高橋芳朗 母親がテーマの洋楽特集

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音楽ジャーナリストの高橋芳朗さんがTBSラジオ『生活は踊る』内のコーナー、『高橋芳朗のミュージックプレゼント』で母親・お母さんをテーマにした洋楽を紹介していました。



(高橋芳朗)で、本日のテーマなんですけども。明後日、5月8日が母の日ということで。洋楽お母さんソングをご紹介したいと思うんですけども。先週もね、言いましたよね。「来週は洋楽お母さんソングをやりますよ」って言ったんですけど。その時は特に何も考えてなくて。具体的に何をかけるか。

(ジェーン・スー)はいはい。

(高橋芳朗)で、放送が終わった後、スーさんにね、「洋楽でお母さんのことを歌った曲ってどんなのがあるかな?」って聞いたんですよね。そしたら、あなたが言ったのはこの曲です。

Queen『Bohemian Rhapsody』



(ジェーン・スー)(笑)

(高橋芳朗)クイーン(Queen)の『Bohemian Rhapsody』。1975年。まあ、クイーンの代名詞的な曲ですよね。これはお母さんへの感謝を歌った曲ではございません。

(ジェーン・スー)ございません(笑)。「ママ」って言っているだけですね。

(高橋芳朗)はい。この曲、ご存知ですよね? 堀井さんもね。

(堀井美香)はい。

(高橋芳朗)CMとかでもね、ガンガン使われてますけども。この「ママ」の部分、どんなことを歌っているのか、紹介しますね。

(ジェーン・スー)お願いします。

(高橋芳朗)「母さん、僕はたったいま、人を殺してきた(Mama, just killed a man)」。

(堀井美香)ええーっ!

(高橋芳朗)「あいつの頭に銃口を突きつけて、引き金を引いたら死んでしまった。母さん、僕の人生はまだ始まったばかりなのに。僕は自分の手で、終わりにしてしまった(Put a gun against his head, Pulled my trigger, now he’s dead. Mama, life had just begun,But now I’ve gone and thrown it all away)」。

(堀井美香)全然違う!

(高橋芳朗)絶対に贈っちゃダメです。これ。アカン。

(ジェーン・スー)お母さんにこれを贈って、お母さんがもしスピードラーニングですごいリスニング力が上がってきたら、息子から「殺人をした」っていう告白に聞こえちゃいますね。

(堀井美香)「Mama, do you remember?」って言ってるのかと思ってました。

(高橋芳朗)これね、歌詞の意味に関しては諸説あるんですけども。ボーカルのフレディー・マーキュリー(Freddie Mercury)が、自分が同性愛者(ゲイ)であることをカミングアウトした曲ということがあります。だから、いままで同性愛者であることを隠蔽してきた過去の自分を殺したという。今度は正直に生きていく、自分の気持ちに素直に生きていこうっていうことを表明した曲とも言われていますけどもね。

(ジェーン・スー)なるほどね。いろんな解釈ができますからね。

(堀井美香)しっとり聞いちゃいけないんですね(笑)。

(高橋芳朗)そうなんです。シリアスな曲なんで。で、スーさんがね、『Bohemian Rhapsody』を言ったことによって、もしかしたらこれから紹介するこの曲も、母の日ソングとして間違われている可能性があるなと思っちゃいました。この曲です。

Abba『Mamma Mia』



(高橋芳朗)アバ(Abba)の『Mamma Mia』。これ1975年。クイーンと同じ年なんですけども。これも劇団四季とかのミュージカルでもお馴染みの曲なんですけども。まあ、『Mamma Mia』は「Mamma」。イタリア語で「お母さん」なのは間違いないんだけれども、これ、英語で言うところの「Oh My God」なんですよね。イタリア語の「Mamma Mia」は。

(ジェーン・スー)なるほどね。

(高橋芳朗)つまり、この曲も母親に対する感謝の気持ちを歌った曲ではございません。

(ジェーン・スー)ございません。イタリア人にとって母は神っていうことですね。

(高橋芳朗)そう! マザコンっていうか、そういうステレオタイプというか、偏見があるみたい。「イタリア男性はマザコン」っていう。で、これもサビの部分の歌詞をちょっと読み上げますと、「なんてことなの?(Mamma Mia,)」。

(ジェーン・スー)ああ、なるほど。

(高橋芳朗)「またあなたにハマッてしまいそう。どうしたらあなたを忘れられるというの? なんてことなの? 同じことの繰り返しみたい。やっぱり私、あなたが恋しかったみたい(Here I go again My my, how can I resist you? Mamma mia, does it show again My my, just how much I’ve missed you?」という。ちょっと未練たらたらなラブソングなんですよ。

(ジェーン・スー)なるほど! 全然、「お母さん、元気で」みたいなのじゃないってことですね(笑)。

(高橋芳朗)違います(笑)。気をつけましょう、それは。

(ジェーン・スー)「今年もよろしくね♪」って歌ではないってことですね(笑)。

(高橋芳朗)そんな曲、たぶん世の中にないと思いますね。じゃあちょっと、CMを挟んで本当のお母さんソングをお届けします。

(ジェーン・スー)本当にお願いしますよ。

(中略)

(高橋芳朗)ええと、母の日にちなんで洋楽お母さんソングを紹介したいと思いますけども。これから次は本当の、お母さんへの感謝を歌った曲を紹介したいと思います。イントゥルーダーズ(The Intruders)の『I’ll Always Love My Mama』という曲でございます。1973年の曲。これは日本の歌謡曲にも多大な影響を与えたフィラデルフィア・ソウルの名曲でございます。

(ジェーン・スー)はい。

(高橋芳朗)スーさん、ご存知かもしれないですけど。黒人は母子家庭が多いせいもあって、マザコンが多いという。これもひとつのステレオタイプというか、偏見があるんですけども。実際のところ、黒人音楽、ソウル・ミュージックとかヒップホップはお母さんへの感謝を歌った曲が本当にたくさん、めちゃくちゃあるんです。

(ジェーン・スー)ママだらけ。

(堀井美香)ああ、そう?

(ジェーン・スー)マザコンっていうよりも、私は独自の解釈ですけども。誤解を恐れずに言うならば、「感謝できる身近な親が母親しかいない」っていう環境におかれた人が多いっていうことですよね。ファーザー・フィギュア(父親像)っていうのが身近にないっていうのはよく言われますよね。

(高橋芳朗)まさにこれはそんな曲で。もうサウンドはめちゃくちゃかっこいいんです。ゴージャスな。で、そんなゴージャスなサウンドに乗せて、母親への愛を切々と。我々日本人にはちょっと違和感を覚えるぐらいの母親愛を歌っていて。ちょっと歌詞を説明しますね。

(ジェーン・スー)はい。

(高橋芳朗)「俺はいつでもママが大好き。彼女は俺の最高のガール(I’ll always love my mama She’s my favorite girl)」。お母さんを「ガール」っていうのがまずすごいんですけども。「彼女が俺をこの世界に連れて来てくれたのさ。でも、時々ひどい気分になることがある。ママが俺に新しい靴を買うだけのために他人の家を掃除していたことを思い出すと。俺はわかっていなかった。あの週、ママがどれだけ苦労していたか。ママの話をしよう。ああ、優しいママ。君にもママがいる。俺にもママがいる。ヘイ、ママ。愛しているよ」。


(ジェーン・スー)母の日を目前にしては、本当にぴったりな曲じゃないですか。

(高橋芳朗)はい。でも、ちょっとなかなか日本人には相容れない精神性かな?っていう気がしますけどね。

(ジェーン・スー)たしかにね。

(高橋芳朗)だからこれね、たぶんレコード会社もこれをそのままストレートに打ち出したら売れないって判断したんでしょうね。当時の邦題が『果てしなき愛のテーマ』。母親ソングであることをちょっと隠蔽してるんですね。これね。じゃあちょっと、聞いてみましょうかね。イントゥルーダーズで『I’ll Always Love My Mama』です。

The Intruders『I’ll Always Love My Mama』



(高橋芳朗)イントゥルーダーズの『I’ll Always Love My Mama』。1973年の曲を聞いていただきました。

(ジェーン・スー)明るくて朗らかで、いいですね。『果てしなき愛のテーマ』と言われれば、そうかなっていう。

(高橋芳朗)たしかにね。

(ジェーン・スー)堀井さんはママであり、ママもいるっていうことですよね?

(堀井美香)急に振りますね(笑)。

(高橋芳朗)(笑)

(ジェーン・スー)音楽コーナーだからってね、人事だと思わないで(笑)。ママであり、ママもいるんですから。母の日はどんなことをされるんですか? ご自分のお母様とかに。

(堀井美香)えっ? ちょっと待ってください(笑)。虎屋の羊羹を贈りました。

(ジェーン・スー)あ、お母様に?

(堀井美香)はい。そうですね。

(ジェーン・スー)自分はどんなことをされるんですか? 去年は。

(堀井美香)去年? ええと、なんか手紙とかをもらいましたね。

(ジェーン・スー)ああ、本当。お母さん、ざっくりとしか覚えていません。聞いてらっしゃいますか? お子さんお二人、お母さんはざっくりとですよ。

(堀井美香)びっくりしたー。

(高橋芳朗)部屋に入る時、ノックとかしてますか?

(堀井美香)えっ? あ、しない、しない。

(高橋芳朗)しないんですか?

(ジェーン・スー)「ババァ、ノックしろよ!」ですよ。

(堀井美香)冗談じゃないですよ。そんなこと言ったら、30分怒りますよ。「何様のつもりでそんなこと言ってんの?」って。

(高橋芳朗)そんなこと、言わないですか? お子さんは。

(堀井美香)言うと30分、私に怒られるってわかっているから。無抵抗です。あ、そんな話じゃないですよね。今日は。

(高橋芳朗)(笑)

(ジェーン・スー)あのね、「ババァ、ノックしろよ!」について詳しくご存じない方はですね、土曜日の夜の『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』を聞いていただければと思います。

(堀井美香)ああ、そういう流れがあったんですね。全然知らずに申し訳ありませんでした(笑)。

(ジェーン・スー)今日もこんな素敵な曲をご紹介いただいたわけでございますが、来週のテーマは?

(高橋芳朗)来週はね、決めてないんですけど。「花金」にちなんだ洋楽でもかけようかなと思っております。

(ジェーン・スー)えっ? 花金にちなんだ洋楽なんてある?

(高橋芳朗)ありますよ。だって、「Thank God, It’s Friday」っていう言葉があるじゃないですか。

(ジェーン・スー)ああ、「TGIF」ですもんね。

(高橋芳朗)「神様、金曜日に感謝」という。

(ジェーン・スー)いま堀井さん、あくびしていた。

(堀井美香)「なに言ってるのかな?」って思って(笑)。

(高橋芳朗)「なに言ってるのかな?」って、そんな、ちゃんと聞いてればわかる話をしてますよ!

(堀井美香)なんの英語を……

(ジェーン・スー)さようならー!

(高橋芳朗)さよなら!

<書き起こしおわり>

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