松尾潔 スパイク・リー映画『マイケル・ジャクソンの旅』を語る

松尾潔 スパイク・リー映画『マイケル・ジャクソンの旅』を語る 松尾潔のメロウな夜

松尾潔さんがNHK FM『松尾潔のメロウな夜』の中でスパイク・リー監督によるドキュメンタリー映画『マイケル・ジャクソンの旅 From Motown To Off The Wall』を紹介していました。

(松尾潔)さて、続いてご紹介しますのは、マイケル・ジャクソン(Michael Jackson)の話題ですね。『Off The Wall』。『Thriller』に先駆けてリリースされました、いわゆるクインシー・ジョーンズ(Quincy Jones)との三部作の第一作目『Off The Wall』のリマスター版がリリースされたのはみなさん、ご存知でしょうか?昨年、音源の方はね、もうリリースされていました。79年の作品ですから、2015年ということで言うと、36年後のリマスター版っていうことか。うん。まあ、シュガー・ベイブよりは間が空いてないな(笑)。

その、昨年出たデジタルリマスター版に最新ドキュメンタリー映画『マイケル・ジャクソンの旅』というブルーレイ、あるいはDVDが付属した形で今月、『Off The Wall』デラックス・エディションが発売されましたね。これはちょっと僕の周りで大変な話題になっております。まあこれ、僕もこの番組で触れないわけにはいかないと思って、この間、この『マイケル・ジャクソンの旅』っていう映画を見ましたよ。

これはね、CDについている映画っていうことで、あくまでもアルバムの添え物かと思うと、そんなことはないですね。これはね、音楽ドキュメンタリーとしてかなり上質な優れた作品でした。まあ、それもそのはずと言いますか。監督をスパイク・リーが務めております。もうこの本気度が伝わる人選ですけどもね。まあ、実際にマイケル・ジャクソンとスパイク・リーということで言いますと、生前、ミュージックビデオも撮っていたわけですからね。

で、そんな……『From Motown To Off The Wall』と題されたこのドキュメンタリー映画。90分ぐらいあったんじゃないかな?94分か。94分でも立派な映画です。そこにはもちろん、マイケル・ジャクソンの生前の姿もたくさん出てきますし。兄弟も出てきますね。クインシー・ジョーンズも出てきますし、いまのシーンの人気者たちも出てきて、『Off The Wall』がどれだけ自分たちに、そしてこの音楽業界に影響を与えたのか?っていう話を立体的にしていくんですね。

そして、マイケルのバイオグラフィー的なこと。そしてこの『Off The Wall』に至る前の、特にジャクソンズ(The Jacksons)という名義で出した『Destiny』についての熱い話があって。で、最後に1曲ずつの各曲紹介があるんですよね。これ、全く日本のライナーノーツのスタイルなんかと一緒なんですけども。これが本当に見応えがある作品でして。改めて、マイケル・ジャクソンという人の天才ぶりと、あと彼を見出した当時の音楽産業の豊かな空気っていうのをね、見ておりました。

やっぱりね、『Thriller』というのはいちばん売れたアルバムなんだけれども、その直前の『Off The Wall』にいろんな鍵っていうのは含まれていたんだなっていうのが、改めてわかりますね。まあ、マイケル・ジャクソンが若くして亡くなったからこそ、明かされる事実っていうのもたくさんある。そんな映画ではあるんですが。音楽的にこういう創意工夫があったから、ちゃんとそれが大衆に支持されたんだなっていう謎解きのような、優れたミステリーのような、そういう面白みもあってね。

これ、ぜひみなさん、一見をおすすめしたいと思います。で、マイケル・ジャクソン。もちろんクインシー・ジョーンズがプロデュースしたんですが。クインシーと組む前から、ジャクソンズのアルバムに関わっておりましたグレッグ・フィリンゲンズ(Greg Phillinganes)という名鍵盤奏者にして名アレンジャー。彼の存在が改めて大きいなということも痛感いたしました。

今日はグレッグ・フィリンゲンズがリリースしている数少ないリーダー作品。アルバムを2枚、出してますね。その中から、84年にリリースされましたセカンドアルバム。この中から1曲、ご紹介したいと思います。アルバムタイトルは『Pulse』といいます。そこに収められた、スティーリー・ダン(Steely Dan)のドナルド・フェイゲン(Donald Fagen)が書いたナンバー、聞いてください。グレッグ・フィリンゲンズで『Lazy Nina』。

Greg Phillinganes『Lazy Nina』

マイケル・ジャクソンの1979年の名作『Off The Wall』。そのリマスター版のリリースに合わせて日本でも見ることができるようになりました、最新ドキュメンタリー映画「マイケル・ジャクソンの旅』。スパイク・リー監督によるドキュメンタリーフィルムです。そのお話をさせていただきました。その中でも、大きく時間を割いてその才能が語られておりましたキーボード奏者にしてアレンジャー、グレッグ・フィリンゲンズのリーダー作品『Pulse』の中から『Lazy Nina』、お聞きいただきました。

<書き起こしおわり>

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