小西康陽のアイドル楽曲プロデュース術 Negiccoと深田恭子を語る

小西康陽のアイドル楽曲プロデュース術 Negiccoと深田恭子を語る 西寺郷太TAMAGO RADIO

小西康陽さんがTBSラジオ『西寺郷太TAMAGO RADIO』にゲスト出演。小西さんのアイドル楽曲プロデュースの例として、Negiccoと深田恭子さんをプロデュースした際の話をされていました。

(西寺郷太)はい。Negiccoで『アイドルばかり聴かないで』。小西康陽さんのプロデュースで聞いていただきました。いやいや、あの先ほどもちょっと制作秘話。秘話っていうか、またconnieさんという新潟在住の、いまサラリーマンをされながら、空いた時間といいますか、の間で10年間、Negiccoという新潟の3人組のアイドルをプロデュースし続けてきた方がいらっしゃいまして。その方からのオファーで曲を作った2人というね、ことなんですけど(笑)。

(小西康陽)そうですね。

(西寺郷太)この、アイドルばかり聴かないでの前に僕が『愛のタワー・オブ・ラブ』という曲を書きまして。去年のちょうどいまごろリリースされて。小西さんにconnieさんが僕の曲を送りつけてきたっていう(笑)。

(小西康陽)そうそう(笑)。『聞け!』と言わんばかりに(笑)。

(西寺郷太)これ、イヤですよね(笑)。僕もできるだけ、誰かのプロデュースをする時は、もちろん自主的に調査をする時もあるんですけど。あまりその、いままでの流れを、逆にないから自分に頼まれてるんだろうなというところでやることが多いので。まあ、逆だったらイヤだろうなと思うんですけど。あの時はね、僕、あの愛のタワー・オブ・ラブを作った時はBPMが122っていうテンポだったんですけど。

(小西康陽)はいはい。

(西寺郷太)それ、僕すごく絶妙なテンポだなと思って。速からず遅からずで作ったら、connieさんに『これだとアイドルの現場は盛り上がりません』っていう風にダメ出しされちゃって。

(小西康陽)本当?

(西寺郷太)それで、なんだよ!って僕、正直思って。これ、超気持ちいいよ!っつって。っていうのも、僕、クインシー・ジョーンズがすごい好きなんですけど。クインシーが自分のビデオでいろんな人にインタビューされている中で、『プロデューサーのいちばんの仕事はなんですか?』って言われた時に、『まずはその選曲だ』と。曲を選ぶことがまず大事。そん次に、『ある曲をやる場合にプロデューサーとして最も心がけていることはなんですか?』っていう質問をされたんですよ。クインシーが。で、僕、ずっと心のなかで『テンポ決めることじゃないかな?』って思ってたんですよ。その、見る本当5秒ぐらいの無音の間に。『テンポ』って僕、思ったら、クインシーが『テンポ』って言ったんですよ(笑)。ほんで、その曲が速いか遅いかのコントロールするのがいちばんプロデュースの仕事だって。

(小西康陽)うん。

(西寺郷太)だからジョージ・マーティンが『Please Please Me』が遅かったのを速くしろ!って言ったとかって話があって。それがあったんで、connieさんになんやねん!ってちょっと思ったけど、僕も速いテンポのも作ったんですよ。愛のタワー・オブ・ラブ。そしたら向こうが、『やっぱり最初の方がよかったです』ってなって、戻したっていうのがあって。小西さんの時は、なんかありましたかね?やり取りが。

(小西康陽)逆に僕がconnieさんに質問したんですよ。Negiccoの曲ってconnieさんの曲とかね、そして郷太くんの曲もだいたいDJ的に言うとハウスミュージック前後の。BPM125前後なのね。120から130ぐらいの間の曲が多いから、『これに決めてるんですか?』っていうことを聞いたんですよ。したら、ぜんぜんそんな制約はないからって。ご自由にどうぞって。

(西寺郷太)あ、そうなんですか(笑)。まあ、たぶんだから僕とのやり取りもあったのかもしれないですけど。でもやっぱりこのアイドルばかり聴かないで。『アイばか』って言われてますけど。やっぱりライブで僕も何度か見たことありますけども、圧倒的に盛り上がる曲なので。本当に。あと、歌詞の面でも・・・本当に小西康陽さんという方に関して言うと、作曲家として。先ほどの深田(恭子)さんのもの(『キミノヒトミニコイシテル』)も、作曲作詞をやられているヴァージョンもあったり。作詞だけを担当されることがあったり。いろいろありますよね。

(小西康陽)うん。

(西寺郷太)僕も割とそうなんですけど、そういうところで、特に作詞という面でも、アイドルばかり聴かないでは、いわゆるミュージシャンたちがもう驚いたというか。話題になった。去年、すごく。なんて言うか、『普通の人はCDなんてもう買わなくなった』とか、『アイドルばかり聴かないで』ってアイドルに歌わせる。だからそういう作詞の面なんかも、切り口があるんでね。本当にどこから話そうかな?というか。この曲に関しては、どういうコンセプトで最初に作っていかれたんですか?まずは曲から作って、あとから詞をはめるのか・・・

(小西康陽)いや、もうタイトルから決めた。

(西寺郷太)あ、まずタイトル。アイドルばかり聴かないで。

(小西康陽)うん。もうまず先に詞が出たかな。

(西寺郷太)先に詞が出た。ほうほう。それはノートとかにポポポッとこう・・・

(小西康陽)いや、書かないです。

(西寺郷太)書かない。頭の中で?こういうの、いいんじゃないかな?って。

(小西康陽)そうですね。

(西寺郷太)へー!なるほど。あ、でもパターンはいろいろありますよね。曲によって・・・

(小西康陽)ありますね。ただね、僕はやっぱりタイトルから作ることがいちばん多い。さっきの『キミノヒトミニコイシテル』に関しては、『マメミムメモ・マメミムメモ』って(笑)。言えないし。自分で言えてないし(笑)。

(西寺郷太)(笑)。『マメミムメモ♪マメミムメモ♪』。

(小西康陽)あそこだけ考えて行った。

(西寺郷太)ああ、スタジオに。ここ、いいんじゃねーか?って。『マメミムメモ♪マメミムメモ♪』のところですね。

(小西康陽)あれさえあれば、今日できるなと思って。

(西寺郷太)おおー!ああ、なんかでも、それは筒美京平さんと小西さんのインタビューの中で、京平さんがピチカート・ファイヴに曲を書かれた時に、『バナナン・バナナン』って(笑)。楽譜に、『あなたに会いたい』と『バナナン・バナナン』っていうカタカナを書いていたっていうのに近いエピソードですね。

(小西康陽)そうなんですよ。

(西寺郷太)マメミムメモ。へー!でも、先ほどかけた2曲。キミノヒトミニコイシテル。カタカナで表記されてますけど。その作る時のエピソードとしては、僕も面白いなと思ったのは、ドイツかなんかのチープな、妙なアイドルですか?あれは。その話、すごい面白かったんですけど。テレビで見たんでしたっけ?

(小西康陽)そう。テレビをつけたら、ドイツの歌番組やっていて。

(西寺郷太)日本じゃないですよね?

(小西康陽)ドイツで。本当に、シンセ1台、真ん中に置いて、なんか男のアイドルが歌っていて。

(西寺郷太)男が歌ってるんですか?

(小西康陽)そう。で、両側にチアリーダーみたいな女の子がいて。で、あのビートでガンガン踊りながら歌ってるのよ(笑)。

(西寺郷太)あの、もう90年代の終わりから2000年ぐらいの。ちょうどあのころですね。へー!なんだこれ!?と。

(小西康陽)うん。ハッピーハードコアとかっていう。ああいうのなんだけど、完全に歌謡曲みたいな。

(西寺郷太)それで、なんとかその残像を覚えて。

(小西康陽)そうそう。

(西寺郷太)なんか変だったなって。それで東京帰ってきて、深田さんからオファーあった時に、これだ!と。

(小西康陽)深田さんの曲はね、ピチカート・ファイヴ解散して最初にスタジオでやった仕事なの。

(西寺郷太)おー!

(小西康陽)解散したし、これから頑張んなきゃいけないなとか思ったりして(笑)。

(西寺郷太)やる気を、こう。やるぞ!と。へー。でも、ポップな曲でね。『マメミムメモ』まで持っていって、その後は。あれは深田恭子さんとお会いして、歌詞の感じを。『深田も最近♪』とかあるじゃないですか。

(小西康陽)ああ。あの曲の時は1回も会わなかった。

(西寺郷太)あ、会わなかったんですね。もう本当、そのいわゆるテレビで見るイメージの中で、こういうの、ハマるんじゃないか?って。じゃあ、ヴォーカルディレクションもせずに。アレンジをして、歌を録った状態で、ミックスに立ち会ったと。

(小西康陽)そうなんですよ。

(西寺郷太)へー!あ、そうですか。

<書き起こしおわり>

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