筒井康隆と菊地成孔 死を語る

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筒井康隆さんがTBSラジオ『菊地成孔の粋な夜電波』に出演。菊地成孔さんと死について話していました。

(菊地成孔)ええとね、バーミヤンの話なんですけども。ボージョレ・ヌーボーの季節ですね。まあボージョレ・ヌーボーっていうのはワインの稚魚みたいなもんですけども。で、「麻婆deボジョレー」って書いてあって。最近、流行っているんですけども。中華料理にボジョレーを合わせて。まあ、バーミヤンっていうのは中華料理のファミリーレストランなんですけども。

(筒井康隆)うんうん。

(菊地成孔)ファミリーレストランって行かれますか?

(筒井康隆)いや、行きません。

(菊地成孔)行かないですよね(笑)。まあ、そういうところがあるんですけども。そこで「麻婆deボジョレー」って書いてあるんですよ。これ、どう考えても普通は「ボジョレー麻婆」ですよね、普通(笑)。普通のシャレの感覚だったら。「ボジョレー麻婆」っていうはずなんですよね、これがなぜか「麻婆deボジョレー」ってなっていて。ちょっとバーミヤンは謎。さすがシルクロードと関係があって謎が深いなって感じなんですけども。

(筒井康隆)麻婆豆腐にボジョレーをぶっかけてあるの?

(菊地成孔)いやいや、合わせて飲む。ぶっかけない(笑)。

(筒井康隆)ああ、そうですか。色、あんまり変わんないから(笑)。

(菊地成孔)変わんない(笑)。赤いままですから。それ、すごいですけどね。まあ、中華料理……北京ダックとかと合わせようっていう話だと思うんですけどね。「麻婆deボジョレー」じゃなくて「ボジョレー麻婆」だろ?っていう話ですけどね。まあ、先生の前でそんなこと言っている場合じゃないですけども。

(筒井康隆)いやいや(笑)。私はもうワインは全然ダメなんですよ。

(菊地成孔)ああ、そうですか?

(筒井康隆)ダメなんですよ。ちょっと気分が悪くなっちゃう。頭が痛くなっちゃう。あなたは詳しいですね。ワイン。

(菊地成孔)いや、さほどでもないですけども。下手の横好きですが。あれですか? 端的な質問なんですけども。誰もたぶん、文芸関係者とかはできないと思うんですけども。死は恐ろしいですか?

(筒井康隆)死ですか? 怖い怖い怖い。

(菊地成孔)怖い?

(筒井康隆)死は怖いですよ。うん。

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「死は怖い」(筒井康隆)

(菊地成孔)あの、僕なんか読んでいると、ある時から先生はやっぱり死をテーマにしだしましたよね? どこからかとはまあ言えないんだけど。まあたとえば『敵』とかね。

(筒井康隆)はいはい。そうですね。

(菊地成孔)『敵』はまあ、明らかに死をテーマにしたものですね。

(筒井康隆)まあ、あのね、死っていうのは若い時からです。死がもう怖くてね。死が怖いからってそこらへん走り回ったって仕方ないんだ。死ぬんだからね。

(菊地成孔)フフフ、でも走り回りそうになりますけどね。

(筒井康隆)だから、一生懸命哲学とかなんか、読んだりしたんですけどね。

(菊地成孔)はいはい。まあでもフロイドを読んでも、デリダを読んでも、解決しないじゃないですか。

(筒井康隆)そうですね。この『ダークナイト・ミッドナイト』を読んでくださった……これもだから死をだいぶテーマにしていますけどもね。

文學界2018年3月号
Posted at 2018.12.3
文藝春秋

(菊地成孔)そうですね。やっぱり音楽のあの世とこの世をつないでいるっていうか。死と迷宮っていうものが古いジャズとゆったりとつながっているような感じで。

(筒井康隆)そうなんです。それは音楽だけじゃなくて、映画もそうですね。

(菊地成孔)そうですね。で、ある時から、やっぱり僕は先生が死をテーマにするんだっていう感じになってから、どんどんどんどん延命されているように思えるんですよ。お若くなっているように(笑)。やっぱりこう、逃げ回って口を閉ざしてしまうと死神が後ろからやってきちゃうんですかね?

(筒井康隆)そうですね。「死ぬのが怖くない」なんてことを思うとね、無茶をするから。

(菊地成孔)フハハハハハハッ! 「無茶をするから」って(笑)。

(筒井康隆)ヤバいんですよ、やっぱりこれは。

(菊地成孔)無茶するからヤバいですか。なるほど(笑)。無茶しちゃいけないですね。

(筒井康隆)いけないですね。

(菊地成孔)やっぱり怖がっていた方がいいですね。

(筒井康隆)だからね、普通言うのは「セックスの欲求がなくなると死ぬのが怖くなくなる」って言うでしょう? だからあれはセックスの欲求がなくなって、セックスのかわりになんかやるんでしょうな。きっとその、酒をガブガブ飲んだり無茶苦茶するんでしょうけどね。あれはよくないですね。

(菊地成孔)なるほど。うん。やっぱりセックスした方がいいですよね?

(筒井康隆)セックスの方が……だけども、できないからね。これは。

(菊地成孔)まあ、そうですね。いろんな人がいろんな方法でこう、やって。ロブ=グリエとかね、ピカソみたいにいろんな方法で。ダリもそうですね。

(筒井康隆)オールド・パーなんて97歳で子供ができたって、あれは本当かね?

(菊地成孔)どう……まあ、原理的にはできますからね。

(筒井康隆)まあ、できるけども。

(菊地成孔)昔は上原謙さんとかいましたね。

(筒井康隆)いましたね。

(菊地成孔)なるほど。セックスは大切だっていう話ですよね(笑)。まあ、でもやっぱり……いや、筒井先生といると本当になんていうか失礼ですけども。御尊顔を前にして子供みたいなオーラがビンビンに出ていて(笑)。録っている間も落ち着きないし。いろんなものをバサバサいじったり。今日も音で入っていると思いますけども。これはやっぱり、文豪っつってズシッと構えている大先生っていうのと全然違いますね。

(筒井康隆)じゃあないですよね。やっぱりね、いまでも子供なんですよね。結局。だから人を笑わせて面白がらせて……って。やっぱり子供のすることですよね。それはね。

(菊地成孔)ええ。まあやっぱり、今日はまさに機銃掃射の時に笑っていたという話から始まりましたからね。なるほどね。まあ、私も聞きたいことが聞けてよかったです。

(筒井康隆)フフフ(笑)。

<書き起こしおわり>

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