でか美ちゃん『非常に残念なオトコ』を語る

町山智浩『非常に残念なオトコ』を語る こねくと

でか美ちゃんさんが2024年2月13日放送のTBSラジオ『こねくと』の中で映画『非常に残念なオトコ』について町山智浩さんと話していました。

(石山蓮華)先週は日系アメリカ人男性の生きづらさを描いた『非常に残念なオトコ』と、障害者福祉施設の日常を切り取ったドキュメンタリー『フジヤマコットントン』の2本立てでご紹介いただきました。でか美ちゃんは……。

(でか美ちゃん)『非常に残念なオトコ』を見たんですけど。ちょっとなんか、本当にタイトルの通りだなっていう映画でもあって。なんか、言い方がむずいんですけど。軽く見るのに、めちゃくちゃいい映画だなと思ったというか。

(町山智浩)そうですね(笑)。

(でか美ちゃん)でもなんかね、私が「複雑!」と思ったのは『非常に残念なオトコ』なんだけど、この人、日本で暮らす日本の男性として生きてたらモテちゃうタイプだろうなと思ったんですよ。

(町山智浩)ああ、そうですね。

日本ではモテてしまう可能性も?

(でか美ちゃん)だから日本とアメリカって、やっぱりモテるタイプの男性って、やっぱりお国柄とかもあって、違うと思うけど。なんかアメリカだったら「なに、この男?」とか、「ちょっと差別的な発言はNO!」とか、普通にある中で。でもそれが、日本だとなんか優しさの方にほだされがちだから。これは私自身もなんですけど(笑)。「この男、日本だったらモテちゃいそう」っていう、複雑さで見ました。

(町山智浩)うんうんうん。結構、顔とか悪くないんですよね。

(でか美ちゃん)おきれいな顔で。まあ、俳優さんだしねっていうのもありつつ。

(町山智浩)ねえ。それで最初、女性へのアプローチは優しいんですよね。

(でか美ちゃん)そうなんですよ。あと「これ、町山さんの家の近所なんだ」って思いながら見るのが私はめっちゃ楽しかったです。

(町山智浩)あんな感じなんですよ。

(でか美ちゃん)ねえ。なんかいい街だなと思って。雰囲気のある。

(町山智浩)すごく成功してる人がいない。で、ものすごく貧乏な人もいない。みんな同じぐらいという。

(でか美ちゃん)なんか住みやすそうっていう。

(町山智浩)そうそう。人種もちょうどね、アジア人がちょっと……40%ぐらいかな? 多いし。で、すごいお金持ちもいないから。それこそベンツとかに乗ってる人もいないし。だから、ちょうどいい感じなんですよ。公立学校に行っても、みんな同じぐらいの親のレベルなんですごく楽なんですけど。成功者も誰もいなくて。でもみんな、成功したいと思ってるという非常に微妙な……。

(でか美ちゃん)そうか。ちょっと夢を追いかけ人みたいな感じの人が多い街なんですかね?

(町山智浩)そうなんですよ。だから主人公も成功したアジア人をすごく妬ましく思っていてね。

(でか美ちゃん)なんか自分にもね。私は女性なんですけど。男じゃないけど。『非常に残念なオトコ』が抱えるコンプレックスとかの部分は、すごくわかるなと思ったんで。

(町山智浩)ああ、わかりますか?

(でか美ちゃん)わかりますよ。なんか「白人の男性と付き合いたい」とか、そんなあいつみたいなことはないんですが(笑)。なんかその「成功したい」ってくすぶっちゃう気持ちとかね、ひがみだけで行きそうになっちゃう気持ちとかはね、わかるなって。

(町山智浩)俺が結構そうだったんですよ。

(石山蓮華)ああ、そうだったんですか?

(町山智浩)だって周りさ、全部シリコンバレーのいわゆるテック企業がいっぱい集まってるし。うちから歩いてすぐのところにピクサーとか、あるわけですよ。で、「学校で」って言ったじゃないですか。親御さんとかと話していくうちに、「えっ、この人は実はピクサーで働いてるな」とか「Appleで働いてるな」って人たちがいるわけですよ。さっき「中産階級の人たちで」って言ったんですけども、それがどんどん最近、変わってきて。

最初に僕が住み始めた頃はヒッピーみたいなやつばっかりだったんですけど。このへん、ものすごく地価が上がって。アメリカで2番目に高いんですよ。ニューヨークに次いで。そしたら、どんどんエリートが増えてきちゃったんですよ。それまではみんな、中古のスバルとかに乗っていたのに、テスラとかに乗っている人が増えてきて。で、見た感じ、同じ感じかな?って思って話していると「おおう……」みたいな年収の人とかで。あの感じはよくわかるんですよ。残念なオトコくんの方に近いので。

(でか美ちゃん)うんうん。だからぜひ、日本人が見るといろいろと思うところがある作品かなと思います。

『非常に残念なオトコ』

<書き起こしおわり>

町山智浩『非常に残念なオトコ』を語る
町山智浩さんが2024年2月6日放送のTBSラジオ『こねくと』の中で映画『非常に残念なオトコ』を紹介していました。
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