町山智浩『ガザ 素顔の日常』を語る

町山智浩『ガザ 素顔の日常』を語る こねくと

町山智浩さんが2024年1月9日放送のTBSラジオ『こねくと』の中で映画『ガザ 素顔の日常』を紹介していました。

(町山智浩)最後に紹介するのはこれ、日本の映画館でシアターイメージフォーラムとか、田端のCINEMA Chupki TABATAとかで上映中の『ガザ 素顔の日常』という映画なんですが。これはアイルランドの映画監督がガザで2019年かな? 最近、撮影したドキュメンタリーなんですが。今、ガザにイスラエルによるものすごい爆撃、攻撃が続いてるんですが。ガザというのはイスラエルの中にあるパレスチナ人が住んでいる、海岸沿いのすごい狭いところなんですよ。東京の都心部よりもちょっとちっちゃいぐらいなんだけど。そこに200万人以上住んでるところなんですけども。10月にそこを支配しているハマスという過激派集団がイスラエルに対してテロを仕掛けたということで。ハマス殲滅ってことで、ずっとイスラエルがガザに攻撃をし続けて。もう既に3万人が亡くなってますね。

(石山蓮華)本当にひどいですよね……。

(町山智浩)で、子供の死者がそのうちの1万2000人ですよ。でもハマスに子供はいないだろう?っていうね。あと、医療従事者がすごい亡くなってます。お医者さんたちが。

(石山蓮華)じゃない人が、本当にたくさんの方が亡くなっていますね。

たくさんの子供が亡くなる

(町山智浩)そうなんですよ。病院とかを爆撃してますからね。ただ、この映画はね、その戦争がなかった合間の時、ガザってのはどういうところだったのか?っていうのを見せるんですね。で、ハマスの過激派の人たちがマシンガンを持っていたりする姿もちゃんと撮れてはいるんですけども。ほとんどは、ただの人なんですよ。パレスチナの、ガザに住んでる人たちは。で、あんちゃんとかね、サーファーも出てきますね。あとラッパーの人も出てきますよ。タクシーの運転手とかね。あと、すごくパレスチナの民族衣装ってきらびやかで派手なんですけども。それの民族衣装のファッションショーをやろうとするお母さんとかね。

あとクラシック音楽のチェロをやろうとしてる少女とか、いろんな人たちが出てきて、普通に生活してる様子がずっと出てくるっていうのこの『ガザ 素顔の日常』という映画で。今、ものすごい爆撃をして、本当に皆殺しをしようとしているので、そこにいる人たちはみんなテロリストなのか?っていうと、それは全然違うよっていう映画なんですよ。本当に普通の人たちですよ。でね、子供がものすごく多い。これね、パレスチナの人たちって子沢山なんですよ。10人ぐらいいるのは当たり前みたいになってるんで。撮影してる間、どこにでも子供が映っているんですよ。で、みんな遊んでんですけど。ここに爆弾を落としたら、子供は普通に死にますよ。

(でか美ちゃん)ねえ。それはもう普通に考えたらわかるというか。わかりきってやってることでしょうと思いますよね。

(町山智浩)そうなんですよ。ただね、ここは壁に囲まれて。産業が漁業ぐらいしかないんですね。で、その壁の外に出ることができないんですよ。壁の中で生まれて、壁の中で死んでいくんですね。パレスチナの人たちは。だからみんな、全く夢も何もないんですよ。未来も。で、1人の女の人が言うんですね。「子供の頃に何も夢がなくなった。ひとつの夢は早く大人になって、イスラエル人を殺すことだ」って言うんですよ。だから、ハマスが生まれたんですよ。それを生み出したのは、イスラエルなんですよ。そういうこともね、わかる映画なんですけども。あとね、手や足のない人たちがいっぱいいるの。子供たちの中にも。爆弾をいっぱい落としているから、もう当たり前のように手や足のない子供たちがいるんですよ。今、それがどんどん増えてますね。ということで、ぜひ見ていただきたいのがこの『ガザ 素顔の日常』ですね。東京の一部劇場で現在も上映中です。

『ガザ 素顔の日常』予告

<書き起こしおわり>

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