大島育宙さんが2026年8月17日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション2』にゲスト出演。著書『なぜあなたの感想はふつうなのか』の中に含まれる宇多丸イズムについて、宇多丸さんと話していました。
(山本匠晃)ここからは明日、すぐ使える一発必中のカルチャー情報をお伝えしますカルチャーワンショット。今夜、ワンショットするのはこちら。宇多丸なくして大島なし。XXCLUB大島育宙をワンショット!
(宇多丸)やだなー(笑)。
(山本匠晃)ということでゲストはお笑いコンビXXCLUB・大島育宙さんです。こんばんは。
(大島育宙)どうも。映画代2000円を何回ももらったことがあります、大島育宙です。
(宇多丸)ああ、そうですか!
(大島育宙)はい。何度ももらっております。実は。
(宇多丸)ああ、そうですか。ああ、それはそれは……。
(大島育宙)賽の目も何回も当ててます、実は(笑)。
(宇多丸)ああ、そうですか。これは……なるほど。
(大島育宙)はい。そういう世代が……。
(宇多丸)そうなんですね。宇多丸世代。やっぱり「なくして」なわけですね。これね。すぐに「宇多丸なくして」って品のないことを言い出すんですけども。
(大島育宙)RHYMESTERのサイン入りのクリアファイルに受験票を挟んで持っていって。
(宇多丸)マジですか!? あら、まあ。それで東大に? ありがとうございます、ありがとうございます。
(大島育宙)お世話になっております(笑)。
(中略)
(宇多丸)リスナーからもですね、大島さん出るのをすごく楽しみにしてたっていうメールがすごいいっぱいいただいてて。ラジオネーム「ハワイで聴くメタリカ」さんは「大島さんが新刊宣伝のためにTBSラジオのいくつかの番組にゲスト出演されていたのですが、各番組にチューニングを合わせた著書紹介にうなってしまいました。アトロクではどんな新刊紹介をされるのか、映画評三選とともに楽しみにしています」ということなので。じゃあ、この番組にチューニングをしていただいてということですね?
(大島育宙)そうですね。だけどこのタマフルから続くカルチャーにもどっぷり浸かっているので。僕が中2の時にたぶん、始まった番組で。もうそりゃあ、こじらせるでしょうよというか。なんか世界そのものなので。なんていうのかな? よく「チルドレン」って……「宇多丸チルドレン」という言われ方をするんですけれども。チルドレンというよりか、もう子孫というか。なんていうか、当然のものという感じなので。
(宇多丸)いやいやいや、ちょっと本当に恐縮です。
(大島育宙)チューニングを合わせるも何も……という感じではあります。
(宇多丸)いや、これ実際にでも私、こちらのご著書『なぜあなたの感想はふつうなのか』を拝読して。
(大島育宙)ありがとうございます。恐縮です。
(宇多丸)すごいでも、なんていうかな? まずね、感心しながらというんですかね。どのようにその自分なりの感想とか評価軸を作っていくか、みたいなことが書かれてるじゃないですか。とても本当に読みやすくて。でも、めちゃくちゃ真っ当なプロセスで。で、読んでいて「ああ、そうそうそう! そうそう。俺もやってる」みたいな感じで読んでいたら、私の影響を受けたっていう風に書いていただいていて。「そりゃそうか」って(笑)。
(大島育宙)たしかに(笑)。マッチポンプ。とんでもないマッチポンプっていう(笑)。
(宇多丸)「俺メソッドがベースなのか!」っていう(笑)。
(山本匠晃)逆に宇多丸さんが最初というか(笑)。元というか。
宇多丸メソッドがベースの本
(大島育宙)当たり前の方法だと思っていた方に本を差し上げているという(笑)。
(宇多丸)いやいや、とはいえ僕はでもやっぱりここまでちゃんときちんと考えて、プロセスを踏んでいるわけでも実はないから。
(大島育宙)いえいえ、逆ですよ。何をおっしゃいますやら。まあ、それぞれの我流の中でちゃんとやるっていうことを決めてやっていくということだとは思うんですけれども。
(宇多丸)でもめちゃくちゃ大島さん、真っ当なことをおっしゃられてると思うし。もちろんね、今ネット上でなんて言うんですかね? この中にも書かれてますけど。割とすぐ正解が求められるというか。そんな中ででも、そのある種僕なんかよりもずっと最前線を戦っているというか。最前線でやられているわけじゃないですか。
(大島育宙)足は浸かっているところはあるけれども。
(宇多丸)それを自ら、なんていうかな? ちょっと客観的に解毒するじゃないけど。その立場が面白いなと思ったんです。僕とかはある意味ちょっと、なんて言うかな? まあ歳も上だし。「ちょっとそことは距離を置いてます」面しているけど。大島さんはもう、そうはいかない世代っていうか。そんな感じだから……。
(大島育宙)まさにそうですね。宇多丸さんたちの世代がちゃんと評論世代というか。でも僕らの世代で「評論家」って名乗る人がめちゃくちゃ減っていて。それはやっぱりちゃんとした体系を踏まないといけないことがハードルが高かったりとか。逆にそこを、ちゃんとアカデミズムのところを通っている人とかはSNSでの発信力があまり強くなかったりとかして。ある種、SNSでインプレッションを集める邪道みたいなテクニックを持っている人の感想が強いみたいな。まあ、そのメディアの最新のものに戦闘力というか、知名度が影響するっていうのはもともとあることではあると思うんですけれども。
そこがやっぱり自分はある種、器用にやってしまった部分がある中で「言語化ってどうやってるんですか?」とか、よくいろんな取材とかで聞かれるし。「考察ブームってどうなってるんですか?」とか、いろんなことにこう手を染めてしまっていることの半ば懺悔録のような形で時代評を書くっていうところから入っていって。そこで「じゃあなぜ、それぞれの人が自分の感想に自信を持てないのか? あなたの中に普通の感想……しかし独自の感想はもうすでにありますよ!」っていうこと。懺悔してから励ますっていう(笑)。
(宇多丸)なるほど。
(大島育宙)それがなんか、あんまりない本を作れたかなとは思っております。
(宇多丸)そう。なんかすごく、だから読みながらやっぱり大島さんの独特なスタンス&ありがたくも僕の影響を受けてくださってるので。なんて言うんですかね。僕はたぶん、他のありとあらゆる読者とも違うスタンスっていうか。
(大島育宙)そうですね(笑)。一番難しいブックレビューを今、課してしまっているっていうのは自覚しております。
(宇多丸)でもすごく、なんていうのかな? 自分の考えたプロセスを説明してもらってる感じもあった上に、あとでも僕はやっぱりたとえばそのYouTubeなどのプラットフォームを使った、そういうゲームにはやっぱり全く疎いから。なんていうか、「勉強になるな」というところもありつつ、みたいな。だからすごくその両側をちゃんとメタ的に認識されて。しかもすごく真面目にっていうのかな?
(大島育宙)恥ずかしいな(笑)。お笑いコンビって一応紹介されてるのに「真面目ですね」って言われちゃって(笑)。
(宇多丸)そうね。「真面目ですね」っていうのは本当にね、あれかもしれないけど。ただ僕もクソ真面目にやってるのだけが取り柄だと思ってるんで。なんでまあ「わかります」っていうか。「それっきゃないっすよね」みたいな感じは……。
(大島育宙)そうですね。まさに僕は2019年ぐらいに自分のYouTubeを始めて。その時に毎週、公開される映画を紹介したり、レビューしたりする方法を僕、宇多丸さんの方法しか知らなかったので。「毎週、映画館に3回、行かないとレビューしちゃいけない」と思っていたんです。本当にそう思ってたんですよ。
(山本匠晃)宇多丸さんのように(笑)。
(大島育宙)だけど、もう体が持たなくて。
(宇多丸)体が(笑)。
(大島育宙)当然、精神も持たなくて。「この人、とんでもないことをやってるな!」と思って。
宇多丸式映画レビュー法を真似てみるも体と精神が持たなくなる
(宇多丸)いやいや、これはでもね、中でも書かれてますけど。「1回目は無心に見て、2度目は分析的に見る。プロはそこが同時にできるんだ」って書かれてるけど。俺はたぶんそれ、同時にできないんですよ。だから……。
(大島育宙)ああー、ある種、不器用なのかもしれないと?
(宇多丸)そうそうそう。だからいまだに何回も見ているのは「無心に見る」と「分析的に見る」のを重ねられないんですよね。この中でも書かれてる通り、僕は全然そんな小難しいことを考えながら見てるわけじゃないから。むしろ、没入しようと思って見ているみたいな。なのにその没入が阻害されるような気分になった時に「えっ、なんで? なんでなんで?」みたいな感じになって。
(大島育宙)そこですよね(笑)。そこはすごい面白いところで。なんか自分自身との幽体離脱……没入してる自分と分析する自分の幽体離脱もありながら。尊敬している、信頼してるレビュアーとの幽体離脱っていうのも1個、イニシエーションとしてすごく必要だし。そこから自分が浮かび上がるっていう話も昔はもっと言われてたと思うんですけど。最近、それがなんだか言われなくなってきてしまったなと感じまして。
(宇多丸)僕のラジオを聞いて影響を受けたにしたって当然、意見が違う瞬間なんかもう山ほどね、出てくるわけだし。
(大島育宙)そうですね。「今週、宇多丸はなんて言うんだろうな? 僕はこの映画、すごい面白かったなー。うわー、酷評だーっ!」みたいな(笑)。もう、馬券を買ってるみたいな(笑)。
(宇多丸)でもそんなの、あるし。それこそ、だから僕だったら、わかんない。ちょっともう出すところがデカすぎるけど蓮實重彦先生がこう言ってる。で、「あれ?」みたいな。でももう長年、読んできてると「まあでもこれ、蓮實先生は好きじゃねえよな。そりゃあ」とか「ああ、こういう理由でけなしてるな」とか。「逆に僕はここが好きなんだな」みたいなその偏差はわかってくるけど。やっぱり右往左往してますよ、全然。で、「俺がまだ未熟なんだ! 修行が足りない!」みたいな。でも、そのプロセスも大事だったりするんだよね。
(大島育宙)そこは当然、自分を立体的にするための1個のイニシエーションであるっていうことで。
(山本匠晃)視点が増えることで世界が変わるというか。
(大島育宙)あとこれ、何回もいろんなところで言っちゃって申し訳ないんですけど。僕、たけしさんはすごい好きな監督だけど。一番好きな作品と一番、「なんだこれ?」って思ってる作品の落差が大きいのが北野武なんで。「その落差が好きなんだ」っていうことは強く言っていきたいなとこの本を通して思っています。
(宇多丸)うんうん。ちゃんとね、線で見ると面白いとかね、ありますからね。これはね。だからこの中でもさ、単純に酷評してるわけじゃないのに。「こうこうこうで」って言ってるのに「大島育宙、酷評か」とか書かれちゃって困るっていう。「ああ、わかるわかる。そういうもんだよね」みたいなのもあるし。だから僕は逆になんて言うんですかね? 「ああ、同志がいたな」みたいな感じがしますよ。
(大島育宙)ありがとうございます。
大島育宙さん、シネマハスラー/ムービーウォッチメンで何度も採用されて映画代2000円をもらっているなんてガチすぎる! 宇多丸さんの特殊すぎる読書体験がとてもおもしろいですね(笑)。
