プチ鹿島さんらがTBSラジオ『東京ポッド許可局』の『思わずツイートしてしまいました』のコーナーで、野々村議員号泣会見で感じた不気味さと、現在の時事ネタを消費する文化について語っていました。
(サンキュータツオ)(リスナーのメールを読む)『号泣 野々村議員の声がリミックスされた投稿動画が秀逸すぎる』。
(マキタスポーツ)うん、たしかにね。
(サンキュータツオ)いや、俺もうこれお腹いっぱいだわー。笑えねーわ。
(プチ鹿島)あの、僕は号泣の人ね、笑えないんですよ。僕ね、怖くてしょうがないんです。不気味で。
(マキタスポーツ)どう怖いの?
(プチ鹿島)僕の中では、あれはいわゆる泡沫候補って言ったら失礼ですけど。インディーズ系の候補の方たち、いるじゃないですか。
(マキタスポーツ)インディーズ系候補(笑)。
(プチ鹿島)あのインディーズ系の中にいる、さらにガチな人とまったく同じなんです。僕の中で。
(マキタスポーツ)ガチっていうのはなんですか?
(プチ鹿島)はっきり言いますね。人とコミュニケーションが取れない人。だからこそ、選挙に出るんです。ああいう人たちって。だって選挙に出れば、政見放送とか。マスコミにいろいろ聞かれるし。はじめてそこで会話できる。自分が相手にしてもらえる。
(サンキュータツオ)かまってもらえる。
人とコミュニケーション取れない人
(プチ鹿島)かまってもらえるから。で、僕本当に都知事選のイベントをやった時に、全てのインディーズ系候補にオファーだして、1人、ガチな人が来ちゃったんですね。その人が、やっぱり人の話を聞かないんですよ。もうずーっと自分のことを・・・会話にならない15分、20分。で、『すいません、ちょっとそろそろいいですか?』っつったら、『いやだいやだ!俺はもう帰りたくない!』っていう。もう野々村と全く同じ。駄々をこねる。
(マキタスポーツ)本物。
(プチ鹿島)だからそこを、不気味さを。野々村さんを思い出してください。最初にあの会見、みんな笑ってますけど、死んだような目で、覇気のない目で、『名刺、いただけますか?』って記者団に言ったんです。つまり100%自分に落ち度があるにもかかわらず、ああいう人って相手と対等になろうとするわけです。ある種のハッタリしかカマせない人なんです。これって程度の低いクレーマーと同じ匂いを僕はすごい感じで。『あちゃー』って思ったら、もういま、野々村さん的なエピーソードが、そういう人だっていうのが出てきて。だから僕はあれは決して笑えなかったです。
(サンキュータツオ)笑えないわー。俺、でもなんかあの人、いわゆるエリートなんじゃないの?
(プチ鹿島)北野高校を出て、関西大学を出て、川西市役所に勤めてから。
(サンキュータツオ)だからなんかね、そこがエリートにありがちな、抑うつ性であったりとか、本当に過保護に育てられている感じっていうのがすっごい出ていて。気持ち悪い!っていう感じなんですよね。
(プチ鹿島)だからマザコン説っていうのは、出てますね。
(マキタスポーツ)出てるね。あとさ、もうひとつ。『ネタがすごい秀逸で』って、俺もすごい思っていて。でさ、一方で思うのがね、たとえば俺らの時代では(立川)談志がいた。(ビート)たけしさんが舌鋒鋭くいろいろなこととかすぐネタにするっていうこととかに慣らされていた時代があったから。ちょっと錯覚しがちなんだけど。いまの芸人にそれを求めているような気分って、自分の中にあったりするでしょ?
(サンキュータツオ)時事ネタとか。
(マキタスポーツ)時事ネタとかって。思うんだけど、まあそれってテレビとかそういう公の場とかでは、まず芸人に期待できないなって。
(サンキュータツオ)ぜったいにできないよね!
(マキタスポーツ)でもさ、うちの娘がさ、上の12才になる娘が、めちゃめちゃ野々村氏のいろいろ動画とか、ネタにされているの、あるじゃないですか。あれ見て、めちゃめちゃ喜んでいるの。で、そういう役割で言うと、もはや芸人とかではなくて、他のところでちゃんと楽しむことができて。そういう優秀な投稿人たちがいてっていうことを感じるとね、やっぱり芸人の役目って違うんだなって、すごく思う。
(サンキュータツオ)時事ネタって投稿職人の人のものですよね。
(マキタスポーツ)だよね。
(プチ鹿島)すぐコラボとか、アイコラ的なものとか出てくるじゃないですか。
(マキタスポーツ)うん。速度も間に合わないしさ。こっちもさ。あとさ、推敲化されてさ、すごくいいネタに仕上げたところで、ネタとして腐っちゃうでしょ?
(サンキュータツオ)あと、1人でやっているものでもないからね。他の人がまたそれを引用して、上から貼りつけたり、音つけたり、文字つけたり。いろいろしていって1つのものにしていくから。やっぱりネットができてから時事ネタって厳しいよね。だからそれ考えたら、本当に鹿島さんみたいにツイートで終わらせるぐらいでしょ。
(プチ鹿島)いや、だから僕はそこらへんはフラットだからこそ、『じゃあ俺、いいよ。別にそこでなんかやればいいんでしょ?』っていうので。まあSNSにしろ、ラジオにしろ、コラムにしろ、っていうのは、いま自分にとってはありがたい状況かなって。
(サンキュータツオ)そうだよね。いま、すぐと出せるものっていうことだもんね。
(プチ鹿島)そうそうそう。
(マキタスポーツ)速度があるじゃん。ちゃんと。
(サンキュータツオ)だけどいま、本当にテレビに速度ないもんね。
(マキタスポーツ)だからさ、なんか俺だけなのかな?それが解せないっていうか。
(プチ鹿島)だからさっきの俺、いちばん最初の話でいうと、テレビとかであの会見を見て、みんなワイプの中で苦笑いしているのが一様に同じで。俺、『それちょっと違くない?』って思ったんです。誰か1人、『これ、気味悪くないですか?』とか。そういう切り口をあげる人が1人でもいるのかな?と思ったら、意外とそうでもなくて。みんな手叩いて喜んだりとか。それはあえて、面倒くさいからそれにまとめているのかもしれないけど。
(マキタスポーツ)でもそういうことで言ったら、芸人とかがスパッとネタにして、カラッと笑って。みんなああいうの見て薄らいだ恐怖心っていうもの、あると思うんだよね。で、さっさとネタにして馬鹿笑いして、浄化してっていう感じのことをネットとかじゃなくできねーもんかな?と思ったりもするんだけど。それ、期待できねーよな。
(サンキュータツオ)期待できないね。
(プチ鹿島)なんでだろうね?あえてそういうの、避ける傾向みたいの、あるよね。
(マキタスポーツ)避けるじゃん。それこそPK(プチ鹿島)も言っていたけど、ああいう触りづらいものが出てきたら、外国人記者クラブを利用して。ネタにして、みたいな。
(プチ鹿島)そう。しがらみのない人にね。期待しちゃう。
(サンキュータツオ)で、ワイドショーでさんざん放送するけど、芸人にはやらせないでしょ?もう本当に芸人は、それの羽ももがれているし。過激な発言もオカマに取られちゃうし。できることって本当になくなってきているよね。
(プチ鹿島)だから時事ネタっていうとすごく構えができちゃうけど。やっぱり昨日今日おきたことを面白おかしく、共有して話すっていうのは、それは子どもの頃からラジオで聞いていたことでもあるし。そんなに敷居の高いことじゃないと思うんだけどね。
<書き起こしおわり>