ジェーン・スー アラサー女子の中の『小さな女の子』を語る

ジェーン・スー アラサー女子の中の『小さな女の子』を語る 高橋芳朗HAPPY SAD

ジェーン・スー アラサー女子の中の『小さな女の子』を語る
ジェーン・スーさんが2回目にラジオ出演した際のトークの模様です。TBSラジオ 高橋芳朗HAPPY SADに2011年7月にゲスト出演し、アラサー女子の中にいる『小さな女の子』について語りました。

(川瀬良子)ここからはグッドフレンズ。週替りのグッドフレンズが登場して、さまざまな角度から音楽の魅力を掘り下げていくクロストークのコーナーです。本日のグッドフレンドは2回めのご登場になります。音楽制作プロダクション ageha springsでアイドルグループ tomato’n’pineのプロデュースと作詞を手がける、ジェーン・スーさんです。

(ジェーン・スー)どうもこんばんはー。よろしくお願いします。

(高橋芳朗)よろしくお願いします。

(川瀬良子)会いたかったです!

(高橋芳朗)すっかりハートを掴まれてますね(笑)。

(川瀬良子)もう、会いたくて会いたくて。

(ジェーン・スー)本当に?ありがとうございます。

(高橋芳朗)本当に、リスナーの人にも大評判で。

(ジェーン・スー)いやいや、こっち(中年こじれ島)に来るなって言うために来たのに、会いたかったって言われちゃうと、なんかいいことやってない気がしてしょうがないんですけど。

(高橋芳朗)距離を取ってかないと。本当に。

(川瀬良子)えっ、本当ですか?もうお近づきになりたい。いろいろ教えていただきたい。

(ジェーン・スー)いや、近づいちゃダメだって!

(高橋芳朗)話聞いてるのかよっていう。

(川瀬良子)この感じがたまらないんですよ。

(ジェーン・スー)あのね、もう何度も・・・この前もご説明しましたけど、中年こじれ島には来ちゃダメなんです。

(高橋・川瀬)(爆笑)

(ジェーン・スー)大丈夫ですよね?

(高橋芳朗)いきなりバックドロップ、出ました。

(ジェーン・スー)そのために来てるんですから。

(川瀬良子)そうか、分かりました。じゃあ今日もいろいろ教えていただきたいと思います。じゃあテーマはね、『アラサー女子』ということです。

(高橋芳朗)今日のサブテーマはそれで、要説明って感じなんですけど。『小さな女の子救済作戦』・・・これは、どういうことなんでしょうか?

(ジェーン・スー)まあ、ちょっとご説明する前にですね、クイズというかアンケートを川瀬さんに。あと、聴いてらっしゃる方にお伺いしたいんですけど。たとえば、仕事関係やお友達に呼ばれた合コンとか、仕事先の方とのちょっとした談笑、つまりあんまり失礼なことが出来ない方と話していて、よく知らない男性からたとえば、「川瀬さんて本当はさみしがりやの甘えん坊さんですよね。」って言われた時に、川瀬さんはどう答えるでしょうか?

(高橋芳朗)ほう・・・

(ジェーン・スー)A:そうなんですよー!何で分かりました? B:えー、全然違いますよー。そんなことないです! C:そうかもしれませんね。と当たり障りの無い笑顔をしながら、内心『ハァ?』と眉間にシワを寄せる。

(高橋芳朗)いや、いい問題ですね。

(川瀬良子)Cです!

(ジェーン・スー)Cですね。スゴい。もうなんか・・・本当、こっち来ちゃダメだ!

(川瀬良子)今ので!?

(ジェーン・スー)これはですね、Cの人たちに送るためのコーナーなんです。これが。

(高橋芳朗)おおー、やったー!

(川瀬良子)ありがとうございます!

(ジェーン・スー)本当に。もう、『小さい女の子救済作戦』。で、Cが一番大人な対応に思われるんですよ。『そうかもしれませんね。』って否定も肯定もしない。だけど、大人な対応が常に上等なコミュニケーションとは言えないと思うんですよ。個人的にはね。で、Cは実は誰も得をしない答えで、会話が続かないんですよね。

(高橋芳朗)ああ、たしかにそうかな。川瀬さん、言いそうだな。

(川瀬良子)そうかもしれませんね。

(ジェーン・スー)で、言った方が後悔するんですよ。相手を結局萎縮させて、『言わなきゃ良かった』っていう。30前後からやり始めるんですよ。女っていうのは。相手に『言わなきゃ良かった・・・』っていうことをすごくやるわけです。

(高橋芳朗)はいはい。

(ジェーン・スー)ただ、一つ考えていただきたいのは、『はぁ!?』って思ったアナタの心の中のどこかの気持ちに、『あっ、そんな風に思われてたんだ・・・』っていうちょっと傷ついた気持ちというか、あと戸惑ったりした気持ちが・・・ある。ありました?

(川瀬良子)あります。

(ジェーン・スー)それが『小さな女の子』です!

(高橋芳朗)ああ!

(川瀬良子)これか!

(高橋芳朗)完璧にハマった!

(川瀬良子)いる!ここにいる!いるいるいる!

(ジェーン・スー)これが『小さな女の子』。それです。

(高橋芳朗)いるいるって・・・知らないよ、そんなの!

(ジェーン・スー)じゃあちょっとその女の子のことを考えながら一曲聴いていただきましょう。

(川瀬良子)分かりました。さすがジェーン・スーさん。いるわ・・・ここにいる。

(ジェーン・スー)じゃあ、その女の子を見つめながら聴いてください。マドンナで『Dear Jessie』。

(川瀬良子)ジェーン・スーさんの選曲による、マドンナの『Dear Jessie』をお送りしています。

(高橋芳朗)これ、どういう意図の選曲なんでしょうか?

(ジェーン・スー)これはですね、誰もが知っているマドンナ。鉄の女。

(高橋芳朗)そうですね。懐かしいね、この曲。

(ジェーン・スー)懐かしいですね。ちょうどこれ、マドンナ1989年のアルバム『Like a Prayer』に入っているんですけど、マドンナがちょうど31歳。ちょうどアラサーのころで、鉄の女と言われる意志の強いマドンナでも、まあ何と言うんでしょうかね、『マドンナにも五分の魂』っていうか・・・

(高橋・川瀬)(爆笑)

(ジェーン・スー)なんだろう、『マドンナの目に涙』みたいな、そういうことですね。で、結局強い女も、すごい小さい女の子になってかわいらしい気持ちになる時、あるわけですよ。で、これも『Dear Jessie』、ジェシーに捧げる歌として、もう本当に砂糖菓子のような素晴らしい歌詞なんですよ。夢のような。女の子が大好きなものが列挙されていて、その夢の世界で少し自分をリラックスさせてあげるという。そういう時間も大切なんじゃないの?ってことを今日は言いに。で、一曲目これですね。

(高橋芳朗)なるほど。で、こういう子守唄というか、ララバイというか・・・素晴らしい選曲ですね。

(川瀬良子)PVも超かわいいですね!超かわいいですよ。Cと答えた皆さんにも見てもらいたい。

(ジェーン・スー)でもね、本当にこの『あなたの中の小さな女の子』っていうのをちゃんと救済しないと、それこそ『こじれ島』に足を突っ込む40代前後っていうところで、もう巨大化して大変なことになる!

(高橋芳朗)あっ、その(小さな)女の子がね。

(川瀬良子)小さくなるじゃ済まないってことですか?

(ジェーン・スー)『小さい巨大な女の子』みたいなね。

(高橋・川瀬)(爆笑)

(ジェーン・スー)よく分からない、遠近感がよく分からない女の子になっちゃう。で、そうなると、手がつけられないんですね。

(川瀬良子)そうか、だから救済作戦なわけですね。

(ジェーン・スー)そうそうそう。だからここでちゃんと自分の中で折り合いをつけていかないと・・・あのね、ちょっとイヤな話になるんですけど、よくいるのが、例えば「イヤだ!」とか「私はそれ、好きじゃない」とか、「私は傷ついちゃったな」ということを「ビックリしちゃった」の一言で片付ける人いるじゃない。なんかDISるのに、「もう、ビックリしちゃった~」。

(高橋芳朗)あー。

(ジェーン・スー)あれも、『ビックリ』じゃないじゃん。それ自体。世の中ビックリすることたくさんあるから、ビックリするのはいいんですけど、そういう自分のネガティブな気持ちだったりとか、弱った気持ちっていうのは『小さい女の子』に全部託して見ないふりにしていくと、結構やっぱり『こじれ島』に来てから大変なことに・・・

(高橋芳朗)ますます厄介なことになるっていう・・・

(ジェーン・スー)そうなんですよ。

(高橋芳朗)こじれた上に、巨大化した・・・

(川瀬良子)目を見て言わないでください!

(ジェーン・スー)だからもう私は川瀬さんがライ麦畑から落ちないようにこう・・・来てるわけですよ。

(高橋芳朗)なるほど。サリンジャースタイルですね。

(ジェーン・スー)そうそうそう。ホールデンなわけですよ。

(高橋芳朗)ホールデンだ。

(川瀬良子)どういうことですか?

(高橋芳朗)いや、ライ麦畑でつかまえてを読んでください。

(ジェーン・スー)『ライ麦畑』って意外と言えないですね。練習してくればよかった。

(高橋・川瀬)(爆笑)

(ジェーン・スー)そうそうそう。40のアラフォーになって、いわゆる『こじれ島』に行ったら、崖ですから。こじれ島は。誰も番人は助けてくれないので。

(川瀬良子)そうなんですかー。ヤバイですね、このままでは。

(高橋芳朗)笑って泣いてるのか、本当に悲しくて泣いているのか、どういう涙なんですか?

(川瀬良子)私ももう、よく分かんないです。すごく体が熱くなってきました。どうしましょう?

(ジェーン・スー)で、そんな女の人の小さい女の子の気持ちっていうのを、実は非常にうまくユーモアたっぷりに歌っているシンガー・ソングライターの方がいまして、それがLenkaっていう人なんですけど。もうこれ、Lenkaのアルバムは2009年かな?出ている『The Show』っていう・・・

(高橋芳朗)2008年ですね。

(ジェーン・スー)2008年のアルバム『Lenka』ですけども、これ私がライナーノーツとか書かせていただいているんですけども。で、この中の『The Show』っていう曲が非常に良くて。何がいいかって言うと、結局人生の真ん中まで来て、いろいろ戸惑って、『こんなはずじゃなかった。もっと私の人生、キラキラしているはずだった。』って自分の人生をショウにたとえて、「金返せ!」って言ってるんですよ。

(高橋・川瀬)(爆笑)

(川瀬良子)金返せ(笑)。

(ジェーン・スー)このショウに金・・・まあ、対訳ではもう少し優しい書き方をしてますけど、「こんなショウのために金払ったんじゃないよ!」みたいな。っていう苛立ちもありながらも、自分の中のかわいい女の子、小さい女の子っていうのを存分に大事にするような形での曲調で歌ってるんです。

(川瀬良子)なるほど。

(ジェーン・スー)なので、『Dear Jessie』で心を落ち着けていただいて、それからLenkaを聴いていただくといいんじゃないかなと思うんで。

(高橋芳朗)じゃあ、曲紹介をお願いします。

(ジェーン・スー)はい、では聴いてください。Lenkaで『The Show』。

(川瀬良子)ジェーン・スーさんの選曲による、Lenkaの『The Show』をお送りしています。

(高橋芳朗)僕ね、この曲とか嫌なことあって落ち込んでいる夜に聴いたら、結構救われるんじゃないかなという気がしますね。

(ジェーン・スー)なんか肩の力が抜けるっていうか、自分の中で煮詰まっちゃった時って、もう前しか見えないし、横も見えないしっていう時に、悲しい歌を聴いて落ち込んでもしょうがないし。まずは肩の力を抜きましょうっていうことでこの曲を選びました。

(高橋芳朗)素晴らしい選曲です。

(川瀬良子)いいですね。素晴らしいですね。

(ジェーン・スー)だから結局こうやって、自分の中の小さい女の子ってのは、実は自分の小さかったころよりずっと傷つきやすくて。で、こう自分自身よりもずっと疲れているんですよね。まあ、私も生き恥を晒してここまで来ましたが、結果的には『(小さい女の子が)いたよ』っていう。ずっといないフリをしていたんですけども、やっぱりいましたねっていうのはあって。

(高橋芳朗)分かりますね。でもその話。

(川瀬良子)女の子じゃないですよね?分かります?

(高橋芳朗)分かります。

(ジェーン・スー)男の人もそうですよね。傾いたりしなきゃいけないなってのがあるとね。どうしても。

(川瀬良子)なるほどね。

(ジェーン・スー)そうそう。それで結局、その傷ついた心とか疲れた心っていうのを、どこかでこう放ってあげないと。やっぱりガス抜きが必要なんで。で、そういう時に一番最初の話に戻りますけど、「そうかもしれませんね・・・」って内心でイラっとしてると・・・

(川瀬良子)イラっとしますね。

(ジェーン・スー)そうなんですよね。でもそれって結局ほら、防衛だから。自分が傷つかないようにしているための防衛線じゃないですか。で、それをやっていると結局、自分の中の小さい女の子が全部責任を取らなくちゃなくなっちゃうんで。たまにはそこと向き合いましょうっていうことで。

(川瀬良子)たしかに、向き合うことってしないかもしれないですね。

(ジェーン・スー)そうそうそう。本っ当、大変ですよ。40過ぎて、ザッパーン!って海の向こうから巨大な女の子が現れて来ますから。

(高橋・川瀬)(爆笑)

(ジェーン・スー)うわーーー!

(高橋芳朗)絵面としては面白いですけどね。

(ジェーン・スー)絵面としては面白いですけど、人生としては最悪です。

(川瀬良子)『こんなにデカくなった!』みたいな。

(ジェーン・スー)あの、縁日であるじゃないですか。入れておくと水で膨らんでこんなすごく大きくなる・・・ああいう・・・

(川瀬良子)小さい女の子巨大化。そっか・・・たしかにそうならないようにします・・・

(ジェーン・スー)本当ですよ。気をつけてくださいね!

(高橋芳朗)川瀬さん、本当分かってます!?

(川瀬良子)分かってます!

(ジェーン・スー)ほら!そこでほら!「分かってます!」・・・もうやった!

(川瀬良子)(笑)

(ジェーン・スー)この子、もうやった!

(高橋芳朗)(笑)どんな立ち位置なんだよ!

(ジェーン・スー)まあ、いろいろと。

(川瀬良子)こういうのもダメなんですね。はい、気をつけまーす・・・

(ジェーン・スー)(被せて)気をつけまーす。

(高橋芳朗)じゃあ、曲行ってもらいましょうか。

(ジェーン・スー)はい。じゃあ同じように小さい女の子と一緒にもう一人いるのは、実はずーっと思春期の女の子っていうこともあるので、そんな思春期の女の子もかわいがってあげましょうということで。はい、これも聴いてください。Katy Perryで、『Teenage Dream』。

(川瀬良子)ジェーン・スーさんの選曲による、Katy Perryの『Teenage Dream』をお送りしています。

(高橋芳朗)僕ね、この曲の『今夜は私、あなたのティーンエイジ・ドリームになる』っていう歌詞がすごい好きで。こんなにロマンティックな愛の伝え方もなかなかないんじゃないかと。

(ジェーン・スー)本当、そうですよね。

(高橋芳朗)すごい好きなんですよ。

(ジェーン・スー)川瀬さんにお伝えしたいのは、アラサーっていうのは『未中年』なんですよ。

(川瀬良子)未中年?

(ジェーン・スー)『未中年』っていうのは何かっていうと、『未成年』ってやってましたよね。昔、10代の時に。で、20歳になるまでは中途半端よ、みたいな。自分で責任も取れないしっていう。で、その次の『中年』っていう段階にまだ足を踏み入れられていない、中年にはまだなっていない微妙な時期なわけですよ。未中年っていうのは。

(川瀬良子)『未』がつくわけですね。

(ジェーン・スー)そうなんですよね。で、中年に届かないこの半端な年代の時っていうのは逆に言うと、この曲じゃないですけど未成年の時みたいな、儚く瑞瑞しい体験が出来る非常に貴重な時間なので。ちょっとね、年を取ったぐらいで過信しないほうがいいですよ!

(川瀬良子)過信してきてますね、今ね。

(ジェーン・スー)人間はそんな上等な動物じゃない!本当に。

(高橋芳朗)勇気の出る言葉だな。

(川瀬良子)そうですね、考えさせられますね。なんか、二人で肘ついてる・・・(笑)

(高橋芳朗)僕まで。

(川瀬良子)ね、男の子なのに!そうですね、いやなんかね、勉強になります!本当に。

(高橋芳朗)染みるわ。響くわ。

(川瀬良子)師匠、ここにいました!ここに。本当に師匠は。

<書き起こしおわり>

この回もパンチラインの宝石箱や!アラサーは『未中年』って、マジで深いぜ!

私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな (一般書)
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