都築響一が語る東京右半分 マーケティング不可能な右半分の魅力

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都築響一さんが2012年3月にTBSラジオ『柳瀬博一Terminal』に出演した際の書き起こし。様々な東京右半分のスポットと、そこを取材する都築さんのやり方などをお話されています。


(柳瀬博一)TBSラジオ『柳瀬博一Terminal』。柳瀬博一と、

(南部広美)南部広美が生放送でお送りしています。今夜のThe Point of Viewは東京右半分の著者、編集者、写真家の都築響一さんをスタジオゲストにお迎えしてお話を伺っています。都築さん、引き続きよろしくお願いします。

(都築響一)はい。こんな話でいいんでしょうか?夕方から(笑)。

(柳瀬博一)もちろんです!

(南部広美)まだまだ。

(柳瀬博一)はい、メール2本、きてますね。

(南部広美)(リスナーのメールを読む)『私は洋服を作る仕事をしていて、浅草橋や蔵前などに付属品をよく購入しに行きます。町を歩いていると、昭和のまま時間が止まっているようで、ゆっくり時間が過ぎているような感覚になります。最近はものづくりをする若い人がとても多く町を歩いています』。最終回、とても残念ということで。大人のラジオで楽しみにしていました、という。ありがとうございます。

(柳瀬博一)あれですね、右半分。問屋が多いですよね。

(都築響一)だからね、なんか作る。たとえばアクセサリーの人とかは問屋が近いからあっちに行くんですよ。すぐ買えるから。

(柳瀬博一)あー、なるほどな!だから、商売と実は近い町でもあるんですよね。

(都築響一)そうですよ。だからぜんぜんあっちの方が便利なんですよ。買うのにね。

(柳瀬博一)はい。もう一通、メールがきてますね。

(南部広美)もう一方。(リスナーのメールを読む)『東京右半分と聞いて思い出したのは、上野のバイク街です。昭和通りに面した一角に、大きなチェーン店からおじさん1人でやっている小さな店まで、バイクの店が軒を連ねていて、ライダーにはたまらないエリアでした。違法の改造パーツを売っている店もあったりして。その怪しさがまた、よかったんですよね。先日、近くを通ったので久しぶりに行ってみたら、かつてシンボルだったチェーン店が潰れたとかで、バイク街の面影はすっかりなくなっていました。なんだか自分の青春が失われたような気がして、寂しかったです』という。

(都築響一)そうですね。まだありますけどね。ちょっとはね。

(柳瀬博一)あ、バイク街もお詳しいですか。

(都築響一)はい。バイク街って夜のバイク街は知ってるけど(笑)。上野駅から昭和通り沿いがずっとのびてるんですよね。首都高速の下に。

(柳瀬博一)わかります。首都高速の脇のところがバイク街でしたね。

(都築響一)そうなんです。それで上野駅からバイク街に行くあたりっていうのが、東京でいちばんのニューハーフ風俗ゾーンなんですけど(笑)。

(柳瀬博一)ニューハーフ!?はー!

(都築響一)キレイなニューハーフの子たちが気持ちよくしてくれるところがいちばん多くて。激戦区で。

(柳瀬博一)激戦区なんですか!

(都築響一)はい。そのあとバイク街があるんですけど、バイク街の裏っていうのが1エリア。それからもうひとつは浅草の観音裏って呼ばれるエリア。そのふたつがですね、東京有数のゲイタウンなんですよ。

新宿2丁目以外のゲイタウン

(柳瀬博一)えっ!?新宿2丁目っていうイメージがありましたけど。

(都築響一)新宿2丁目っていうのは、若いゲイタウン。で、上野・浅草は中高年専用のゲイタウンなんですよ。

(柳瀬博一)中高年専用!

(都築響一)素晴らしいですよ。

(柳瀬博一)で、この本の、東京右半分で、実はいちばん南部さんが感動したのが、浅草の・・・

(南部広美)あ、そうです。あのね、なにが私、衝撃的だったって、ふんどしの聖地だったっていう。浅草が。

(都築響一)ゲイふんどしパブですね。中高年専用。もう、命をかけて潜入取材してきましたからね。僕も(笑)。

(柳瀬博一)都築さん、あれ潜入取材を!

(都築響一)そうですよ。もう。

(柳瀬博一)単身?

(都築響一)いやいやいや。

(南部広美)ふんどしになったんですか、都築さん。

(都築響一)それじゃないとダメだもん。だってそういうところは別にお店の人は作務衣かなんか着てるんですよ。客がふんどし一丁とかでまったりと飲むっていうお店ですから。

(柳瀬博一)しかも、ガッチリした方が結構多そうな。

(都築響一)ああ、まあそれもあるし。おじいさんも結構いらっしゃるんですけど。やっぱり浅草っていうのは三社祭りがあるじゃないですか。だからふんどし界では聖地っていうかですね。

(柳瀬博一)もともとお祭りがあるから。別にノンケ、そっちの方、関係なく、ふんどしされる方が多いわけですね。

(都築響一)とにかくだって三社祭りの時は何万人もふんどし野郎たちが町を歩くわけでしょ?ふんどし一丁でウロウロしても咎められないわけですよ。ふんどし界の野外レイヴというかですね。イビサみたいな(笑)。

(柳瀬博一)なるほど(笑)。そりゃ、たまらない人にはたまらない。

(南部広美)解放区ですね。

(都築響一)解放区ですよ。しかも、やっぱりそのゲイのエリア。世界ではふんどしっていうのは、やっぱり六尺(ふんどし)じゃないといけないっていうので。それは、越中とかじゃダメだということでですね。お祭り用品で布を買って、自分で締め込むのが普通なので。お祭り用品屋、すごく多いんですよ。浅草って。だからお祭り用の衣装と。

(南部広美)踊りの。ダンスの靴とかそういうのも。

(都築響一)だからね、ダボシャツみたいな鯉口シャツとか。いろんなものもお祭り用品屋が本当、すごい多いんですね。

(柳瀬博一)そういえばこの本の中で、面白かったのは右半分のこのギャングスタファッション。かっちょいいジャンパー。ちょっと怖い、ヤバめの・・・

右半分のギャングスタファッション 極ジャー

(都築響一)まあ、一見普通のジャージ上下だが、なぜかあれですよね。デカい犬のマークとかが入っているやつですよね?ギャングスタ系というか。僕たちの間では『極(ごく)ジャー』って呼ばれている。

(柳瀬博一)極ジャー(笑)。

(南部広美)『ごく』ってどう書くんですか?

(柳瀬博一)『極道』の『極』。

(都築響一)極める。

(南部広美)やっぱり(笑)。一応聞いとかないと。

(都築響一)いいんですよ。すごくかっこいい。いま、ちょっと外国でもウケてますよ。あれ。

(柳瀬博一)あ、そうですか!

(都築響一)日本の青山とか恵比寿だけでウケてないだけで。日本のほとんどの、9割の地方と、外国のごく一部。ロスアンゼルスとかそういうところではウケてますよ。

(柳瀬博一)こう、なんかイーストLAとつながったりするっていう(笑)。

(都築響一)でも、この間もロンドンの某超有名バンドの奴が買い占めに来たりとか。

(南部広美)でも、ウケそうですよね。

(都築響一)ちょっと前は作業着屋の寅壱みたいな。ああいうのがウケてたじゃないですか。外国のファッションで。あれからいま、こっちに来てると思うんですよ。

(南部広美)ブームって、移ってくんだ。

(柳瀬博一)でもね、僕やっぱりつくづく思うのは、都築さんが前、スナックの本を書かれた時も思ったんだけど、マーケティングしないことで実は新しいマーケットを作っている人たちだなという感じがしますよね。

(都築響一)まあ、その通りですね。マーケティングっていうのは絶対にやっちゃいけないことなんですよ。だってマーケティングっていうのは、市場調査でしょ?要するに。調査するってことは、なにかあるものじゃないと調査できないわけですよ。

(柳瀬博一)もうすでにあるもの。

(都築響一)あるものしか調査できないでしょ?そしたらそれは誰かがやってるってことですよね。だから、人と違うことをするには、人とおんなじことをしても儲かるには、あとは資本の差ですから。人と違うことをして生きていくためには、マーケティングっていうのはいちばん外れたやり方ですよ。やっちゃいけないこと。

(柳瀬博一)だから、究極のマーケティングはマーケティングをしないことであるってことですよね。

(都築響一)まあ、人の言うことを聞かないってことですよね。

(柳瀬博一)ですよね。さっき都築さんの名言を聞かせてもらったんですけど。『なんかやろうとする時、Googleでヒットしたら負け』って(笑)。

(都築響一)いや、僕なんかは、僕の仕事はそうなんですけど。たぶん普通の編集やっている方とか、そういうのもなんか新しい企画が出たらね、まずサーチすると思うんですよ。どういうことをみんなやってるかな?って。ほいでみんなやっていると安心して、『あ、じゃあこれはイケる』と思う。僕の場合は、なんか新しい企画を思いついて、まあ一応Googleとかでサーチしますけど、そこでヒットしたら負けっていう気がすごいしますよね。

(南部広美)負けちゃったら、もうやらないんですか?その企画は。

(都築響一)ほとんどやらないですね。だって、もうやってるんだもん。

(南部広美)だから手付かずのなにかを見つけるっていう。

(都築響一)それ以外にだって、ジャーナリストっている必要ないだろ?と思うんですよ。

(柳瀬博一)いや、これでも、スナックが実は面白い。あるいは右半分が面白い。誰でも実は触れる、誰でもいる場所なのに、誰も。メディアも含めて見てなかったとも言えますよね。

(都築響一)まあ、たとえばスナックって日本に15・6万軒あると思いますけど。ホームページ持っているスナックってたぶん1000軒もないと思いますよ。もう、ほとんどない。ゼロ。

(柳瀬博一)すなわち、あれに出てこないですよ。食べログとかに出てこない。

(都築響一)だからね、いま夜、若い子と『ご飯、食べようか』みたいな。どっか待ち合わせて。で、知らない町に行って若い編集者とかと食べようと。で、いきなり携帯で食べログですよ。もう、その瞬間に怒りますよ。『消せよ!』っていう。

(柳瀬博一)(笑)。いいなー。

(都築響一)ダメですよ。そんなの見ちゃあ。だってそれは他の人の意見を聞いてるっていうことだから。あとやっぱり、自分の嗅覚を発達させるには、自分で嗅がないとダメなんですよ。だから、失敗もありますけど、そこで。たとえばスナックなんか絶対食べログに出てこないですから。ね。教えてgooとかにも出てこないんで。こう、そーっとドアを開けて中の雰囲気を見極める技をみんな磨いていくわけですよ。そういう風にしていかないと、本当に面白いところっていうのは出てこないの。

(柳瀬博一)これが右半分の遊び方ですね。僕は個人的には格好は割りと嫌いじゃないんだけど、スカイツリーが右半分にドーン!とできましたよね。都築さん、この本の最後で、ちょっと右半分がキレイに。なんて言うのかな?大資本的にキレイになっちゃうとつまんなくなるんじゃないかな?なんて話をチラッと書かれてますよね。

(都築響一)スカイツリー、嫌いですね!

(柳瀬博一)(笑)

(都築響一)大っ嫌いですね。別にいいですけど、まあ風景を一変させるってことはともかくとして、やっぱりね、スカイツリーって押上っていう古い町にありますけど。あのスカイツリーの周りって、いまどんどん寂れてるんですね。

(柳瀬博一)えっ、そうなんですか!?

(都築響一)はい。たぶんあそこは団体観光客が多いでしょ?バスで来るんですよ。それでスカイツリーの中、上がるでしょ?それでその後、みんなそのままバスで浅草に流れちゃうんですよ。

(柳瀬博一)あ、っていうことはかえって地元観光にならない可能性が。

(都築響一)ならない。地元には。どんだけ歩いてくるかわかんないし。だからいま、結構もう半分シャッター商店街みたいになっているところを、どんどん大資本の店が買い取って、そこに出店してるんですね。だから、昔からあるお店っていうのは、たとえばスカイツリーのショッピングセンター、モールの中に入れてあげるよっつったって、入れるわけないじゃないですか。高いし。

(柳瀬博一)そうですよね。

(都築響一)だからおんなじような店になっちゃうと。また。そうやってあの町はスカイツリーっていう山があって、その周りにどこでも一緒のような町が。周辺としてショッピングモールのような感じで出来ていって。

(柳瀬博一)これ、地方都市の駅前開発の失敗事例って割りとそのパターンが多いですけども。

(都築響一)まあ、東京右半分でもそうですね。錦糸町とかね。錦糸町にZARAはいらないだろう!って言うとなんですけど。申し訳ないけど、やっぱりキャラクターがなくなっちゃうんですよ。どこの駅で降りたか、わからなくなっちゃう。それが、ねえ。ぜんぶアトレとかみたいな駅ビルになっちゃうと、やっぱりその町のキャラがないじゃないですか。

(柳瀬博一)そうですね。

(都築響一)だからさっきね、あれにあった小岩なんか、まだそこにいってないからいいわけであって。でもいま、どんどん再開発が進んでて。明日もちょっと現場でそういう話をするんですけど、いま立石っていうすごく有名な飲み屋街があるところも、あと2・3年でなくなっちゃうんですよね。変なビル街になっちゃうんですよ。だから、やっぱりそういう行政とかデベロッパーっていうのは、どんどん昔からの個性っていうの、関係ないんですよね。新しいビルを作って、地価を高める。イメージを高めて地価を高めるってことしか興味がないので。

(柳瀬博一)うんうん。

(都築響一)やっぱりこっちはね、お金ないし抵抗はできませんけど、記録だけはしていきたいっていうのが、正直なところですね。

(柳瀬博一)でも、あれですよね。小さい、一人ひとりの面白い動きが、新しい、実は本当の町を作るっていうのはね。いまでも、たとえば左半分でも下北沢とか吉祥寺とか、元気のいいところって、だいたい大資本があってもそういうところが残っているところだと思うんですよね。だから、一人ひとりの、実はクリエイティブが、実はちゃんとビジネスやお金もにぎわいも作るっていうことを、僕は都築さんのこの右半分は正しいビジネス書。あるいはビジネス指南にも僕はなるなと思います。そのあたり、是非この本ね。是非実際に買って、読んでいただきたいなと思います。

(都築響一)よろしくお願いします。

<書き起こしおわり>
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