志生野温夫が語る 女子プロレスラーがリング上で歌い始めた理由

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女子プロレスの実況を長年つとめたアナウンサーの志生野温夫さんがTBSラジオ『たまむすび』で、女子プロレスラーがリング上で歌を歌うようになったきっかけについて語っていました。


(玉袋筋太郎)やっぱり志生野さんと言えば女子プロレスですよ!ねえ、ビューティーペアからクラッシュギャルズ、ブル中野、ダンプ松本とかさ、アジャコングとか。全部見てきましたよね。

(志生野温夫)詳しいね。玉さん、詳しいんだよ。

(玉袋筋太郎)どうですか?ビューティーペアの全盛時代なんつーのは?

(志生野温夫)ビューティーペアはね、本当に偶然なんだよね。フジテレビがね、前、特番かなんかで女子プロレスやっていたの。でね、日本テレビもね、11PMっていう番組・・・TBSでこんな話しちゃいけないんだけど。構わないでしょ?やっててね。深夜番組なんかにね、女子プロレスラーが出ていたの。赤城マリ子とかね。

(玉袋筋太郎)赤城マリ子!懐かしいですね!

(志生野温夫)キレイでしたね。白い衣装で。出てたの。でね、フジテレビもいくつか特番でやっていたの。赤城マリ子とかさ。ところがね、これをね、ダン吉田さんっていう音楽番組のプロデューサーがなんとか放送したいと思ったんだね。ところが、フジテレビは『母と子のフジテレビ』だからさ。やっちゃあマズいんだよ。

(玉袋筋太郎)なるほど。

(志生野温夫)女子プロレスなんか、とんでもないんだよ。競馬中継だけでも問題になっているのにさ。

(玉袋筋太郎)(笑)。そうだったんですか。

(志生野温夫)だから『歌を歌わせよう』ってことになったの。それで『かけめぐる青春』っていうのを。嫌だ嫌だ!っていうね、ジャッキー(佐藤)とマキ(上田)を口説いて、歌わせたんだよ。

ビューティーペア『かけめぐる青春』



(玉袋筋太郎)カーッ!そしたら、もう。あの大ヒット。

(志生野温夫)いや、すぐには火はつかなかったの。飯田久彦さんなんかがね、曲を書いたりしたの。それでね、もうぜんぜん人気がなかったの。歌を歌い出すと、みんな中年ファンだから。中年っていうかさ、もう年を取った、社会から落伍したような奴がみんな女子プロレスを見に来ていたんだよ。『バカヤロー!』って、いまだったら大変ですよ。『そんなことしたら、子どもが生まれなくなるぞ!』なんてさ。みんな野次るわけだよ。で、それが楽しいわけだよ。女子プロレスっていうのは。だからね、若い女の子はね、みんな生理的に、女子プロレスなんか見ないんですよ。

(玉袋筋太郎)見に来なかったですね。

(志生野温夫)だから女子プロレスは中年、しかも出世が遅れたっていうか、社会から脱落した男を対象に興業をしていたんですよ。

(玉袋筋太郎)わかりますよ、それ。本当、そういうもんですよ。

(志生野温夫)でも、会場いっぱいそういう人で。で、野次りまくってさ。ところがね、フジテレビはそういう雰囲気を変えようと思って歌を歌わせた。もちろん若い中学生とか高校生がすぐにつくとは思わなかったんだけど。番組として前半・歌、後半・試合っていう風にしないと編成的にダメだったんだよね。それで歌を歌わせた。ところが、もうこれがぜんぜんダメで。お客さんまで、その中年の男性ファンまで減っちゃったの。歌を歌い出すと『やめろ!そんなもん聞きに来たんじゃねーよ!』って。で、もうマキもね、ジャッキーも涙を流してね。『やめさせてください』って。で、やめる寸前に実は火がついたっていうんだけどもね。レコードに火がついたの。『かけめぐる青春』。



(玉袋筋太郎)くぁーっ!

(志生野温夫)福山でね、興業をやった時にね、試合が終わってホテルにね、ハチマキを締めてハッピを着たね、女の子が4・5人来たんですよ。で、『なんだ?』って言ったら、『ジャッキーとマキのファンだ』っていうの。『ええっ!?こんな若い子が?』って。それから火がついて。で、みんな歌を聞きに来たんですよ。会場に、もうハチマキを締めて。で、試合が始まるとみんな見ないの。怖いから。で、そういう風にして、だんだん若い女の子たちを巻き込んでいったの。

(玉袋筋太郎)そしたらもう、会場が女子ばっかになったんですよ。

(志生野温夫)だから中年の男性ファンがみんな来られなくなった。会場に。

(玉袋筋太郎)で、もうかけめぐる青春、大ヒットだから。お金、ガンガン入ってくっから。当時の全女の社長の松永さんっていうのが、もうドラム缶にお金を入れて、その上から踏みつぶしていたっていうんだから。

(小林悠)もう売れちゃって売れちゃって。

(志生野温夫)『60万枚売れた』って言ってるけど、本当はもっと売れたって言ってるね。なんでか?っていうと、会場でバンバン売っちゃうから。

(小林悠)それがカウントされないんですね。すごい!

(志生野温夫)税金の対象にもなんないよね。

(玉袋・小林)(笑)

(志生野温夫)バンバンやったんだから。

(玉袋筋太郎)めちゃくちゃやってますよね。あの兄弟はね。

(志生野温夫)むちゃくちゃ儲かったの。

(玉袋筋太郎)でもね、ビューティーペアも解散ってね、なって。もうジャッキーさんも亡くなっちゃって。(コーナー終了のBGMが流れる)クラッシュの話とかもまだ聞きてーんだよ!でも志生野さんがね、どのレスラーが好きだったか?っていうと、そのビューティーペアじゃなくて悪役のブラックペアっていうのがいて。その池下ユミっていうのが素晴らしいレスラーだったっていう。『光らせる』っていうことですよね。

(志生野温夫)池下ユミっていうのは、やはりプロレスっていうのは悪役と、いい役とあるんだけども。悪役がね、立てないとダメなんだよ。クラッシュだってダンプ松本が徹底的に長与千種とライオネス飛鳥をやっつけて。で、引き立てるっていうとあれがあるけれども。悪役の存在がね、ベビーフェイスを立てるんですよね。で、池下ユミっていうのはね、ダンプ松本みたいに竹刀を持ってなんとかっていう、血を流してなんとかっていうんじゃなくてね。技が素晴らしかった。プロレスの技。技でビューティーペアを立てたんだよな。



(玉袋筋太郎)そうなんです!

(小林悠)へー!

(志生野温夫)それがすごい!

(玉袋筋太郎)技といえばですね、プロレスファンの一部、心なきファンからね、『志生野さんは技を知らない』って。

(志生野温夫)ずいぶん言われました。

(玉袋筋太郎)これ、違うんですよ。

(志生野温夫)だって僕ら入ったのが力道山の時代だからさ。力道山はもう、本当空手チョップしかないんだからさ。

(玉袋筋太郎)時代的にはね(笑)。ノーザンライトボムなんてったって、知らない。

(志生野温夫)他にさ、難しい技なんか力道山はやってなかったよ。考えてみたら。

(玉袋・小林)(笑)

(志生野温夫)ねえ。もう空手チョップ出したら決まるんだからさ。だから、そんなもんだったんだよ。ところが、いまの男子も女子もさ、あらゆる技を出しまくるってさ。しかも変化技からいったらもう何百、何千だね。技の種類は。覚えられませんよ。

(玉袋・小林)(笑)

(玉袋筋太郎)でも、それで覚えちゃってすぐ言っちゃうと、浸透するのに時間をかけたいっていう志生野さんの考えもあったらしいんだよ。

(志生野温夫)だから、大きな技が出た時は、もちろん僕ら知らないからさ。新しい技って好きなんだよ。みんな出すのが。だから、新しい技を出すんだけど、すぐにアナウンサーがその技をフォロー出来たらおかしいじゃないか?っていうのが、実況アナウンサーとしての立場だったんですよ。だからね、何回も出してくれと。『志生野さん、今日私が出したの、新しい技よ』なんてね、言ったってね、そんなの知らないよ。

(玉袋・小林)(笑)

(小林悠)おもしろすぎる(笑)。

(志生野温夫)『今日、なんていう技を出すの?』なんて、取材をすれば言えるけどさ。取材なんかしないじゃない。だから『おおっと!これはなんだ?』ってやっているうちにさ、『志生野さんは技をわかんない』って言うけどさ、わかるわけないって。

(小林悠)急に出るんですもんね。

(志生野温夫)そう。5回・10回、続けて出せと。そしたら僕がやっとわかって。ちゃんとしゃべるようにするから。そしたら、ファンの間にも浸透していくんだから。プロレスだったらそうじゃなくちゃいけないってね。そういう風に僕は屁理屈をこねて。

(玉袋・小林)(笑)

(志生野温夫)本当は勉強しなかったんだけどね(笑)。屁理屈をこねてみんなに言って。

(小林悠)とはおっしゃるものの、愛情は本当に伝わってきます。

(玉袋筋太郎)最高!もっともっとお話、聞きたいでしょう?

(小林悠)あっという間でしたね。びっくりするぐらい。

(玉袋筋太郎)ぜひともまた、志生野さん、遊びに来てくださいよ。

(志生野温夫)つまんないことばっかりしゃべってすいません。

(玉袋筋太郎)いやいや、ありがとうございました。

(小林悠)志生野温夫さん、お迎えしました。ありがとうございました。

(玉袋筋太郎)ありがとうございました。最高!

(志生野温夫)どうも、失礼しました。

<書き起こしおわり>

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