宇多丸 映画『孤高の遠吠』を絶賛する

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ライムスター宇多丸さんがTBSラジオ『ウィークエンドシャッフル』の中で、カナザワ映画祭で見た小林勇貴監督の映画『孤高の遠吠』を絶賛していました。


(宇多丸)あとですね、メルギブもの以外で言うと、映画秘宝なんかでもすごく紹介されてましたけど。日本の完全にインディペンデント映画ですよね。『孤高の遠吠』っていうね、映画のプレミア上映。だからカナザワ映画祭で初めて上映するやつ。これを見て。前から今回のカナザワ映画祭でもすごい激推ししてるあれで。去年、なんて言うのかな?素人のというか、一般の人から作品を募ってコンペみたいなのやったんですって。その中で、結構人気というか評価が高かった人が新作を撮ってきているという、2時間ぐらいの作品なんですけど。

どういうあれか?というと、静岡の富士宮市を舞台に、要は大きな意味でヤンキーっていうか不良映画なんですよね。で、まあその不良の中でも割と下っ端というか。本当に不良に憧れている程度の子たちが、ちょっと知り合った先輩から原付きを安く買えるっていうんでその話に飛びついたら、どんどんどんどんその不良の世界っていうか、ヤクザとか怪しい政治団体とか、そういうところにどんどんどんどん巻き込まれていって。事態がエスカレートしていくっていうあれで。

もちろん、完璧に自主で撮っていて。その富士宮市の実際の不良の人とかに声をかけて撮ってるんだって。この小林勇貴さんっていう監督が。で、あえて言えば、たとえばその不良じゃないけど、大根仁監督のさ、『恋の渦』ってありましたけど。

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あれで出てきたような、現代的DQN像っていうかさ。DQNとか不良とかヤンキー生活圏。要はさ、ヤンキー映画っていうのはいまもあるし。たとえば『クローズZERO』とかありますけど。あれはまあ、完全にフィクショナルというかさ。学ラン着て・・・みたいな。

今時の不良たちを描く

まあいま、ああいうのがいっぱいいるか?っていうとそうじゃないような感じだったりするけど。今時の不良感。だからたとえば、結構怖ーい人。この人、超怖い!みたいな感じの人なんだけど、格好は昔の不良の基準からすると、結構それなりにオシャレだったりするみたいな。で、やっぱりこれ僕、地方とか。それこそ富士宮。隣の富士市の不良も出てくるんだけど。あのへんの近辺のライブに行った時のこととかを思い出して。

あ、でもあのへんの輩感。わかるぞ!わかるぞ!なんかその地方にライブに行った時に、『先輩の○○さんっす』みたいな感じで紹介される人のヴァイブスとか(笑)。あと、ちょっとね、ラッパー風の人も出てきたりして。とにかく、なかなかいまの日本映画では意外と描かれたことがない。それでいて、実際のところいまの現代の日本にはすごくいっぱいいるタイプの不良というか、そういうのが描かれていて、すごいフレッシュだった。むちゃむちゃ面白かったんですよ。

で、監督のこの小林勇貴さんっていう方がさ、まだ24才っつったかな?そうそう。でね、すごくなんて言うのかな?こういう映画を撮るような人だから、いいんですよ。姿勢が攻撃的で。そういうのもいいんだけど。話を聞いてみると、なんとですね、先日この番組でやった24時間ラジオ、あるじゃないですか?あれ、いつでしたっけ?8月22日にやった24時間ラジオに僕がね、TBS入りする前のことらしいんだけど。仲間の、カナザワ映画祭にもいらしていた自主制作映画のぴあフィルムフェスティバルとかに入賞されているようなお仲間とですね、なんと、アポ無しで突撃してきてですね。『ポスター貼って宣伝してくれ』ってスタッフに突撃してきて。

で、まあちょっと、『いや、そういう場じゃないんで。そういうことやっているとキリがないんで』って断られるというですね。ちょっとグレーというよりはアウトな(笑)。そういうようなこともやっていたなんてのも後から聞いて。『ああ、そうですか!』って。まあまあ、そういうのやりだすとキリがないから、プロモ的なのは断っているんですよっていうのは彼らも納得はしてるんだけど。『あ、そんな面白いことやってたの?』と。まあ、そういうのも含めて、非常に面白かったです。

で、『この「孤高の遠吠」、都内とかで上映とかしないんですか?機会、ないんですか?』っつったら、『箱を借りたりするのもお金がかかるし。いまは、それでお金。上映にリスクを背負うより、次回作を早く撮りたくて。すでにいま、次、すぐに撮り出すんです』って。で、不良チームがやる気になっているうちに(笑)。で、彼のね、不良チームの演出論みたいなのもすげー面白くて。いろいろなことを言っていた。

あのね、結構長回しが多いんですね。長回しでグーッと。やっぱその、実際に不良が演じているからっていうのもあるけど、やっぱりもうその人にしか見えない感じで。でも、すごい面白い展開があったりする長回しがあるんだけど。で、『やっぱり不良は長回しの方がいいんですよね』って。要するに、1回カット切ったりするとヴァイブスが途切れちゃうとあまり良くなくて。ずーっと流れで撮った方が良くて。あとですね、不良界の中でもヒエラルキーの上の方に行けた人。要するに、上の方の人ほど演技が上手いんだって。

っていうのはやっぱり、その不良界で生き残って行くには、ある種の演技が必要。これ、まあラッパーがさ、役者にどんどん進む率が高いとか。ラッパーっていうのは役者だみたいなのにもちょっと近いところがあると思うんだけど。そうそう。なんかそんなこともね。むちゃむちゃ面白かったですね。はい。ということでね、小林勇貴監督の『孤高の遠吠』。むちゃむちゃ面白い。まあ、見る機会がどういうところであるかわかりませんが。見逃さずに、機会があったらね。まあ、カナザワ映画祭では2回上映しましたけど。見れた人はラッキーだったんじゃないでしょうか。

<書き起こしおわり>

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