町山智浩『最後の決闘裁判』を紹介する

町山智浩『最後の決闘裁判』を語る たまむすび

町山智浩さんが2021年10月12日放送のTBSラジオ『たまむすび』の中で映画『最後の決闘裁判』を紹介していました。

(町山智浩)今日は話す話はですね、15日から日本で公開される映画を紹介しようと思ったら、見るべき映画がいっぱいあって。大変なんです。これ、たまってたんですね。コロナでね。で、なぜか15日に一斉に公開なんでね、大変なんですけども。どんどん行きます。まずね、『最後の決闘裁判』という映画です。決闘裁判っていうのは中世ヨーロッパであって。つまり、裁判で決着をつけられなかった場合、その裁判で訴えた者と訴えられた者同士が剣を持って決闘で決着をつけるっていうことが実際にあったんですよ。

(赤江珠緒)ええっ? 最後は武力勝負?

実際にあった決闘裁判

(町山智浩)そうそうそう。これ、14世紀の物語で、実際にあった話が元になってるんですけど。これね、トランプ大統領が「議会に突っ込め!」って言った時に、その暴徒たちに対してトランプ大統領の弁護士だったジュリアーニさんが「決闘で決着をつけろ!」って言ったんですよ。要するに、「議会に突入して暴力で大統領を奪い取れ!」っていうことを言ったんですけど。それの元になってるのはこの決闘裁判っていうことなんですよ。本当にやってたんですね。

で、この『最後の決闘裁判』というのはマット・デイモンが主演でですね。彼が扮する騎士が戦争に行ってる間に、その家に置いておいた奥さんがアダム・ドライバー扮する騎士に寝取られたと。まあ、レイプされたんじゃないかとということで訴えるんですが、アダム・ドライバーの方が認めないんですね。で、どっちの言い分が正しいかも分からないから、決闘して決着をつけろっていうことがあったんですよ。そういう話なんです。

ただですね、それは裁判記録があるらしいですけど。それではその男同士の記録しか残ってないんですが、この『最後の決闘裁判』っていう映画ではその取り合いになってる奥さんの立場からも描いていて。つまり三者三様の3つの視点からひとつの物語を描くという形式になっているわけです。これはね、黒澤明監督の名作の『羅生門』がそうなんですよ。『羅生門』もまたレイプ事件なんですよね。それを3人の立場から描いていて、それぞれ食い違ってるという映画だったんですが。これはね、その14世紀の話ではあるんですが、今も続いてることですよね。こういうことはね。このレイプであるとか、そういったことは。

だからまあこれは今見るべき映画なんですけど。監督はですね、リドリー・スコットという人で、この人は巨匠ですけども。80歳過ぎて頑張ってる人ですが。会ったらすごい元気な親父だったですけど。『ブレードランナー』の監督ですね。名作SFの。で、その『ブレードランナー』の続編『ブレードランナー2049』9という映画を撮ったドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の新作映画も同時公開なんですよ! それは『DUNE/デューン 砂の惑星』というSF超大作です。

『最後の決闘裁判』予告

<書き起こしおわり>

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