町山智浩 映画『ナイスガイズ!』を語る

町山智浩 映画『The Nice Guys』を語る たまむすび

町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で2016年の『映画秘宝まつり』で上映される映画『ナイスガイズ!(原題:The Nice Guys)』を紹介していました。
※映画紹介時は邦題未定だったため、原題でお話しされています。

ナイスガイズ!(字幕版)

(山里亮太)町山さん?

(町山智浩)はい。

(山里亮太)映画の情報、教えてもらっていいですか?

(赤江珠緒)(笑)

(町山智浩)ああ、すいません。はい(笑)。

(赤江珠緒)ああ、そうだ。今日の映画。二本立てだったんです(笑)。

(町山智浩)今回ですね、僕がずっとやっている『映画秘宝』という雑誌のお祭りを毎年やっておりまして。それで今年もやりますんで、それの紹介をします。『映画秘宝まつり』で今年上映する映画は『グリーンルーム』という映画と、『The Nice Guys(原題)』っていう映画です。これはですね、今年9月18日に浅草のしたまちコメディ映画祭の中で行われるんですけども。18日の開場は14時半から。今回は二本立てであります。

(赤江珠緒)開演は15時。はい。

(町山智浩)そうです。これね、『グリーンルーム』は前に紹介したんですが。先日、車の事故で亡くなったアントン・イェルチンくんの最後の主演作ですね。で、これがネオナチの白人至上主義者に閉じこめられてしまったパンクバンドの若者たちのサバイバルの話なんですけど。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)似たような状況は僕も経験しておりますが(笑)。僕の経験した状態なんて、この『グリーンルーム』に比べたら、もう温泉に浸かっているみたいなぬるま湯でしたけど。

(山里亮太)あら、そうなんですか。聞きたいけど、危険な香りがするから映画の話にしましょう(笑)。

(町山智浩)はい(笑)。『グリーンルーム』の方は本当に地獄ですよ。要するに、全員が銃を持っているスキンヘッズに囲まれて、「全員生かして出すな!」ってパンクバンドの連中が言われて。で、どうやってそこから脱出するか?っていう駆け引きの、密室ホラーアクションパンクロックハードコア映画ですね。

(赤江珠緒)盛りだくさんですね(笑)。

(町山智浩)盛りだくさんで。これはまあ、詳しい話は前にした通りなんですけど。アントン・イェルチンくんが本当にがんばって。まあ、ちょっと強烈な映画なんで。言えないんですけど、大人じゃないと見れないような内容になっていますので。

町山智浩『グリーンルーム』を語る

町山智浩 アントン・イェルチンと映画『グリーン・ルーム』を語る
町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で亡くなった俳優のアントン・イェルチンさんを追悼。彼の出演映画『グリーン・ルーム』を紹介していました。 (町山智浩)あ、そうだ。今日紹介する映画は、アメリカではごく低予算映画で。ほとんど自主制作に...

(赤江珠緒)へー。

(町山智浩)で、これをまさかお祭りで見て、ドヨーンとした気持ちになりますので(笑)。で、二本立てでもう1本つけることにしました。で、もうひとつつけるのは、もうタイトルからしてものすごく明るい『The Nice Guys』で。ちょっと音楽を聞いていただけますか?

(山里亮太)あら? よく聞きますよ、この音楽。

(赤江珠緒)なんかディスコのね。

(町山智浩)はい。そうです。ディスコですね。アース・ウィンド・アンド・ファイアーの歌ですけども。『宇宙のファンタジー』っていう名曲ですね。この『The Nice Guys』っていう映画は舞台が1973年ぐらいなんですよ。山ちゃんは生まれてないね?

(山里亮太)まだ僕は生まれてないです。

(赤江珠緒)私も生まれていないです(笑)。

(町山智浩)生まれていないですね。僕はこの頃、もう小学校の終わりぐらいか。そんなもんですね。だから、チンチンは毛は生えてないけど勃ちましたけど。

(山里亮太)(笑)

(町山智浩)ええと、そういうギリギリの時ですね。大人になるかならないかっていう時でしたけど。なにを言ってるんだ? はい(笑)。「あれ? なんで固くなるんだろう……」みたいな時でしたけど(笑)。

(山里亮太)いや、いいですよ!

(赤江珠緒)そこを事細かに描写しなくていいですよ!(笑)。

(町山智浩)ああ、そうですか? すいません。その頃が舞台でですね、ディスコブームだった頃です。それで、アメリカのロスアンゼルスが舞台で。これ、主役がいいんですよ。主役はライアン・ゴズリング。この人、まあ二枚目の、『ドライヴ』っていう映画でカリスマ的ヒーローを演じたライアン・ゴズリングが私立探偵の役ですね。

(赤江珠緒)へー。

(町山智浩)超イケメンですね。ただ、この映画の中では酔っぱらいのダメ探偵で、いつもボーッとしているとだんだん眠っちゃうという非常に危ない人なんですよ。

(赤江珠緒)ふーん。

(町山智浩)で、もう1人。相棒がラッセル・クロウ。ラッセル・クロウと言えば、この人はもう人をぶん殴ってばっかりいる人ですけど。私生活でも、映画の中でも。

(赤江珠緒)(笑)

(山里亮太)私生活も?

(町山智浩)この人、私生活でも暴行事件を起こしているような人なんです。実際に。この人、いま『レ・ミゼラブル』の警察官とかで知られているけど、この人、デビューした頃は男と見ればぶん殴って、女と見ればヤッちゃうっていう人だったんですよ。

(山里亮太)えっ? 超荒くれ者じゃないですか!

(町山智浩)だって人妻のメグ・ライアンをヤッちゃって離婚に追い込んだ人ですからね。

(赤江珠緒)あのメグ・ライアンを?

(町山智浩)そういう、腕もあっちもヤリヤリの人だったラッセル・クロウですけども。まあ、いまはただのおっさんになっちゃいましたが(笑)。

(赤江珠緒)ちょっと太ったかな? うん。

(町山智浩)ねえ。彼がこの映画の中では「殴り屋」っていう役をやっているんですね。人を金もらって殴って……要するに、「あの男が私を捨てたの。殴って!」って言われて、女に人にお金をもらって殴りに行くみたいな仕事をやっている人なんですよ。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)で、この殴り屋のラッセル・クロウと酔っぱらいの探偵のライアン・ゴズリングが2人でバディを組んでですね、その1973年にあった自動車の排ガス規制をめぐる陰謀を解決していくっていうアクションコメディーです。アメリカのね、自動車ってそれまで巨大なアメ車しかなかったんですけど、73年ぐらいから日本車が急に売れるようになるんですよ。それは、石油ショックと排ガス規制のせいなんですよ。で、石油をガバガバ食って排気ガスをバンバン出すアメ車が使い物にならなくなったんで、日本車が売れるようになったんですけどね。

(赤江珠緒)うんうんうん。

(町山智浩)その直前の話です、これは。

(赤江珠緒)これは見やすそうですね、たしかに。

(町山智浩)これは見やすいですよ。はい。これ、一応ね、その頃めちゃくちゃアメリカで流行っていた産業としてハードコアポルノっていうのがありましてですね。っていうのは、その時に初めてアメリカの憲法で、そのものズバリのセックスを見せる映画が許されることになったんですよ。

(山里亮太)おお、憲法で。

(町山智浩)憲法で解禁されて、それでそれが大ブームになって。巨大な産業になった時が背景になっているんで、いろんなエッチな人たちがいっぱい出てくるんですけども……背景でしか出てこないので、子供も見れる内容になっています。

(赤江珠緒)ああ、そうかそうか。

(町山智浩)でね、この映画ね、作った人はシェーン・ブラックっていう監督なんですが。この人は僕とたったひとつ違いなんですけども、『リーサル・ウェポン』シリーズの脚本家として億万長者になった人です。『リーサル・ウェポン』っていう映画、ありましたよね?

(赤江珠緒)はいはい。

(町山智浩)あれを20代かなんかで1人で脚本を書いて。それで大当たりして、もう億万長者になったんですよ。ところがその後も似たような映画ばっかり、いわゆるバディものと言われる相棒ものの、日本だと『あぶデカ(あぶない刑事)』みたいなもの、ありますよね? そればっかり書いていたんで飽きられちゃって、一時消えていたんですよ。

(赤江珠緒)ええ。

(町山智浩)ところが最近ですね、『アイアンマン3』で復活しまして。

(山里亮太)急に?

(町山智浩)急に。それまで消えていたんですけども。で、今回この『The Nice Guys』で華々しく、またバディものに戻ってきたんですね。

(赤江珠緒)(笑)

懐かしい雰囲気の映画

(町山智浩)でね、やっぱり懐かしい映画なんですよ。すごくファッションが。パンタロンってわかります?

(山里亮太)裾がフワーッと広がっている。

(町山智浩)そうそうそう。それでもって、パツンパツンのズボンで本当にその頃ね、モッコリさせるのが流行っていたんですよ。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)それで道を歩くんですよ。そういうとんでもない時代のファッションとかね。あと、モミアゲですね。モミアゲがすっごい長いんですよ。そういう70年代ダサダサファッションがかっこよく楽しめる映画になっていますけどね。はい。

(赤江珠緒)本当だ。独特だ。

(町山智浩)で、この二本立てはハードコアパンク映画と、70年代ディスコ映画というあり得ない組み合わせでやる二本立てなんで。

(山里亮太)固いのから柔らかいのまで。

(町山智浩)固いのから柔らかいのまで。あそこが固いのまで。

(赤江珠緒)いやいやいや(笑)。

(町山智浩)お客さんはぜひですね、ハードコアパンクな格好か、70年代ディスコな格好で来てください。

(山里亮太)あ、ドレスコード?

(赤江珠緒)どっちも難しいな(笑)。

(町山智浩)ドレスコードあり。

(赤江珠緒)ドレスコードありで。そうか。あと1ヶ月あるから、まあ準備をすればなんとか。

(町山智浩)そう。1ヶ月あるから。

(赤江珠緒)どっちがいいかな?

(町山智浩)どっちがいいか? ということで。それでゲストは寝、いつもの水道橋博士です。

(赤江珠緒)博士が来てくださると。

(町山智浩)博士と僕で漫才をやりながらこの2本の映画を解説するというね。

(山里亮太)漫才も!?

(町山智浩)雑談ですよ。雑談です。

(赤江珠緒)漫才のようなトークをね。

(山里亮太)で、それを見ている人たちがみんなパンタロンとか履いているんでしょ?

(町山智浩)そうそうそう。どこで手に入れるんだ?っていうね。まあ、モミアゲを伸ばしたりね。いまからモミアゲを伸ばせば、たぶん伸びるでしょう。

(赤江珠緒)(笑)。9月18日の『映画秘宝まつり』のためにぜひ伸ばしていただきたい。開催場所、もう1回言っておきましょう。浅草公会堂で開場が14時半から。開演が15時からという予定となっております。ということでね、今日は今年の『映画秘宝まつり』で上映する映画『グリーンルーム』と『The Nice Guys』を紹介していただきました。じゃあ町山さん、本当にくれぐれもお気をつけて。

(町山智浩)はい。行ってきます。クリーブランド。

(山里亮太)お気をつけて、町山さん。ありがとうございます。

(赤江珠緒)ありがとうございました。

(町山智浩)はい。どもでした。

<書き起こしおわり>

ナイスガイズ!(字幕版)
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