サンキュータツオ『美味しんぼ』を語る

サンキュータツオ『美味しんぼ』を語る NHKすっぴん!

サンキュータツオさんが2020年2月24日放送のNHK第一『すっぴん!』の中でアニメ『美味しんぼ』について鳩岡桃子さん、藤井彩子さんと話していました。

(鳩岡桃子)まあ、そんないろいろ料理アニメありますけれども。なんでこの料理アニメを選んだかと言うと……。

(サンキュータツオ)最後のテーマにね。

(鳩岡桃子)そうなんです。最後なので、やっぱりこうタツオさんが毎回つぶやいたり、ライフワークみたいになっているあの作品を聞きたいなと思って。

(藤井彩子)あの作品ですね。

(サンキュータツオ)『美味しんぼ』! やっぱり『美味しんぼ』ですよ! 『美味しんぼ』だよ!

(一同)(拍手)

(サンキュータツオ)だって藤井さんだって知っていたからね。

(藤井彩子)そう。アニメにそんなに関心のない私でも見たことがあったし。

(サンキュータツオ)「漫画は読んじゃいけない」っていう家に育った藤井さんでもね、『美味しんぼ』を読んだことがあるっていう。これはやっぱりすごいですよ。

(鳩岡桃子)やっぱり誰しもが1回は通る道である『美味しんぼ』。

(藤井彩子)漫画もアニメもまったく通ってこなかったっていう方は少数派手はないでしょうか?

(サンキュータツオ)そうですね。今もずっと衛星放送でループで毎日、放送し続けているので。毎日チェックしてますね。で、一時期「栗田のファッションチェック」って言って栗田ゆう子が着ている服をツイートしまくってたんですけども。「今日はこういうワンピースだ」とか。

(藤井彩子)ああ、それであんなにいっぱい?(笑)。

サンキュータツオの栗田ゆう子ファッションチェック

(サンキュータツオ)でも「うるさいかな」と思って最近はツイートを止めてますけども。それでも毎日見ています。

(鳩岡桃子)ああ、見てはいるんですか?

(サンキュータツオ)見ています。

(鳩岡桃子)ああ、「最近、おとなしくなったな」と思ったら?(笑)。

(サンキュータツオ)そうなんですよ。あの、ふつふつと楽しんでるだけです。

(鳩岡桃子)ああ、そうなんですね。発露はしてないだけっていう?

(サンキュータツオ)はい。「あれ? 今日、岡星ののれん、ちょっと右から2番目の字がおかしいな?」とか。そういう感じで見てますから。

(藤井彩子)本放送は1988年の10月から92年の3月にかけてだったんですが、今でも毎日ご覧になっているというタツオさんです。まず、なんでそんな好きなんですか? 『美味しんぼ』が。

(サンキュータツオ)やっぱりね、なんかその時代もあったと思うんですけど、飽食の時代だったんですよね。だからある程度裕福になって、食べたいものが食べられる。あと世界にある料理とかもお金を出せば食べられるようになったっていう中で、なんかリテラシーが高い人たちが出てくるんですよ。その食べ物リテラシーが高い人たちが出てきて「無農薬野菜がどうのこうの」とか、「トマトは緑健農法っていうので作ったやつがおいしいぞ」とか。「あっ、食べ物ってこういう切り口で考えて食べるのがいいのかな?」とか。それとあと、単純にドラマ。物語ですね。料理にまつわる人間ドラマ、群像劇っていうところも面白いと思うんですよね。

(藤井彩子)たしかに。

(鳩岡桃子)いろんなキャラクターが出てきますからね。

(サンキュータツオ)基本的にはね、毎回説経なですよ。読者に対する説教。「お前ら、何もわかってねえだろ?」っていう。

(鳩岡桃子)ちょっと新聞っぽい(笑)。だって新聞社が舞台だし(笑)。東西新聞社。

(サンキュータツオ)そうなんですよ! それこそプチ鹿島さんが言っていたような「この責任は、重い」みたいな、そういう感じのね(笑)。

(藤井彩子)主人公は山岡士郎と栗田ゆう子。このお二方なんですけど。新聞社で究極の……?

(サンキュータツオ)究極のメニュー。

(鳩岡桃子)究極のメニューを作りましょうっていうプロジェクトが立ち上がって、文化部の人間たちが頑張るみたいなことですよね?

(サンキュータツオ)たまたま山岡士郎がものすごい美食家のお父さんの子供で。それで詳しいっていうことで。第一話が「豆腐と水」っていうね。豆腐と水を飲んだだけでどこの土地のものかを当てるっていう無理ゲーがあるんですけど。

(鳩岡桃子)すごいですよね。クチュクチュしながら「わからないわ?」って言っている。あれが普通の正しい反応なはずなんですけどね(笑)。

(サンキュータツオ)山岡は豆腐をひと飲みしてね、「ワインと豆腐には旅をさせるな」みたいなね、もう訳がわかんないんですよ(笑)。

「ワインと豆腐には旅をさせるな」

(鳩岡桃子)1話からね(笑)。

(藤井彩子)栗田さんはなぜついていけるのか?ってそのバックグラウンドもよく分からないですよね。

(サンキュータツオ)全然分からない。栗田は新入社員でものすごいなんか味覚が敏感ということなので。感覚は分かる。

(藤井彩子)そう。まあ天性の才能があるということなんでしょうね。

(鳩岡桃子)普通の家庭で生まれた女性なんですけどね。

(サンキュータツオ)で、「感覚はわかるんだけど知識がない」っていう感じなんで、周りのおじさんたちが知識を披露しまくりなんですよね。「栗田に教えてやる」っていうので、説教漫画、説教アニメっていう。そこが面白いですよね。

(鳩岡桃子)フフフ、栗田さん。欠かせないですね、栗田さんの存在が。

(サンキュータツオ)中国の古典読んでるみたいな感じの結論が結構多いから。ねえ。

(鳩岡桃子)たしかに安心をしますよね。栗田さんがここでちょっと反論して、最後になんかいい感じに話が終わるだろうなっていう。オチがちゃんと分かってるいう。

(藤井彩子)「でも……」みたいなこと、言いますよね。

(サンキュータツオ)そう。「でも」「だって」みたいなことばっかり言うから「『だって』じゃない!」みたいな感じでおじさんたちがちゃんと言えるの。「お前はなんにも分かってない!」みたいなね。

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