町山智浩 ウディ・アレン養女セクハラ問題と『ブルージャスミン』を語る

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映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』でウディ・アレンの最新作『ブルージャスミン』と、彼の最近のスキャンダルについて話していました。


(赤江珠緒)さあ、町山さん。今日はどんなお話なんでしょうか?

(町山智浩)はい。今日はいまアメリカで大変なことになっちゃっているウディ・アレンという映画監督の新作でですね、『ブルージャスミン』っていう映画を紹介したいんですが。いまこのウディ・アレンという人は78才なんですけど。いままでに70本以上映画撮っているんですね。

(赤江・山里)へー!

(町山智浩)すごい人なんですけども。この人がいま、アカデミー賞でですね、主演女優賞候補確実と言われている映画でブルージャスミンっていう映画があるんですよ。それの、いまアカデミー賞に向かっているという時に大スキャンダルがいま起きて。大変な事態になってるんですよ。

(赤江珠緒)監督にスキャンダルが?

(町山智浩)監督にスキャンダルが起ってるんですよ。

映画の概要

(町山智浩)まずこのブルージャスミンっていう映画、どんな映画か紹介したいんですけども。これ、ジャスミンっていう女の人が主人公で。ジャスミンさんを演じるのがですね、ケイト・ブランシェットっていう女優さんなんですけど。ご存じですかね?

(赤江珠緒)このお写真を見たらですね、『ロード・オブ・ザ・リング』に出てらっしゃった方ですよね?

(町山智浩)出てました。女神様みたいな役でね。あとこの人が非常に有名なのが、『エリザベス』ですね。いまの女王さんじゃなくて、エリザベス1世といわれている、イギリスを世界一の国にした女王を演じてすごく評価された人なんですよ。で、女王様キャラなんですよ。だって、女神様。あれも女王様でしょ?それもしかも地球の女王みたいな役で。

(赤江珠緒)そうでしたね。ちょっと神々しい感じ。

(町山智浩)で、イギリスが世界を制覇した時の女王の役をやっている人で。女王様キャラなんですけども。そのキャラを上手く使った映画がこのブルージャスミンっていう映画なんですね。で、なぜこれ『ブルー』っていうのがジャスミンっていう役名の上についているか?っていうと、ちょっといま、曲を聞いていただけますか?『Blue Moon』っていう曲なんですけど。



(山里亮太)優雅ですなあ。

(町山智浩)はい。非常にエレガントなね。

(赤江珠緒)アフタヌーンティーはいかが?っていうような。

(町山智浩)そういう感じでしょ?ブルームーンっていうね。これ、このケイト・ブランシェット演じるジャスミンっていう人、この曲がすごい好きでですね。これが何度もかかるんですね。この映画の中で。でも、そういう映画じゃないんですよ。

(山里亮太)えっ?

(町山智浩)この曲は、非常に皮肉な曲として使われてるんですけど。この人、破産したところなんですよ。

(赤江・山里)ほう!

(町山智浩)で、ニューヨークの大金持ちだったんですね。ところが、旦那が金持ちで自分は何も知らなかったんですけど、旦那は詐欺師だったんですよ。最近、詐欺師の映画ばっかりやっているような気がしますけど(笑)。

(赤江珠緒)本当ですね!ちょっとアメリカ、詐欺多いですね。

(町山智浩)まあ、アメリカ。詐欺がとにかく酷かったんですけどね。2008年ぐらいまで。要するに、銀行とか証券会社がみんな詐欺していたような国ですから。

(赤江珠緒)まあ、リーマン・ショックがありましたもんね。

(町山智浩)で、その詐欺がバレて。ネズミ講をやってたんですね。旦那はね。アレック・ボールドウィンっていう役者がやってるんですけど。みんなから『お金を投資してくれ。それを殖やしてあげるよ』ってお金をみんなから集めて。ぜんぜん投資しないで、自分の家買ったり、車買ったりしてたんですよ。

(赤江・山里)うわー。

(町山智浩)っていうね。それで、新しく入った人のお金を前に投資した人に回すっていう、典型的なネズミ講をやっていて。で、パクられてですね。全部財産を取られて、このジャスミンさんは一銭もなくなって。一文無しになって、自分の妹が住んでいるサンフランシスコ。僕が住んでいるところですけど。サンフランシスコに飛行機でやってくるところから映画が始まるんですね。

(山里亮太)ほう。

(町山智浩)ところが、一銭もないくせに、この女ですね、ファーストクラスに乗ってるんですよ!で、バッグとか全部、ヴィトンなんですね。そういう人なんで。シャネルとか、そんなのばっかりなんですよ。全身。でも、家ないからホームレスなんです。それなのに妹のところに来て。妹はですね・・・妹も一文無しなんですよ。どうしてか?っていうと、この妹は前、旦那と一緒に暮らしていたんですけど、その全財産を彼女に預けちゃったからなんですよ。『投資しろ』って言われて。

(山里亮太)あー!家族も被害にあってたんだ。その。

(町山智浩)自分の妹も騙してるんですよ。それで、離婚して借金抱えてスーパーで働いてるんですね。妹は。で、安アパートに住んでるんですけど。そこにジャスミンが居候するんですよ。ちなみに妹の名前はジンジャーっつって、ショウガっていう名前なんですけど(笑)。

(山里亮太)ショウガ?

(町山智浩)で、ニューヨークで散々悪いことして金稼いで贅沢な生活をしていたニューヨークと、いまサンフランシスコで一文無しになっちゃって、さあどうしよう?っていう状態とか平行して描かれる映画です。行ったり来たりするんですよ。これ、前『ブルーバレンタイン』っていう映画がそうでしたね。

(赤江珠緒)ああ、そうでしたね。

(町山智浩)あの、2人が出会って。男と女が出会って、ラブラブになっていく過程と、結婚して何年かして、冷めていってどんどん崩壊していくのを行ったり来たりする映画がブルーバレンタイン。こっちも『ブルー』がついてますからね。ブルージャスミンも。行ったり来たりするわけですよ。大金持ちのセレブが崩壊していくのと、崩壊した後、どんどんジャスミンさん自身が崩壊していくのを並行して見せていくんです。

(赤江・山里)へー!

(町山智浩)これがなかなかすごいんですけど。このジャスミンっていう人は、実はモデルがいます。これね、メイドフ事件っていうのがあったんですよ。バーニー・メイドフ。バーナード・マードフとも日本では言われてますけど。まあ、ネズミ講みたいな。さっき言った投資詐欺でですね、650億円パクった男なんですよ。

(赤江珠緒)すごい!またケタが違いますね!

(町山智浩)ケタが違うんです。だからこの人、いま刑務所に入ってますけど。懲役150年です。

(山里亮太)終身刑だ。

(町山智浩)そう。これ、150年生き抜いたらまたすごいんですけど(笑)。

(赤江珠緒)生き抜けない(笑)。

(町山智浩)もう60過ぎてるんで。で、この人の奥さんっていうのがいるんですけど。ルースっていう人なんですけど。これだけ、贅沢してきたんです。人の金パクったお金で。旦那が。で、世間から責められた時に、『私、なんにも知らない』って言ったんですよ。『それはネズミ講ですよ!』って言われて。これは旦那がですね、突然過程会議で告白したんですね。『お父さんはこれから告白する。私はずっとネズミ講をしてました』って言ったんですよ。

(赤江・山里)うん。

(町山智浩)そしたら息子とか卒倒して。ビックリするんですけど。奥さんの方は『ネズミ講って、なに?』って聞いたんですよ。この人、18才で旦那と結婚した後、1回も働いたことなくて。なんにも知らないんですよ。知っていることはインテリアデザインのことと、服のことと、それしか知らなくて。なんにも出来ないんですよ!働いたこともなくて、料理もできない。家事もできない。

(山里亮太)はー。

(町山智浩)で、自分がやらかした大変なことも責任も、全く感じてないんですよ。っていう人がそのマードフっていう史上最大の詐欺師の奥さんだったんですけど。この奥さんの話を聞いて、たぶんウディ・アレンが思いついたんですね。『この女の話を作ろう!』ということで。これがブルージャスミンなんですよ。

(赤江珠緒)へー!詐欺とは違いますけど、マリー・アントワネットとかの心境に・・・

(町山智浩)マリー・アントワネットと同じですよ。マリー・アントワネットはね、みんなが『ご飯が食べられない。パンが食べられない』って言ったら、『お菓子を食べればいいのに』って言って。最後はギロチンにかけられたけど、最後まで自分がなにが悪かったのか?わかってなかったと思うんですけど。

(赤江珠緒)ええ。なんかちょっとそんな感じがダブりますね。

(町山智浩)もう、本当同じですよ。ただ、このメイドフの息子さんは自分が父親とやった詐欺行為のことで自殺してるんですよ。耐えられなくなって。だから罪悪感を感じてたんですね。息子の方は。でもまあ、お母さんの方はなにも感じてないんですけど。で、このジャスミンがですね、でもぜんぜん自分が悪いと思ってないから、この妹のジンジャーとかをですね、『あんた、負け犬ね』って言うんですよ。『こんな汚いアパート住んで、ダサいわね』って言うんですよ。

(赤江珠緒)わーわー!

(町山智浩)テメーは金パクったんじゃん!って思うんですけど。そう聞くとさ、結構笑っちゃうじゃないですか。あまりにもバカなんで。これ、コメディーなんですよ。

(赤江・山里)はー!

(町山智浩)こんなすごい話なんですけど、完全にコメディーとして撮っていて。このジャスミンがあまりにもバカなんで。見てるともう笑うしかないんですね。で、彼女は『私、インテリアデザイナーになるの』とか言ってるんですけど。もう40過ぎて。学校に行き始めて。インテリアデザイナーやろうとするんですけど、ダメだと思うと、『やっぱり金持ち男を見つけて、それでまた玉の輿よ!』とか言ってるんですよ。

(山里亮太)はあ。もう年なのに。

(町山智浩)ぜんぜん現実感がなくて。要するに、地に足が全くついてないんですね。

(赤江珠緒)じゃあ、セレブ気分も抜けず。

(町山智浩)セレブ気分がぜんぜん抜けてないんですよ。お金ないのに。っていう、痛い痛い痛い人をケイト・ブランシェットが。女王様役者ですから。女王様女優だから。もうお金一銭もなくても女王様っていう可笑しさを演じてるんですね。

(山里亮太)面白そうだなー!

(町山智浩)で、アカデミー主演女優賞確実だろうって言われてるんですよ。で、もうひとつ、この映画がもとにしている話っていうのがありまして。テネシー・ウィリアムズっていう人がですね、1950年代に書いた話でですね、戯曲なんですけども『欲望という名の電車』という戯曲があるんですよ。お芝居ですね。

(山里亮太)はい。

(町山智浩)それがその、南部のお金持ちの娘が、自分の家が崩壊して。それで自分の妹との家に転がりこんでくるっていう話なんですよ。おんなじなんですよ。で、だんだんおかしくなってくるんですけど。その話は要するに南部の大金持ちで、農園をやっていたっていう設定なんで。実は奴隷で稼いでいた家なんですね。

(赤江・山里)うん。

(町山智浩)奴隷を使って農園をやって、搾取しまくって大金持ちになったんだけど結局崩壊するんですよ。南部っていうのは。でも、その自分の貴族みたいな生活にしがみついているバカな女っていう話が、その欲望という名の電車っていうお芝居だったんですけど。全く、現代の2008年に起きたバブル崩壊と同じなんですよね。

(赤江珠緒)ああ、本当ですね。

(町山智浩)結局、アメリカの犯罪ですよ。っていうものに、『私は知らないわ』って言いながら優雅な生活をしていた人の罪を問うみたいな話でもあるわけですよ。両方とも。っていうので、これはゴールデングローブの主演女優賞もとりましたし。ケイト・ブランシェットは。で、アカデミー賞にいくと思ったら、いま足を引っ張ってるんですよね。

(山里亮太)ああ、さっき言ったスキャンダル。

(赤江珠緒)監督が足を引っ張っている。

(町山智浩)スキャンダルで足を引っ張っているのは、監督の息子なんですよ。

(山里亮太)引っ張っているのが息子?

(町山智浩)これ、ゴールデングローブ賞を受賞した時にですね、息子のローナン・ファローっていう男の子がいて。25才なんですけど。彼がtwitterでですね、『みんなウディ・アレンを賞賛してるけど、あいつは7才の娘にイタズラしたような男だぜ』っていうツイートをしたんですよ。


(赤江・山里)えっ!?

(町山智浩)自分の親に対してね。で、このローナン・ファローっていうのはウディ・アレンと内縁関係にあったミア・ファローとの間に生まれた子どもっていう風なことで言われてたんですけども。この人、天才なんですよ。ローナン・ファローっていうのは。現在25才ですけど、まず15才で名門イェール大学に入学してるんですよ。で、22才で弁護士の司法試験に受かってるんです。で、24才から国務長官特別顧問をやってるんですね。要するに、外交の顧問をやってるんです。

(赤江・山里)ええっ!?

(町山智浩)で、その後にオバマ大統領のアドバイザーをやっています。

(赤江珠緒)本当に優秀な人物なんですね。

(町山智浩)25才で完全な政治家なんですよ。

(赤江珠緒)えー、ウディ・アレンの息子さん?

(町山智浩)ウディ・アレンの息子で。いわゆる医学的な天才っぽいんですね。脳が異常に発達してるっぽいんですよ。ところが、ウディ・アレンっていう人も実は10代からコメディアンとして成功しているんで、天才なんですね。だから、ウディ・アレンの息子だから天才だっていう風に世間は言ってたんですが。このローナン・ファローの顔が出た途端、みんなビックリしたんですよ。

(山里亮太)かっこいいイケメンの。

(町山智浩)まったく似てないんです。ウディ・アレンに。

(赤江珠緒)たしかに、ウディ・アレン監督とはちょっと違いますな。タイプが。

(町山智浩)ちょっとどころか完全に違いますね。ところが、このローナンにそっくりな人がいるんですよ。これ、写真あると思うんですけど。まったく同じ顔のおじいさんがいるでしょ?横に。


(山里亮太)あっ!似てる!

(町山智浩)この人、フランク・シナトラっていう歌手なんですが。顔、おんなじですよ。

(赤江珠緒)本当ですね。目元とか鼻とか、そっくり。

(町山智浩)完璧に同じで。フランク・シナトラの若い頃なんですよ。眼の色もおんなじです。すごい薄いブルーなんですね。これで、みんな『どう見てもフランク・シナトラの息子なんですけど・・・』って言ってたんですけど。実際にミア・ファローっていうお母さんも『実は私はウディ・アレンの前の前の旦那のフランク・シナトラと、ウディ・アレンと一緒になってからも肉体関係があって、それでフランク・シナトラの子どもを生んだんで、ローナンはウディ・アレンじゃなくてフランク・シナトラの息子なんだ』って告白したんですよ。

(赤江・山里)えっ!?

(山里亮太)あ、じゃあ確実のそうなんですね。似てるだけじゃなくて。

(町山智浩)これ、でも同じ顔だからどうしようもないですよね。DNA検査はまだしてないんですけど。で、ウディ・アレンはずっと自分の息子だと思ってたから、大ショックですよ。

(赤江珠緒)えっ、このフランク・シナトラさんの息子だったということもビックリですけど、そのローナン・ファローさんは、ずっとその育ての親だったウディ・アレン監督が嫌いだったんですか?

(町山智浩)ウディ・アレンの息子だと思ってた。信じてたんです。

(赤江珠緒)信じていたわけでしょ?それを、親を告発するっていうのは、これどういう関係だったんですか?

(町山智浩)これはね、ウディ・アレンがミア・ファローの養女、要するに連れ子がいたんですね。韓国の孤児だった子を養女にしてたんですけど。ミア・ファローが。その子に手をだしちゃったんですよ。ウディ・アレンが。

(赤江珠緒)ええっ!?

(町山智浩)で、その時に、発覚した時はウディ・アレンは54才で。スンイさんっていう養女。連れ子で実際、娘にあたるんですけど。自分の、は19才だったんですよ。で、54才で19才の娘のヌード写真かなんかを撮っている現場をミア・ファローに発見されて。それで離婚したんですね。結婚はしてなかったんですけど。それでまあ、裁判になったんですけど。その時に実は7才の養女もいて、その7才の養女がディランさんっていう人で、今回問題になっている人なんですけども。『イタズラされた』って言ったんですね。

(山里亮太)はー・・・

(町山智浩)ウディ・アレンに7才の養女が『イタズラされた』って言ったんで、それで裁判になったんですけども。その養女の人が、ディランさんが現在またニューヨーク・タイムズっていう新聞に『ウディ・アレンに私はイタズラされたんです。7才の時に』っていう手紙を発表したんです。これ、アカデミー賞の時だからすごく難しいのは、はっきりと『アカデミー会員の俳優のみなさん。みなさんにお願いします』という形で書いてるんですね。手紙を。

(山里亮太)うわー、なるほど。

(町山智浩)これは要するにアカデミー賞っていうのは映画関係者が投票するもんですから。その人たちに向けて書かれている手紙なんですよ。

(赤江珠緒)えー・・・

(町山智浩)要するに、『票を入れるな』って言ってるんですね。

(赤江珠緒)この優秀な息子さんが。

(町山智浩)ブルージャスミンっていう映画に対して。ディランっていうのは養女なんですけどね。それで、ミア・ファローと凄い優秀な息子ローナンと、ディランっていう3人がトリオでウディ・アレンのアカデミー賞妨害をしている状態なんですよ。

(山里亮太)へー!

(町山智浩)それで、もう1人息子がいてですね(笑)。ミア・ファローってたくさん養子と養女の子どもがいっぱいいるんですよ。で、もう1人のモーゼスっていう息子もいるんです。この人も養子なんですけど、その人は『ディランが言っているのはデタラメだ。お母さんであるミア・ファローによって洗脳されて植え付けられた記憶なんだ』と。イタズラされたっていうのは。

(赤江珠緒)うわっ、こう言われるとゴッチャゴチャですね。

(町山智浩)もう真っ二つに。家族の中で分かれちゃってるんですよ。いま、ウディ・アレンは自分が手を出したスンイっていうミア・ファローの養女と結婚してますから。だからミア・ファローの子どもが真っ二つに分かれている形になってるんですね。ウディ側とミア・ファロー側に。

(赤江珠緒)でも、一時は自分の娘だった・・・でも、元々結婚してなかったから、結婚できるんですか?

(町山智浩)そう。籍は入れてなかったから。もうすごく複雑なんだけど。でも、実際に19才の娘に54才の時に手を出してるから。やっぱりロリコンっていう感じはするじゃないですか。だから7才にも手を出してたんじゃないか?っていう風に考える人もいるわけですよね。

(山里亮太)なるほどねー。

(町山智浩)ただ、この裁判があったのは1992年なんですよ。1992年っていうのはアメリカで、そこら中でですね、子どもたちが親を性的にイタズラしたって訴えるっていう事件が多発していた時期なんですよ。

(赤江珠緒)ええ?

(町山智浩)この頃ですね、要するに隠された記憶を医者が催眠術で呼び起こしてですね、子どもの頃にトラウマで親にイタズラされた記憶があるっていう記憶を蘇らせて、親を訴えるっていう事件が多発したんですよ。92年に。91・2年頃ですね。で、いまではそれは偽装記憶なんだってことが判明してきているんです。

(山里亮太)ああー、そうなんだ。

(町山智浩)子どもっていうのは、大人もそうなんですけど、やっぱり植え付けられた記憶を本当の記憶と思っちゃう場合があるんですよ。で、どこまでが本当だかわからなかったりするんですよ。だからこのへんは、なにが本当だかぜんぜんわからないんですよ!特に90年代のはじめっていうのはそういう事件が実際に多発していたので。

(山里亮太)そこを使った催眠術師が。詐欺じゃないか?

(町山智浩)まあ、心理学者だったんですけどね。

(赤江珠緒)なんかいま、町山さんからお話を聞いただけでも、2本の映画の話を聞いたような。こっちはこっちで、またすごいドラマになってますね。

(町山智浩)こっちはこっちでたいへんなことになっちゃってるんですよ。ただ、ハリウッド側も真っ二つに分かれてて。ウディ・アレンとはですね、アニー・ホールで共演した女優さんのダイアン・キートンさんっていう人がいるんですね。この人は元々、ウディ・アレンの恋人だったんですよ。ところが別れた後に2人でですね、2人が別れるまでの話をやろうってことでもってアニー・ホールっていう映画を撮って。それがアカデミー賞をとってるんですよ。

(山里亮太)はいはい。

(町山智浩)ご覧になりましたよね?

(山里亮太)見ました。

(町山智浩)あれ、泣かせる話で。別れた2人が、どうして僕たちは付き合って、どうして別れたのか?っていうのを演じてみせるっていう非常に厳しい映画ですよね。かわいい映画だけど。だからあれに出たダイアン・キートンさんがゴールデングローブ賞では『私たち女優のことを本当によくわかってくれている監督です』ってウディ・アレンを絶賛してるんですよ。

(山里亮太)ほー。

(町山智浩)で、実際にそのウディ・アレンの映画に出た女優さんたちはいっぱいいてですね。それでまあ、俳優として開眼している人が多いんですね。スカーレット・ヨハンソンとか、クリスティーナ・リッチとかですね。ウディ・アレンっていう人は女優が大好きなんですよ。だから、女優はウディ・アレンの側についている人と、まあ逆にミア・ファローも大女優ですから。そっち側につくので、ハリウッドが真っ二つにわかれて、もう大戦争状態っていうのがいまの状況なんですね。

(赤江珠緒)へー!そんなことになってたんですね。

(山里亮太)そのゴタゴタをウディ・アレンが映画にしたら、超かっこいいですけどね。

(町山智浩)でも、今回のブルージャスミンもちょっとウディ・アレンが入ってて。ニューヨークで問題を起こして、世間から石を投げられていられなくなるっていうのはウディ・アレン自身ですよ。

(山里亮太)なるほど!自分もちょっと投影してるんだ。

(町山智浩)自分も投影してるんですよ。このブルージャスミンに。そのへんも結構いろいろ。『あ、これちょっとウディ・アレン入ってるな』っていうのがあったりしてですね。いろいろ複雑な映画で。なかなかすごいですね。

(山里亮太)でも、ウディ・アレンさんだからコメディー的な面白いボケもいっぱい散りばめられてるんですか?

(町山智浩)基本的にコメディーなんですけど。苦笑っていう感じなんですね。見てて。『うわー、バカだなー!』みたいな笑いなんですけど。これはすごいですよ。

(赤江珠緒)面白いですね。今日はですね、映画『ブルージャスミン』をご紹介いただきました。日本では5月10日公開予定ということです。

<書き起こしおわり>

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