菊地成孔さんがTBSラジオ『菊地成孔の粋な夜電波』でPSY 江南スタイルの世界的な大ヒットの要因を語りました。リスナーからの「江南スタイルの世界的大ヒットの原因が今イチ理解できないので教えてほしい」という質問に対し、菊地成孔さん・韓東賢さん・田中教順さんの夜電波韓流最高顧問たちが以下のように話していました。
(菊地)「まあ、これはさっき言ったように周期的に出す知恵熱みたいなもんですよ。
アメリカも飽きるからね、白人と黒人だけで回していると。なんで英語のしゃべれる違う国の人の曲を入れてみんなで・・・比較的楽しいパーティーチューンか、どっちかっていうとコミカルチューンが1位になることが多いですけどね。それのバリエーションで、別に悪い曲じゃないしね、『江南スタイル』ね。」
(田中)「今、G-DRAGONやFar East Movementと聴き比べても分かるのは、韓国の人たちはアメリカに向けてのプロダクトデザインをしているので、それを全くして来なかった日本で売れなくても、まあそうかなという感じはすごくする・・・」
(菊地)「日本人には多分・・・これDISじゃないですけど、日本のK-POPファンの多くは『あんなブサイクが!』と思っているってことだと・・・単純に、あんなおっさんがとかっていう。」
(韓)「韓国人も『なぜ?少女時代も、アメリカ進出みんながんばったのに。最高な美人や最高にカッコイイ人で準備をしたのに、なぜPSYなのだ?』っていうのは韓国人も思っている人は思っている。」
(菊地)「でも、ブサイクが痛快に思っているんじゃないですか?」
(韓)「それもあると思います。反応で分かれるのは日本人の反応で、『同じアジア人で誇らしい。あのルックスの人が全米で2位で嬉しい。』っていうのと、『なんでアイツが?』っていうのと。」
(菊地)「一言、『協栄ジムの方』みたいな。PSYさんは。私好きですけどね、ウチの近所(新大久保)、あんな方ばっかり。PSYばっかり。(笑) まあ、でもそういう扱いですよね。ただやっぱり2位っていうのはデカイんで。さっきも言ったようにその動きで、まあG-DRAGONの頑張りもあるんでしょうけど、YG(エンターテイメント)が行ったっていうことにもね。(YGエンターテイメントがSNエンターテイメントを越えたこと)」
(韓)「英語が出来るっていうのはあるって、今おっしゃってましたけど、でも曲自体はあれ韓国語じゃないですか。で、売れてアメリカとか行って、テレビとかで英語でしゃべれるってことだけども、その時に曲が英語でなかったことのデメリットって今回あんまりなかったことの原因ってどう思います?」
(菊地)「曲が英語でなかったことのデメリットが存在しない・・・」
(韓)「ああいう曲だとあんまり関係ない?」
(菊地)「ああいう曲だとあんまり関係ないんじゃないですかね?」
(韓)「でもなんか、アメリカってそれでも英語の壁ってすごくあって、(坂本九の)SUKIYAKIは行ったけども、それ以降はすごく英語の壁が強かったのに、今回割とパカっと行ったのはなんでかなぁと。」
(菊地)「メッセージ性ないですからね!やっぱり『おもしろハウス』で行っちゃったと思うんですよね、アレは。だからあんまり詞を楽しむっていうか、面白いこと言ってるよみたいな。韓国語・・・何語が何語に対してっていうのは分からないですけど、きっと英語圏の人が聞くと面白い言葉に聞こえると思うんですよね。『オッパー カンナムスタイル』とかって面白いじゃないですか。『スタイルだけ分かるぞ!』みたいな感じで。そこが良かったんじゃないですかね?まあ、アメリカもヒットチャート、疲れてますからね。もうHIP HOPなのかROCKなのかっていうことで定食が2つあって、飽きてきたよってところもあるんで、まあまあちょっと珍味も喰ってみようっていうのもそろそろ出る時っていうのもありますよね。全然ハイプとは言いませんけど。あの人、実力ありますよね、PSYってね。」
(田中)「江南スタイルのアルバム、僕『RIGHT NOW』とかも好きですね。少女時代の日本で売れた曲は全部韓国語バージョンのほうが好きな身としては、そんなに僕は英語の壁っていうのはなくて、韓国語を『音』としてみんな好んでいるんじゃないかなって。というのは、だいたい韓国語で先に出た曲が、少女時代だけじゃなく日本語版で出ると、YouTubeでアメリカとかの人が『韓国語の方がいいのに何で日本語版にしちゃうの?』みたいなコメントを書いていたりするんで、あの人たちはたぶん韓国語バージョンの音色的な情報がすごく好きなんじゃないかと思います。僕も好きですし。」
(菊地)「『中村彼方さんの日本語詞がなければ少女時代の(日本)ブレイクはなかった』とする立場の私ですけど、とはいえやっぱり韓国語はボトムの効いてるUSオーバーグラウンドの音声に乗りうる言葉、唯一の言葉なんじゃないかな?広東語でも無理だし、フィリピン語・タガログとかベトナム語とかでもちょっとたおやかなのよ。日本語はどんなに巻き舌でしゃべったところで、ボトムきつくなるとダメだから。安室ちゃんの一番ボトムが効いているブーミーな曲だってまだやっぱり軽いですからね。だからやっぱりUSオーバーグラウンドの音声に乗る言語なのかもしれないですよね。」
<書き起こしおわり>