町山智浩 映画『ワンダーウーマン』を語る

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町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で全世界で大ヒット中の映画『ワンダーウーマン』について話していました。


(海保知里)さあ、町山さん。今日は?

(町山智浩)今日は、3日前に公開されて、日本を除く全世界で大ヒットしている『ワンダーウーマン』をやります。これ、全世界で250億円を超える大ヒットをしています。

(海保知里)大大大ヒット。

(町山智浩)これは、世界の映画史上で女性が監督した映画の史上最大のヒットなんです。

(山里・海保)へー!

女性監督映画の史上最大のヒット

(町山智浩)で、ちょっと『西部戦線異状なし』みたいなかなりリアルでバイオレントな先頭シーンもあるんですけども、アメリカでは観客の半数以上が女性でした。

(海保知里)へー! じゃあ女性にウケているんですね。

(町山智浩)はい。これはやっぱり、日本の映画会社はどんな映画も女性観客向けにラブストーリーみたいにして宣伝しますけど、そんなことをする必要はもうないですよ。それでですね、基本的な説明をしますと、ワンダーウーマンっていうのはバットマンとスーパーマンと同じDCコミックスっていう漫画のヒーローです。で、ヒロインのワンダーウーマンはね、「アマゾネス」という女の人だけの部族のお姫様です。で、古代ギリシャの神話にあるんですね。アマゾネスっていうのは。で、女性だけの部族なんですけど、男よりもはるかに強い戦士の集団です。

(山里亮太)うん。

(町山智浩)で、このアマゾネスは映画の中では地中海の島に住んでいて、見えないバリアで守られていて、この映画の舞台になる1918年ごろ、第一次世界大戦の時まで他の人間に全く気づかれないまま何千年も女性だけで暮らしてきたという設定です。そこにアメリカ軍の兵士の1人が乗った飛行機が墜落します。これね、数千年間女性だけだった島にはじめて男1人ですよ。

(山里亮太)ほお!

(町山智浩)どうですか、山ちゃん?

(山里亮太)夢のような世界ですね!

(町山智浩)夢のような世界ですよ(笑)。で、しかもね、このアメリカ兵を演じるのはクリス・パインという、『スター・トレック』シリーズでエンタープライズ号の船長を演じているイケメンの俳優ですね。だからこの、主人公のお姫様ワンダーウーマン……まあ、本名はダイアナ姫っていうんですけども。生まれてはじめて男を見て、興味津々なわけですよ。で、お風呂を覗いちゃいますよ。

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(山里亮太)あらっ!っていうことは、あるわけですね?

(町山智浩)そう。で、クリス・パインの股間のエンタープライズ号を見てですね、「男って、みんなそんな感じ?」って聞くんですよ。

(山里・海保)(笑)

(町山智浩)するとね、クリス・パインはなんて言うと思います?

(山里亮太)えっ、見られて? なんて言うんだろう?

(町山智浩)「いや、俺は平均以上だから」って言うんですよ。

(山里亮太)(笑)

(海保知里)あら、すごい自信が(笑)。

(町山智浩)言えないですよ、これ。なかなか(笑)。それでね、実はこのクリス・パイン扮する兵士は敵のドイツ軍が毒ガスで大量虐殺を計画していることを知って、「それを止めなければならない」って言うんですね。

(山里亮太)うんうん。

(町山智浩)そうするとダイアナ姫は正義感があるんで、「彼を助けに行きたい」って言うんですけど、そのアマゾネスの女王様。お母さんなんですけど、こう言って止めるんですよ。「男なんか助ける価値はありません」って言うんですよ。どうしてか?っていうと、実はこのアマゾネスがなんで女性だけで住んでいるか?っていうと、古代に奴隷としてずっと虐げられてきたんですよ。で、そこから脱出して女性だけで住むことにしたんですね。そういう映画なんですよ。この話は。映画っていうか、もともとの『ワンダーウーマン』はそういう話なんですよ。

(山里亮太)ふんふん。

(町山智浩)で、これは監督したパティ・ジェンキンスっていう女性は、この人写真があると思うんですけど。45才ですけど、かわいい感じの人ですね。

パティ・ジェンキンス監督


(山里亮太)そうですね。

(町山智浩)すごくね。で、この人は2003年に『モンスター』っていう映画でものすごく評価されたんですよ。第一回の長編監督作だったんですけど。これ、『モンスター』っていうのはシャーリーズ・セロンがアカデミー賞をとりましたね。

(海保知里)すごい演技でしたよね。顔ももう全部変わった感じでね。すごかったですよね。

(町山智浩)すごい顔のメイクでね、やりましたけどね。あれは実話の映画化で、ヒロインのシャーリーズ・セロンは幼いころから父親とかいろんな男に性的に虐待をされ続けて、踏みにじられ続けてきたんで、とうとう銃を持って逆襲をして6人殺したっていう実話の映画化だったんですね。

(山里亮太)うん。

(町山智浩)だからまさに、この『ワンダーウーマン』をやるための監督なんですよ。で、その『モンスター』の後もいろんな映画にオファーされたらしいんですけど、とにかく全部断ってきて、とにかく『ワンダーウーマン』をやるために14年間かかっているんですよ。

(山里亮太)ええっ!

(町山智浩)大変なんですよ。で、なかなか『ワンダーウーマン』が実現しなかった理由はいくつかあるんですけど、ひとつはハリウッドっていうか世界の映画界がいままで製作費1億5000万ドルもの超大作を女性に任せたことがなかったんですね。

(海保知里)ああ、そうなんだ。

(町山智浩)そういうリスクもあったと思うんですけども、大成功しましたね。だからこれはもう映画史上に残る事件ですよ。でね、これね、映画としてはいろんな要素が入っていて、それこそ「増し増し」みたいな、「全部乗せ」みたいな感じなんですよ。

(山里亮太)おおっ、贅沢な。

(町山智浩)そう。どっかの二郎みたいなね。

(山里亮太)もう言ってしまってますよ(笑)。

(町山智浩)そうそう(笑)。でね、まずこれ最初、男を見たことがないお姫様が……っていう展開はこれ、『リトルマーメイド』ですよね。ディズニープリンセスなんですよ。で、外の世界に憧れて人間たちの世界に行くんですけど、そこは『ローマの休日』なんですよ。

(山里亮太)そうか。お姫様が。

(町山智浩)そう。だからオードリー・ヘップバーンとそっくりで、生まれてはじめてアイスを食べて感動したりするシーンもありますね。

(山里亮太)へー!

(町山智浩)「アイス、おいしい!」っていうやつですけど。で、あとはこの『ワンダーウーマン』っていうのはアマゾネスで戦士なんで、鎧を着ているんで。その頃のイギリスに行って、普通の女性服を着せられるんですね。すると、当時はコルセットとペチコートなんですよ。

(海保知里)ああ、キュッと締めるやつですね。

(町山智浩)そうそう。だから「これじゃ戦えないでしょ!」って言うんですね。ワンダーウーマンは。そうすると、「女は戦わないですよ」って言われるんですよ。

(山里亮太)ああ、そういうメッセージなのかな。

(町山智浩)そう。ここも面白くてね、このワンダーウーマンを演じているガル・ガドットという人は兵隊さんだったんですよ。

(山里亮太)ああ、実際に?

(町山智浩)実際に。この人、イスラエルの人なんで。イスラエルは国民は男女全て全員、兵役義務があるんで。彼女も10年ほど前にね、従軍をしているんですよ。

(山里亮太)へー!

(町山智浩)だからそれが原因でね、イスラエルの隣の国のレバノンでは『ワンダーウーマン』は上映禁止なんですよ。

(山里亮太)へー!

(町山智浩)そう。イスラエルとレバノンは国境で接していてずっと戦争をし続けているんでね。で、このワンダーウーマンはスティーブっていうイケメンのクリス・パインと一緒にイギリスの議会に行って。第一次大戦中なんで、軍事的な会議をしているところに行くんですけど。で、「彼らは毒ガスを用意しているから、兵士がたくさん死にますよ!」って言うと、その軍人や政治家が「兵隊っていうのは死ぬのが仕事なんだよ」って言うんですよ。そうすると、ワンダーウーマンは「そんなのおかしいでしょ!」ってやっちゃうわけですね。

(山里亮太)うん。

(町山智浩)すると、そこでその政治家や軍人に「そもそもなんで女が会議に入ってくるんだ? 女が政治や軍事の会議に口を出すなんて、前代未聞だ。出て行け!」って言われるんですよ。この頃、1910年代っていうのはイギリスもアメリカも女性には参政権がなかったんですよ。

(山里亮太)そうか。うんうん。

(町山智浩)選挙権がないんですよ。で、全く参政権運動の真っ最中なんですよ。この当時っていうのは。実は、これもまたすごく重要な要素で。『ワンダーウーマン』っていう漫画の原作者は、漫画自体は実は1941年から連載が始まるんですけど。この原作者のウィリアム・M・マーストンっていう人がいるんですけども。この人は、その全くこの映画の舞台になった1911年ぐらいに、ハーバードの学生だった頃にイギリスの女性参政権運動家のエメリン・パンクハーストっていう人と会っているんですね。

(山里亮太)はい。

(町山智浩)このパンクハーストっていう人はすごい過激な運動家で。爆弾テロまでやっている人なんですけども。その人をハーバードの学生たちが講演に招いたんですけども、当時ハーバードでは女性が講演をすることを禁止していたんですよ。ハーバードは女人禁制だったんですよ。

(海保知里)知らなかった……。

(町山智浩)だから、そのパンクハーストさんはキャンパスの外で、ダンスホールかなにかで講演するしかなかったんですね。その時に、学生の生徒でいちばん前で見ていたのがこのマーストンというう人で、その30年後に『ワンダーウーマン』を作るんですよ。

(山里亮太)へー!

ワンダーウーマンの武器

(町山智浩)だから関係しているんですよ。実は、この選挙権がないっていうことと。それと、このワンダーウーマンっていうのは武器を4つ持っているんですけど。剣と盾と腕輪と、4つ目の武器が真実の投げ縄という武器で。これ、投げ縄をかけられたやつが何でも本当のことを告白するという武器なんですね。

(山里亮太)不思議な武器!

(町山智浩)不思議な武器なんですよ。こんなもん、あったら困りますが。はい(笑)。

(山里亮太)なにを隠しているんですか?(笑)。

(町山智浩)実はこれは、この原作者のマーストンが発明したものなんですよ。実際に。

(山里亮太)へー!

(町山智浩)このマーストンっていう人は、いまでもみんなが使っているウソ発見器の発明家なんですよ。

(山里亮太)ああ、そんな人がこの原作なんだ。

(町山智浩)そうなんですよ。精神科医なんですよ。

(山里亮太)へー!

(町山智浩)ポリグラフっていうウソ発見器、いまも使っていますけど。それはこの『ワンダーウーマン』の原作者が発明したものです。で、写真がそこにあると思いますけども。

(山里亮太)はい。あります、あります。

(町山智浩)で、この人、なんで精神科医なのに漫画の原作を書くことになったかっていうと、1940年代に「漫画を読むとバカになる」って言われていたんですけど、このマーストンっていう人は漫画が教育効果があるというようなことを科学雑誌に書いたんですね。

(山里亮太)うん。

(町山智浩)そしたら、出版社から「じゃあ漫画の原作を書いてくれないか?」って言われたんですよ。そしたらこのマーストンの奥さんはエリザベス・ハロウェイという人で、その頃アメリカでものすごい有名な、アメリカでも最も初期の女性弁護士なんですね。その頃、女性弁護士って全体の2%以下しかいなかったんですよ。

(山里亮太)うんうん。

(町山智浩)だからものすごい珍しくて。だって、ハーバードに女性は入れなかったですからね。

(山里亮太)そうか。うんうん。

(町山智浩)大学自体が法学部が女性を受け付けていなかったんですよ。当時は。それを突破した、すごい人だったんですね。奥さんは。で、奥さんが「じゃあ、これは女性をヒーローにして漫画を書いて」って言ったんですよ。で、『ワンダーウーマン』が始まるんですよ。

(山里亮太)ふーん、そこから! へー!

(町山智浩)でね、この話がまた面白くてね、ワンダーウーマンっていうかアマゾネスたちはみんな両腕に腕輪をしているんですよ。で、これで銃弾とかを跳ね返すんですけど、なんでしているか?っていうと、これはかつてアマゾネスたちがみんな奴隷として手枷をはめられていたことを忘れないために、腕輪をしているんですね。

(山里亮太)ああー。

(町山智浩)ところがその呪いがあってですね、この腕輪を左右両方、鎖で繋がれるとスーパーパワーを失ってしまうんですよ。で、この漫画、連載当時はですね、ワンダーウーマンは毎回鎖やロープで縛られてピンチに陥るっていうのを繰り返すんですよ。で、この腕輪は実は実在する腕輪で。写真があると思うんですが、そこに精神科医のマーストンの助手の写真がると思うんですよ。


(山里亮太)ああ、あります。あります。はいはい。

(町山智浩)この人、オリーヴ・バーンっていう人なんですけど、この人は両腕に腕輪をしているんですけど、写真に写っているんですね。

(山里亮太)写っています。はい。腕輪をしています。

(町山智浩)銀の重い腕輪をしていたらしいんですけど、これがワンダーウーマンの腕輪の元になっているんですよ。

(山里亮太)へー。

(町山智浩)で、このオリーヴ・バーンっていう人は、すごく有名な女性の避妊運動の運動家のマーガレット・サンガーという人の妹の娘なんですね。で、その頃にアメリカでは避妊が禁じられていたんですよ。

(海保知里)ああー……。

(町山智浩)ひどいでしょう? 「キリスト教に反するから」ということで。で、避妊具を配ったり、避妊の仕方を教えたりする運動を始めえたのがこのマーガレット・サンガーとこのオリーヴ・バーンのお母さんの姉妹なんですよ。で、逮捕されているんですよ。避妊を教えていたから、わいせつ罪で。

(山里亮太)へー!

(町山智浩)ひどい時代でしょう? で、その頃、マーガレット・サンガーさんが写真があるかと思うんですけども。何回も逮捕されているんですが、自分を鎖で縛ったり、口枷をしたりして写真に写っているんですね。

(山里亮太)ああ、はいはいはい。あります。

(町山智浩)ありますよね。で、その頃、女性参政権運動家はイギリスもアメリカも、自分たちを鎖でグルグルに縛ったりして運動をしていたんですよ。


(海保知里)へー!

(町山智浩)それは「自由を奪われた女性の立場」を表現するためだったんですよね。「私たちは鎖に縛られているのも同じなんだ。自分の身体も自由にならない。選挙権もない」と。で、ワンダーウーマンは毎回毎回、鎖で縛られるんですよ。で、毎回それを引きちぎって打ち破って、敵をやっつけるんですよ。


(山里亮太)なるほど。

(町山智浩)だから、すごく最初から、『ワンダーウーマン』は連載当時から、女性解放運動とつながっていたんですよ。実際に、人間関係も。で、その人工中絶はアメリカでずっと禁じられていて、1972、3年にやっと合法化されるんですけど、その時にその運動をしていた女性解放運動の雑誌で『Ms.(ミズ)』っていうのがあるんですね。

(山里亮太)はい。

(町山智浩)そこに表紙があると思うんですけども。その頃、「Miss(ミス)」か「Mrs.(ミセス)」で女の人を呼んでいたじゃないですか。「結婚をしている/していない」で。でも、そうじゃなくて、「結婚をしている/していない」で女性を分けるのはおかしいから全部「Ms.」に統一しようっていう運動があって、『Ms.』っていう雑誌が出るんですよ。

(海保知里)へー!

(町山智浩)その時の表紙が、ワンダーウーマンなんですよ。

『Ms.』マガジン創刊号の表紙


(山里亮太)あ、こちらに写真がありますけども。本当。

(町山智浩)そうなんですよ。「ワンダーウーマンを大統領に」っていう表紙をやっていて。ワンダーウーマンはもうずーっと女性解放運動のシンボルだったんですよ。

(山里亮太)へー!

(町山智浩)ただね、最近『ワンダーウーマンの秘密の歴史(The Secret History of Wonder Woman)』っていう本がアメリカで出たんですよ。で、驚くべきことがわかって。その原作者のマーストンという人そのものも、今度は映画になるんですよ。

(山里亮太)へー!

(町山智浩)彼の人生があまりにもすごい人生なんで。っていうのは、毎回毎回ワンダーウーマンは縛られる話にしていたじゃないですか。実は彼は女性の解放を訴える一方で、縛られた女性が大好きだったんです。

(山里亮太)あれっ?

(海保知里)個人的な、その?(笑)。

(町山智浩)そう(笑)。性的に……いわゆる「ボンデージ」っていう趣味の人だったんですね。非常に矛盾した人だったんですよ。で、この助手のオリーヴさんが両腕にしていた腕輪は、実は結婚指輪の代わりだったんです。

(山里亮太)えっ?

(海保知里)どういうこと? えっ?

(町山智浩)この人は、奥さんはアメリカでも最も有名な初期の女性弁護士だったんですけど、それと同時にこのオリーヴさんと秘密の結婚をしていたんですよ。

(山里亮太)えっ?

(町山智浩)だからいわゆる一夫多妻だったんですね。

(山里亮太)えっ、もちろんダメですよね。それはね?

(町山智浩)だから隠していたんで、最近全部判明したんです。で、3人で同居していたんですよ。

(山里亮太)それは、本当の奥さんは何も言わずに?

(町山智浩)そうなんですよ。だから、最初にアマゾネス、女だけの島に男1人っていうのは彼自身の私生活だったんですよ。

(山里・海保)ああーっ!

(町山智浩)しかもこのマーストンは2人の奥さんにそれぞれの2人の子供を産ませているんですね。っていう話なんですよ。だからあまりにも、まあすごく奇妙な話なんで、これだけを映画にしようということで、『マーストン教授(Professor Marston & The Wonder Women)』という映画がもう撮影が終わって、今度公開されるんですけどね(笑)。



(山里亮太)へー!

(町山智浩)というね、非常に複雑なものがね、『ワンダーウーマン』の裏にはあって。いろいろと面白いんですよ、これは。まあ、ちょっと映画の方の『ワンダーウーマン』に戻りますけども。これ、まあ最初はディズニープリンセスで、非常に純粋無垢なお姫様なんですけども、第一次世界大戦で最も激戦だった西部戦線に行くんですね。『西部戦線異常なし』という映画になっていますけども、塹壕戦でもって、機関銃の陣地で両軍がものすごい死者を出した戦闘に行くんですよ。で、そこでまあ、実は人間っていうのはたしかにお母さんが言った通り、非常に邪悪なものなんだということがわかってくるんですよ。で、人間にちょっと絶望するわけですね。ワンダーウーマンが。

(山里亮太)うん。

(町山智浩)でも、その後にまた、人間を信じられるようなことが起こって、で、でもそれもまた、非常に悲しいことがあって……というですね、はっきり言って完全に『ローマの休日』なんですよ。

(山里亮太)へー!

(町山智浩)だから、『ローマの休日』を見た人ならわかるんですけど、ある非常に決定的なシーンが丸ごと真似されているというシーンもあります。

(海保知里)えっ、なんだろう? なんだろう?

(町山智浩)だからこれね、武闘派『ローマの休日』ですね。

(山里亮太)武闘派『ローマの休日』!?

(町山智浩)はい。極道『ローマの休日』っていうかですね(笑)。そういう感じなんですよ。これね、僕ね、女性たちがこんなにも大量の男たちを殺しまくる映画って前代未聞だと思いますよ。

(山里亮太)はー!

(町山智浩)アマゾネス軍団対ドイツ軍の大戦闘がありますからね。これ、映画史上最高に女の人が男を殺している映画だと思いますよ。

(海保知里)これ、見たいわー!

(山里亮太)で、これまたね、DCコミックスだから。ああいう戦闘シーンとかド派手で楽しいですよね。たぶん。

(町山智浩)すっごいですよ、これ。で、演出をこのジェンキンスさんが自分でやっているんですね。写真を見ると。すっごいですよ。これはもう、かなり映画史上画期的な映画だと思いますね。で、僕は17才の娘と一緒に見に行ったんですけど、見終わった時にもうすぐに「面白かったー!」って言いましたからね。

(山里・海保)へー!

(町山智浩)これはすごいことだなと思いますね。はい。ただね、日本だけはなぜか8月25日公開なんですね(笑)。

(海保知里)日本だけちょっと遅いんですか?

(町山智浩)なんでも日本だけは遅いですね。

(海保知里)なんか混み合っているんですかね、劇場がね。

(町山智浩)日本だけ混み合っているんでしょうね。日本映画がたくさんありますから、しょうがないですけど。

(山里亮太)なるほど。早く見たいな、これ。

(海保知里)これは8月25日に全国ロードショー。で、続編も?

(町山智浩)もう続編決定なんですよ。これ、実はDC系っていうのはすごく、『バットマンvsスーパーマン』とか上手くいってなくて。DCコミックスの映画は終わるんじゃないか?って言われていたんですけども、この『ワンダーウーマン』が救ったんですね。だからこれ、女性が世界を救う映画なんですけど、女性がワーナー・ブラザースを救っているっていうね(笑)。大変なことになっていますけども。バットマンもスーパーマンも女性に救われているというですね。

(海保知里)やっぱりちょっとマーベルに押されているんですか? DCが。

(町山智浩)押されているんですけども、『ワンダーウーマン』が持ち直しましたね。

(海保知里)そうか。救世主というね。

(山里亮太)バットマンとスーパーマン、ケンカしていたからね(笑)。

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(海保知里)ということで、『ワンダーウーマン』について今日は町山さんにお話をうかがいました。来週はこの時間、伝説のテレビドラマシリーズ、デビッド・リンチ監督『ツイン・ピークス』の続編についてお話していただきます。なんと町山さん、小堺一機さんも一緒にお話をおうかがいします。

(町山智浩)小堺さんはもう関根勤さんと2人でものすごい映画マニアですよね。

(海保知里)映画通ですから。またそんなお話もうかがいたいと思います。町山さん、ありがとうございました。

(町山智浩)どうもでした。

(山里亮太)ありがとうございました。

<書き起こしおわり>

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