渡辺志保 麹町中学校の「ヒップホップダンス禁止」報道を語る

渡辺志保 麹町中学校の「ヒップホップダンス禁止」報道を語る 未分類

渡辺志保さんが2024年7月5日放送のbayfm『MUSIC GARAGE:ROOM 101』の中で麹町中学校の「ヒップホップダンス禁止」報道について話していました。

(渡辺志保)ここからの時間はリスナーの皆様からいただいたお便りなどなど紹介していきたいと思います。まずですね、ありがたいことにいただいているメールを紹介していきたいと思うんですが。千葉市花見川区にお住まいの方からのお便りです。「志保さん、こんばんは麹町中学校のダンス部でヒップホップを禁止し、これからは創作ダンスをしなさいというニュースが世の中を賑わせています。今年はオリンピックでブレイキンも行われるし、時代錯誤だと思うのですが志保さんはこのニュースに対してなにか意見はありますか?」という。ありがとうございます。こんな鋭いお便りいただきました。

私もその麹町中学校……言わずもがな、東京の公立中学校ですけれども。麹町中学校のダンス部がヒップダンスを禁止して、これからは創作ダンスというこれ、見出しも結構センセーショナルなWebニュースなんかもあって。それに惹かれて見て「なるほど、なるほど」と思って読んだわけなんですけれども。「ヒップホップダンスを禁止する」という報道に対して一部、誤りがあるということで後々、麹町中学校側から釈明というか、訂正の文章も発表されたんですよね。

で、私が思うにその校長先生は闇雲に「ヒップホップはダメ。だから創作ダンスなんだ」っていうわけではなくて。これがもしヒップホップダンスではなく、ジャズダンスとかK-POPダンスとか、あとはお便りにあるみたいにブレイキンダンスでも廃止にしたんじゃないかなっていう風に考えていて。なので別に「ヒップホップだからダメ」っていうこととはちょっと違うのかなという風に思っています。

というのも、様々な報道を参照しますとこの麹町中学校というのは元々の校長先生が非常に自由でドラスティックな改革を進めてこられた先生だったそうなんですね。で、登校する服装も自由でいいよっていう感じだったりとか、それまでの画一的だったテストとか、担任の先生の制度も非常にドラスティックな改革を進めていた校長先生がかつて、いらっしゃって。だけれども2023年から新しい校長先生がやってきて。

たとえば「服装も自由でいいよ」という学校だったんだけれども、「自由を履き違えていませんか? ちょっといろんな、様々な問題が起こっていませんか?」ということで一度、私服の登校がOKになっていたところを今度は標準服……無地のポロシャツとか。そういったものを決めて。「今度からこの標準服で登校しなさいよ」というような改革がさらになされた。

前校長の改革の数々と新校長の方針とのギャップ

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(渡辺志保)で、このダンス部の問題も新たな改革の一部ということらしいんですよね。なので、なかなか学校全体、そして保護者の皆さんと、もちろん生徒の皆さんもいろんなことが急にひっくり返るように変わって、戸惑ってらっしゃる方もたくさんいらっしゃるんだろうなという風に思います。

でね、「ダンス部もヒップホップダンスを取りやめにして、これまで文化祭の発表に向けてヒップホップダンスを練習してきた子供たちはそれでショックを受けた。泣き出し、過呼吸になった子供もいた」というという風に報道されていて。本当にめちゃめちゃ残念だし、ショックだし、お先真っ暗みたいな。希望を閉ざされたみたいに感じていらっしゃる生徒さんもいるのかなという風に思います。

で、これまでにダンスば週に2回、ヒップホップダンス専門のコーチによる指導を受けて。それで文化祭や体育祭で発表していたそうなんですけれども、その報道を受けての学校からの声明なんですが。声明というか、これは保護者からの情報もあったそうなんですけれども。4月1日から3年生が引退するまでは週4のヒップホップダンスの自主練習ができるようになったということで。それまでは学校側から生徒や保護者の方に満足な説明もないまま、ルールがいきなり変わったそうなんですけれども。6月の末には学校側から部員のみんなに説明があったということなので。まあ「ガガーン! ショック!」みたいな状況が多少は和らいだのかなという風にも思うのですよね。もし誤りがあったら申し訳ないですが。

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(渡辺志保)でですね、私が感じたことがいろいろあるんですけれども。ひとつは、やはりその生徒たち。やる気のある生徒、ヒップホップのダンスを学びたいという意欲のある生徒がいらっしゃるのであれば、そして学校側もそうした場をずっと設け続けていたのであれば、学ばさせてあげたい。「頼む、やってくれ!」という気持ちもあるんだけれども。でも、その生徒の皆さんもこれで、上からの要請で急に自分たちの状況が変わってしまった。ちょっと大げさに言うとこう、自分たちが逆境を味あわされているという、そういう状態にあるのであれば、それこそがヒップホップの醍醐味かなという風にも個人的には思います。

なんていうんだろう? 非常に投げやりな意見という風に捉えられるかもしれないけれども。そういう中で、上からの命令でいきなり自分たちの自由が奪われたみたいな場面で、じゃあ自分たちでどうやって団結して解決に導いていくか?っていう。私はそうした内容をヒップホップ……ラップの歌詞であるとか、映画であるとか、カルチャーから学び、感じたことでもありますので。この境遇そのものがめっちゃヒップホップ的なのでは? という風にも感じました。なんかすごい無責任な意見かもしれないけど、私はそう感じました。

自由が奪われた時、団結して解決に導くのがヒップホップ

(渡辺志保)なので、また学校の中でそういう踊れるスペース、踊れるコミュニティー、踊れる部活動の場が継続されたらされたでそれは非常に美しいことだと思いますし。でも学校の外にそういうコミュニティーを求める、そういうコミュニティーを作るということも、ひとつの解決策としてあるのかなという風にも思いましたし。まあ、これを言うと元も子もないかもしれないけど。ヒップホップのダンスは学校で習わなくてもいいよっていう気持ちも、なんか、個人的にはありますね。

で、ちょうど自分が配信しているポッドキャストでもこの学校というか、教育の場とヒップホップダンス、キッズダンスみたいな内容で話したところなんですけれども。私もですね、つい先日、息子が通う保育園でヒップホップのダンスのカリキュラムがあって。それを参観する機会があったんですね。で、教えてくださってるのは麹町中と同じように外部のダンスの講師の先生なんですけれども。そこで使われている曲がめっちゃ過激な言葉が含まれる、まあ大人が聞くような感じのヒップホップの曲だったんですよ。

で、それに私はめっちゃびっくりしたのね。で、中学校とか高校に上がると、もちろんそれだけ成長を重ねているので、より柔軟に対応すべきとは思うんですけれども。未就学児の幼児に聞かせるのは、そしてそれを指導する立場の方が聞かせるっていうのはちょっと、どうなんだろう?っていうことを思いまして。で、ヒップホップ茶話会というポッドキャストなんですけれども。そのポッドキャストではですねプロのダンサーの方であり、その方自身も高校でダンスと英語を教えていたり。後はインターナショナル系の保育園でダンスと英語を教えていらっしゃるという、SONNYさんという素晴らしい方がいらっしゃいまして。そのSONNYさんをお招きして「ぶっちゃけ、どうなんですか?」っていうことをお話ししているわけなんですよね。

なんで、ちょうどこの麹町中学校の話題と自分が実際に保育園に行ったら子供がめっちゃFワードが出てくる曲でヒップホップダンスを踊ってましたわっていう状況が重なっちゃって。私もこの問題について、非常にいろいろな角度から考えさせられました。まあ、そうね。中学校と保育園じゃ全然状況は違いますけれども。なので、正しく導いてくれるなら全然教えていただくのは構わないし、ありがとうございますっていう気持ちなんだけれども。ちょっと不適切なことがあるとですね、「うーん……」という風に首をかしげてしまうなというのが私の正直な意見です。

まあ私も本当に非常に自分本位ではあるけれども、私自身も非常にヒップホップカルチャーを愛しているし、ヒップホップカルチャーに助けられてきた。だからこそ、やっぱりこう、注意深くというか、正しく教えてほしいなという風に思いますし。ちょっと自分が体験した保育園での出来事と麹町中学校の報道っていうのは、もちろん違う問題ではあるんですけれども。なんかこう、結びつけていろいろ自分の中で考えてしまいました。

ですので、生徒の皆さんには「負けるな」という風にね、勝手ながらエールを送りたいなという風に思います。では、ここで1曲、お届けしましょう。ラキムで『Guess Who’s Back』。

Rakim『Guess Who’s Back』

ヒップホップ茶話会・キッズダンス考察

<書き起こしおわり>

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