのがいいじゃないですか。最初に。幼いころ。

(小林悠)そうなんです。それでまた原点に戻るわけですね。

(玉袋筋太郎)『日本沈没』にハマッたって。これがまた!

(小林悠)プラモデルのお城も爆発させていた子ども時代の話を振り返っていただいてもよろしいですか?

(樋口真嗣)ええ。屈折してますけどね。

(小林悠)(笑)

(樋口真嗣)やっぱりあの、当時、ご存知かもしれないですけど、怪獣ブームだったんですね。もう、1週間でね、5、6本怪獣・・・ウルトラマンとか、そういう亜流の番組、やってたんですよ。

(玉袋筋太郎)ウルトラマン、ミラーマン、スペクトルマンとか。うん。

(小林悠)そういう時代ですね。

(樋口真嗣)それがいちばんヒットして。昔ってすごい、もっと簡単な時代っていうか。いま、妖怪ウォッチが流行っていたら、1週間全部妖怪ウォッチみたいな番組になるみたいな感じなんで。

(小林・玉袋)(笑)

(樋口真嗣)スポ根ものって、スポーツを根性でなんとか頑張るっていう番組があったら、全部それになっていたのね。野球だ、バレーボールだ、キックボクシングだって。全部それになっちゃう。

(小林悠)ええ。

(樋口真嗣)で、それ、全部怪獣だったんですよ。で、当然そういう中で浴びるように育って。もう、おもちゃとか買ってもらっていたのを、ある日、小学校2年ぐらいで全部親に捨てられたんです。

(玉袋筋太郎)ええっ!?

(小林悠)2年生でですか?

小学校2年生で親におもちゃを全部捨てられる

(樋口真嗣)卒業しなさいって。

(小林悠)ちょっと早いような気がしますけど。

(樋口真嗣)で、それで『もっと怪獣じゃない、いい趣味っていうか、勉強につながるような趣味を』って言われて、その後がまず深海魚だったんですよ。怪獣に似ているような、なにか。深海魚ブームになって。自分の中で。でも、そんなのついてくる友達、誰もいない。友達はみんな仮面ライダーとかって、1人だけ深海魚。

(玉袋筋太郎)深海魚ですか!

(樋口真嗣)で、それも深海魚ってだいたい水族館に行くと、見ちゃうじゃないですか。だいたい見尽くして。その次は今度、城になったんですね。

(玉袋筋太郎)城。おお。

(樋口真嗣)なんかね、やっぱり怪獣の面影を追いかけるっていうか。うわっ、でけえ!って見上げる感じが、やっぱり怪獣に近いなっていうか。ちょっと威張っているじゃないですか。お城の天守閣って。森の中にヌッと現れたりとか。それはやっぱちょっと怪獣と近いなっていう思いがあって。

(小林悠)ああ、みうらじゅんさんがね、仏像萌えみたいな感じですね。

(玉袋筋太郎)ゴモラと大阪城なんつったら、ベストの組み合わせですね。

(樋口真嗣)そうですね。で、その頃、よくよく考えると、そうなんですよね。怪獣ってかならずお城を壊してるんです。

(小林悠)ですねー!ガシャーン!って。

(玉袋筋太郎)前田日明が見に行ったっつーんだから。次の日。『大阪城、壊れちゃったよ!』って。

(樋口真嗣)なくなっちゃったんで。

(玉袋筋太郎)なくなっちゃったんで。で、見に行っちゃったっつーんだから。

(小林悠)心配になって。いい子!

(玉袋筋太郎)『あった!』っつったんだよ。前田日明。そうですよね!いや、『日本沈没』ですか。

(小林悠)テレビ版があったんですか。

テレビドラマ版『日本沈没』

(樋口真嗣)そうなんですよ。まさにTBSで。日曜8時から。

(小林悠)映画版しか知らなかったです。

(玉袋筋太郎)『さよーならーと いわないでー♪』。

(樋口真嗣)五木ひろしさんが主題歌で、演歌なんですよ。

(小林悠)そうですか!

(玉袋筋太郎)そうですよ!見てましたよ。

(樋口真嗣)で、それで、その番組が要は1週間に1本の、1時間の番組じゃないですか。そうすると、1週間に1度、どこかが沈むんですよ。

(玉袋筋太郎)沈むんだよ。

(小林悠)沈みすぎ(笑)。大変ですね。

(樋口真嗣)博士が『ここだ!』って言うと、みんなでそこにワッ!っと行くと、そこにいる頑固老人とかとちょっとしたいい話があって。でも、その老人と一緒に沈んじゃうんですよ。

(小林悠)ああー!

(玉袋筋太郎)オープニングなんか、鎌倉の大仏がこう、傾いちゃったりなんかして。ガガガガガッ!っと。

(小林悠)へー!面白い!

(樋口真嗣)で、そうなるといろんな、日本全国津々浦々の名所旧跡が多いわけですよ。絵葉書みたいなところがかならず沈むみたいな。

(玉袋筋太郎)沈む(笑)。

(樋口真嗣)そうすると、お城がやたらと壊れるんですよ。最初にまず、姫路城が壊れるんですけど。姫路城、デカいせいかなんかわかんないですけど、4週ぐらいにわたって壊れるんですよ。

(小林・玉袋)(笑)

(樋口真嗣)もうジワジワ。子どもがなんか砂場の城を壊すみたいな。どんどんどんどん削れていって、最後天守閣がガクーン!みたいな。すごい興奮して。それで。ただでさえ、自分の城ブームがあって。城ブーム、さらに特撮だと。オヤジとか、『なんだ、こんなの。ウルトラマンが出てこないウルトラマンみたいじゃねーか』とか言って。なんか、大人の意見で冷めたことを言うわけですよ。夢のないことを。

(小林悠)まあ、ねえ。

(樋口真嗣)そこがいいんじゃないか!みたいな。当時、やっぱりウルトラマンとか、だんだん予算がなくなってきて、野原でしか戦わなくなって。

(玉袋筋太郎)そう。オイルショックとかあったり。

(樋口真嗣)昔はちゃんと建物を壊してたのが、だんだん壊さなくなって。怪獣と取っ組み合いしているだけで、ちょっと物足りな買ったんですよ。その時、『あっ、俺がほしいのは建物が壊れるのが見たかったんだ!』って。

(小林悠)うーん!気づくわけですね。そこで。

(樋口真嗣)で、それが結局、高じて城のプラモデル。なけなしの小遣いで買って、城のプラモデルを作って、それを爆竹で吹き飛ばして、『ほーっ!』みたいな。

(玉袋筋太郎)(笑)

(小林悠)それ、たしかに傍から見るとかなり、心配になっちゃうような光景ではありますよね。

(樋口真嗣)いま、近所にいたら通報しますね(笑)。

(小林悠)(笑)

(玉袋筋太郎)ヤバい子ですね。ヤバい子。海外のものはどうだったんですか?特撮もので。

(樋口真嗣)その頃はね、まだ・・・それで、やっぱり1回のきっかけになるのが『スターウォーズ』が。それは小学校6年から中学校1年にかけてなんですよ。

『スターウォーズ』の影響

(玉袋筋太郎)ええ、ええ。『スターウォーズ』がやっぱり来た時はね。うん。

(樋口真嗣)でもあれがね、アメリカで公開してから日本の公開まで1年あったんですよ。

(玉袋筋太郎)これが、キャンペーンがすごかったんだ。うん。

(樋口真嗣)で、ずーっと来るぞ、来るぞって。しかも、1年あったから日本の映画界がなにをしたか?っていうと、偽物を作ったんですよ。

(玉袋筋太郎)出た!

(小林悠)えっ?

(樋口真嗣)まさにいまお世話になっている東宝さんが真っ先に手を挙げて。東宝さんがですね、『惑星大戦争』っていう。

(小林悠)もう『スターウォーズ』に日本語訳ですか?(笑)。

(樋口真嗣)そうなんですよ。まさに、スターのウォーズをやって。東映は深作欣二さん監督で『宇宙からのメッセージ』っていうね。

(玉袋筋太郎)これだ!『宇宙からのメッセージ』ですよ!

(樋口真嗣)これはね、内容としては宇宙版里見八犬伝なんですよ。お姫様が『助けて!』って8つ、玉をポーン!って投げると、宇宙暴走族とか宇宙チンピラとか。

(玉袋筋太郎)そうそう。なんんかC-3POの偽物みてーのが出てくるんだ。

(小林悠)本当?似てるんですか?

(樋口真嗣)そこでやっぱり深作さんだったり東映だなと思うのは、宇宙暴走族なんですよ。真田広之さんが宇宙暴走族で出てくるんですよ。

(玉袋筋太郎)傑作だよ。

(小林悠)宇宙暴走族は、革ジャンは着てるんですか?

(樋口真嗣)もちろんですよ。

(小林・玉袋)(笑)

(樋口真嗣)ただし、銀色なんですよ。宇宙だから。

(小林悠)宇宙感、出てますねー。

(玉袋筋太郎)『大地震』とか、どうだったんですか?

(樋口真嗣)『大地震』、見ましたよ!

(玉袋筋太郎)まあ、『タワーリング・インフェルノ』とか、要はパニックもので。『タワーリング・インフェルノ』なんか、ビルが燃えちゃうわけですもんね。

(樋口真嗣)でもね、俺、あの当時のパニックものって見に行くじゃないですか。いちばんかっこいいのって、ポスターなんですよ。『タワーリング・インフェルノ』ってもうビルが燃えてるのを上からガーン!って撮って。すっごいかっこいいんですよ。本当、みなさんいま検索してね、見ていただきたいですけど。

(小林悠)(笑)

(樋口真嗣)ところがそんな場面、ひとつもないんですよ。

(小林悠)えっ?それ、期待して見ちゃいますよ。

(樋口真嗣)すっごいの。イラストレーターの方がものすごいタッチで描いていて。ものすごい迫力があるし。その画面を見に行くんだけど、それがないんですよ。ないですよね?

(玉袋筋太郎)ないないない。

(樋口真嗣)もうみんな、だから消防士さんが下から見上げていて。それはそれですごい特撮をやっているんですよ。10何メートルのビルを作って燃やしていたりとか。でもね、見たいのはね、ポスターなんですよね。それがないっていう。その頃のアメリカ映画って、ポスターの画がないっていうのが当たり前だったんですよ。

(小林悠)『イメージです』ってことなんですかね?

(玉袋筋太郎)特に東宝の映画なんかそうだよ。チラシなんて。もう訳わかんねーもん。

(樋口真嗣)東宝東和ね。

(玉袋筋太郎)『キャノンボール』って書いてあって、そのキャノンボールの字の上に人が何千人も並んでいたりとかさ。バイクが飛んでたりとかさ。

(小林悠)(笑)

(玉袋筋太郎)なんだ、これ!?って。出てこねーの。

(樋口真嗣)すっごいね、その頃、ポスターでお客さんを集めて。で、その後、釣った魚には餌はやらない!っていうね。もう本当に、いかがわしい商売だったんですけど。いまはそういうわけにはいかないんでね、こうやって、我々が真剣に、ポスターの通りの画を作ったりとか。

<書き起こしおわり>


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