漫画『闇金ウシジマくん』の取材協力などでも知られるライターの上野友行さんがDommune『スナック芸術丸』に出演。都築響一さんと現代ヤクザのSNS事情やビジネス、ファッション、愛車などについて話していました。
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— linodata (@linodata) 2016年8月25日
(都築響一)でも、そういう風に面白いなっていうのは昔のヤクザの金の稼ぎ方とはまた、違うじゃないですか。暴力が一番みたいなのと、またもういまは違うわけでしょう?
(上野友行)そうですね。そういう昔の腕っ節が強かった人は窓際族で。もういまは「ケンカすんな」の時代なんで。ケンカしたらもう抗争になってお金がかかっちゃうから。だからもうシーンとしていたんですけどね。
(都築響一)はい。
(上野友行)で、いまもう稼ぎはみんな合法になっちゃってますからね。普通の会社を経営してやっていますし。
(都築響一)企業舎弟みたいな?
女性を表に立たせることが多い
(上野友行)そうですね。それもそうだし、いまは女性を表に立たせることが多いんで。普通にネイルサロンとかエステとか美容室とかケーキ屋さんとか。普通にやっていますよ。
(都築響一)ほう。
(上野友行)それ、僕の手元に某県警のマル暴の資料があるんですけど、10年前ですらそんな状況でしたからね。
(都築響一)それ、普通に女性がネイルサロンをやるのとなにが違うんですか?
(上野友行)まあ、要するに金を出すわけです。
(都築響一)資金源がという。
(上野友行)そうですね。だから昔からやっぱりヤクザの口説き文句としては「店を持たせてやるよ」って女に言うじゃないですか。あれは昔だったらスナックとかクラブだったんでしょうけど、いまはそっち系に。やっぱりキャバクラ行っても「ネイルサロンやりたい」とか、いっぱいいますもんね。
(都築響一)そっか。じゃあたとえばネイルサロンなり花屋をやると。それで、そしたらやっぱり今度は自分が持っているキャバクラのはそこから収めるとか……
(上野友行)ああ、そうですね。だんだん、だんだん。
(都築響一)だんだん事業を拡大して。
(上野友行)そうですね。普通に青年実業家のように。素晴らしい……あ、素晴らしくはないですね(笑)。
(都築響一)(笑)。まあ、ある意味青年実業家ですよ。
(上野友行)すごいっすよね。本当、全然知らない分野にまで飛び込んでいくし。で、まあ成功しちゃうんですよね。なぜか。不思議なもんで。
(都築響一)それはでもやっぱり、人たらしじゃないけど。そういうところもあるんでしょうね。
(上野友行)そうですね。やっぱり芸能人とかと人脈を持っていたり、そこを使ったりとか。SNSの使い方が上手かったりとか。
(都築響一)SNSってなんですか?
(上野友行)ヤクザ、平気でFacebookやってますから。いま!
Facebookを平気でやっている
(都築響一)そうですか!
(上野友行)恐ろしい時代ですよ!
(都築響一)なに書いてるの? ヤクザが。
(上野友行)いや、「焼き肉食ってる」とか、「芸能人の誰々」とか。それは俺もびっくりしたんすけど、要するに昔だったらたとえば繁華街で顔を売って羽振りよくするのがヤクザの営業だったわけですけども。
(都築響一)そうですよね。
(上野友行)いま、FacebookとかInstagramで平気でできるわけですよ。
(都築響一)ほう!
(上野友行)あれをやっとくと、本当に女の子が食いつくし。
(都築響一)そうなんだ! 食いつくんだ(笑)。
(上野友行)そうっす。それを真似して、僕もインスタにずっと焼き肉の写真を……(笑)。
(都築響一)(笑)。焼き肉写真?
(上野友行)焼き肉。焼き肉しか上げてない。
(都築響一)そうなんだ!(笑)。
(上野友行)そうですね。
(都築響一)まあ、上野さんはね、いろいろなアレルギーがあって。肉しか食ってないですもんね。
(上野友行)そうですね。宗教的問題で(笑)。
(都築響一)肉と酒だけですもんね(笑)。
(上野友行)野菜が食えないんでね。魚はアレルギーというね(笑)。
(都築響一)まあ、本当ですね。素人じゃない感じがしますけども。でも、そういうじゃあSNSも駆使し、普通のビジネスもガンガン、裏に立ってやり。そうやってどんどん伸ばしていって、しかもそれを親分には言わないっていう……
(上野友行)言わないっすね。
(都築響一)それは新世代っていうか、新しいジェネレーションですよね。
(上野友行)新しいジェネレーション。そうですね。いまのトレンド……いまのスタンダードですね。
(都築響一)そうなんだ。そういう人がすぐ隣の席で焼き肉食っているとしてですよ……
(上野友行)そうですね。めちゃめちゃ食ってますね。
(都築響一)じゃあ、見分け方はどうするの? それ、よく聞かれると思いますけども。
(上野友行)見分け方っつーのは、どうっすかね?
(都築響一)だって、洋服じゃもうわかんないじゃない?
いまどきのファッション
(上野友行)そうっすけどね。もう、でも身体つきと……完全にいわゆる半グレみたいな。若い世代はなっていますからね。ピッチピチのTシャツを着て。ただ、めちゃめちゃ身体鍛えてるんですけど、腹だけ出ているとか。
(都築響一)ああー。
(上野友行)やっぱり身体は鍛えるけれども、夜の付き合いは欠かさないから。
(都築響一)まあ、酒と肉は欠かせないだけに。
(上野友行)そうっすね。だからかなりあるあるですね。これ、だからさすが真鍋(昌平)先生ですよ(笑)。
(都築響一)なるほど! でもさ、ちょっと前みたいな、もう見るからにオラオラ系の洋服とかも、もうあんまり着ないでしょう?
(上野友行)そうっすね。でも、まあああいう海外の、ハイドロゲンだの、アバクロだの。そういうのを着てますよ。ピッチピチのサイズで。
(都築響一)そうなんだ。
(上野友行)あのサイズ感がやっぱりヤクザですね。腹とか、キャバクラで座るとすげー腹だけポコッと目立っているんですよ。
(都築響一)まあ、座るしね。余計に。
(上野友行)そうそう。「普通、もう1サイズ、上げるだろ?」って思うんですけど。でも、キャバ嬢に言わせると、「それがかっこいい」と。
(都築響一)そうなんだ!
(上野友行)「堂々としているのがかわいい」とか。
(都築響一)堂々としているの、それ?(笑)。
(上野友行)だから都築さんももう1サイズ、下げた方がいいかも(笑)。
(都築響一)ドキッ! まあ上野くんも(笑)。ねえ。
(上野友行)ピッチピチでキャバクラ行きましょう(笑)。
(都築響一)いやいや、そこまで勇気が……だって昔のヤクザはね、デカいジャージから始まって、デカいダブルのスーツまで。ゆったり系が基本だったじゃない。
(上野友行)そうっすね。いまはもうやっぱり、ピッチピチのサイズ感。もうみんな身体を鍛えてます。暇なんで。いまのヤクザ。
(都築響一)(笑)。えっ、お気に入りブランドってなにがあるんですか?
(上野友行)お気に入りブランドは、やっぱり海外のセレブが着ているやつ。が、4、5年遅れて日本に入ってきますね(笑)。
(都築響一)なるほど。じゃあ、お気に入りの車は?
(上野友行)車は……まあ、もちろんベンツとかは「ベンツ離れ」とか言いながらも人気があるんですけど。
(都築響一)ベンツ離れ。
(上野友行)プリウスが素晴らしいんすよ。絶対にセカンドカーでプリウス、持ってますから。
(都築響一)そうなんだ!
(上野友行)で、それはセカンドカーで要するにカタギのふりをしなきゃいけない場面がいっぱいあるから。合法的な、普段の場面ではプリウスを乗るんですけど。もう、あれ全然壊れないし。ああいう人らってコロコロコロコロ車を乗り換えるじゃないですか。ところが、このプリウスっていうやつだけはもう全然壊れないし、もう一番長く乗っていると。
(都築響一)おおっ!
(上野友行)「もうこいつだけは手放せない!」ぐらいの感じでプリウスだけは。まあ、要するに戦闘車両というか、別にぶつけていいような車なんすけど、結局長い付き合い。一番、ずっと。だから2個ぐらい型落ちのをみんな乗っているんじゃないですかね?
(都築響一)ああ、意外な愛車となっていると。
(上野友行)すさまじいっすよ。プリウスの運転。
(都築響一)上手いんだ。
(上野友行)もう、なんつーんすかね? シャシャシャシャシャッ!ってこう……だから、「ゴキブリ」って言われてるんすよ。黒のプリウスで、「あっ、ゴキブリ来た!」って。もう、ヤクザが来た!ってわかりますから。1キロ先ぐらいから、「あっ、ヤクザ来た!」って(笑)。
(都築響一)シャシャシャシャシャッ!って。
(上野友行)明らかに、プリウスが。もう全然違いますね。
(都築響一)プリウスらしくない運転ってことですね?
(上野友行)そうっすね。すさまじい。もう……
(都築響一)急発進、急加速、急ブレーキと。
(上野友行)そうっすね。マシンガンのようにクラクション鳴らして(笑)。
(都築響一)(笑)。そんなの、いるの?
(上野友行)います、います(笑)。めちゃくちゃいますよ。
(都築響一)本当?(笑)。そういうですね、ことはこの本(『ヤクザライフ』)を読めばわかると……
(上野友行)そうですね(笑)。
<書き起こしおわり>
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