宇多丸 Robert Glasper feat. Pharoahe Monch『Gone 2015』を語る

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宇多丸さんがTBSラジオ『タマフル』の中でマイルス・デイヴィスの映画『MILES AHEAD/マイルス・デイヴィス 空白の5年間』のサントラ曲、ロバート・グラスパー feat. ファラオ・モンチ『Gone 2015』について話していました。



(宇多丸)ということで、ここらで1曲ちょっと曲でも行ってみようかと思います。本日、週刊映画批評ムービーウォッチメン、今年一発目に扱う映画『MILES AHEAD/マイルス・デイヴィス 空白の5年間』という作品を扱います。当然、マイルス・デイヴィス。ある意味世界で最も有名なジャズ・ミュージシャンの1人でしょうね。ミュージシャンとしても本当に。なんだけど、伝記映画みたいなものがいままでなぜか1回も作られたことがなくて……というのの1本なわけで。後ほど、その映画評の方は10時半ぐらいからやらさせていただきますが。そのサントラをロバート・グラスパーといういまジャズ界のみならず、ジャズ、R&B、ヒップホップと股にかけて活躍する方が今回の映画のサントラを手がけていて。

終わりの、エンドロールの方に、オリジナル曲というか、ロバート・グラスパーが手がけたオリジナル曲が2曲流れて。特にこちら、もう完全にエンドロールで画面が暗くなって流れるラップの曲がございまして。パッと聞いて、「おっ、かっけーな! ラップ、かっこいい!」って思って聞いていてクレジットを見たら、なんだ……「おっ、かっこいい!」って思ったら、ファラオ・モンチというね。ファラオ・モンチという方は、我々的にはオーガナイズド・コンフュージョンという最初のアルバムは1992年かな? セルフタイトルの『Organized Konfusion』という、これはもう名盤ですね。当時のハリウッド・ベーシックというディズニー傘下で、ファンケンクラインという素晴らしい男が作ったレーベルから出した『Organized Konfusion』。その後のアルバムも本当に素晴らしいんだけど。



その、ラッパーが2人いるんだけど、プリンス・ポエトリーともう1人のファラオ・モンチという。で、ファラオ・モンチはソロとしてもその後、活躍して。いちばんみなさん、有名なのは『Simon Says』という、ゴジラの曲ね。「デー、デデデー……」をサンプルして、いわゆるチョップ&フリップ。組み換えてめちゃめちゃかっこいいグルーヴにした。『チャーリーズ・エンジェル』の劇中でも出てきた曲ですけど、『Simon Says』という曲がめちゃめちゃ有名なファラオ・モンチというラッパーがいて。

Pharoahe Monch『Simon Says』



まあ、要はデビューが92年ですから、めちゃめちゃベテランで、もうはっきり言っておっさんもいいところなんですけど、そのファラオ・モンチが相変わらずラップがかっこいいんですよね。本当にジャズ的というか、そういうところとのフィットもいいですしね。ということで、ロバート・グラスパー feat. ファラオ・モンチ。『MILES AHEAD』のエンドロールで流れる曲をお聞きいただきたいと思います。『Gone 2015』。

Robert Glasper feat. Pharoahe Monch『Gone 2015』



ということで、今回のロバート・グラスパーが作ったサウンドトラック、最後のエンドロールで流れるファラオ・モンチの素晴らしいラップが乗る『Gone 2015』という曲なんですけども。もともとね、マイルスの遺作『doo-bop』という1991年のアルバム。ヒップホップと最後に……マイルス・デイヴィスがついにヒップホップと絡んでということで話題になって。当時91年、僕は当然ヒップホップサイドの側としてそのアルバムを聞いた時に、「マイルス・デイヴィスはジャズ……それがヒップホップと絡む。それは絶対に面白くなるよ!」って思ったんですけど、そこで「あっ、イージー・モー・ビーとやるんだ……」っていう。別に、イージー・モー・ビーはいいんですよ。イージー・モー・ビーはそれは優れたプロデューサーで、特に後に、94年になって『Flava In Ya Ear』というクラシックビートを作ってもうホームランをかっ飛ばすんだけど……



91年の時点でイージー・モー・ビーは自分のグループ、ラッピン・イズ・ファンダメンタルというグループで、そんなに突出した存在という感じでもなくて、ちょっとポップな感じだったから、「ええー、なんかマイルスが組むんだったら、いまだったらもっといるんじゃないの?」って……それこそ、91年だったらもうちょっと後になるとね、トライブ(ア・トライブ・コールド・クエスト)のセカンド・アルバム。まさにロン・カーターなんかと組んでやるジャズとヒップホップの融合みたいなのがもっともっと有機的になってくる時代だったので。そのちょっと手前ぐらいなんですよね。

で、ここで組むとしたら、たとえばパブリック・エネミーのボム・スクワッドとか。で、もっと実験的なことをやるか……で、実際に聞いたら、「うーん、普通にイージーリスニングっぽい……」みたいな感じになったんだけど。逆に言えば、でもその91年の時点でやっぱりヒップホップとジャズの融合というところに一歩踏み出したマイルスの先見の明っていうのもありますし。ということで、ある意味、今回ロバート・グラスパーがそれのお返しというか、「実際にマイルスが生きてやるなら、ここはファラオ・モンチじゃないっすか?」みたいな、そんなあたりでできているんじゃないでしょうか。ということで、後ほど映画評の方を楽しみにしてください。

<書き起こしおわり>

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