町山智浩 2017年スーパーボウル 企業CMメッセージを語る

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町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で2017年のスーパーボウルで放送された企業コマーシャルの中に込められたメッセージについて話していました。



(町山智浩)でね、今日はいろいろと話すことがいっぱいあって。まず、スーパーボウルっていうのがあったんで、その話からさせてください。

(赤江珠緒)昨日ね。はい。

(町山智浩)アメリカンフットボールの頂上決戦で、ボストンのニューイングランドペイトリオッツというチームが大逆転で勝利をしたんですけども。これね、コマーシャルの方が視聴率が高いというイベントなんですよ。

(赤江珠緒)そうなんですか! コマーシャル?

(町山智浩)そう。あのね、要するにアメリカって地元のチームしか応援しないので、地元のチームじゃないとそんなに真剣に見ていないんですよ。アメリカ人は。

(赤江珠緒)ああ、そう?(笑)。頂上決戦なのに?

(町山智浩)そう。でもね、コマーシャルとハーフタイムショーだけは見ているんですよ。

(山里亮太)ハーフタイムショーはね、毎回話題になりますからね。

(赤江珠緒)レディ・ガガさんですか。

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(町山智浩)そうなんですよ。でね、コマーシャルね、ものすごく視聴率が高いんで。スーパーボウルはアメリカのテレビ番組の中で最も視聴率が高い番組なんで、ものすごくお金をかけてコマーシャルをやるんですね。で、特にみんなビールを飲みながら見ていますから。僕の飲んでいましたけども(笑)。バドワイザーがすっごいコマーシャルをブチ込んでくるんですよ。何本も。

(赤江珠緒)はいはい。

(町山智浩)ところが、それがバドワイザー飲まない運動に発展しているんですよ。いま、アメリカでは。

(山里亮太)えっ? 不買運動みたいなことですか?

(町山智浩)不買運動。ボイコット運動になっていまして。それはどうしてか? といいますと、スーパーボウルで放送したバドワイザーのコマーシャルが、19世紀にバドワイザービールの創業者であるブッシュさんという人がドイツからアメリカに渡ってきてビール会社を設立する時の話をドラマ仕立てでコマーシャルにしているんですね。

(赤江珠緒)うん。見ました、見ました。

バドワイザー スーパーボウルCM



(町山智浩)あ、見ました?

(赤江珠緒)すごくよくできていた、映画みたいなCMでした。

(町山智浩)すっごいお金をかけてましたね。ところがそのブッシュさんがアメリカに来ると、もともとアメリカに先に来ている移民の人たちから「移民野郎! 帰れ!」みたいなことを言われるんですよ。「国に帰れよ!」とか言われるんですよ。で、差別されながらも苦労してビール会社をつくりましたっていう話なんですけど、それを今回放送したら、要するに「バドワイザーは移民の味方なのか?」っていうことで、トランプのイスラム系の入国禁止令とかメキシコ系の不法移民に対するトランプの非常に厳しい移民政策にバドワイザーは反対するのか?っていうことで、トランプを支持している人たちが「バドワイザーを飲むな!」運動を始めているんですよ。

(赤江珠緒)ええーっ!? そうなっちゃったんだ。

(町山智浩)そう。もう、どうかしてますよ。本当に。

(山里亮太)本当にどうかしてますね。

(赤江珠緒)こうなると、企業がせっかく主張をしても、しづらくなりますね。

(町山智浩)そう。だいたいそのコマーシャルの中で「移民出て行けよ!」とか言っているやつも移民っていうのと全く同じ構造が起こっているので(笑)。「先に来ただけ」っていう話ですよね。ところがね、もう1個ね、建築用の木材……建物の中に入っている木造建築の木材を作る会社のコマーシャルをやったんですよ。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)その木材会社がね、「84 Lumber」っていう会社なんですけど、そのコマーシャルは完全にメキシコから国境を越えてアメリカに入ろうとする不法移民の母と子を描いているんですよ。

84 Lumber スーパーボウルCM



(赤江珠緒)ふーん。うん。

(町山智浩)だから、これは問題を起こすということで、コマーシャルを全部放送できなくて。後半は企業のホームページでしか見れないという状態になったんですよ。

(赤江珠緒)放送もできない?

(町山智浩)半分までしか放送できなかったんですよ。それが、アメリカのメキシコの間の、アリゾナあたりの荒野を抜けてボロボロになりながら母と幼い娘がアメリカの国境を目指すんですけど。そこに行くと……まあ、ネタバレになっちゃうけど言いますけど、壁が建っているんですよ。要するに、トランプが作ると言っている壁が。だからそれを放送できなかったんですよ。

(赤江珠緒)ああーっ!

(山里亮太)モロにそのトランプの発言を意識して作られているんだ。

(町山智浩)そうなんですが。ただ、もしトランプがいまの計画のまま、メキシコとの間に壁を作るとしたら、まあ建築するのはメキシコ人でしょうね。

(山里亮太)まあまあ、そう言ってますもんね。「金を(メキシコに)出させる」って。

(町山智浩)いやいや、アメリカでメキシコ人が最もたくさん仕事に就いているのは、建築業なんですよ。

(赤江珠緒)ああー、そういうこと? じゃあ、その壁を作る人はメキシコの人になって。なんという……。

(町山智浩)恐らく、メキシコ系の人の助けを得ないと、ものすごいお金がかかっちゃうので、メキシコ系の不法労働者を使わないと建てられないんじゃないか?っていう噂になっていますね。いまね。

(赤江珠緒)はー、そうですか。

(町山智浩)これは差別とかじゃなくて、バッカじゃねえの?っていうことですよ。ここは。

(赤江珠緒)いや、本当よ。

(町山智浩)バッカじゃねえの?っていうところですよ。ここは(笑)。

(赤江珠緒)でもこのスーパーボウルのコマーシャルが今回、割りとそうやって政治を皮肉ったようなとか物申すようなCMだったのは、やっぱり今年だからですか?

(町山智浩)いや、いつもそうですよ。

(赤江珠緒)いつもそうなんですか?

(町山智浩)いつもそうです。ただまあ、昔ブッシュ大統領の時にはイラク戦争に反対するコマーシャルを放送しようとして、放送ができなかったりはしています。

(赤江珠緒)ああー。

(町山智浩)ただやっぱりアメリカの企業はコカ・コーラがアメリカの第二国歌である『America is Beautiful』という歌をアメリカにいるいろんな人たちが、スペイン語やアラビア語や中国語で歌うっていうコマーシャルを今回も放送しましたね。

コカ・コーラ スーパーボウルCM



(赤江珠緒)うーん。ふん。

(町山智浩)で、コカ・コーラははっきりと「トランプの反移民政策に反対する」と表明しました。

(赤江珠緒)それに対して、不買運動になるのか。

(町山智浩)日本の企業は絶対にやらないことですよ。だって、アメリカはグーグルもマイクロソフトもはっきりとトランプの今回の入国禁止令に対して反対を表明しましたからね。

(赤江珠緒)しましたよね。うん。

(町山智浩)フォードもしましたけど。そこはすごく企業として違うところですけどね。日本とは。

<書き起こしおわり>

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