高橋芳朗 桑田佳祐が『ヨシ子さん』に取り入れた最新洋楽トレンドを語る

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高橋芳朗さんがTBSラジオ『ジェーン・スー生活は踊る』の中で桑田佳祐さんの新曲『ヨシ子さん』についてトーク。桑田さんがこの曲に取り入れている最新の洋楽トレンドについて話していました。



(ジェーン・スー)さあ、今日のテーマをお願いします。

(高橋芳朗)今日はちょっと、いつもと若干趣向を変えましてですね。いつもは割と60年代とか70年代の洋楽をかけていることが多いんですけど。今日は今年の、いままさにヒットしているような曲をかけようと思います。いまの音楽の流行について、ちょっと知ったかぶりできるような話なので、これを聞いたらね、今夜あたり飲みの席で誰かに披露してみるといいんじゃないかと思います。

(ジェーン・スー)はい。

(高橋芳朗)ということで、今日はこんなテーマを用意してみました。桑田佳祐さんの新曲『ヨシ子さん』は実は最新の流行を押さえた実験的な曲だった!

(ジェーン・スー)いやー、この曲いま、かかりあげてますね。いろんなところで。

(高橋芳朗)「かかりあげてる」?(笑)。

(ジェーン・スー)もう、かかりあげきってて。テレビで何回か歌ってらっしゃるところを私、目にしたんですけど。セットがカオス。

(堀井美香)へー。どんなですか?

(ジェーン・スー)コーラスの方が、民族衣装を着た方、ヒップホップの衣装を着た方、いろんな方を4人ぐらい従えていて。あと、楽器を弾いてらっしゃる方が前後にいらっしゃるんですけど。それ以外にですね、白塗りの目のところだけ真っ黒にした、頭をちゃんと結った女の方が……

(堀井美香)オバQみたいな?

(ジェーン・スー)まさにオバQみたいな感じ。口が赤くないオバQみたいな人が挙動不審にずっといろんなところを睨みながら。ちょっと途中でコーラスを入れたりとか。あと、全く何の脈絡もなく、お相撲さんがいたりとか。で、最後になるとみんなが出てきて、なんかちょっと卑猥なダンスをしたりとか。これは私、何を見ているの?っていう。

(高橋芳朗)なんかこう、アジアのカオス感、無国籍感みたいなね、感じなんですけど。要はですね、やっぱり桑田さんってすごいな! みたいな話にはなるんですけども。まずはじゃあ、その新曲『ヨシ子さん』を聞いてもらいましょうかね。TBSラジオの先週の推薦曲にもなっていました。6月29日リリース。今週の最新のオリコンチャートで初登場2位を記録しております。桑田佳祐さんのニューシングルで『ヨシ子さん』。

桑田佳祐『ヨシ子さん』



(高橋芳朗)はい。桑田佳祐さんの約3年ぶりの新曲ですね。『ヨシ子さん』を聞いていただきました。で、ちょっとまず歌詞の説明をしたいんですけど。ちょっといつも以上に桑田さん、崩して歌っているせいで一聴した限りではね、聞き取りにくいと思うんですが。すごい歌詞がボブ・ディラン(Bob Dyran)とかデビッド・ボウイ(David Bowie)とかが出てきたりですね。あと、「笑ってもっとベイビー」みたいに『いとしのエリー』のセルフパロディーがあったりとか。

(ジェーン・スー)「『ブラックスター』でさよなら言った(ブラックスターでボウイさんが別れを告げた)」とかってこれ、結構本当に最近書いた曲なんだなっていう感じがするよね。

(高橋芳朗)そうですね。うんうん。ちゃんとデビッド・ボウイが亡くなったことを踏まえた歌詞になっていて。ただね、全体的なトーンとしては、時代の移ろいというか移り変わりについていけなくなったおっさんを演じているというか、装っているようなところがあってですね。

(ジェーン・スー)結構、「ああ、珍しいな。ああ、そういうスタンスを取ったんだ」みたいに、結構びっくりはしました。

(高橋芳朗)ちょっと紹介しますと、歌い出しは「R&Bって何だよ、兄ちゃん」「ヒップホップってのをおせーてよ、もう一度」「おっさん、そういういの疎いのよ、妙に」「サタデーナイトはディスコでフィーバー」と。だから要は、流行の音楽、ダンスミュージックはよくわからない。おっさんは往年のディスコの方がしっくり来るな、みたいなことを歌っているわけですけども。

(ジェーン・スー)はい。

(高橋芳朗)他に、こんな一節もあります。「サブスクリプション、まるでわかんねえ」「ナガオカ針しか記憶にねえよ」。

(ジェーン・スー)嘘つけよ!っていう感じですけどね(笑)。この歌詞の時に、「クッ! おっさんよお!」って思ったけど(笑)。

(高橋芳朗)要は、サブスクリプションっていうのはインターネットを通じて楽曲を配信する定額制音楽サービスのことで。ナガオカ針っていうのは世界最大手のレコード針メーカーになります。だからこれは、インターネットで音楽を聞くのはちょっといまだに抵抗があって、おっさんみたいな俺らは昔みたいにアナログレコードに針を落として聞いている方が性に合うな、というようなことを歌っているわけですけども。で、そんな感じで歌詞はおっさんのボヤキみたいになっているんですけども、実は、この曲調は歌詞と正反対というか。いまの洋楽のトレンドをばっちり押さえているようなところがあるので。お知らせを挟んで、そのへんの話をしてみたいと思います。

(ジェーン・スー)うちら、騙されてるんやで!

(高橋芳朗)(爆笑)

(CM明け)

(ジェーン・スー)『ジェーン・スー生活は踊る』。この音楽は、『ヨシ子さん』。そしてこの時間は音楽ジャーナリストの高橋ヨシ子さん……じゃないや、間違えた(笑)。

(高橋芳朗)(笑)。どっかでやるんじゃないか? とは思ってましたけども(笑)。

(ジェーン・スー)高橋芳朗さんによる、『高橋芳朗のミュージックプレゼント』です。今日は桑田佳祐さんの『ヨシ子さん』は最新の流行を押さえた実験的な曲だった! というですね、核心を突くテーマでお送りしておりますが。

(高橋芳朗)もともと、サザンオールスターズだったり桑田佳祐さんの作る曲は背後に洋楽とかが見えやすいことが多いと思うんですけども。今回の『ヨシ子さん』に関しては、まあ最新の洋楽のトレンドを押さえているようなところがあるんですよ。で、ちょっと改めていま後ろでかかっている『ヨシ子さん』。このリズムに注目してほしいんですけど。これ、レゲエのリズムですね。

(ジェーン・スー)そうですね。

(高橋芳朗)レゲエの中でも、ダンスホールレゲエといって、通常のゆったりしたレゲエよりかはもうちょっとアグレッシブ。攻撃的というか、扇動的というか、アゲアゲな感じのレゲエ、ダンスホールレゲエっていうリズムなんですけども。このリズムを用いた曲が、いまアメリカではすごいトレンドになっていて。今年の全米チャートもこういう曲がガンガン1位になっていてですね。

(堀井美香)へー!

(高橋芳朗)なのでそういう曲をじゃあ、いまから具体的に聞いていってもらいましょうかね。まずは、いままさに。今週のビルボードチャートで1位。もう8週間1位を取っておりますカナダのドレイク(Drake)というラッパーの『One Dance』という曲を聞いてください。

Drake『One Dance』

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(高橋芳朗)はい。まさにいま、全米チャートの首位に立っていますドレイクの『One Dance』っていう曲がいま後ろでかかっていますけども。わかりますかね? 桑田さんのさっきの『ヨシ子さん』よりかはちょっと早いんですけども。「ダッダッ、ツダッダッ♪」」っていうリズムに共通項があるのを。堀井さん?

(堀井美香)あ、はい。なんか……「1、2、1、前、後ろ、前、後ろ……」っていうリズムですね。

(ジェーン・スー)なんか変なリズムを取ってるなと思ったら……

(高橋芳朗)なんかわかっていただけているような気がするんですけども。さっきの、やっぱり「レッドチリメンバーズ」がきいているから、全然たぶん通じてねえんだろうなって

(ジェーン・スー)あの、ただ毎年、かならず1、2曲はこういう非常に私の拙い表現で恐縮なんですけども。ちょっと古めのキーボード1台でできそうなライトなレゲエっていうのはかならず流行るとは思うんですけど。今年は顕著?

(高橋芳朗)今年は、そうですね。顕著ですね。しかも、これから夏だから流行るっていうんじゃなくて、たぶん季節感を越えて流行しているところがあると思います。じゃあ、続いてはこちら。これは今年の最長ナンバーワンですね。9週連続1位を記録しましたリアーナ(Rihanna)というR&Bシンガーのヒット曲です。feat. ドレイクで『Work』という曲です。

Rihanna『Work ft. Drake』


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(高橋芳朗)はい。というわけでリアーナ feat. ドレイクで『Work』という曲を聞いていただいております。この曲はリズムがもうちょっと簡素化されているというところで、わかりにくいと思うんですけども。次のこの曲を聞けば、ああ、なんとなくわかってきましたという方も多いんじゃないかなと思います。このレゲエのリズムの流行を決定づけた曲ですね。ジャスティン・ビーバー(Justin Bieber)の『Sorry』を聞いてください。

Justin Bieber『Sorry』


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(高橋芳朗)ジャスティン・ビーバーで『Sorry』を聞いていただきました。あの、最初にかけたドレイクの『One Dance』。そして次のリアーナの『Work』。それでこのジャスティン・ビーバーの『Sorry』。今年、いまのところ30週あるんですけども、この3曲で20週、1位を占めています。

(ジェーン・スー)なるほど。非常にわかりやすいですね。いかに来ているかっていうことが。

(高橋芳朗)このジャスティン・ビーバーを聞いてもらえれば、なんとなくその桑田さんの『ヨシ子さん』とのリズムの共通項が……

(ジェーン・スー)ちょっと聞いてみようよ。

(高橋芳朗)もう1回、聞いてみますか。じゃあ、桑田佳祐さんの『ヨシ子さん』をもう1回、どうぞ。



(高橋芳朗)桑田佳祐さんで『ヨシ子さん』を聞いてもらっていますけども。このままちょっと、ゆるやかにジャスティン・ビーバーの『Sorry』にまた戻してみましょうか。



(ジェーン・スー)同じや!

(高橋芳朗)うん。どうですか、堀井さん?

(堀井美香)あ、はい。同じですね。でも、同じっていいことなんですよね?

(ジェーン・スー)いや、っていうか私たち、ジジイに担がれてるんですよ!

(高橋芳朗)(笑)。でも、わかんないですけどね。桑田さんが本当にいまの流行を汲みとってこの曲を作ったかどうかはわかりません。

(ジェーン・スー)まあ、音楽ジャーナリストの高橋芳朗さんならではの深読み感。

(堀井美香)掘り下げすぎというか。

(ジェーン・スー)掘り下げすぎかどっちかはわかりませんけども。

(高橋芳朗)まあ、掘り下げるのは仕事ですけども。

(ジェーン・スー)ただ、若干今回、なんでこんなおじいさんスタンスを取ったんだろう?っていうのは謎だったんだけど。ちょっと不自然じゃん。

(高橋芳朗)そうだよね。歌詞がここまでロートル感を強調してるから。まあ、間違いないかな? とは思うんですけどね。

(ジェーン・スー)なんか私、思うんですけど。「まだ若い、まだ若い」って言ってる、いわゆる高齢者の方は別に普通に「ねえ、そうだよね」っていう感じで。仲間っていう感じなんですけど。ジジイのふりをするジジイって非常に質が悪いよ!

(高橋芳朗)(笑)

(ジェーン・スー)これは全然ジジイじゃないからね!

(高橋芳朗)なるほど。じゃあ桑田さんには要注意ということですね。

(ジェーン・スー)……本当にすいません。

(高橋芳朗)(笑)。そんなわけで、ちょっともしかしたら理解できなかったなという方もいるかもしれないですけども。今年の音楽シーンはレゲエな気分であるということ。あと、桑田さんは相変わらず元気だなというか、攻めてるなという。そういうところだけ押さえて帰っていただければと。

(ジェーン・スー)いや、帰るのは君だよ。

(高橋芳朗)(笑)

(ジェーン・スー)さあ、来週のテーマは?

(高橋芳朗)来週は、結構音楽関連の映画が続々と公開になるので。エイミー・ワインハウスのドキュメンタリーの『AMY エイミー』とか、あと『シング・ストリート 未来へのうた』とか。そのへんを取り上げられたらなと思っています。

(ジェーン・スー)よろしくお願いします。ということで、高橋芳朗さん、ありがとうございました!

(高橋芳朗)ありがとうございました。

<書き起こしおわり>
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