ピエール瀧さんがTBSラジオ『赤江珠緒たまむすび』の中で、自身の上京当時の思い出を披露。19才で上京したばかりのころのエピソードを語っていました。
(赤江珠緒)瀧さんが上京をされてきた。静岡から。おいくつの時です?
(ピエール瀧)高校卒業と同時にやってきておりますから、ちょうど19才。僕、4月8日が誕生日ですからね、19才になる春ですかね。1986年かな?
(赤江珠緒)10代ですからね。まだ社会のことも。本当に未経験のまま。
(ピエール瀧)臨床検査技師という、病院とか医療機関の検査マンみたいな。になるための専門学校に通うために出てきたんですけどね。一応、名目は。
(赤江珠緒)全く違う道をね。
(ピエール瀧)全く役に立っていないというね。インディーバンド人生もやってましたからね。同時に。まああの、上京した時のね、最初に僕、西新宿に住んだんですよ。お姉ちゃんと一緒に。そん時に、西新宿。ちょっと歩いたら中央公園とか、三井住友ビルが云々とか。新宿副都心が近くでしたから。大都会だ!と。ここはすげーぞと。住所も新宿区ってなってますから。新宿区かよ!おいおいおい!なんてね、思ってまして。
(赤江珠緒)はい。
(ピエール瀧)で、上京したはいいんですけども、上京した時点で親元を離れてますから、これで24時間遊べると。基本ね。気兼ねなく。
(赤江珠緒)まず、メリットの方をいっぱい考えたんだ。
(ピエール瀧)なんで、実家にいたころにはできなかった『夜、出歩く』ってことを積極的にしてたわけですよ。最初のうちは。まあ、フィールドワーク的なやつも含めてなんですけどね。うちの近所はどうなってるんだ?ということで。
(赤江珠緒)あ、それが高じてね、23区を夜歩くなんていうね。
(ピエール瀧)そうそう。気分的には同じですけどね。それで、夜中にウロウロしてたらね、途中でおしっこしたくなるんですよ。で、どこどこに公衆トイレがあるとか、昔コンビニとかないですから。おトイレ貸してくれてないころですから。これ、ちょっと立ちションしよ!と思って。まあ、しょうがない。緊急事態。
(赤江珠緒)はいはい。
(ピエール瀧)立ちションだ!と思って。道端でするわけにはいかないから、どこかないかな?と思ったら、ちょうど金網に囲まれた駐車場があったんですよ。で、薄暗いし。『このすみっこのところだったら、まあいいかな?』って。
(赤江珠緒)ダメだけどね!まあまあまあ。
(ピエール瀧)ごめんなさい!っていう感じで、金網を乗り越えて。下にポン!ってジャンプして、で、そのままおしっこをチーッとしたわけですよ。で、終わってまた金網を乗り越えようと、左足をガッ!と足かけた瞬間に、僕の左足のスネから甲にむけての部分が真っ赤に鮮血。血がダラダラ出てるんですよ。いまだに跡がありますけど。この、ほら。跡があります。
(赤江珠緒)(笑)。うわっ!跡がある!すごい大きな傷がある!
(ピエール瀧)10センチぐらいの。ミミズみたいな傷、あるじゃないですか。これがパッと見た時に血だらけになってるわけですよ。あれっ?と。なんだこれ?と思ったら、『そういえばさっき着地する時に、なんか当たった感じがあったな』と思って。真っ暗いからよくわかんないじゃないですか。
(赤江珠緒)どっちかって言うと、痛みより尿意の方が。
(ピエール瀧)そうそう。勝ってたし。なんかぶつけたな、ぐらいに思ってたんですよ。で、パッと見たら、もう裂けて血が出てるわけですよ。
(赤江珠緒)こんだけ跡が残るぐらいだから、相当でしょ?
(ピエール瀧)なんだろうな?と思って。見たら、要は昔は植え込みみたいなのがあったんでしょうね。植え込みを刈ったあとで、直径7・8センチぐらいの灌木とか、ああいう木の切り株になっているやつが。斜めに切ったりしてちょっと先が尖ったりするじゃないですか。あそこにどうも、暗闇で引っ掛けちゃったらしくて。血まみれなんですよ。足が。
(赤江珠緒)ええっ!?大都会でものすごく山の中みたいな。ワイルドなケガしてますけど。
(ピエール瀧)縫ったりしなきゃ、本当はいけないんだろうけど。ただ、病院に行って『すいません。立ちションしようと思って、切り株で足を切ったんです』っていうことがどうしても言えなくて!恥ずかしくて。
(赤江珠緒)(笑)。まだね、恥じらいのあった瀧さんだったんですね。
(ピエール瀧)19才ですから。高校卒業したばっかりの男の子ですから。それで病院に行って、しょぼくれた感じで『切り株で足を切りました。新宿区のど真ん中で』っていうのは、なかなかいいづらいんで(笑)。
(赤江珠緒)どうしたの?
(ピエール瀧)包帯をグルグル巻きに巻いて。ほったらかして治しました。だからいま、こんなに傷が残っちゃってるんですけどね。
(赤江珠緒)(笑)。自然治癒!?
(ピエール瀧)はい。自然治癒です。僕、いまだにお風呂とか入って、この足の傷を見るたびに、その19才の時の、上京してきた時の自分を顧みて、『お前、田舎もんなんだぞ!』っていうことを肝に銘じるようにはしていますよ。
(赤江珠緒)なるほどね。まさにスネに傷が・・・(笑)。
(ピエール瀧)スネに傷持つ。はい。驚きましたよ。地元でも切ったことがないのに。切り株で足なんて。まさか新宿であるとは!
(赤江珠緒)それは忘れられないことですね。じゃあもう、それは出てこられてから親御さんとかにも言わず。
(ピエール瀧)いきなりそんなこと言ったら、心配しちゃいますから。それはもう黙って。だから姉ちゃんには『あんた、なにやってんの?』と言われましたけども。
(赤江珠緒)へー。19才の、そういう初々しいころがあったんですね。
(ピエール瀧)そうですね。まあ、あとはバンドで東京出てきていますから。当時、人生っていうバンドをね、静岡でもやってましたけども。当時、宝島ですとかいろんなね、そういうカルチャー雑誌、サブカルの雑誌で読むと、東京にはいっぱいいろんなバンドがあると。ライブハウスもたくさんあるし。で、静岡にいたころはね、正直、俺ら人生っていうバンドでしたけども。人生みたいなバンド、東京来たら山ほどあるんだろうなと。こんなスタイルのやつらは山ほどあるんだろうなと。どうするか?どうやってやってく?なんてことを若干思ったりもしてたんですけども。東京に出てきてみたら、意外となかったっていう(笑)。
(赤江珠緒)(笑)
(ピエール瀧)そこまで下らないの、意外となかった(笑)。あ、意外にねーな!って話になって(笑)。
(赤江珠緒)なるほどね。
(ピエール瀧)なんか勇気づけられたかなんなのかわかんないですけども(笑)。なんか妙な気分になったというかね。
(赤江珠緒)人生、わからないでございます。本当にね。ということで、瀧さんの上京の時の思い出でした。
<書き起こしおわり>