片桐仁とエレキコミック 小林賢太郎の大学時代を語る

片桐仁とエレキコミック 小林賢太郎の大学時代を語る エレ片のコント太郎

(やついいちろう)俺、いまだに覚えているのはラーメンズのネタが変わった瞬間みたいなのがあって。最初、漫才をやっていて。それで一緒に俺も同じバイトをしてたんだけど。俺、ちょっと自分からそのバイトを辞めたんだけど……。

(今立進)違うだろ? クビになったんだろ?(笑)。

(やついいちろう)「誰もクビにならない」と言われたバイト、クビになっちゃったんだけども。

(今立進)日誌にバカみたいにネタを書いたからだろ?

(やついいちろう)そうそう。それをそのまま提出しちゃって。で、「なんでこんなことをしてるの?」って言われて(笑)。で、クビになったんだけども。

(今立進)それもだって、賢太郎伝いでだもんね。クビも。

(やついいちろう)「俺、クビになるんだ」って言ったら「ああ、俺はそれをお前に言わなきゃいけないんだよ」って(笑)。

(今立進)紹介だったからね(笑)。

(片桐仁)俺、理事長室に一緒に行ったもんね。やついと。

(やついいちろう)謝らされて。とにかく俺は本当にどうしようもない……。

(今立進)迷惑かけてるなー(笑)。

(やついいちろう)それでだから、よく行っていたわけ。家が近所だったから。それで、それは池袋の警備員だったのよ。で、コバケンの家が池袋から近かったの。

(片桐仁)東十条で。

(やついいちろう)それでちょっと遊び行くみたいなことが結構あったんだよね。

(今立進)なんか広めのマンションだったよね。

(片桐仁)そうそうそうそう。親戚のなんか。

(やついいちろう)そこでお笑いの話とかをよくしてたんだよ。それである時、なんかそういう話になったんだよね。

(今立進)「ちょっと方向性を変えよう」っていう?

(やついいちろう)「こうすればいいんじゃないか」みたいなことを言い出して。

(片桐仁)なんて言ってたの?

(やついいちろう)なんかね、昔話になって。ラジカルとかの……竹中直人さんとかシティボーイさんとか、俺が好きだから。「こういうスタイルでやっているんだよね」なんて言っていて。「だから俺もあの箱みたいなやつを使って」って。カウンターを箱みたいなので作って。それでやるスタイルだったわけじゃん。ラジカルってそういうスタイルだったから。「ああいうの、かっこいいよね」なんて言っていたら賢太郎が「俺もそういうの、考えてるんだよ」って言って。それで『箱式』になったの。

『箱式』の誕生

(今立進)ああ、それが単独でね、それをやって。

(片桐仁)第1回単独『箱式』ね。

(やついいちろう)だから「そのスタイルってもうやっているよ」って言ったけど。でも、またそれをちょっと押し進めた……

(片桐仁)見立てたりね。それをネタに使ったりね。

(やついいちろう)より形に……で、「箱のキューブを何個も重ねて。机とか椅子とかっていうのをやってるスタイルがかっこいいよね」っていう話をして。「そういうのをやりたいんだよね」なんて言ってたけど、賢太郎もそれを考えてたっていう。で、先に『箱式』をその後にやったんだよ。

(今立進)それがでも、人を呼び。人気が出てね。

(片桐仁)そうだね。新人演芸大賞で優勝できなかったけど決勝に行った後、『オンバト』があって。その前に単独があったみたいな。すごいタイミングがよく……あれは第3回ぐらいかな? でも、その単独ライブとテレビとかうまく繋がった時があったのね。98から99ぐらいにね。あの箱も最初はさ、賢太郎が作るからさ。「しっかりしたやつにしよう」っつってさ。MDFボードっていう集成材の板を切ってやって。めちゃくちゃ重くなっちゃってさ。でもそれを使ってたんだけど。

(やついいちろう)なんか不思議だよね。宮沢章夫さんの作品でさ、竹中さんもだけど。2人とも多摩美じゃん? だから多摩美の人って、箱を使うよね。

(片桐仁)だから多摩美の時にお笑いを始めたら「竹中みたいになりたいのか?」ってすごい教授とかに言われたもんね。

(やついいちろう)でもやってることは今、話を聞いていたら一緒だよね。モノマネをやったり。パーティー野郎だし。

(片桐仁)本当だね!

(今立進)なんかあるのかもね。そういう系譜がね。

(片桐仁)大好きだろうしね。竹中さんのことね。

(やついいちろう)大好きだろうしね。似てたというか、ちょっと……雰囲気、似ていたよね。

(今立進)たしかにね。器用な感じとかね。

(やついいちろう)真面目な顔して変なこと言うとか、よくやってたもんね。

(片桐仁)そういう芸っぽいの、好きだからね。技術のやつね。

(やついいちろう)で、その時にもう言ってたもんね。「もうテレビとかじゃなくて……」みたいな。

(片桐仁)本当? ああ、そう?

(今立進)ライブとか、そういう客前でやるって?

(やついいちろう)なんかね、常にいつも「わかった」って言うんだよね。俺がなんにもわかんないんだけども。ライブが終わった後に2人でなんか話をしてたら「わかった」とかって言って。ある時、「やついはライブに出るたびにどういうモチベーションでライブやってるの?」って言われて。俺は「ヤバい。これはなんか来た!」って思ったんだけども。だけど、「まあ来た人が楽しく笑うような感じかな?」なんて言って。そしたら「すごいな。俺はそんなことでは続けられない」って。「えっ?」って。

(片桐仁)うまく行っていなかったのかもしれないね。

(やついいちろう)「常になにかひとつ、得るものがないとやれないし。その『得るもの』っていうのはそもそも課題を自分で作って、それに臨むことで。そうやっていかないと、モチベーションがない」みたいなことを言ってたんだよね。「すげえな!」って思って。

(今立進)たしかにすげえな。あの当時で。

(やついいちろう)俺なんて、のほほんとしてたなって。

(今立進)俺も「ウケてよかった」しか思ってなかったもん。

(やついいちろう)方やね、同じだったけど……?(笑)。それでまあ、俺たちは取り残されたっていう(笑)。

(今立進)たしかに(笑)。まあ、そうなったけどね。いやー、まあまあ。

(やついいちろう)だからいつも課題を持ってやっていたよね。だから今回もなんか1個、課題を見つけたんだろうね。

(片桐仁)そうだろうね。だから爽やかな顔をしていましたよ。「新しいことができる」っつって。

(今立進)また「わかった」んでしょうね。

(やついいちろう)まあ、でも結果ね……。

(片桐仁)今後に期待してほしいですけどね。

(今立進)悲しがっている人も多いかもしれませんけども。

(片桐仁)そうなんですよね。

(今立進)でもどっこい、片桐は生きているんでね。

(やついいちろう)でも、あれだよね。辞める人ってさ、価値あるけど。辞めない人って価値がないんだよね。

片桐仁は辞めない

(片桐仁)本当にそうなんだよ! 「片桐は興味ない」って書かれていて、俺はもうマジで嫌だったもん! 「ああ、読んじゃった。嫌なやつ! ネットの心無い記事を読んじゃった!」っつって。「小林は惜しい。片桐はどうでもいい」って。「ああ、これを読んじゃった……」って思って。

(今立進)それはもうムカつくよね?

(片桐仁)ムカつくよ! なんでそんなこと言われなきゃいけないの?

(今立進)「いるよ! 片桐もいるよ!」って。

(片桐仁)「それ、俺読むよ!」って。

(やついいちろう)だから「辞める」宣言しちゃいなよ。

(片桐仁)辞めないよ! 辞めないっ!

(今立進)はーあ……。

(片桐仁)なんだよ。「はーあ……」って。「辞めないなら価値がない」ってなんなんだよ、バカ!

(やつい・今立)フハハハハハハハハッ!

<書き起こしおわり>

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