プチ鹿島 萩生田光一氏・消費増税延期示唆発言を語る

プチ鹿島 萩生田光一氏・消費増税延期示唆発言を語る YBSキックス

プチ鹿島さんがYBS『キックス』の中で自民党・萩生田光一氏の消費増税の延期を示唆する発言についてトーク。新聞の報道を読み比べながら、その発言の裏側にある意図などについて考えました。

(プチ鹿島)さあ、本日はこちらです。「萩生田発言読み比べ」ということで。萩生田光一幹事長代行……自民党の方が先週、10月に予定されている消費税の10%への引き上げを巡って、もしかしたら違う展開があるかもしれないという、そういう発言をしましたよね?

(海野紀恵)はい。

(プチ鹿島)たとえばこれ。「ネット番組で延期の可能性を語る」っていう。で、このネット番組っていうのは各新聞とかは「ネット番組」っていう風にぼかしているんですけども、DHCテレビの『虎ノ門ニュース』という番組で。僕のずっと長い間の友達でもある居島一平っていうのが司会をしていて。で、保守系のコメンテーターの方たちが出ているという、そういう番組なんですね。

だからそこで……言ってみればホームグラウンドですよね。だから萩生田さんがそこでそういうことを言って。そしてこの発言はじゃあ、どういう狙いがあるのか?っていうのがいろいろな憶測や解釈を呼んでいるんですけども。ではまず、萩生田さんがなにを言ったのか? 「景気が回復傾向にあったが、ここに来て日銀短観を含めてちょっと落ちている。次の6月はよく見ないといけない」という。で、その6月の日銀短観っていうのは7月1日に発表されるんですね。

(海野紀恵)はい。

(プチ鹿島)「それを見て、本当にこの先は危ないぞというところが見えてきたら、崖に向けてみんなを連れて行くわけにはいかないので、そこは違う展開があると思う」という。つまり、景気悪化の兆しが見えた場合には増税延期もあり得るとうい見方を示したわけですね。で、「消費増税をやめるとなれば、国民の了解を得なければいけない。信を問うことにもなる」ということで。まあ、衆議院を解散する必要性にも言及したということなんですよね。で、これに関してやっぱり翌日、ブワーッと夜にかけて大きなニュースになりましたね。

(海野紀恵)うんうん。

(プチ鹿島)翌日の新聞がいろいろと記事を出しました。たとえば毎日新聞は「安倍首相もいろいろな選択肢を持っておきたいのだろう。萩生田氏はそれを代弁したのかもしれない」という自民党幹部のコメントを載せていますね。で、「一方である政権幹部は『なにを勝手に言っているんだ。そんな権限まで与えていない』」と吐き捨てるように言った」と。まあ、毎日新聞が取材をしたらそういう風に言ったという。だから結局、安倍さんに近い人だから、安倍さんがそう考えているのか。もしくはそういうことをネット番組で言って、本当に世の中がどういう反応をするのか? アドバルーン、観測気球を上げる役割だったのか。もしくは、もう萩生田さんが安倍さんを勝手に、それこそ忖度をして言ったのか、どっちなんだろう?っていう。まあ、そこですよね。

(海野紀恵)うーん。

(プチ鹿島)今日の日刊スポーツのコラム「政界地獄耳」っていうのがね、かなり辛口のコラムなんですが。これ、結構萩生田さんに辛口ですよ。「当選5回で入閣経験もない。だが、安倍政権の間でしか(萩生田氏の)入閣は叶わないと考えている党内同僚議員は意外と多く、自民党内によくある『いまだけ偉い議員』の1人だ」と。萩生田さんのことです。だから、日刊スポーツ。「ただ、政策通でなく、知名度を含めて中途半端な萩生田の発言では観測気球になり切れずアドバルーンがしぼんだところが、首相の誤算だったということか。少しはまともな観測気球を上げられないものか、が政界の一致した見方だ。」っていう。

(海野紀恵)へー!

(プチ鹿島)だから「観測気球を上げるならもっとちゃんと上げろ!」っていう。

「少しはまともな観測気球を」で一致(政界地獄耳)

(海野紀恵)辛口!

(プチ鹿島)さあ、どうなのか?っていう。勝手に言ったというよりは、やっぱり安倍さんのそういう考えがあるのか。ずっとこの1週間、こういう記事があったんですが。ひとつ、『サンデーステーション』っていういい番組がありまして。私、一枚噛んでいるんですけども。まあ、出させていただいております。新聞読み比べコーナーをやらせていただいて、それで楽屋に戻ってきて。番組の最後、後藤謙次さんという共同通信のジャーナリストの方。それこそ昭和の頃から取材をしている長いキャリアの方です。

番組の最後に「もしもし後藤です」っていうコーナーがあって、それは後藤さんが直接いままでの取材のキャリアを生かして、いろんな人に。普通では聞けないような人に電話をして取材をして、その成果を話してくれるっていう5分ぐらいのコーナーがあるんです。そこで、この萩生田発言を取り上げてらっしゃったんですね。で、後藤さんがおっしゃるには、まず後藤さん、どこに電話をしたかというと自民党の税制調査会。税を研究するところですね。そこのある議員さん。偉い人でしょうね。その方に聞いた。

(海野紀恵)あら!

(プチ鹿島)そしたら、その人いわく、後藤さんが取材をしたら「安倍さんはやはり消費税増税を延期したがっている」という。ただ、ほら。この間、予算が決まったじゃないですか。あれだけガチガチに決めて。さらに、(消費税10%対応の)レジとかを買ったり……そうでしょう? そういう人がいるわけだから、じゃあどうするか?っていうと「延期」と言っても半年とか1年ぐらいずらす。そういう風にしたい気持ちはあるんじゃないか。そのためのことを言うには期限があります。だって10連休を挟むでしょう? 10連休後にそんなことを言い出してもダメだから、ちょうど萩生田さんが言ったぐらいの時期がアドバルーンとしてはよかったんじゃないかと。

(海野紀恵)はい。

(プチ鹿島)だからゴールデンウィーク後に果たして本当にそういう動きが出てくるのかどうか? ひとつ、見ておくべき時期だっていう。ただこれ、驚くことに後藤さんが言うには、その消費税増税延期の理由。半年とか1年ぐらい延期する理由は何か?っていうと、やっぱりその間に選挙をしたいからだって。それはそうですよ。増税してから選挙したら、上げた側は不利ですよね?

(海野紀恵)はい。

(プチ鹿島)だから、今年の日程で行くと10月以前にしなきゃいけないわけです。それが無理だとしたら、ちょっと1年ぐらいのばして……って。でもそれって政策じゃなくて、ただの政局じゃないか。それは国民に問われるから、さて本当にそれを言うのかどうか。それがゴールデンウィーク明けのひとつの見どころだという。だからやっぱりあれはアドバルーンだったんだけど、ちょっと顔ではない感じの萩生田さんが言っちゃったから、まだ半信半疑みたいな感じなんだけど。どうやら、そういう「思い」はある。でも、その思いがあるのと実行に移すということはまた別だからあれですけども。そういう解説があって。これはだからすごい解説だなって思って。

(海野紀恵)へー!

(プチ鹿島)ねえ。これもね、後藤謙次さんが書いた本に大きく書いてあったんですけども。「平成とはなにか? 消費税の時代だ」っておっしゃっていて。これ、この『キックス』でも何回も紹介をしているんですけども。それはそうです。消費税が導入されたのが平成元年。まさにあれ、4月1日ですよ。で、さらに後藤さんがおっしゃるには、「消費税をいじったり、さらに上げようとしたりした首相や内閣はたいがい潰れてきた」っていう。

「平成」は消費税を巡る攻防の時代

そうですよね。村山富市さんも税率を上げるって言ったし、橋本龍太郎さんさんもそうだった。菅直人さんも……もちろん、それだけが直接的な理由じゃないですよ。でも、後から考えるといじろうとした内閣はだいたい潰れているみたいなことを書いていて。逆に、海野さん。小泉純一郎さん。あの人はもう自分が政権を取った時に「自分がやっている間は消費税を上げません!」って。

(海野紀恵)そうですね。

(プチ鹿島)だから長持ちした。それはズルいっちゃあズルいけどね。で、安倍さん。だから小泉さんのもとで……。

(海野紀恵)ずっとやってらっしゃって。

(プチ鹿島)だから安倍さんがここ最近の選挙、2回ぐらい振り返ってみてなにを売りにしていたのか?っていうと、「消費税増税を先送りにします。その信を問う」って言っていて。つまり、「消費税増税をやらない」って言うことで勝ってきたわけでしょう? だからその成功体験があるのであれば当然、「上げたくない」っていう本音が。そういう風に自民党の税制調査会の方も言っていると後藤さんがおっしゃっていましたけども。それは本音としてはあるだろうね。やるかどうか、実行に移すかどうかはわからないけど。

(海野紀恵)ねえ。

(プチ鹿島)でも、いよいよまたそれを言われたら、僕らはどうリアクションすればいいんだろう?

(海野紀恵)そう。なんか普通に生活していて、「あれ? 消費税っていつ上がるんだろう?」って。こういうのを聞いていると。

(プチ鹿島)だから「(増税を)やる、やる」って言ってその信を問うっていうのがたぶん普通なんだけども、「やらない、やらない」で結局、また今回も「やらない」っていうことになるのであれば、「えっ、この数年の選挙ってなんだったの?」っていうことになるし。そもそも、ちゃんと言わなくてはいけないのは、「じゃあアベノミクスってなんだったんですか?」っていうことじゃないですか。そこですよね。「経済が悪化するから延期」とか萩生田さん、言っているけども。「えっ、じゃあアベノミクスって上手く行ってないの?」っていう素朴な疑問は僕らですら思うわけでしょう? そこをまず言ってくれないと。三度目は流石に、ねえ……。

(海野紀恵)ねえ。タイミング、タイミングで「上手く行っている」みたいな話も聞くけど、こういう発言を聞いちゃうと、「実際のところはどういう風に思っているんですか?」って聞きたくなっちゃいますよね。

(プチ鹿島)いやー、面白い。だから平成っていうのは消費税の時代だったんですよ。それを上げる、上げないの攻防で。中には「やらない」っていうことでクリアしちゃった人もいるし。さて、どうなるのか? だからゴールデンウィークに首相がどんな動きをするのか。

(海野紀恵)すごいタイミングにいますね。

(プチ鹿島)で、面白いのは菅さんもですよ……あの「令和おじさん」と呼ばれている菅さんも実はゴールデンウィーク、5月が終わってからかな? アメリカに行くわけですよ。官房長官がアメリカに行くってなかなか……日本の留守を預かるっていう役割なのに。だから、ポスト安倍をにらんでいるんじゃないか?って。でも、菅さんからしたら、もし本当に色気があるならば、消費税増税は安倍さんの任期中にやってほしいよね?(笑)。

(海野紀恵)そうですよね。もうやっちゃっておいてほしいですよね(笑)。

(プチ鹿島)だからもしかしたらそこらへん、ねえ。でも、麻生さんは財務大臣。消費税は上げたいわけですよね。そこでもしかしたら、菅さんと麻生さんが仲良くなっちゃうかもしれないですよね。というような、下世話な注目点も必要だと思うんですよ。やっぱり経済ニュースってなかなかね、固いから。

(海野紀恵)やっぱり数字とかそういう経済の短観とかって言われてもピンと来ないけども、人として見ていくと……。

(プチ鹿島)だから本当にね、後藤さんの本とか、10連休でよかったら読んでみてください。面白いですよ。「平成とはなにか?」って。これから散々お題が出てくると思います。「消費税を巡る攻防」。この一点だけでこの30年間がたしかにわかる。で、まさにいまもそれをやっている。

(海野紀恵)この最後のタイミングで。

(プチ鹿島)ということでした。

<書き起こしおわり>

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