高橋芳朗が語る ディスコミュージック再評価の流れ

高橋芳朗が語る ディスコミュージック再評価の流れ 荻上チキSession22

音楽評論家の高橋芳朗さんがTBSラジオ『荻上チキSession22』に出演。ダフト・パンクなどを代表とする近年のディスコリバイバルの動きについて紹介していました。

(荻上チキ)ここからはセッション袋とじ。今夜のお客様は音楽ジャーナリストの高橋芳朗さんです。よろしくお願いします。

(高橋芳朗)よろしくお願いします。

(南部広美)今夜は、再び盛り上がるディスコミュージックということなんですけど。

(荻上チキ)さて、このディスコミュージック。いま来てるんですか?

(高橋芳朗)来てます。あ、そういう実感は、あまり?

(荻上チキ)そうですね。もともと、何をもってディスコなのか?っていうのもあるんですけど。僕はもともとミュージカルの映画とかドラマは好きなので、その中でディスコサウンド。当たり前のようにかかりますし。それはそれで好きなんですが。

(高橋芳朗)まあ常にあるものでもありますよね。

(荻上チキ)『来てる』っていうのは、どう来てるんですか?

(高橋芳朗)ちょっとそれ、順を追って紹介していきたいと思います。

(荻上・南部)お願いします。

(高橋芳朗)じゃあまず、いちばん基本的なところ。『ディスコ』という言葉なんですけど、これはフランス語の『ディスコティーク(discotique)』という言葉が語源になっています。で、ディスコはレコードなどをかけてダンスなどを楽しむお店、場所もディスコと言いますけど。今日取り上げるのは、1970年代中盤から後半にかけて世界的ブームになりましたディスコミュージックですね。音楽のジャンルとしてのディスコを紹介しようということになっています。

(荻上チキ)はいはい。

世界的なディスコリバイバルの潮流

(高橋芳朗)で、いま話したようにここ数年、ポップミュージックの世界ではディスコミュージックが盛り上がっているんですね。まあ、ディスコリバイバルが巻き起こっているんですけど。でも、わかりやすく表面化したのは、去年です。去年なんですよ。2013年。で、往年のディスコサウンドのオマージュ的な曲がたくさんリリースされて、チャートを大いに賑わせたんですね。

(荻上チキ)リバイバルブームが世界でもあったと。

(高橋芳朗)そうですね。で、その象徴的な存在がフランスのダフト・パンクですね。

(荻上チキ)グラミー賞の時もお話いただきました。

(高橋芳朗)そうですね。いま、後ろでかかっているのがダフト・パンクの『Get Lucky』。いま、来日中のファレル・ウィリアムズがボーカルで歌っています。いま、『Happy』っていう曲が世界的に大ヒットしてますけど。で、ダフト・パンクが昨年5月にリリースしたアルバム。この『Get Lucky』が入っている『Random Access Memories』っていうのがあるんですけど。これ、作品全体がですね、ディスコミュージックに対する愛情と憧憬にあふれた、ディスコへのトリビュートになっていたんですね。作品全体が。

(荻上チキ)はい。

(高橋芳朗)で、この『Random Access Memories』が全世界で約400万枚売上を記録して。

(荻上チキ)400万枚!日本では聞かない数字ですね。

(高橋芳朗)はい。で、前にセッションに出させていただいた時に言いましたけど、今年の第56回グラミー賞で最優秀レコード賞、最優秀アルバム賞など最多の5部門で受賞したんですね。なんで、ディスコをテーマにしたアルバムが、2013年のポップミュージックを代表する作品になったと。

(荻上チキ)トップ・オブ・ザ・ポップスというわけですね。

(高橋芳朗)はい。まさにそうですね。で、欧米ほどの盛り上がりではないんですけど、日本でもですね、Jポップにもディスコリバイバルの気分みたいなものが多少反映されているところがあってですね。まあ、昨年で言うと、AKB48の『恋するフォーチュンクッキー』。

(荻上・南部)あー!

(高橋芳朗)あれはやっぱりディスコですね。

(荻上チキ)あの、ピロピロ感というか。ふわふわ感っていうのは。

(高橋芳朗)厳密に言うと、ディスコ歌謡ですかね。筒美京平さんが70年代に作っていたようなディスコ歌謡をモチーフにしてるんですけど。あれもまあ、なんて言うんですかね?このディスコ熱の高まりと無縁ではないかと。

(荻上チキ)僕、あれ盆踊りに聞こえるんです。

(高橋芳朗)(笑)。そうですか!?

(荻上チキ)和製ディスコは盆踊りみたいな感じで楽しめばいいのかな?って。

(高橋芳朗)でも、ミュージックビデオとか見ると、冒頭でね、黒人の人が煽ってたりとか。ミラーボールとかがね、ぐるぐる回ってたりとか。完全にディスコですよ。で、今回のディスコリバイバルはどういうところから出発しているのか?ディスコリバイバルとは何なのか?っていうのを最初に。

(荻上チキ)なぜ去年なのか?っていうね。

(高橋芳朗)まずディスコってどういうイメージがありますかね?荻上さんなんかは。

(荻上チキ)サウンド的にはこういったイメージ(『Get Lucky』)で。リズミカルに一定でビートを刻むんだけども、ちょっとそこに高い、ハイな音がファンキーに奏でられてきてっていうようなイメージですかね。

(高橋芳朗)ばっちりじゃないですか!(笑)。

(南部広美)よかったよかった。

(荻上チキ)南部さんはどうです?

(南部広美)なんか踊りにキメがあるっていう。

(高橋芳朗)あー、ジョン・トラボルタのサタデーナイトフィーバーみたいな。

(南部広美)に、近い。なんかこう、3つか4つの決まった踊りを繰り返すみたいな。さっきチキちゃんが盆踊りって言ったけど、なんかそういう踊りのイメージ。

(高橋芳朗)あ、そうですね。クラブとの違いとして、ディスコはみんなで決まった踊りをするみたいなところもありますね。

(荻上チキ)合いの手じゃないけども。

(高橋芳朗)まあ、ディスコそうですね。一般的に見ると、さっき言ったようなミラーボールとか、映画サタデーナイトフィーバーとか。

(荻上チキ)スパンコールとかね。

(高橋芳朗)でも僕はやっぱりチャラい。チャラさかな?って思うんですけどね。あの軽薄さというか。いまとなってはそれがすごい好きだったり惹かれたりするんですけど。

(荻上チキ)軽さこそがレジェンドの、なんかこう記号になっちゃってるんで。ちょっと錯誤感があるんですけど。

(高橋芳朗)そうですね。チャラさはちょっと付きまとっているかなと思うんですけど。

(荻上チキ)当時はナンパ文化っていうか。昔のアメリカの映画なんて見てても、チャラい格好した伊達男みたいなものが、車にこう腕やって。『さっきはケンカしたけども、踊るかい?』みたいな。

(高橋芳朗)胸元開いたところからね、ちょっと胸毛がパッとチラつかせたり、みたいな。そういう感じですけどね。いや、でも欧米のディスコ感、どうなっているか。こんな見解があるんですね。これ、ちょっと極端な例ではあるんですけど。有名なブラックミュージックの評論書にですね、今日持ってきたんですけど。『リズム&ブルースの死』っていう本があるんですよ。これ、1988年に刊行された、黒人ポピュラーミュージックの歴史を紐解いていくような内容の本なんですが。

(荻上チキ)早川書房。

(高橋芳朗)著者はネルソン・ジョージという黒人の作家、評論家なんですけど。これ、彼がタイトルになりますね。リズム&ブルースの死。つまり、言い換えると黒人音楽を死に追いやった元凶として挙げているのがディスコミュージック。

(荻上チキ)はい。これだったんですか?

(高橋芳朗)で、ネルソン・ジョージがどういう主張をしてるか?っていうとですね、ディスコミュージックっていうのは60年代に誕生したファンク。ジェームズ・ブラウンなんかもファンクですね。ファンクから派生した音楽になるんですけど。で、ファンクが公民権運動だったり、ブラックパワーだったり、ああいうのの高まりを反映した、非常に社会的メッセージの強い音楽だったんです。で、それに対してディスコはファンクから思想を取り除いたというかですね。

(荻上チキ)より消費社会感のある。

(高橋芳朗)そうです。ダンスミュージックとしての機能性を追求した。そういう音楽なんですね。だからつまりネルソン・ジョージはですね、『ディスコはファンクを骨抜きにした、商業化した、コマーシャライズした音楽で。ディスコの登場によってブラックミュージックは独自性を、アイデンティティーを失った』という風に唱えているんですね。

(荻上チキ)ファースト原理主義みたいな。初期がいいみたいな。

(高橋芳朗)そうなんですよ!まさにね、ネルソン・ジョージって純粋主義者的なんですね。だからディスコに対して厳しすぎるきらいもあるんで。これを鵜呑みにするのはどうかな?っていうのもある。あくまでこういう見解がありますよっていう風に言っておかないと。

(荻上チキ)R&Bがやっぱりひとつのルーツにある人にとっては、やっぱりその別物に変わっていって、それこそ消費のプラットフォームになっていったことを苦々しく思っている。

(高橋芳朗)ブラックコミュニティーを立脚点にしていたような音楽が、白人文化にクロスオーバーしたりすると、やっぱりこういう意見が浮上してきたりはするっていうね。

(荻上チキ)まあある種の快楽主義というか。別の観点からすると、R&Bがある種の政治性から開放されたんだっていう風にも、いまの評伝だと逆読みできるわけですよね。

(高橋芳朗)で、そのディスコのカウンターとして出てきたのがHIPHOPとも言えるんですけどね。またこう、自分たちのもとに音楽を取り戻したっていう感じの流れなんですよ。

(荻上チキ)なるほど。じゃあ敢えてディスコサウンドをHIPHOPでやる人っていうのもいるじゃないですか。

(高橋芳朗)そうですね。ただ、HIPHOPが出てきた頃。80年代後半とか90年代頭ぐらいは、ディスコをサンプリングした曲とかを作ると、もうすぐバッシングされて。DISられてましたね。やっぱりファンクをサンプリングして作っていた。

(荻上チキ)いま敢えてやるなら、そこに何かしらの意味を持たせたりとか。

(高橋芳朗)だからまさにHIPHOPがメインストリームに浮上してきたのに伴って、ディスコネタとかも有りになってきたっていうことでしたね。

(荻上チキ)なるほど。政治性を取り戻したから、まあいいんじゃないかという。許せるようになったみたいな。へー。

(高橋芳朗)で、この今回のディスコリバイバルは、こういうこのネルソン・ジョージみたいなディスコ観に対するカウンター的な意味合いもちょっとはあるんですね。で、現在のディスコリバイバルの起点になるような動きは、2000年代後半にはもう始まっていてですね。ブラックミュージック系のDJによって、レアなディスコの曲を発掘する動きがアンダーグラウンドなクラブミュージックシーンでちょっと盛り上がってたんですよ。で、そのDJたちはそういった曲をディスコではなくね、『ブギー(Boogie)』って呼んでたんですよ。

(荻上チキ)ブギー。いわゆるブギウギのブギー?

(高橋芳朗)そうです。あの、言葉としては同じなんですけど。ここで言うブギーは、単純に踊る、音楽で踊るみたいな意味。広い意味で踊るみたいな。まあ、アース・ウィンド・アンド・ファイアーの『ブギー・ワンダーランド』なんて曲もありますけど。で、なぜ敢えてディスコと呼ぶのを避けていたか?っていうと、いろいろ考えられるんですけど。まあネルソン・ジョージが糾弾したみたいに、商業化されたディスコと一線を画したいっていうような思いもあったのかもしれないですけど。まあそのDJたち、当人たちはこれが新しい観点からディスコを捉え直す作業であるという自覚があったんじゃないか?と思うんですね。

(荻上チキ)ほうほう。

(高橋芳朗)だからネルソン・ジョージに代表されるネガティブなディスコのイメージとまた別の、新しい価値観でディスコを語りたかったんじゃないかな?と。

(荻上チキ)なるほどなるほど。

(高橋芳朗)それがブギーっていうムーブメントだと思うんですよ。

(荻上チキ)それが2000年代の終りにジワジワと広がっていったと。

(高橋芳朗)ジワジワ広がって。で、アンダーグラウンドで盛り上がったブギーが次第に大きなムーブメントに発展して、その動きを上手くすくい上げたのがダフト・パンクっていうことになるんですけど。

(荻上チキ)あの宇宙刑事みたいな。ロボットでしたっけ?

(高橋芳朗)(笑)。はいはい。ヘルメットをかぶっている人たちなんですけど。で、ブギーとかディスコが地下でジワジワと勢力を拡大している間、地上のポップミュージックのメインストリームではどんなことが起こっていたか?っていうと、『EDM』っていうですね、エレクトロニック・ダンス・ミュージックが大流行してたんです。これ、いまも現在進行形なんですけど。で、EDMっていうのはテクノとかハウスとかトランスとか。文字通りエレクトロニックな、ビギビギピコピコしたダンスミュージックの総称なんですけど。で、そのEDMがチャートを制圧してるような状態だったんですね。で、そういう状況の中でなぜディスコが入り込む余地があったのか?EDM全盛のメインストリームにディスコが支持されたか?っていうと、EDMみたいなエレクトロな音楽に対して、ディスコの人力のグルーヴがカウンターとして機能した。

(荻上チキ)カウンターとして。

(高橋芳朗)そういう見方もあるんですね。そういう人力のグルーヴを見直そうと。あともうひとつはこう、享楽的なダンスミュージックっていうのがEDMもディスコも根っこは同じと言えると思うんですよ。で、実際EDMのルーツを辿って行くとディスコに行き当たるようなところもあるし。まあ向こうだと、ディスコのことを『Godfather of EDM』みたいなことを言われたりすることもあるんで。まあ、EDMの流行が結果的にディスコを受け入れやすい土壌を作っていたところもあるんじゃないか?という。そういう考え方もできると思います。

(荻上チキ)サウンド的には別にマッチしますもんね。だってそのピコピコサウンドに、たとえばギターのちょっと変わったコードをワウとか使って鳴らすような感じとかって、いい感じで踊れそうじゃないですか?

(高橋芳朗)そうですね。ぜんぜんあの、ディスコ寄りなEDMもありますし。昔のディスコにもシンセサイザー主導のピコピコした音楽もあったんで。

(荻上チキ)Perfumeもね、なんかファンキーギターがのってもね、別に嫌感はないなと。

(高橋芳朗)ぜんぜんないですよね。で、まあこういう経緯を辿ってディスコリバイバルが本格化していったわけなんですけども。じゃあ、そろそろ曲をかけていきたいと思います。まずはね、ちょっとダフト・パンクの『Get Lucky』とともに去年。2013年のディスコリバイバルを代表するヒット曲を聞いてもらいたいと思います。これ、まずはさっきも話に出ました、ブルーノ・マーズの『Treasure』という曲を紹介したいと思います。ブルーノ・マーズはハワイ出身のシンガーソングライターで。現在28才。いま、洋楽でいちばん売れるアーティストと言っていいと思います。

(荻上チキ)ヤングですねー。

(高橋芳朗)で、今年はアメリカのショウビジネスで最も栄誉がる舞台と言われているスーパーボウルのハーフタイムショーの出演も果たしています。

(南部広美)そうなんだ。

(高橋芳朗)で、先月4月12日・13日は幕張メッセで初の本格的な来日公演も大成功しているということになっております。じゃあ、聞いてもらいましょうかね。

(荻上チキ)イケイケですね。

(高橋芳朗)イケイケです。じゃあ、聞いていただきましょう。ブルーノ・マーズで『Treasure』です。

(南部広美)さあ、高橋芳朗さん。1曲目に紹介してくださったのは、ブルーノ・マーズで『Treasure』。

(高橋芳朗)これは結構、ディスコのジャストなイメージ。

(荻上チキ)ジャストなイメージですね。ブルーノ・マーズって、前、リーゼントみたいな髪型でしたよね?なんか。

(高橋芳朗)ちょっとね、オールディーズみたいなこともやるので。たぶんそういうところで、そういうファッションも取り入れたりしてるんだと思いますけど。で、去年このブルーノ・マーズをはじめとしてですね、ビヨンセとかレディー・ガガみたいな大物アーティストも積極的にディスコサウンドを取り入れたりして。あとさっきも言いましたけど、ダフト・パンクのグラミー賞制覇もあったりしてですね、ディスコリバイバルはここがピークかな?と正直思っていたんですけど。あとは緩やかに収束していくかな?と思ったんですけど。2014年、この時点でもまだまだディスコ熱は盛り上がっていってですね。

(荻上チキ)はい。

(高橋芳朗)まだまだ当面続きそうな気配なんで。それを証明する意味を込めてですね、この後は今年というか、今月リリースされたばかりのディスコリバイバル作品をダダッと紹介していきたいと思います。

(南部広美)今月リリース。

(高橋芳朗)まずはですね、クローメオ(Chromeo)というグループの『Jealous (I Ain’t With It)』という曲を紹介したいと思います。クローメオはカナダ、モントリオール出身の男性コンビで。5月12日にニューアルバム『White Women』をリリースしたばかりですね。で、この人たち、デビューしてこれが4枚目になるんですよ。2004年にデビューして、もう10年になるんですけど。もうディスコリバイバルとは関係なく、ずーっとディスコサウンドを打ち出し続けてきたような人たちで。まあやっと、この人たちに時代が回ってきたみたいなところはあるんですけど。まあ、今年のディスコブームを引っ張っていくアーティストであり、作品になると思います。端的に言うとですね、なんか軽薄なダフト・パンクみたいな。

(荻上チキ)軽薄なダフト・パンク。

(高橋芳朗)ディスコのチャラさをですね、まあ上手いこと活かしているというか。ちょっとユーモラスなところもあって。でも非常に気持ちいい。かっこいいです。はい。じゃあ聞いていただきましょうかね。クローメオで、『Jealous (I Ain’t With It)』です。

(南部広美)クローメオで、『Jealous (I Ain’t With It)』。

(荻上チキ)チャラいですね!

(高橋芳朗)チャラいですよね。ちょっと軽いですよね。

(南部広美)でも、懐かしくってよ。すごく安心します!

(高橋芳朗)(笑)。こっちの方がしっくり来ますよね。

(荻上チキ)このディスコサウンドって面白いのは、めっちゃ軽いというか。シンセとかも鳴って、ギターとかもファンキーなんだけど、ベースラインがチョッパーベースっていうか。延々と続いていて。結構そのベースラインもノリノリだったりしてね。

(高橋芳朗)ベースはちょっと重いですよね。

(荻上チキ)で、その重さを重さとしてではなく聞けるっていうのも、なんか快楽主義っていう感じがしますね。

(高橋芳朗)クローメオの新作、全編こんな感じなんで。

(南部広美)時代がついて来て、本当よかった。彼ら2人。

(高橋芳朗)ポップで、抜群にノリがいいんでね。是非みなさん、チェックしていただけたらと思います。じゃあ続いての曲、いってみたいと思います。次はですね、マイケル・ジャクソン。マイケル・ジャクソン feat.ジャスティン・ティンバーレイクの『Love Never Felt So Good』という曲を紹介したいと思います。これはですね、日本では明後日ですね。5月21日にリリースされるマイケルのニューアルバム『XSCAPE』からの先行シングルです。

(荻上チキ)ニューアルバム!?

(高橋芳朗)そう。マイケルのニューアルバムってどういうことよ!?っていう方もいらっしゃると思うんですけど。これ、マイケルの未発表レコーディングを、現代のサウンドで蘇らせた作品になります。

(荻上チキ)パソコンとかに眠っていたんですか?

(高橋芳朗)そうなんですかね?なんかそういうテープがあるんですね。きっとね。まだね、100曲くらいあるっていう噂もありますけど。

(荻上チキ)でもプロだとね、デモテープも完成度高かったりするから。

(高橋芳朗)で、実際これあれなんですよ。2010年に出た『Michael』に次ぐ、死後2枚目のアルバムなんです。で、まあご存知の通りマイケル・ジャクソン、2009年に他界したわけなんですけど。ちょうど先ほどお話したブギーのムーブメントの盛り上がりはじめたころに亡くなってるんですよ。だからこのマイケルの死に伴う彼の音楽の再評価がディスコのリバイバルを後押ししたようなところもあるんじゃないか?と思われます。で、実際今回のディスコリバイバルではマイケルのディスコ期。アルバムで言うと、1979年『オフ・ザ・ウォール』の収録曲をモチーフにしたような楽曲が大量に作られてるんですね。

(荻上チキ)ほうほう。

(高橋芳朗)で、そんな需要を踏まえて今回のマイケルの新作『XSCAPE』はもう、昨今のディスコリバイバルを意識した音作りになっていて。特にこれからかける『Love Never Felt So Good』はまさにオフ・ザ・ウォールの頃の、あの頃のマイケルが再現されています。

(荻上チキ)声はマイケルなんですよね?

(高橋芳朗)そうです。もちろんです。で、これがもうビューティフルとしか言いようがない。素晴らしい仕上がり。もう発表されて依頼ですよ、聞いては泣き、また聞いては泣いているという状態ですけどね。

(荻上チキ)明後日発売なんですね。日本のファンだと。もちろん早い人は買っているかもしれませんけどね。

(高橋芳朗)はい。で、これマイケルの単独バージョンもあるんですけど。今回はディスコリバイバル特集ということで、去年、まさにマイケルにもオマージュ的な楽曲を何曲も贈っているですね、ジャスティン・ティンバーレイクとの擬似デュエットバージョンでお楽しみいただけたらと思います。はい。じゃあマイケル・ジャクソン feat.ジャスティン・ティンバーレイクで、『Love Never Felt So Good』です。

(南部広美)マイケルは生き続けるわ!

(高橋・荻上)(笑)

(南部広美)マイケル・ジャクソン feat.ジャスティン・ティンバーレイクで、『Love Never Felt So Good』。

(荻上チキ)ド王道の曲の作り方ですね。イントロの♪♪♪♪ってところから。

(高橋芳朗)これ、オフ・ザ・ウォールに収録されている『Working Day And Night』のパーカッションとか、マイケルの『ハッ!ダッ!』っていうブレスをサンプリングしているんです。

(荻上チキ)おー!

(南部広美)やっぱりそうなんだ。

(荻上チキ)100曲くらいあるんでしょ?

(高橋芳朗)まあでもね、クオリティーはちょっとバラバラだと思います。

(荻上チキ)隠したかったやつ、ないんですか?

(高橋芳朗)本当、これもね、マイケル本人は出したかったかどうか、わからないですからね。そう言われると、キツイんですけどね。

(荻上チキ)ちょっとやってみただけなのに・・・とかいうのも中にはあるかもしれないですね。

(南部広美)でもファンにしてみると、こうやってずっと声を聞き続けられるのは、うれしい。

(高橋芳朗)うれしいですよね。本人はね、隠したかったかもね。出されたくないラブレターとかね。世に公開されたくないっていうね。はい。じゃあ最後にもう1曲、いきたいと思います。最後はこういうディスコリバイバルもあるっていうことで。ちょっとこれまでの3曲とは毛色の違う曲をかけて締めくくりたいと思います。コールドプレイ。イギリスを代表するモンスターバンドですけど。コールドプレイの5月21日リリースのニューアルバム『Ghost Stories』からの先行シングルで『Midnight』っていう曲があるんですけど。このMidnightのジョルジオ・モロダーによるリミックスバージョン。いま、もう後ろでかかり始めてますけども。

(荻上チキ)はい。聞こえてますね。

(高橋芳朗)これ、このジョルジオ・モロダーという人がこの曲のキモになるんですが。この人、イタリア生まれの74才でですね。ディスコミュージックの巨匠と呼ばれるプロデューサーです。1970年代に数多くのディスコヒットを世に送り出しているんですけど。まあ、ジョルジオ・モロダーという人はシンセサイザーを駆使した、エレクトロニックなディスコサウンドを得意としてですね。まあ、拠点をドイツのミュンヘンに置いていたことから、ミュンヘンサウンドとか、ミュンヘンディスコって言われるんですけど。まあ、いまのテクノとか、さっき話したEDMとかに絶大な影響を与えているんですね。で、今回のディスコリバイバルによって、ジョルジオ・モロダー再評価の機運も高まってきて。で、きっかけはやっぱりダフト・パンクなんですよ。

(南部広美)ああ、そうなんですか。

(高橋芳朗)グラミー賞をとった『Random Access Memories』ってアルバムにジョルジオ・モロダー自ら自分の半生を語るその名も『Giorgio by Moroder』っていう9分にも渡る大作が収録されて。これによってこう、74才のジョルジオ・モロダーがまた脚光を浴びることになったんですね。で、コールドプレイのような大物ロックバンドの曲を手がけるようになるような事態にまで発展したというですね。で、まあこのMidnightのリミックス、いま後ろで聞いてもらってわかる通りですね、これまで紹介したようなディスコミュージックとちょっと違うタイプの。シンセサイザー主導の曲になってるんですけど。まあディスコとさっき話したEDMをつなく曲と言えるというか。ディスコがGodfather of EDMであることを証明するような曲なんじゃないかな?と思います。これもちょっと、8分もあるような非常に長い曲なんで。一部をね。この曲の醍醐味を知ってもらうには、全編を聞いてもらわないと分かりづらいところがあるんで。iTunesでも配信されているんで、興味のある方はそちらをチェックしてもらえたらなと思います。

(荻上チキ)はい。

(高橋芳朗)というわけでまあ、ついにはコールドプレイをも巻き込むような一大ムーブメントになっていると。ディスコリバイバル。

(荻上チキ)はい。ちょっと裏でかかっている感じですけども、ディスコにあるようなサビみたいな部分で聞かせるぜ!っていう歌感っていうよりも、結構なんかサウンド感が。

(高橋芳朗)ああ、そうですね。ただディスコ、クラブとかで聞いていくと、やっぱりこういう部分をロングミックスしていって聞かせるっていうのも主流ですね。

(荻上チキ)タメみたいなね。延々と続く、あのホワホワした感じ。

(高橋芳朗)それでまさにその反復でトランス状態を作ってくという感じですかね。

(荻上チキ)なるほど。たしかに踊ってないけども踊りたくなるような感じ、わかりますね。なんか個人の家で。ワンルーム・ディスコをしたいかなと。

(高橋芳朗)(笑)。どうですか?ディスコは。興味を示していただけたかと。

(荻上チキ)いや、踊る形みたいなのは、ありますよね。だからあとは楽しい愉快なメンバーとともに。

(高橋芳朗)(笑)。でも荻上さんは1人で踊られるんですよね?

(荻上チキ)そうですね。でも高橋さんがイベントをやるのであれば、是が非でも。

(高橋芳朗)ディスコもかかるんで。

(荻上チキ)ミラーボールの下に引き出してください。

(南部広美)頭振り乱して踊ると思います。

(荻上チキ)そういう踊りだっけ!?(笑)。

(高橋芳朗)ヘッドバンギングですか?

(南部広美)練習していこうか(笑)。

<書き起こしおわり>

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