渡辺志保 21 Savage『all of me』を語る

渡辺志保 21 Savage『all of me』を語る INSIDE OUT

渡辺志保さんが2024年1月15日放送のblock.fm『INSIDE OUT』の中で21 Savageのニューアルバム『American Dream』についてトーク。アルバムの収録曲『all of me』を選曲して紹介していました。

(渡辺志保)というわけで、ここで今日の1曲目。2024年の実質的な最初の1曲目をかけたいと思うんですけれども。先週の金曜日もいろいろとね、たくさん新譜のアルバムだったり、シングルだったりが出て。

(DJ YANATAKE)出たね。前の週は全然だったけど。

(渡辺志保)そうそう。先週、やっぱり皆さん、ドバドバっと出してこられましたね。

(DJ YANATAKE)やっとクリスマスが明けたって感じなんだよね。アメリカ的にはね。

(渡辺志保)そうかもね。サンクスギビングとかから始まるホリデーシーズンが終わってね。年始、配信の準備をするか、みたいな感じなのかわかんないですけど。今日、ここで1曲目にお届けしようと思いますのは21サヴェージの最新アルバム『American Dream』からの1曲にしようと思います。で、アルバムの発表に先駆けて21サヴェージの同じタイトル、『American Dream』というタイトルの映画が公開されますよという、そのトレーラー兼ミュージックビデオが発表されたんですよね。そこでフィーチャーされていた曲が、このアルバムの2曲目に入っている『all of me』という曲なんですけれども。で、その『American Dream』というこの映画版の方はですね、あのドナルド・グローバー……チャイルディッシュ・ガンビーノという名前でもおなじみのドナルド・グローバーが21サヴェージ役を演じているという。

そしてドナルド・グローバーといえばテレビドラマ『アトランタ』でも非常に人気を博しましたけれども。その『アトランタ』を一緒に作ってらっしゃった兄弟のステファン・グローバーもこの21サヴェージの映画に参加しているということで。めちゃくちゃ楽しみですね。でもなんか、ちょっとトレーラーを見て「これは21なのか、ドナルド・グローバーなのか、どっちなんだ?」とか。見てるうちにちょっと頭が混乱しそうになったりもしたんですけれども。

american dream: the 21 savage story Official Trailer

(渡辺志保)まあ『INSIDE OUT』を聞いてる方はご存知だと思いますけど。21サヴェージはアトランタを代表するラッパーだけれども、彼は元々イギリスで生まれたんですよね。それでお母さんたちと一緒にアメリカのアトランタに渡って、ラッパーとして成功するわけなんですけれども。

2019年だったかな? 移民局(ICE)から摘発というか、「お前は不法滞在している移民だろう?」っていうことで逮捕をされまして。今は釈放されて、かつ彼らはこの間、グリーンカードも取得していて。それはつまり、アメリカでの永住権が認められたという状態でありますので。そこまでのドラマを描いた伝記的映画なわけなんですよね。

で、ミュージシャンとかセレブリティ、偉人を含めてですけれども。そういう方たちの伝記的映画ってその方がかなり晩年になってからとか、死後映画化されるみたいなイメージが私は強かったんですけれども。2019年の逮捕から「たかだか」という言い方は非常に失礼だけども。4、5年が経過してるわけじゃないですか。だからその、つい最近の出来事をもう、このスピード感で映画化しちゃうのがアメリカのエンタメ界のすげえところだなという風にも思いましたし。

でもこれは『Variety』というアメリカのメディアがちょっと突っ込んでいたんですけども。この『American Dream』がどれぐらいの規模の……「映画」とは言われているけれども、どういう映画なのかがはっきりしないみたいなことを書いていて。トレーラーにもLIONS GATEのロゴが入ってはいるんだけども。たとえば、これが配信の映画なのか、劇場公開されるタイプの映画なのか。そもそも本当に存在する、実在する映画なんだろうか、みたいな記事を書かれていてですね。私もインターネット・ムービー・データベースとかWikipediaとか、いろいろ見たんですけども。たしかに突っ込んだ詳細とか、プロダクション、キャスト、スタッフのノートみたいなものが見当たらなくて。

ただインデペンデンス・デイだから7月4日に公開されるっていうことはトレーラーでもアナウンスされているんですけれども。まだあと半年ぐらいありますが。一体どういう形で映画という形に着地するのかな?っていう風に……そのへんもたぶん逐一ね、トレーラーが出たりとか。キャスト、もしくは21サヴェージ本人のコメントとかが発表されていくんだろうと思うんですけれども。そういうところも含めて楽しみだなという風に思っています。

で、『American Dream』のアルバムの話に戻るんですけども。アルバムのアートワークになってるのは赤ちゃん時代の21サヴェージ。で、これ、1曲目からちょっと私は泣きそうになっちゃったんですけど。あの1曲目は『American Dream』って曲で始まるんだけど、これは語りの曲なんですよね。で、誰が語っているか?っていうと、21サヴェージのお母さんが語ってらっしゃるんですよね。で、「母親として自分が歩んできた道は全て息子のために自分が切り開いた道だった」みたいなことを語っていて。それで「私の願いは彼にアメリカンドリーム……人生を自由に生きていってほしい」とか話していて。映画のトレーラーの方でもたぶん、お母さんらしき人が語りかけていて。「つらくなったら星を見なさい。離れていても、お母さんも同じ星を見てるからね」みたいな語りがフィーチャーされていて。

そこで今からかける『all of me』がバーッと流れるんだけども。この『all of me』もサンプリングソースがですね、ローズ・ロイスがかつて発表した『Wishing on a Star』という曲をサンプリングしていて。映画のセリフのその「星を見上げなさい」みたいなセリフと見事に合致しているという作りになっております。『Wishing on a Star』はジェイ・Zもかつて、インタールード的に使っておりましたので、古参のヒップホップリスナーは「ああ、あれか」と思うかもしれないですが。そんなこんなで非常にエモな気持ちになりましたので。ちょっと皆さんにも……。

(DJ YANATAKE)あと、あれだね。一応1個だけビデオになってる『redrum』っていう曲、ミュージックビデオをイギリスで撮っているってのもまたね。

(渡辺志保)ああ、故郷であるイギリスでね。

21 Savage『redrum』

(DJ YANATAKE)だからもう、そのへんは問題ないんだね。

(渡辺志保)そう。もうグリーンカードを持ってるから、もう大丈夫なのよ。

(DJ YANATAKE)別に……今度またイギリスに行くっていうのも、別にできるんだね。だからそれはそれでよかったなって思って。

(渡辺志保)そうそう。そうなんですよ。で、彼本人もリリックにしてたかな? 「グリーングリーンカードを取ったらイギリスに行きたい」みたいなことはかつて、リリックにもしていて。それこそ前にアトランタのAkiさんと話した時も「不法滞在してたらしいね」みたいな話になって。Akiさんも「言われてみれば21がアメリカ国外に出たっていう話は聞いたことないわ」みたいな話をしてたのでなので。なので、わかる人にはわかると思うけど。やっぱりそういうね、ドキュメントちゃんと提出しなかったような状態でずっとアメリカにいて。だから、たぶん日本で言う住基カードっていうか、なんていうか、マイナンバーみたいなものもなかったのかなという風にも思いますし。アメリカ国外に出るっていうことが叶わなかったから、おそらくフェスとか、ワールドツアーとかでアメリカ国外を出たこともなかったと思います。

(DJ YANATAKE)じゃあ、そうか。ワールドツアーの可能性も出てきたんだね。

(渡辺志保)そう。それもあるかなって思うし。よりヨーロッパのフェスとか、たくさん出られるんじゃないかなって。今年の夏とか、出るんじゃないかなって。

(DJ YANATAKE)ねえ。どうですかね。サマソニとか、フジロックとか。

(渡辺志保)そうですよね。スマッシュさんとか、クリエイティブマンさんとか、キョードー東京さんとかね。次は……もしくはもう声、かけてるかもしれないもんね。わかんないけど、ありえますね。まあ、『redrum』もめちゃめちゃ21らしい曲なんだけども。ちょっと今日はエモな気分で皆さんに聞いていただきたいです。21サヴェージのニューアルバム『American Dream』から『all of me』をお届けしたいと思います。

21 Savage『all of me』

<書き起こしおわり>

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