DJ YANATAKE アメリカ警官黒人男性射殺事件とアーティストの反応を語る

DJ YANATAKE アメリカ警官黒人男性射殺事件とアーティストの反応を語る INSIDE OUT

DJ YANATAKEさんがblock.fm『INSIDE OUT』の中で2016年7月に2日続けて発生したアメリカの警察官による黒人男性射殺事件についてトーク。事件の経緯やそれに対するラッパーやアーティストたちの反応について紹介していました。

(DJ YANATAKE)海外の方でもですね、ちょっといろんなことが起きているので、今日はその話から行きたいなと思うんですけども。『INSIDE OUT』でも何度も取り上げてきた話題でね、結構志保がよく話しているんですけども。またですね、アメリカで黒人男性が警官に射殺されてしまうという悲しい事件が起きてしまいました。それがなんと、2日連続で起きてしまったんですね。ということで、ラッパーやアーティストたちもね、いろんな動きをしていますけども。まずはこの事の経緯を簡単に説明したいと思います。

事件の経緯

7月5日、ルイジアナ州バトンルージュ(Baton Rouge)のコンビニエンスストアの前で、アルトン・スターリング(Alton Sterling)さんがCDを売っていたんですけども。「拳銃を持っている男がいる」という知らせを受けた警察がですね、彼を逮捕しようと向かっていったいったところ、誰かがスターリングさんが銃を持っていると叫んで、スターリングさんがタックルを受けて、地面に倒された状態で胸などに複数の銃弾を至近距離から浴びて亡くなってしまったんですけども。そのね、射殺されてしまう場面が生々しく撮られた動画がSNSなどにアップされているんですが。

なんでこんなことになってしまったのか?っていうのはちょっと詳しく明らかになっていないんですけども。彼、同じ場所で何年もCDを売っていて、そこに突然現れたような人ではなく。ただ、数字前から拳銃自体は所持していたと。これは同じくCDを売っていた友人が強盗に遭ったことからあくまでも防衛のために持っていたと思われます。で、ルイジアナ州は公に拳銃を携帯することが法律的に認められている地域なんですね。でも、残されたビデオには射殺後にポケットの中から銃を回収する様子が収められているので、銃を振り回しているような様子もないまま、しかも結構無抵抗な状態のまま射殺されてしまうというようなことがありました。

そして翌日、7月6日ですけども、ミネソタ州ファルコンハイツのセントポール(St. Paul)郊外でテールランプの壊れた車を発見した警察官が、運転中の黒人男性フィランド・カスティール(Philando Castile)さんを呼び止めて、免許と車検証を出すように言ったところ、「財布に入っている」と言ったんですけども、彼も拳銃を所持していたんですね。でも、(拳銃所持の)ライセンスはもちろん持っていて。そこで財布を出すような仕草が拳銃を取るような動作におそらく見間違われたんじゃないか。その動作が危険だと判断されて、その場で射殺されてしまったと。

で、このことを同乗していた彼女が撃たれた直後からFacebookのライブ動画でずっと配信している動画がいまもFacebookの方にアップされているんですけども。2件とも、携帯の動画で状況が撮影されてSNSを通じて一気に広がったことで、アメリカでいま大きな社会問題になっております。黒人に対する警察の暴力行為に反対する運動『Black Lives Matter』を中心として、デモなどが全米各地で行われています。スヌープ(Snoop Dogg)やザ・ゲーム(The Game)なども参加しております。

アーティストたちの反応

そしてですね、ビヨンセ(Beyonce)もInstagramに「我々は怒りとフラストレーションを行動に変える力がある」っていうメッセージを投稿していたり、オフィシャルサイトでも同様の声明を発表しております。

そしてですね、この2件の事件を受けて、ジェイ・Z(Jay-Z)が約3年ぶりとなる新曲『Spiritual』を自身が手掛ける音楽ストリーミングサービス『TIDAL』で発表しました。ジェイ・Zは現在、TIDALのトップページにメッセージを寄せています。それをちょっと和訳したものを読みますけども。

「この曲は、少し前から作っていたが完成させることはなかった。(同じような事件の被害者である)マイケル・ブラウン(Michael Brown)さんが亡くなった時にTDEの共同社長のパンチ(Punch)に『リリースすべきだ』と言われたことがある曲だったが、リリースはしなかった。悲しいことだが、この問題はこの先もずっと続く。彼の死が最後じゃないってわかっていたのには心が痛む……」。マイケル・ブラウンさんの話なので、おそらくこの曲は2年以上前から作られていた曲じゃないかなと思います。「……このアメリカに失望し、悲しく思っている。我々は前に進まなくてはならない。しかし、いまはそうなっていない。神を信じているし、全ては偉大な神の導きとわかっているが、いまは辛い。警察の残忍な行為により、愛する人を失った全ての家族のために祈ります」とジェイ・Zは言っております。

で、さらにその下にですね、フレデリック・ダグラス(Frederick Douglass)という1800年代に奴隷制度廃止を進めた運動家であり政治家であった人物のメッセージも載せています。「正義が否定され、貧困が強制され、無知がはびこる。そしてある階級の人間たちが『社会は我々を圧迫し、略奪し、堕落させるための陰謀組織である』と思い込まされる。このような場所では人間、財産ともに安全ではない」というメッセージがいま、TIDALのトップページに出ているんですけども。

といったところで、このジェイ・Zの3年ぶりの新曲を今日のオープニングとして行ってみたいと思うんですけども。フックがですね、「I am not poison, no I am not poison」って始まるんですけども。「俺は毒じゃない。俺は有害じゃない」と。まあ、こんな風に歌わなきゃいけないっていうのはやっぱり、あまりにも悲しいですよね。で、いまヒップホップを聞いている若い子たちは、ひょっとしたら商業的に成功したヒップホップの世界しか知らないかもしれないですけども、結構もともとやっぱり人種差別問題っていうのはアメリカに根強くあって。そういった差別と戦うための手段でもあったんですね。このヒップホップっていう音楽自体がね。

まあパブリック・エナミー(Public Enemy)とか映画監督のスパイク・リー(Spike Lee)とか。名前ぐらいは知っていると思うんですけども、彼らはこういった問題をずっと訴え続けているというわけで、まあジェイ・Zも久しぶりにリリースする曲がこういった曲になっています。というわけで、なかなかいま、アメリカのニュースなんかを見ると、このことが話題でもちきりですので、『INSIDE OUT』でも取り上げたく、かけさせていただきたいと思います。今日のオープニング、ジェイ・Zで『Spiritual』。

Jay-Z『Spiritual』

はい。聞いていただきましたのはジェイ・Zで『Spiritual』でございました。

<書き起こしおわり>

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