いとうせいこう ナンシー関を語る

いとうせいこう ナンシー関を語る SHOWROOM

いとうせいこうさんが2020年7月7日放送のSHOWROOM『豪の部屋』に出演。吉田豪さんとナンシー関さんについて話していました。

(吉田豪)(コメントを読む)「ナンシー関さんとの思い出を」。

(いとうせいこう)ナンシー。うーん、そうだね。ナンシーはね、何を話せばいいかな……? とにかくね、懐かしい人ですね。あの人は。やっぱり、まあもちろん仕事の仕方のストイックさっていうのも本当に素晴らしかったし。で、やっぱり思うのは今、あの人がいたらテレビはだいぶ変わっていただろうになって思うことはあります。それから、『虎の門』をやっていた時ももちろん僕はナンシーに褒められたくてやっていたわけなので。

「いとうさん、やるね」って言ってほしくてキレキレのことをやっていたつもりなので。まあそれは吉田さんもどこかで読んでご存知じゃないかと思うけど。まあある時……僕の事務所にナンシーとしりあがりさんは入ってくれていたから。それで、ある時、年末の自分たちだけの事務所でやる、美味しいものを持ち寄ってやる打ち上げみたいな忘年会の時に「いとうさんのテレビ、腰が引けているんだよ」って言われて。それは(テレビ朝日の)撮像班から「映してやらねえぞ」って言われたのと同様、二大ダメ出しだね。

「いとうさん、テレビ腰が引けているんだよ」

「いとうさん、テレビ腰が引けているんだよ」って。いや、本当にでもね、ナンシーのポリシーからしたらね、それはやっぱり書くべきだったんだと思うんですよ。どんなに近い相手でも、やっぱり斬る時は斬るっていうべきだったんだけど、まあやっぱりそこはお情けをいただいて、口で済んじゃったことだけど。それもだから、時期が重なるてるじゃないかなと思うの。その撮像班に言われた時と。

(いとうせいこう)それでますます俺は……「まあテレビはこのぐらいでもできちゃうけどね」的にやっぱり俺はやってたなって。ちゃんともう、「俺はテレビマンなんだ。テレビを面白くするために来たんだ」っていう気持ちでやらなきゃダメだなと思わせてくれたのはナンシー関だから。だから当然、『虎の門』はそういう気持ちでガツッと行っているし、知りたいことはもう聞きに行って。

まあ、聞きに行き切れなかったところもあるけど。知りたいことは知ってやりたかったし。今も「テレビだとこうだよな」とかって企画を考えたりついしてしまうのは、そういうことがあるからですよね。だからその前の自分のテレビっていうものはあんまり見たくないもんね。

(吉田豪)ああ、腰が引けてる時代?

(いとうせいこう)そうそう。斜めでやってたんでしょう?っていう。視聴者からの視線をまともに受けてやらないっていうような。まあ、たとえば『フリースタイルダンジョン』だと、ああいう役をドンッて俺が何を言われようがやってるというのは、「たぶんテレビ的にはこの番組はよくなる」と思ってやってるわけじゃん。

(いとうせいこう)だからそういう意味では、それはナンシーの教えを……「腰が引けているとかっこ悪いよな」っていう。

(吉田豪)ちょっと近いのが、僕が1回みうらさんに酔っ払って何時間か説教をされたことあるんですけど。「それはね、吉田くんはあれだよ。なんかね、いろんな仕事を振られた時にやらされてる感を出しすぎている」みたいなこと言われて。「もっと自発的にやってるような感じにやらなきゃダメだ」っていう。

(いとうせいこう)ああ、なるほど。前のめりな感じでね。

みうらじゅんからの説教

(吉田豪)そうそう。「やりたくてやっている感をもっと出さないとダメなのに、『やらされてまーす』みたいな感じが漂っていてよくない」っていう。

(いとうせいこう)ああ、なるほど。「やらされているけど、やれちゃっています」的な。そういうの、ついついやっちゃうじゃない? 照れてさ。でも、出る以上はそれをやってると、見てる人にもあんまり良くないんだなっていうことじゃない? みうらさんのその指摘っていうのはさ。

(吉田豪)そうですね。「俺はすごいやってるぞ!」って話をすごい言われましたね(笑)。

(いとうせいこう)たしかに(笑)。たしかにね、陰ではすごい「もう嫌だ、嫌だ!」って言っているけど、出ると一生懸命やっているっていう。偉いと思うわ。

(吉田豪)そこは僕も反省しました。

(いとうせいこう)そう。反省しましょう。

<書き起こしおわり>

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