都築響一と宮沢章夫 電子書籍を語る

都築響一と宮沢章夫 電子書籍を語る NHKすっぴん!

都築響一さんがNHK第一『すっぴん!』にゲスト出演。宮沢章夫さんらと自身で独自に製作している電子書籍『ROADSIDE LIBRARY』について話していました。

(藤井彩子)「表現の仕方を変えるようになった」という点でもうひとつ、そのメルマガから派生した新しいプロジェクト。これが『ROADSIDE LIBRARY』というものなんですが。これ、本当に全く新しい……まあ、ひとつの電子書籍なんだとは思うんですが。

(都築響一)そうなんです。ずっとね、もともとは自分が昔からいっぱい作ってきた本が全然再販されないっていうことがあって。で、古本屋でやけに高値になったりするのが嫌だったんですよ。で、電子書籍にしたいと思っていたんですけど、出版社がやってくれないとか。あと、いまの電子書籍っていうのは、会社名は出しませんけども、いろんなところがありますけど。1回読んだら、そこ(のフォーマット)でしか読めませんよね?

(宮沢章夫)はいはい。

(都築響一)それから人に「これ、面白いよ」って貸したりあげたりすることもできないでしょう?

(藤井彩子)同じところのを使っていても貸すことはできないっていうことですもんね。

(都築響一)電子書籍には「中古」っていう概念がないですからね。それから、「この写真が面白いからもうちょっと細部を見たい」って思っても、拡大すらできないとか。そういうことが諸々すごく嫌で。電子っていうのはもっと開かれたものだろう?って思ったので。それで、もうしょうがないから自分たちでやろうと思って、昔作った本なんかを中心にフィルム時代に撮った写真を全部スキャンし直して、それを高い解像度にして……だからどんどんアップにできるようにして。それから本に入れることができなかったアザーの写真なんかもいっぱい入れて、自分たちの電子書籍にしようというのを始めたところなんですよね。いま、4冊ぐらい作ったんですけども。

(宮沢章夫)うんうん。

(藤井彩子)だから、ダウンロードすることもできますし、その他に新しいなと思ったのはUSBに入っていて。カード状のものになっているんですけど。これだと人に気軽に貸してみたりっていうことができるわけですね。

(都築響一)もともとはダウンロードで考えていて。でも、巨大なサイズなんですよ。1ギガみたいな感じになるので。そうすると、いまの若い子ってもうね、パソコンを持っていないんですよね。携帯で読むわけ。それでいいんですけど、そうするともうスマホの容量がだいたいいっぱいになっちゃっているんですよ。だから「そんなの、ダウンロードできない!」みたいな話になって。それでUSB版だったら物としてあるのでいいだろうと思って。だからそっちばっかり売れているんですけども。

(宮沢章夫)なるほど。

(都築響一)そうすると、人にもあげられるし、あとはこれ、コピープロテクトっていうのをわざとかけていないんですよ。だからコピペし放題なんですよ。

(宮沢章夫)コピペし放題!

(藤井彩子)それも新しいですよね。

コピペし放題の電子書籍

(都築響一)ねえ。いまの出版社にそれをやってくださいって言っても、絶対にやってくれないですし。僕としては自分の本は自分の作品だと思っていないので。報道だと思っていますから。自分の作品として守るよりも、広まってほしいんですよ。「こういう面白い人がいる」とか「面白いものがある」っていうところをどんどん広めてほしいので、コピペしてもいいから、「こんなところがあるから今度行こうよ!」って言ってほしいということで。やっぱりそういう風に自由に使える素材としての本というのを電子だったらできるなと思って作り始めたというところですね。

(宮沢章夫)なるほど。僕なんかも芝居の台本、戯曲。これ、いろんな人が上演してくれればいいなと思うので、タダで全部公開していいなと思っているんですよ。で、どういう風なやり方があるのかな?っていうのはちょっと前から考えてはいたんですけどね。

(都築響一)うんうん。いまたぶん出版社っていうのは自分の知的財産を守るっていう方ばっかりを考えると思うので。でも、作り手っていうのはそうとも限らないじゃないですか。

(宮沢章夫)そうです。読んでもらえた方がうれしいとか。

(都築響一)むしろ広まってほしい。たとえば宮沢さんの本だったらそれを読んで、こういう形に上演したいみたいな人たちがいっぱい出てきた方が面白いですよね?

(宮沢章夫)そうです、そうです。

(都築響一)だからそれはいまの出版システムともう合わないんですよ。僕もそうなので、それで自分たちのフォーマットを作ってやっていったらいいなと思うし。そうすると、たとえばこれ、今日持ってきたのは僕が最初に作った『TOKYO STYLE』っていう本の電子版をずーっと、もうコツコツとスキャンをし直して作ったんですけども。

(宮沢章夫)すごいですね(笑)。

(都築響一)そうするとね、汚い部屋の写真があって、どんどん拡大していくとコタツの上にカセットテープが置いてあって、そこに書いてある文字とかが読めるんですよね。そうすると、どんな大きな大判のきれいな写真集を作っても、それってできないじゃないですか。電子だからこそできることなんだけど、普通の電子書籍っていうのはそれが許されないんですよね。サイズの問題とかいろいろとあって。

(宮沢章夫)ええ、ええ。

(都築響一)だからそういうことができると逆に、これを大きなパソコンで読もうが携帯、スマホで読もうが一緒なんですよ。拡大していけばいいんだから。だから、このデバイスの違いっていうのも無になるし。いろいろと面白いことがこういう形だったらこれからできるなと思うんですけども。まあ、出版社はどこも賛成してくれないので、自分たちでどんどんと数を増やしていきたいなと思いますね。

(宮沢章夫)うんうん。

<書き起こしおわり>

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