宇多丸とコンバットREC『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』を語る

宇多丸とコンバットREC『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』を語る アフター6ジャンクション

宇多丸さんとコンバットRECさんが2022年6月3日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中で映画『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』について話していました。

(山本匠晃)はい。まずは月曜日です。RECさん、いかがでしょう?

(コンバットREC)はい。まずは18時半からのカルチャートーク、安彦良和さんがいらっしゃいましたっていうところで。

(宇多丸)まさにRECさんが座っているそこにお座りになっていました。

(コンバットREC)マジで? この椅子に座っていたの? えっ、いらっしゃってたの? マジで?

(宇多丸)そうですよ。

(コンバットREC)ありゃー! 光栄!

(宇多丸)ちょっとね、やっぱり時空の歪みを感じるよね。

(コンバットREC)今日、公開ということでね。私も楽しみにしておるのですが。

(宇多丸)ぜひぜひ。おすすめですよ。

(コンバットREC)宇多丸さん、よく普通に話すよねって思いながらまた聞いてましたけども。

(宇多丸)いや、まあ1回、ご出演いただいて。もう1回、短い時間でお話したかな?

(コンバットREC)1回目はリモート?

(宇多丸)リモート。だからお会いするのははじめてだったんだけども。やっぱりそれを経ていたからっていうのはもちろん、ありますよ。最初じゃあもう、それは……でも震えてましたよ。やっぱりそれなりに。もちろん。

(コンバットREC)まあね。レジェンド中のレジェンドですからね。

(宇多丸)なんていうの? その僕らの人間形成の結構大きい部分を、しかも早い段階で占めている。要するに、この人たちが作ったものがなければもう全然違う自分になってたことが明らかな何かだから。ねえ。

(コンバットREC)安彦さんがいなかったら『ろぼっ子ビートン』、見れなかったんですよ?

(宇多丸)フハハハハハハハハッ! そこの感慨は……そこは俺はあんまりないんだけども(笑)。

(コンバットREC)これ、メール来てますかね?

(山本匠晃)はい。「5月30日の安彦良和先生のゲスト出演をradikoで何度も聞き直し、居ても立ってもいられなくなり本日、『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』の初日で見てまいりました」。

(コンバットREC)羨ましい!

(山本匠晃)「ガンダムはずっと見ていたのですが、現在の社会情勢とリアリティーを感じるとても素晴らしい作品でした。『ガンダムとは何だ? 戦争とは何だ?』と強く感じさせていただいた上に、『アニメとはなんぞや?』と思いながら見終わった瞬間に知らずに涙が出てしまいました。安彦先生のお話をアトロクで聞かせていただいて本当にありがとうございます。大好きな番組で大好きな作品を楽しむことができて、月曜日の放送にとても感謝しています」ということです。

(宇多丸)ああ、嬉しいな。

(コンバットREC)頭の方で安彦さんに「宇多丸さんは映画にうるさいので」って言われていたよね?(笑)。あそこ、爆笑しちゃったんだけども(笑)。安彦さんの中での宇多丸像は「映画にうるさいやつ」っていう認識なんだっていう(笑)。

(宇多丸)悪評が鳴り響いているということなんでしょうねえ。

(コンバットREC)でも、安彦さんって吉田豪ちゃんのインタビューとかもそうだし、前回リモートでご出演された時もそうなんですけど。基本、割とぼやき節な感じのイメージなんすけど。今回、ぼやき節じゃないかったじゃないですか。結構、だから今回の映画、やりきった感があるのかなと思って聞いてたんですけどね。

(宇多丸)そうかもね。手応えみたいなね。

(コンバットREC)宇多丸さん、もうご覧になったんですか?

(宇多丸)はい。一足先に拝見させていただきました。

(コンバットREC)羨ましい!

(宇多丸)してなきゃあのインタビュー、できないでしょう?

(コンバットREC)あれで見たふりしてたらら大したもんだよね?(笑)。

(宇多丸)フハハハハハハハハッ! あの地形の話とか、絶対にできないから! そうそう(笑)。

(コンバットREC)宇多丸さん、言っていたけども。僕、気になってたのがCGのモビルスーツ描写。それがちょっと気になっていたけど。結構、うまくいってるって宇多丸さん、言ってましたね?

(宇多丸)今までの中では一番僕、はまりがいいと思いますね。

モビルスーツ描写

(コンバットREC)そうそう。『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』をやられたじゃないですか。オリジンの時はCGでモビルスーツを描いていたのが、結構フレームレートが違ったのかな? ちょっとヌルッとしてたんですよ。

(山本匠晃)フレームレート?

(コンバットREC)フレームレートっていうのは1秒間に何コマあるか。で、アニメーションって基本的には3コマ打ちとか、あって2コマ打ちぐらいとか。コマ打ちっていうのは、なんて言えばいいんだろう? 1秒間にテレビって30fpsで、30コマ。でも60iで擬似60コマ……実際には42から45コマぐらいに感じるんですけど。こんな話をしてしょうがないけど……。

(宇多丸)だから要するに、ひらたく言えば動きのスピード感というか、動きの精度。

(コンバットREC)で、アニメってだいたい3コマ打ちだったら1秒間に8コマとかでやるんですよ。

(宇多丸)だから24個、全部違う絵があるわけじゃなくて。

(コンバットREC)そう。2コマ打ちだったら12コマとかやるんですけど。あの、ヌルヌルしちゃってるんで。その人間の部分と違って、24コマとか30コマとかでモビルスーツをやっちゃっていたのかな?っていう風に見えたんですよね。

(宇多丸)だから別次元のものに見えちゃうんだよね。

(コンバットREC)そうそう。ヌルッとしたものに見えちゃって。ひとつのものになってなかったんだけど。今回のは割と一体感があったってことなんですかね?

(宇多丸)動きの細かいところ……だからRECさんの精度で見たらわかんないけど。とにかく比較して見ると今まででは一番フィットがいいし。「そのフィットに関してみんな頑張ってくれた」って安彦さんもおっしゃってたんで。たぶん気を使われたのかな?って。

(コンバットREC)だから制作チームもオリジンの時よりさらに良いのを目指したんだろうね。

(宇多丸)間違いない。もう全然、段違い。だし、新しい……特にモビルスーツ戦がすごい面白い映画でもあって。実は。なので……。

(コンバットREC)ああ、そう? それはチャンバラ映画として?

(宇多丸)チャンバラもあるし。あと、新しい……その、黒い三連星が人気だからっつって。褐色のサザンクロスっていうめちゃ腕利きの……しかも、ククルス・ドアンが元々いたチームっていう設定で。こいつらがすげえいいのよ! 乗る機体もめっちゃかっこよくて。なので、そこらへんとかも。

(コンバットREC)あれですよね? 抜け忍的な話ってことですかね?

(宇多丸)ククルス・ドアンは抜けていて。その追っ手が来るっていう。

(コンバットREC)だからカムイが追われてるみたいな感じですよね?

(宇多丸)ただ、そのククルス・ドアンが追われてるというよりは、あの島にひとつ仕掛けがあって。これがすごい納得度が高いの。よくこれを作った。なるほど!っていう。だし、地球戦ならこれはあるだろうっていう話で。めちゃめちゃ……だからガンダムファースシリーズのクオリティーの底上げっていうか。「この話、やっとくべき」っていう、そういう話でもあって。めちゃくちゃいいです。そこは。

(コンバットREC)これ、でもうまくいったらね、こういうエピソード……『時間よ、とまれ』とか『戦場は荒野』とか、合間合間のいいエピソード、できるかもしれないね。

(宇多丸)その手もあるかもしれないね。

(コンバットREC)特に安彦さんはガンダムに関してはね、後半参加できなかった心残りがあって。まあ劇場まで一応それは晴らしているとは思いますけど。後半の方は結構ね、参加もできてないから、いろいろ思うところあるでしょうね。シャリア・ブルが出てるあたりとか、参加できてないですからね。

(宇多丸)だからそのね、今回ので1本だけど。ちょっと安彦さんとしてのガンダムの総括感みたいなのは絶対あると思う。完全に。

安彦良和さんのガンダムの総括感

(コンバットREC)まあ安彦さんが考えるテーマに近いですしね。ずっと漫画で書かれてることにも近いものがありますからね。

(宇多丸)戦記というかね、戦争と、あるいは犠牲になる子たちとか。

(コンバットREC)そうそう。一般人が戦争でどういう影響があるかっていうこととかね。

(宇多丸)でもアクション映画としてもすごいいいです。クライマックスとか、めっちゃ上がるし。ガンダム登場シーンがあるんだけど。本当に怖いし、上がるし、みたいな。すげえいいですよ。

(コンバットREC)まあ、どういう出方かはあんまり言えないでしょうけども。なんかシャアが出るんでしょう? なんか1回、報道で……。

(宇多丸)シャアは出ない。

(コンバットREC)ああ、出ないんだ?

(宇多丸)出ないよね? 出るは出るけど、まあ絡んではこないっていうか。

(コンバットREC)まあ、そりゃそうでしょうね。あそこにシャアが来たら、どういうこっちゃ?っていう感じだもんね。

(宇多丸)でも、シャア級に強いっていう、ククルス・ドアンですよ。

(コンバットREC)ちょっといつの間にか……ゲームとかでどんどんククルス・ドアンって強い設定に変わっていって。でも、技量だけで見たら、ミノフスキー粒子下だからレーダーとか、ないわけじゃないですか。石だけであんなに、ねえ?

(宇多丸)それはテレビシリーズでしょう? いや、違う。違う。それはちゃんと納得できるようになっているから。

(コンバットREC)メインウェポン、石じゃないの、今回?

(宇多丸)石じゃないよ。

(コンバットREC)ああ、石じゃないんだ。

(宇多丸)でもテレビシリーズを踏まえた展開もちゃんとあるんで。そこもご期待ください。

(コンバットREC)俺、だから火曜日に宇垣さんが始球式をした話をしてて。参考で獣の巨人を見たって言っていたけども。「いや、ククルス・ドアンを見ろよ!」って思ってさ。「石の攻撃力なら、ドアンが一番だよ!」って思って聞いていたんだけど。

(宇多丸)フハハハハハハハハッ!

(山本匠晃)映画『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』、本日から公開です。

<書き起こしおわり>

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