映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ 赤江珠緒たまむすびでイギリス映画『ザ・ワールズ・エンド』を紹介していました。
(町山智浩)今回、ちょうどイギリスの映画で『ワールズ・エンド(The World’s End)』という映画を紹介します。
(赤江・山里)ワールズ・エンド?
(町山智浩)ワールズ・エンドっていうのは、『世界の終わり』っていう意味ですね。でね、これね、9月15日にやる『映画秘宝まつり』っていう、僕が作った雑誌のお祭りがあるんですよ。そこで上映しますんで、ジャパン・プレミアになりますね。
(赤江・山里)ほー!
(赤江珠緒)ちょっと詳しくご説明いたしますと、9月15日に浅草公会堂で行われるということですね。映画秘宝まつり。その、ジャパン・プレミアになる作品・・・
(町山智浩)はい。これね、したまちコメディ映画祭ってずっとやってまして。浅草で。そこでいつも1日だけ映画秘宝まつりっていうのをやるんですけども。映画秘宝まつりっていうのはね、もう10年以上やってるんですよ。
(赤江・山里)へー。
(町山智浩)いつ始めたのか、ちょっと覚えてないんですけど(笑)。ずーっと映画秘宝っていう僕がやっている雑誌で、日本では普通に上映できないような映画をみんなで見るっていうのをずっとやっていて。そういうののうちの、すごい長いですけど、最新にやつは今度の9月15日なんですけどね。
(山里亮太)これ自体は日本で見ようと思ったら、大分まだ先にならなきゃ見れないような映画ですよね?
(町山智浩)はい。先になると思います。これ。すっごい先になると思います。
(赤江珠緒)9月15日は町山さんもいらっしゃるんですか?浅草公会堂に。
(町山智浩)あ、そうです。はい。いつも映画の前に与太話とかをしてるんですよ。
(山里亮太)与太話(笑)。
(町山智浩)トークショーってことになってますけど、与太話ですね。はい。9月15日の夕方の5時開場で、浅草公会堂で。前売りはチケットぴあで、たしか今週末に一般発売です。
(赤江珠緒)分かりました。
(町山智浩)ぴあの会員の人はもう買ってると思いますけど。っていうことで、はい。でね、『キック・アス』っていうのも、元々このしたまちコメディ映画祭の映画秘宝まつりで上映したんですよ。
(赤江・山里)へー。
(町山智浩)このワールズ・エンドっていう映画の主役コンビがいるんですけども、その人たちの映画の『宇宙人ポール』っていうのがあってですね、それも映画秘宝まつりでやって。もう、はっきり言いますけども、日本の映画配給会社は全く公開する気ないようなものだったんですよ。
(山里亮太)キック・アスも?へー!
(町山智浩)そう。DVDでそのまま出そうとしてたんです。彼ら。で、宇宙人ポールとかもそうなんですけども。そういうのを映画秘宝まつりでかけてさせて、そっから劇場公開に持っていくっていうのをやってるんですけどね。
(山里亮太)そうだったんだ・・・
(町山智浩)そういうことなんですが。まあ、とにかくね、日本はいま外国製のコメディ映画っていうのは配給会社、上映したがらないんですよ。本当に。
(赤江珠緒)何でですか?
(町山智浩)まずね、有名な俳優が出てないとダメなんですよ。で、いまね、日本映画がほとんど劇場を乗っ取っちゃってるんですね。日本の劇場を。で、テレビとかで有名な人が出てくる映画だとボンボン劇場を貸すんですけども、全く日本じゃ有名じゃない人が主演だともう、外国でどれだけヒットしても劇場が取れないんですよ。
(赤江珠緒)ええー?そういうものなんですね。
(町山智浩)そう。だから配給会社の責任っていうよりは、劇場側も問題なんですけど。観客も問題で、全てが問題なんですけども。だからほら、『ワールドウォーZ』っていう映画が今度、ブラピの映画で公開されるじゃないですか。
(山里亮太)はい。ゾンビのやつ。
(町山智浩)そう。山里さん、いまゾンビのやつって言ったでしょ?僕、ゾンビの映画だって紹介したじゃないですか。ゾンビって言っちゃいけないんですって。あれ。
(赤江・山里)えっ!?
(町山智浩)ゾンビ映画だって言うと客が来なくなっちゃうから、ブラピの感動的映画として配給会社っていうか宣伝はされてるんですよ。
(赤江珠緒)あんなにゾンビが出てるのに?
(町山智浩)だから、何億人ものゾンビが出てくる映画なのに(笑)。
(赤江珠緒)ねえ!
(山里亮太)たしかに、朝の情報番組でもゾンビって言ってないや!
(町山智浩)言ってないんですよ。一応宣伝体制としては、ゾンビを隠すって感じになってるんですんですね。
(赤江珠緒)だって隠しようが無いぐらい出してるじゃないですか。
(町山智浩)でも映画の中には出てるけど、宣伝ではそういうことを言わないんですよ。そういうことを言うとほら、ゾンビ映画が好きな黒いTシャツを着た紙袋を持った人がいっぱい来ちゃうから・・・
(山里亮太)偏ってますね(笑)。
(赤江珠緒)本当です(笑)。それは偏見といいますか・・・
(町山智浩)俺のことですけど(笑)。自分のこと言ってますけど。
(山里亮太)(笑)。仲間たちね。町山さんと仲間たち。
(町山智浩)そう。仲間たちが来ちゃうから。だから、ブラピの感動的な映画だなと思ってバカな観客が来るのを待ってるんですよ!
(山里亮太)家族愛みたいな。
(町山智浩)家族愛みたいな映画だと思って家族連れてって、ゾンビがガーッ!と人食ったり手足切り落としたりするのを見せられて、『何だ!この宣伝は!インチキじゃねーか!?』ってみんな怒るのに、分かってるくせに客を呼ぶためにやってるんですよ。
(赤江珠緒)急にエンジンかかりましたよ。町山さん。
(町山智浩)そう。映画のことだと正義感が燃えるんで。映画正義だけですけど。でね、ワールズ・エンドっていう映画はイギリスのコメディアンのサイモン・ペッグっていう人と、彼の相棒のデブチンのニック・フロストっていうコンビでずっと作っているコメディ映画のシリーズの1つなんですね。
(赤江珠緒)ふーん。
サイモン・ペッグ&ニック・フロスト
(町山智浩)で、この人たちが前に作った映画の『ホット・ファズ』っていう映画があって。『俺たちスーパーポリスメン』っていうタイトルで日本公開されましたけど。それも日本では全く公開する予定がなかったんですよ。
(赤江・山里)はい。
(町山智浩)僕がギャーギャー騒いで公開させたんですよ。で、『ハングオーバー!』シリーズってあるじゃないですか。
(赤江珠緒)はいはい。酔っぱらいの。
(町山智浩)二日酔いシリーズ。あれも1作目は結局公開する気がなくて。映画会社が。僕がいろいろ言って公開になったんで。
(赤江珠緒)あら!町山さん、影響力が。
(山里亮太)そんなすごい人だったんすか?
(町山智浩)一応、やってるんですけど。ただ、全てがバカ映画っていうところが問題だなと思うんですよ。自分でも。
(赤江・山里)(笑)
(町山智浩)中年男が酔っ払ったりしてバカなことをする映画ばっかりなんですよね。全部ね。
(山里亮太)町山さんがすすめてくるのが(笑)。
(町山智浩)そう。でも考えてみると、中年男がバカなことをする映画って、やっぱりお客さん難しい映画なわけですよ。日本では。
(赤江珠緒)そうですか。
(山里亮太)日本では、そうか。売りとしてはね、たしかに・・・
(町山智浩)そう。女の人、来ないでしょ?中年男がバカする映画って女の人、まず行こうと思わないじゃないですか。
(山里亮太)そうですね。知っている人も出ないし。
(町山智浩)で、カップル行かないでしょ?だからすごく難しくて。たしかに分かるんですけど。配給会社とか宣伝会社の言うことは。だから、どんどんどんどんそういう映画が無くなったんで、逆に男の人たちが映画館からどんどん遠ざかるっていう現象も起こしてるんですね。
(赤江・山里)へー!
(町山智浩)『女の行くところだから。あれは』っていう。
(山里亮太)たしかになー。カップルとか多いもんなー。
(町山智浩)そうそう。だから今、すごく僕ネットで見てて。男同士で映画とか行くの?そんなことってあるの?とか、男1人で映画とか行くの?って。もう、そうじゃないものとだと思っている人が多いんですよね。日本では。
(山里亮太)たしかに、僕これで教えてもらった映画、1人で見に行くと、みんな不思議な目で見ますもん。
(赤江珠緒)みんなデートで行くみたいなね。映画というのは、みたいになりましたね。たしかに。
(町山智浩)でも、僕の子供の頃とか、アメリカとかイギリスとかって、映画って結構男同士で行くものなんでね。で、僕はその文化をなんとか日本に取り戻そうと思って。昔の。だって、ヤクザ映画とか見に行った時って、女性の観客、ゼロでしたからね。昔ね。
(赤江・山里)そうですよね。
(町山智浩)で、全員が映画館から出る時に、みんなすごい目つきで映画館から出てくるわけですよ。
(山里亮太)肩で風切ってね。
(町山智浩)そう。それで広島弁になってるわけですよ。『ワレー!◯◯じゃけんのう!』って言って出てくるんですよ。それが映画だったんですけど。僕の子供の頃とか高校時代とかね。で、そのサイモン・ペッグとニック・フロストって、そちらに写真がいってると思うんですけど。
(山里亮太)はい。
(町山智浩)サイモン・ペッグさんっていうのは、まだ43なんですけど、ちょっと頭・おでこが禿げ上がってるんですけどね。それでニック・フロストさんっていうのはデブチンで。この2人で客を呼べるか?っていうと、結構キツいところありますよね。
(赤江・山里)たしかにー。
(町山智浩)そう。だからね、僕が一生懸命宣伝してるんですけど。映画は面白いです。
(赤江珠緒)むしろね、町山さん。監督の方がイケメンですよ。
(町山智浩)監督はね、ただね、身長がすごい低い方なんですよ。監督はエドガー・ライトっていうんですけども。だから、僕は言ってないですが、世間的にはこの3人トリオはチビとハゲとデブって言われてるんでかわいそうなんですけども。そんなことはねえ!って俺は言ってますけども。俺が言ってるんじゃないですからね。
(赤江珠緒)(笑)
(町山智浩)それはいいんですけど、この3人がいつもバカ映画を撮ってるんですよ。イギリスで。この3人はね、しかもオタクなんですよ。この3人の映画はものすごいオタク映画で。まず3人で撮った映画っていうのは、『ショーン・オブ・ザ・デッド』っていうのがあるんですね。
(赤江珠緒)はい。
『ショーン・オブ・ザ・デッド』
(町山智浩)ショーン・オブ・ザ・デッドっていうのは、『ドーン・オブ・ザ・デッド』のパロディーなんですよ。ドーン・オブ・ザ・デッドっていうのは、『ゾンビ』っていうタイトルで日本で知られてる映画の原題なんですけども。ゾンビ映画をものすごく愛している3人が、イギリスでゾンビ映画を撮ろうとしたんですね。
(山里亮太)はい。
(町山智浩)アメリカのゾンビ映画ってどういうものかって言うと、ゾンビっていう映画があったんですけど、まずみんな銃を持っているわけですよ。アメリカだから。で、ゾンビをバンバン銃でやっつけるっていう話で。しかも大っきいショッピングモールに籠城して立てこもって。ショッピングモールにある全てのお店のものを散々遊びつくしながら戦うっていうすごい映画があるわけですけども。
(赤江珠緒)遊びつくす・・・
(町山智浩)それがアメリカのゾンビ映画なんですけど、イギリスでやろうとしたらまず銃がないから、クリケットとかのバットで殴ったりするんですけども(笑)。武器がね、サッカーボールとかそういうのしかないんですけど。で、しかも立てこもる場所が『パブ』なんですね。
(山里亮太)パブ?
(町山智浩)イギリス人にとって一番立てこもって楽しいのが、世界の終わりでゾンビが世界を支配した時に立てこもって楽しいのはパブだって話なんですよ。
(赤江・山里)(笑)
(町山智浩)それがショーン・オブ・ザ・デッドって映画で。で、そういうなんて言うかね、いろんなアメリカ映画に対するオマージュを込めた映画が多いんですけども。その次に撮った『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン』っていうのは、アメリカの刑事アクションってあるじゃないですか?車がバンバン爆発して機関銃バリバリ撃ったりするような、『ダイ・ハード』みたいな。
(赤江珠緒)はいはい。ありますね。
(町山智浩)それをイギリスで作ろうとしたら、イギリスでそれに憧れている警官が出てくるんですけども。イギリスは基本的にそういう犯罪がないから、警官も銃を持ってないわけですよ。だからせっかく警官になったのに、全然アメリカ映画みたいにならないよ!って嘆いている警官たちの話なんです。
(山里亮太)(笑)。面白そー!
(町山智浩)で、アクションになるのか?と思うと、最後はものすごい大アクションになっていくっていう話なんですね。その次に彼ら3人組が撮った『宇宙人ポール』っていうのは、アメリカのスピルバーグの『E.T.』とか『未知との遭遇』とか『ジョーズ』に憧れているイギリスの映画オタクが、アメリカに旅して本当に宇宙人に会うっていう話なんですね。それは、エドガー・ライトじゃない人が撮ってるんですけども。そういう風にイギリスのオタクがアメリカ映画に憧れて憧れてしょうがないって話ばっかりやってるんですよ。毎回毎回。
(赤江珠緒)ええ。
(町山智浩)で、今回のワールズ・エンドっていうのは、ものすごくマイナーなものが元になっていて。ジョン・カーペンターっていう映画監督がいるんですね。アメリカの。この人は『遊星からの物体X』とかですね、『ニューヨーク1997』とか、あんまり知らないでしょ?みんな。
(山里亮太)知らないです。すいません、勉強不足です。
(町山智浩)はい。『ザ・フォッグ』とかね、『ハロウィン』とかですね、『光る眼』とかそういう映画をずっと撮ってきてる人なんですけども。その人の世界をイギリスでやるってことを今回やってるんです。
(山里亮太)(笑)。毎回何かをイギリスでやる!って言ってるの。
(町山智浩)毎回アメリカのネタをイギリスでやるっていうのをやり続けてる人たちなんですけども。話はね、全然そういうSF映画みたいにならないで始まるんですけども。あの、『パブクロール』っていうのをやる中年男たちの話なんですね。
(赤江・山里)パブクロール?
(町山智浩)パブクロールっていうのはね、パブってイギリスにあるじゃない。居酒屋が。あれをね、どんどんハシゴしていくっていう話なんですよ。あのね、こっち(イギリス)のパブっていうのは、まずお金を払ってその分だけビールをもらうんですね。だからテーブルチャージとかなくて、1杯飲んだらもうその店出られるんですよ。だから1杯飲んではまた次行って次行って次行って・・・ってハシゴをすることをパブクロールって言うんです。
(赤江珠緒)パブクロールって言うんですね。面白い。
パブクロール
(町山智浩)そう。それをある小っちゃい田舎町にある12個のパブを全部回ろうって決めた中年男5人組の話なんですね。今回のワールズ・エンドっていうのは。
(赤江珠緒)その時点でなんともね・・・ダメさ加減が出てるような。
(町山智浩)ダメな感じが出てますけど。しかもその『ワールズ・エンド』っていうのは『世界の終わり』っていう名前ですけど、実は12軒めのパブの名前なんですよ。
(山里亮太)あ、そうなの(笑)。
(町山智浩)そうなんです。だから、たとえば『世界の終わり』って居酒屋さんがあるんですよ。そこにたどり着けるか?っていう話なんです。
(山里亮太)(笑)。小さいなー!
(町山智浩)結構大変なんですよ。
(赤江珠緒)壮大なテーマかと思いきや・・・
(町山智浩)壮大なテーマかと思ったら、12軒しか飲み屋のない田舎町の話なんです。でもね、イギリスのビールって飲んだことあります?
(山里亮太)いや、ないです。
(町山智浩)イギリスのビールってね、量が多いんですよ。必ず1パイントって、まあハーフパイントっていうのもあるんですけど、1パイントっていう大きな大きなグラスで飲むんですね。それで日本の缶ビール2個分くらい入るんですよ。ビールが。それを、12杯飲むっていう話なんです。これは結構大変なんです。
(赤江珠緒)うわー・・・そうですね、24缶っていうことになりますね。
(山里亮太)それは大変ですけど・・・
(町山智浩)そう。イギリスのビールってね、あったかいんですよ。
(赤江・山里)ええーっ!?
(町山智浩)冷たくないんです。で、しかも甘い。甘いんですよ。アルコール度は低いんですけどね。だからね、日本の人だとたぶんね、1パイント飲んだらお腹がいっぱいになっちゃうんですよ。糖分が多いから。で、これ12杯飲むの大変だから、結構ハードなチャレンジの映画なんですよ!
(山里亮太)いやいやいや。でも名前からすると、地球が滅亡しちゃうとかそういうのを救うとか、そういう話かなって思うじゃないですか。
(町山智浩)そうそうそう。でね、最初このサイモン・ペッグが主人公なんですけど、この人、昔高校時代、田舎町で育った時は一番のヤンチャ坊主で、町中の人が彼のことを知っている男だったんですね。そういうヤツっているじゃないですか。めちゃくちゃ目立つヤツ。高校生のくせに。ちなみにイギリス人って高校生でも酒飲むんですね。
(山里亮太)えっ!?大丈夫なんですか?
(町山智浩)いや、法律的にはダメなんですけど、もうそういう文化なんですよ。中学・高校でビール飲む文化なんで、しょうがないですね。これね。それで、彼らはですね、40過ぎたんだけども、サイモン・ペッグ以外の人はそれぞれに家庭とかを持ってるわけですよ。生活もちゃんとしてて、仕事もあるんですけど、サイモン・ペッグだけまだフラフラしてるんですね。どうしてかっていうと、高校時代にあまりにも派手に遊びまわって人気者だったから、その後の人生でうまく行かなかったから、人生がしぼんじゃっている男なんですよ。
(赤江珠緒)ピークが高校ぐらいで来ちゃった。
(町山智浩)そうそう。高校がピークだったから、それを取り戻そうとして田舎町に戻ろうっつって、高校時代のバンド仲間を集めるっていう話なんですよ。で、『もう1回、あの12軒のパブ回りをやろうよ!』っつって。途中で泥酔して失敗したんですね。12軒に達しなかったんですよ。で、あれをせっかくやろうとしたの、達成しようと。高校時代にやり残したことを俺はやりたいんだ!って言って回るんですけど、他のヤツらはみんな普通に生活してるから、そんなバカなこと、何でやらなきゃならないんだ?と言って断るんですけど。そしたらサイモン・ペッグが、『実はかあちゃんが最近死んだんだ。俺を慰めてくれ』って言うから、しょうがなくてその5人が集まって、田舎町に帰ってパブ回りを始めるんですね。
(赤江・山里)ふん。
(町山智浩)ところがその、サイモン・ペッグが『俺のこと、知ってるか?高校時代、俺はヒーローだったろ?』とか言うんですけど、誰も覚えてないんですよ。お前なんて知らねえよ!っつって。『これはおかしい。俺はあんなに有名だったのに。この町で』と。で、調べたらその町の住民はみんなロボットに取り変わってたっていう話なんですよ。
(赤江・山里)ええっ!?
(町山智浩)宇宙からの侵略者によって。っていう話なんです。はい。途中から宇宙からの侵略だってことが分かってくるんですけど、でもそれでも12軒のパブ回りは達成するぞ!っつって、ロボット軍団と戦いながら酒場回りを続けるっていう話なんです。
(山里亮太)(笑)
(赤江珠緒)どういうこだわりだよ!
(山里亮太)すげーバカ映画だ(笑)。
(町山智浩)彼らにはそれしかないんですよ、もう。で、友達とか冗談じゃねーよ!って言うんですけど、やるぞ!とか言って。で、目が光る宇宙人たちと戦いながらパブ回りをするんですけどね。で、それが地球侵略との戦いに発展してくわけですよ。
(山里亮太)えっ?ちゃんと地球を救うためにっていう風に行くんですか?この話。
(町山智浩)行くんですよ。これが。地球を救うためにビールを飲み続けるボンクラ中年たちっていう話なんですよ。
(山里亮太)いや、全然因果関係つながってこないですよ。地球を救う・・・
(町山智浩)(笑)。いや、見ると分かります。僕もどうなるのかよく分からなかったんですけど。ストーリーを最初聞いた時は。ああ、こうなるのか!と思いましたけどね。
(山里亮太)あ、納得いくんですか。
(町山智浩)納得いきますよ。はい。でも最後は死に物狂いでビールを飲もうとするんですよね。
(山里亮太)地球を救うためにでしょ?
(町山智浩)はい。という話ですけどね。
(赤江珠緒)優先順位がいろいろ間違っているような気がしますけど。
(町山智浩)間違っている人たちなんですよ。だから。
(山里亮太)そっか。打ち上げから先にやっちゃってるからね。
(町山智浩)そうそう。カミさんにも逃げられて、自分に子供もいるんだけど、どこ行ってるかよく分かんないみたいな、本当にどうしようもない男なんですね。主人公は。で、なんとそれが世界を救うことが出来るのか?っていう話なんですよ。
(山里亮太)ダメ男が。
(町山智浩)酔っぱらいが。
(赤江珠緒)読めないですね、これは。
(町山智浩)はい。あと、僕が紹介する映画って、毎回主人公が酔っぱらいっていうのも共通で(笑)。酔っぱらいで中年でオタクっていうね。何?とか思いますけど。しかもみんな黒いTシャツを来てるんですよ。ロックバンドの。
(赤江・山里)(爆笑)
(町山智浩)何で全員同じなのか?それもイギリス映画だったりアメリカ映画だったり、いろいろ違うのに主人公のキャラクター、ほとんど同じですね。
(赤江珠緒)黒いTシャツを愛してやまない町山さんですもんね。
(町山智浩)そうなんですよ。でも、世界を救うことはあるんですよ。想像の中では。現実は分かんないですけど。っていう映画でね。それがワールズ・エンドって映画で、すごく楽しいんですけどね。見てるとビールがめちゃくちゃ飲みたくなる映画ですね。
(山里亮太)いち早く見ようと思ったら、町山さんのイベントに行けば見れるわけですよね。
(町山智浩)はい。見れます。したまちコメディ映画祭映画秘宝まつりの方で、ワールズ・エンドの日本初公開をしますんで。
(山里亮太)本当に見ようと思ったら、だいぶ先ですもんね。
(赤江珠緒)そうですよ。本格公開は来年の春の予定だということですから。
(町山智浩)またしても酔っぱらい映画ですいません。
(赤江珠緒)いやいや。これ、見たくなりましたね。
(山里亮太)見たい!
(町山智浩)どう地球を救うのか?みたいでしょ。
(赤江珠緒)そう。これ、どうなるのか。
(町山智浩)しょーもないですよ(笑)。
(山里亮太)最高の褒め言葉でしょ。この、しょーもないは。
(町山智浩)はい。もう決まってますけどね。最後、でも、すごいスケールでかいですよ。もう地球全体にスケールが広がって、マッドマックス2みたいに最後なりますけどね。どうなるのか?って感じです。はい。
(赤江珠緒)活き活きされてきてよかったです。町山さんもね。
(町山智浩)はい。目が覚めました。もう朝からビール飲みたくなりました。
(赤江珠緒)今日は映画ワールズ・エンド、ご紹介いただきました。日本では9月15日のしたまちコメディ映画祭映画秘宝まつりでいち早く上映でございます。町山さん、今週はロンドンからありがとうございました!
(山里亮太)ありがとうございました!
(町山智浩)はい。どうもでした。
<書き起こしおわり>