吉田豪さんがニッポン放送『上柳昌彦・松本秀夫 今夜もオトパラ!』に出演。キャロルと矢沢永吉さん、ジョニー大倉さんについて語っていました。
(上柳昌彦)さあ、電リク。今日のテーマは『バンド天国』ということで、水曜日です7時台、当然この方が登場。プロインタビュアーの吉田豪さんです。こんばんは。よろしくお願いします。
(吉田豪)はい、どうも。よろしくお願いします。
(松本秀夫)お願いします。
(上柳昌彦)はい、バンドということで。ねえ。
(吉田豪)はいはい。得意分野ですよ。なんでも話せますよ。
(上柳昌彦)リスナーの方から、キャロルのリクエストをいただいてるんですが。
(吉田豪)キャロル。
(上柳昌彦)先週はね、矢沢さんのお話もいろいろしていただきましたが。ねえ。
(松本秀夫)キャロルとしてのエピソードを。このあたりはいかがでしょうか?
(吉田豪)本当はね、カブキロックスの話とかいろいろしたいところなんですけども(笑)。バービーボーイズの話とか、いっぱいあるんですけども。ねえ。ジョニー大倉さんが亡くなっちゃったということで。そうなんですよ。ジョニーさん、僕、2003年に取材して以来、親交が細々とありまして。
(上柳昌彦)インタビューを1回して、その後もずーっとっていうのは多いですね。
(吉田豪)これはまた別のパターンで。僕、あの梶原一騎先生の弟さんの真樹日佐夫先生と仲が良くて。パーティーとか忘年会とか呼ばれると行ってたんですけど。そこにかならずジョニーさんがいたんですよ(笑)。とか、道場でのパーティーに行くとジョニーさんがいるとか。で、ジョニーさんが漬けたキムチをみんなで食べるとか。
(上柳昌彦)おおー!
(吉田豪)ジョニー漬けって僕は呼んでましたけど(笑)。
(上柳昌彦)ジョニー漬け。
(吉田豪)クルーザーパーティー行ったら、ジョニーさんがいるとか。だいたいどこに行ってもジョニーさんがいたんで。
(上柳昌彦)っていうか、マメにパーティー行く人ですね。吉田豪さんは。
(吉田豪)真樹先生のはさすがに断らないんですけども。真樹先生も面倒くさい人じゃないんで、クルーザーパーティーと忘年会ぐらいなんですよ。そういう時にかならず会っていた人ですね。
(上柳昌彦)ええ、ええ。
(吉田豪)あの、僕、実はあれなんですよ。僕、永ちゃんにハマったの、すごく遅くて。『成りあがり』を読んでからぐらい何ですよね。それも結構後で、この仕事を始めた後ぐらいにいろいろ本を集めてから。キャロル時代の永ちゃんが入っているインタビュー集を読んだら、異常な面白さだったんですよ。当時、だから僕、アントニオ猪木のインタビューとか面白いなと思ってたら、当時の猪木さんのインタビューが『ズバリ言って』っていうのが口癖になってたんですけど、永ちゃんがそれを連呼しながら、いろんなことをズバリ言ってたんですよ(笑)。すごい面白くて(笑)。
(上柳昌彦)『ズバリ言ってそれはね・・・』みたいな。
名著 キャロル『暴力青春』
(吉田豪)それがお金の話からなにから、すべてざっくばらんに話すスタイルがキャロル時代から完成していて。『なんかいままで無視してきたけど、異常に面白い。この人!』って思って、『成りあがり』を買って面白くて。で、キャロルの『暴力青春』っていう本が75年に出てるんですけど。これがまたさらなる名著で。
(上柳昌彦)うんうん。
(吉田豪)あの、永ちゃんになる前から永ちゃんがいかに永ちゃんなのか?っていうのがそれでわかる。発言のブレがまったくないんですね。『成りあがり』に書かれたようなことがほぼ書かれているのみならず、キャロル解散を前提とした本だったんですけど、もう先しか見てないんですよ。永ちゃんは。その先のことを。
(上柳昌彦)先のことだけど。
(吉田豪)で、他のギターのウッチャンとか、ドラムのユウ岡崎さんとかはやっぱり普通のバンドマンなんですよ。永ちゃんとジョニー大倉さんがいかに異質なのかがすごくわかって。ジョニーさんはもう過去ばっかり見てるというか、過去のトラウマをずっと語っている感じで。
(上柳昌彦)ああ、ああ。
(吉田豪)本当、陰と陽で。これは面白い組み合わせだけど、まあ続かないだろうなっていうのがすごいよくわかる(笑)。
(上柳昌彦)バンドの中にいりゃあ、それは化学反応を起こすと面白いんですけどね。
(吉田豪)起きますけど、まあモメますよっていう(笑)。
(上柳昌彦)まあ、そういうことなんだ。ああー。
(吉田豪)根本的に違いすぎたんでしょうね。人間性が。
(上柳昌彦)ジョニー大倉さんはやっぱり、矢沢さんのことをもう1回、一緒にやりたいっていう想いはあったんですかね?
(吉田豪)あったんでしょうけど、それを素直に言える人でもないし。で、解散の原因を作ったのも自分だってわかっているし。ややこしいんですよ。
(上柳昌彦)そもそも原因ってジョニー大倉さんなんですか?
(吉田豪)ジョニーさんがちょっとね、薬とかでおかしくなっていて。失踪を繰り返していた時期があって。ツアー中にいなくなっちゃったんですね。
(上柳昌彦)ああー、そうかそうか。
(吉田豪)で、気がついたら海岸でなんか砂まみれになっていたみたいなことが本にも書いてあったんですけど。自殺未遂を繰り返したりとか、ちょっと精神的におかしかった時期。
(上柳昌彦)不安定になっちゃったんですね。
(吉田豪)永ちゃんにしてみれば、『ジョニーさん抜きでライブやったけど、あいつ何やってんだよ?』になってるんで。戻っては来たけれども・・・っていう。
(上柳昌彦)そうか。そういうのがあったんですね。
(吉田豪)戻ってきたころにはジョニーさん、どんどん空手とかカンフーにかぶれて行って。一時期、ジョニーさん謎の迷走をした時期があって、なんだっけな?『ブルース・リーみたいになりたい』みたいな感じで、ロックンロール拳法を始めるっていう。
(上柳・松本)ロックンロール拳法?
(上柳昌彦)言葉としては面白いけど・・・
(吉田豪)最高ですよ。プレイボーイとかで記事になってて。大好きですよ(笑)。
(松本秀夫)記事になっているってことは、かなり本当にやろうと。
(吉田豪)なんかカンフーのモノマネとかをやっていた時期があるらしいんですよ(笑)。
(松本秀夫)ロックにのせてそれをやるとかって感じですかね?
(吉田豪)迷走っぷりも面白かったですね(笑)。
(上柳昌彦)そういうのをちゃんと付き合ってご覧になってるのがすごいなと思いますが。
(吉田豪)だから、その溝がずっと続いちゃった感じですね。ジョニーさんの方がたぶんまあロックンロール的なものへのこだわりもあったし、キャロルみたいなこともやりたかった人で。ねえ。虎舞竜の高橋ジョージさんと組んでキャロルの再来みたいに。高橋ジョージさんが第二の矢沢永吉って言われていた時期があって。で、彼とザ・プリーズってバンドを組んだりとか。キャロルアプローチをずっとやっていたんだけど、そういうのもたぶん永ちゃんからして見れば『お前が潰したのに・・・』みたいな思いはあったと思うんです。ややこしい関係。
(上柳昌彦)でもジョニー大倉さんは『永ちゃん、俺もこうやってやってんだよ。いまでも好きなんだよ、キャロル』みたいなのをこう、矢沢さんに発信してたんですかね?
(吉田豪)で、永ちゃんは永ちゃんで、キャロル時代にレコード会社に騙されたっていうトラウマもすごいあって。だからこそ、勝手にベスト盤出されたりとかどんどんやられたんで、自分で権利を。キャロルの権利も買い取ってってやったら、その結果ジョニーさんがキャロルのカバー集を出したい時に、永ちゃんの曲をやろうとしたらNGが出て、みたいな。ますます『永ちゃん、酷いじゃないか』みたいになっていくっていう(笑)。
(上柳昌彦)まあ、ちなみにね。ジョニー大倉さんのご葬儀には矢沢永吉さんからお花が出てたということですよね。もう1回、見てみたかった、聞いてみたかった。リクエスト、たくさんありがとうございます。キャロルです。『ファンキーモンキーベイビー』
<書き起こしおわり>
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