安住紳一郎『忠臣蔵』を知らない世代を語る

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安住紳一郎さんが2024年12月15日放送のTBSラジオ『日曜天国』の中で『忠臣蔵』についてトーク。時代劇がテレビなどであまり放送されなくなってきた中、『忠臣蔵』などを知らない世代が増加して時代劇のたとえなどが全然通じなくなってしまっていることを話していました。

(安住紳一郎)今日は12月15日ということで。昨日が14日で、赤穂浪士討ち入りの日ですね。旧暦なので今の暦通りではありませんが一応、12月14日ということで。『忠臣蔵』ということで泉岳寺などではお祭りなどもあったと思いますが。朝の番組でも少し話したんですが、中澤さん、『忠臣蔵』はわかりますか?

(中澤有美子)もちろんです。年末といえば『忠臣蔵』の気分になります。

(安住紳一郎)もうね、それが時代遅れらしいですよ。つらい……。

(中澤有美子)ああ、そうですよか(笑)。

(安住紳一郎)もうね、自分の思ってることを口に出すと嫌われるっていう。私もね、びっくりしました。20代、30代の人で『忠臣蔵』を知っている人は1人もいません!

(中澤有美子)「1人も」ってことはないんじゃないですか?

(安住紳一郎)おっしゃる通り。当然、1人はいると思いますけれど。私が一緒に働いてる20代、30代の同僚で『忠臣蔵』を知ってる人、1人もいなかった。

(中澤有美子)そうなんだー!

(安住紳一郎)他の世代と話が合わなくなっていくっていうのは頭では理解していますが、具体的にこういうことがありますと本当に「そういうものなんだな」と感じますが。年々、そのスピードが上がってるような感じもしますし。やっぱり私達もテレビなどで年末、時代劇を見たので。親や親戚と一緒に見て、話を聞いて教えてもらって、何となく覚えたということで。別に「『忠臣蔵』が大好き!」ってわけじゃないですけども。

「『忠臣蔵』を見よう」っていう気持ちがあったわけじゃないですけど、何となく知っているっていうことだったんですが。そういうことがね、もうなくなりましたので。歴史の教科書で『忠臣蔵』を学校の先生が教えてくれるわけじゃないですもんね。

(中澤有美子)まあ、そうですね。それほどのあれでもないですものね。

(安住紳一郎)おじいちゃんが急にね、「おう、お前たち、そこに座れ。『忠臣蔵』の話をするぞ」ってこともないじゃないですか。なので、ひとつきっかけがないと……ということですよね。びっくりしました。45歳ぐらいでたぶん「知ってる・知らない」の川が流れていますので。意外に上にありましたね。なので私が51なんですけども、たぶん『忠臣蔵』を知ってるむしろ最後の世代だと思いますね。中澤さんもそうですが。

(中澤有美子)そうなんですね! すぐ下の人じゃない? じゃあ。

(安住紳一郎)下はね、もう知らないと思います。どうですか? 若い人にとってみたらね、「何を知らない話、してるんだ?」っていうことだろうし。私達も年上の人たちから「えっ、それ知らないの?」っていう風に言われたことがたくさんあったので、あんまり気持ちのいいものではないので。ジェネレーションハラスメントって言われたりしますんで、お気をつけいただきたいと思いますが。居酒屋だと思ってたみたいですよ? 『忠臣蔵』って。本当に。これ、笑い話じゃなくて。

(中澤有美子)ああ、ありそうね!

『忠臣蔵』で居酒屋をイメージする人々

(安住紳一郎)金の蔵みたいなことなのかな?

(中澤有美子)そうですね(笑)。ああ、本当だわ!

(安住紳一郎)笑ったらダメだと思うよ、もう。赤穂浪士の気持ち、いかばかりか。

(中澤有美子)でもすごくいいお料理が出てきそう。

(安住紳一郎)まあね。そういうフォローも違うと思うけど。だから本当にわからないんだって。あとね、『忠臣蔵』を上手に説明しようと思っても、なかなか説明できなくて。説明すればするほど若い人は引くっていう。「結構えぐいストーリーですね。集団復讐?」みたいな。ちょっとやっぱり多様性とね、時代が少しずれてきたのかな、なんて気持ちもありつつ。当然、私達も若い人たちのことがわからないこともあるので、同じ気持ちだとは思いますが。

ただ、『忠臣蔵』について知ってる人が45歳から下くらいはほとんどいないっていうことは大変、私自身がショックでした。結構、ショック引きませんか? そんなこと、ないですか?

(中澤有美子)本当ですね。なんかちょっと、黙っちゃう。ジワーッと。

(安住紳一郎)それで当然、この流れは来ていて。『水戸黄門』を知らない人もいっぱいいた。

(中澤有美子)ええーっ!

『水戸黄門』を知らない人たち

(安住紳一郎)だからもう「ああ、通じないんだ」と思って。「この紋所が目に入らぬか!」って言ったって、みんなポカリングですよ。「はあ?」みたいな。「テクマクマヤコン」みたいなことだと思うな。「テクマクマヤコン」さえ超えてると思う。

(中澤有美子)「テクマクマヤコン」の方がもしかしたら知らない人、多いかもですね。そうか、そうなの? 

(安住紳一郎)だから「この紋所が目に入らぬか」とかね。

(中澤有美子)助さん、格さんとかも?

(安住紳一郎)わかんないと思う。「はいよろこんで」みたいなことだと思うよ、たぶん。「助さん、格さん……新しいVTuberですか?」みたいなことだと思うよね。笑っちゃいけないけどね。来てるなって思ったよね。あとは「意外に自分、時代劇のセリフとかが好きなんだな」っていうことも気づいたりして。私達の世代はね。「助さん、格さん、もういいでしょう」なんて言っても、私達の世代だったら何を言ってるのか、わかりますもんね。

(中澤有美子)そうですね。「懲らしめその辺で」っていうことでしょうか。

(安住紳一郎)そうそう。「最初からやらなくてもいいのに……紋所、最初から出せよ!」なんて言って一通り、盛り上がるでしょう? それも通じないから。もちろん『暴れん坊将軍』も『大岡越前』も通じないしね。時代劇、やってないからっていうことがありますが。ただ何か、自分たちのモラルとか道徳とか喜怒哀楽のベースが時代劇からもらってるものもたくさんあるんでね。

(中澤有美子)そうなんですよね。気づかないうちに。

(安住紳一郎)「『忠臣蔵』、どのシーンが好き?」とかね。私は『忠臣蔵』で好きなシーンは吉良邸に討ち入りをする時、その隣のお屋敷の人に「私達、今から討ち入りしますから。ご迷惑、かかりませんように」っていうことをお伝えしたら隣の家の人たちは別に通報するでもなく、止めるでもなく。「思う存分、本懐をお遂げなさりませ」みたいなことを言って、塀越しに提灯をガーッて掲げてくれて、明るくしてくれるの。照明をワーッて横の屋敷の人たちが掲げてくれるわけ。まあ、別に赤穂を応援するでも、吉良を応援するでもないけども。「まあお互い、思う存分やりなさい」みたいなことでブワーッと掲げるんだけども。これも全部、時代劇で見せてもらってるんであれなんですけども。

(中澤有美子)ある年の『忠臣蔵』の演出ってことなんですけどもね。

(安住紳一郎)まあ、そういう事実があったかどうか、わからないけど。そのシーンが一番グッと来るんだよね。中澤さんは『忠臣蔵』、どのシーンが一番来ます?

(中澤有美子)私は「いよいよ」っていう朝に人1人いない通りにしんしんと雪が降り積もる。そのシーンを目に浮かべますですね。

(安住紳一郎)そうですね。雪は切り離せませんよね。なんか事実では雪は降ってなかったらしいんですけど、歌舞伎の演目の時に「雪を降らせたらいいだろう」っていうことで、雪になったみたいですけど。まあ今となってはね、何が史実か、事実かということはいろいろ言われるところですけど。私達の中で時代劇のストーリー、歌舞伎としての演目の『忠臣蔵』はしっかりね、価値観として入ってますよね。「他の世代の人たちに通じない話をしたらダメ」っていう体裁をとりながら、したい話をしたわー!

(中澤有美子)フフフ(笑)。

(安住紳一郎)よかった! でもね、これが私、たぶん人生で最後の自分の『忠臣蔵』への思いを吐露するチャンスだと思うのよね。

(中澤有美子)そうかしら。寂しいなー。

(安住紳一郎)寂しいなー!

(中澤有美子)もう、しちゃいましょうよ。またいつか、しちゃいましょう(笑)。

(安住紳一郎)でも若い人、この時間の5分、6分は本当にポカリングですから。

(中澤有美子)ああ、そうか! そうね。申し訳ない。

「時代劇の話が若い世代に通じない」という話の建て付けで、ここぞとばかりに『忠臣蔵』トークを繰り広げてきた安住さん。そして話題は安住さんがいつも提唱している「自分と同学年の人が一番好き」というトピックに移ります。

(安住紳一郎)なので何回も言っていますけどね、自分と同じ世代の話の合う仲間というのはやっぱりいいなというものですし。ラジオ・テレビで自分と同世代のパーソナリティをぜひ、応援してくださいっていうことはお伝えしていますよね。なので私は世の中で一番好きな人は1973年、昭和48年生まれ! この人たちを贔屓引き倒すっていうことですよね。最後まで! 同じ年に生まれているならば、もう大好き!

(中澤有美子)無条件に大好き(笑)。

「1973年生まれは無条件に大好き」(安住)

(安住紳一郎)無条件に大好き。懲役10年くらいまで、大好き。で、2番目に好きなのが72年と74年生まれ。3番目に好きなのが71年と75年!

(中澤有美子)やった!

(安住紳一郎)そういうことでね、同心円状に好きの度合いを変えているから。

(中澤有美子)グラデーションつけて。

(安住紳一郎)グラデーションですよね。そう。73年生まれが1番。2番が72と74。そういうことです。なので申し訳ないけども、今年生まれた赤ちゃんは100歳の人と同じ! 同心円状になっているからね。

(中澤有美子)離れ具合的には?

(安住紳一郎)そうですね。離れ具合で103歳? 102歳になるのかな?

(中澤有美子)遠いわ!

(安住紳一郎)なので今年、生まれた赤ちゃんが正しく言うと1番好きの外側にいるというか。何とも思ってないっていうことです。残念。

(中澤有美子)そんなこと、ある?(笑)。

(安住紳一郎)えっ、でもそうじゃない? 最終的にはやっぱり話の合う同世代の仲間とね、話をして和気あいあいするのがいいじゃない?

(中澤有美子)同じ空気を吸ってここまで来たんだなっていう。

45歳ぐらいのところが『忠臣蔵』を知っている・知らないの分水嶺になっているなんて、全く知りませんでした。昔は年末になるとテレビで絶対にやっていた『忠臣蔵』。親とかが見ているのを「毎年見てるけど、こんなの、どこがいいんだろう?」って思いながら横目で見ていましたが、なんだかんだでストーリーは刷り込まれているんですよね。でも今ではそんなこともなくなってしまっているので、わからない人が増えているのも仕方ないとは思います。

『忠臣蔵』だけではなく『水戸黄門』とか、時代劇の要素はいろんなエンタメの中に入り込んでいたりするので、改めて見ると「これはここから来ているのか!」みたいな発見もあって面白いと思うんですけどね。でも今の若い人たち、『銀魂』とかはめちゃくちゃ見ていた人が多いみたいなので、そのうち彼らをベースにして、時代劇スタンダードが『銀魂』になったりするのかも? なんて勝手に思ったりしてしまいました(笑)。

『安住紳一郎の日曜天国』2024年12月15日放送回

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