アルコ&ピース酒井 戦極MC BATTLE予選を振り返る

アルコ&ピース酒井 戦極MC BATTLE予選を振り返る アルコ&ピースのD.C.GARAGE

アルコ&ピースの酒井健太さんがTBSラジオ『アルコ&ピース D.C.GARAGE』の中でMCバトル大会『戦極MC BATTLE16章  DOPE SIDE WEST -裏予選-』に出場した際の模様を話していました。

(平子祐希)やっぱりみなさん気になっているのは、酒井のラップの話が聞きたいんですよ。リアーナよりも、安倍晴明よりも。まあ、もともとこのラジオでね、いろいろお話してきましたけども、戦極MC BATTLEっていうフリースタイルラップの大会に酒井が実際に出場するということで。まあ、MCネームなんかも決めなきゃなということで、酒井が「菊田健太」を名乗りまして。

MCネーム 菊田健太

アルコ&ピース酒井「菊田健太」名義で戦極MC BATTLEにエントリーする
アルコ&ピースの酒井健太さんがTBSラジオ『アルコ&ピース D.C.GARAGE』の中でMCバトル大会 戦極MC BATTLEに「菊田健太」名義でエントリーした話をしていました。 (平子祐希)では、メールを紹介したいと思います。世田谷区の方

(酒井健太)イェー! いいっすね。

(平子祐希)これは母方のもともとの名字「菊田」より引用したということで。まあ、芸人としては酒井健太。で、ラッパーとしては菊田健太を名乗るという、まあ空恐ろしい流れになっているですけども。

(酒井健太)いや、恐ろしくない。恐ろしくない。「俺、菊田! お前に送るぜビッグ・ラブ! ヒェーッ!」。

(平子祐希)……臨、兵、闘、者!

(酒井健太)違う違う違う! スーッと消えない、俺は!(笑)。

(平子祐希)(笑)。まあね、そういう流れがありまして。大会が先週の土曜日に実際に酒井が選手として出場したと。まあ、僕のいろんなね、周りの知り合いのディレクターさん。大人の方を中心にね、やっぱりいろんな心配をさせているわけですけども。

アルコ&ピース酒井 ラップへ傾倒しすぎてで周囲の大人に心配される
アルコ&ピースの酒井さんがTBSラジオ『アルコ&ピース D.C.GARAGE』の中で最近日本語ラップへの傾倒を進めた結果、周りの関係者の大人たちからガチで心配されている事態になった話をしていました。 初代芸人ナンバー1ラッパーに輝く、アルコ

(酒井健太)はい。

(平子祐希)有吉さんがツイートでね、「菊田、負けたか」なんて実際にツイートしてたりとか。

(酒井健太)おおっ!

(平子祐希)やっぱり本当、いろんな方が心配しているっていう。

(酒井健太)いや、興味があんだよ。やっぱり。知ってんだ。菊田を。もうすでに。

(平子祐希)だからもう、知らざるを得なくなった。周りも、俺らがお世話になっている周りの方がもう有吉さんにも相談してんじゃね? 「大丈夫ですか?」っていう。

(酒井健太)大好きなんじゃない? 有吉さんも。

(平子祐希)「酒井、大丈夫?」って。

(酒井健太)やりてーのかな? 有吉さんも。

(平子祐希)いや、違うんだよ。ねえ。そういう遠回しのメッセージなのよ。あの人なりの。「ちゃんとしろよ」っていう。

(酒井健太)(笑)。出るといいと思うけどな。

(平子祐希)(笑)。出るわきゃねえだろ!

(酒井健太)まあ、詳しくはお知らせの後ということで。今日はスペシャルウィークですから。もうメインディッシュはちょっとじらします。

(平子祐希)メインディッシュと思ってねえんだ、俺らは……

(酒井健太)エイ、ヨウ! ヘイ、ヨウ! 今週もアルコ&ピースのD.C. GARAGE! Stay Tune!

(平子祐希)うーお! キモッ!(笑)。

(CM明け)

(平子祐希)ちょっと酒井がラップの大会に出たことについてのメールも届いているので、しょうかいします。(メールを読む)「戦極に菊田健太を応援しに行ってきました。『酒井、まだラップのスキルが若い』というパンチラインに沈んだ菊田健太さん。目がバキバキで正社員さんに『シャブやっているやつと同じ目だ』と褒められていましたね。菊田健太がどこまで本気でやっていたか、ラジオを聞いているだけだとふざけていると思っていましが、生で菊田さんのバキバキの目を見て、とても感激しました。結果はどうこう、なにかひとつのことを一生懸命にやるってかっこいいですね。菊田さんが負けて、もう帰ろうと外に出たら菊田さんがいて、『おつかれっした。ラジオ、がんばってください』と話しかけたら握手をしてくれました。うれしかったです。仕事も生活もクソ面倒くさいことだらけですが、何事も一生懸命がんばってみようと思いました。全然面白くないメールですけど、菊田の目に届けばと思いメールしました。かっこよかったっす!」。

(酒井健太)届きました!

(平子祐希)マジで面白くねえな、これ。なあ。

(酒井健太)届いてます。ちゃんと。ありがとう。最高だぜ!(ドンッ)。ありがとうな。

(平子祐希)どうなの? ちゃんとこの菊田呼ばわりを守ってくれていることについてはさ、やっぱ赤っ恥だと思ってんの?

(酒井健太)全然思ってない。全然思ってない。マジで届いてます。ありがとうな。(ドンッ)。めちゃめちゃ届いてっから。

(平子祐希)音、説明しな。「いま、胸叩いてます」って。

(酒井健太)ありがとう。いま、胸(ドンッ)、叩いてます。

(平子祐希)(笑)

(酒井健太)ダセー、ダセー。これ、めっちゃダセー。

(平子祐希)続きまして……(メールを読む)「アルコ&ピースのお二人、こんばんは。最近は酒井さんのラップの話で『D.C.GARAGE』は持ちきりですね。酒井さんはフットサル、筋トレ、ダルシムなどいろんなことに果敢に挑戦していて、僕はあらゆるジャンルを極めようとする酒井さんは本当にかっこよくてすごいなとラジオを聞きながらいつも思っていました。僕のようなたかが1リスナーの意見を公共の電波で普通に発表するのは恥ずかしい限りですが、隣りにいる能なし口だけバカゴリラ社長の反吐が出るような助言なんてガン無視して、自分の信じる道を突き進んでください」(笑)。

(酒井健太)(笑)

(平子祐希)すげーな。「能なし口だけバカゴリラ社長」(笑)。

(酒井健太)めちゃめちゃ言われてんじゃん、平子(笑)。めっちゃ味方じゃん。俺の。そいつ。届いてます!(ドンッ)。

(平子祐希)ゴリラじゃねーか。バカゴリラだよ、おめーが(笑)。

(酒井健太)叩いているぞ、いま!(ドンドンッ)。おーし、叩いた。叩いたぞ。

(平子祐希)(笑)。

(酒井健太)見に来てくれたんだ。ありがとうな。

(平子祐希)みんなバカになっていく。

(酒井健太)(笑)。いや、出てきましたよ。

(平子祐希)ラップ。『戦極』ね。

(酒井健太)予選ですけども。

(平子祐希)うんうん。まあでも『戦極』っていえば俺でも名前は知っているぐらい大きな大会ですから。

(酒井健太)渋谷のファミリーっていう箱で。

(平子祐希)「箱」って言い始めちゃったのね。まあいいや。箱ね。ガチの箱?

(酒井健太)ガチの箱じゃない。クラブ。なんていうの、ああいうの?

(平子祐希)ダンボール?

(酒井健太)いや、ダンボールじゃねえよ!(笑)。なんでダンボールの中でラップやんだよ! なんだよ、そのかわいい話。

(平子祐希)アマゾンでラップが届いただけみたいな(笑)。

(酒井健太)で、「13時に集合だ」っていうことで。ちょっと服装も迷うじゃんか。

(平子祐希)ああ、そうだね。まず、そうだよね。普段はまあそこまでラッパーっていう感じじゃないもんね。

(酒井健太)でも、細身で行くのもリアルに強えタイプ、いるじゃん。ラッパーでさ。あえてのヒップホップ感を出しても嫌だから。割りと普通な格好をして行ったのよ。変に気張っていてもダメだからさ。で、渋谷に着いて。割りと早めに着いたんだけど、やっぱドトール一発行って。

(平子祐希)いや、わかんねーけど。

(酒井健太)カップのコーヒー持っていくじゃん。やっぱ。

(平子祐希)ああ、それどっちなんだろうね。

(酒井健太)持っていったの。あれ、俺はじめて外でやって。あれ、飲みづれえのな。

(平子祐希)(笑)

(酒井健太)あんな飲みづれえの……あれ、みんなよくやんなと思って。

(平子祐希)口ちいさくて。

(酒井健太)口ちいさくて。飲みづれえし。

(平子祐希)急にジュッて熱くて。

(酒井健太)そう。熱くて。カイロ代わりにしかなんなくて。これ、でもちょっと早く着きすぎたし、ファミリーも結構地図で見たら近いのよ。その箱まで。だからちょっとこれ、早めに行くのはラッパーじゃねえなと思って。遅刻するじゃん。ラッパーって。

(平子祐希)(笑)

(酒井健太)ラッパーって、そうだから。

(平子祐希)いや、それはただ遅刻したラッパーじゃないの?

(酒井健太)逆になんかナメられそうじゃん。「時間通り来やがって」みたいになりそうだから。ラッパーっていうのはフリースタイルだからさ。

(平子祐希)いや、別にそれ、時間がフリースタイルじゃなくてね。

(酒井健太)で、グルーッとちょっと渋谷を遠回りして。ゆーっくり行っていたんだけど、「あれ、でもこれ本当は遅刻したらなんか、でっけー黒人みたいな人が出てきてボコられんのかな?」って思って。「あれ? ちょっと怖くなってきたな……」と思って、早歩きでちょっと……。

(平子祐希)途中から(笑)。

(酒井健太)途中から、ヤベーと思って、向かって。もうでも会場の近くまで来たら、もう首にヘッドホンをかけているさ、ダボダボのズボンのやつがウンコ座りしてレッドブルとか飲んだりしてんの。だから、コーヒーじゃねえのよ。あいつら、レッドブルかモンスターエナジーなの。

(平子祐希)ああーっ! リアル。なんか。

(酒井健太)コーヒーなんか誰もいないからさ、ぶん投げたよ。俺も、コーヒー。ゴミ箱の中に(笑)。

(平子祐希)(笑)

(酒井健太)いや、俺もナメられちゃいけねえなと思って。ちょっと靴の音を鳴らしながらさ。ちょっと猫背にしてさ、気だりい感じだしてさ、ニセあくびしてさ。

(平子祐希)(笑)。「靴を鳴らす」ってわかんねーわ。

(酒井健太)ちょっとなんかズッて歩くみたいな。ちょっとだりー感じで。

(平子祐希)うんうん。余裕な感じでね。

(酒井健太)で、ちょっとコソコソなんかしゃべってんだよ。「菊田だ、菊田だ」みたいな。たぶんね。

(平子祐希)いや、言ってねえと思うんだよ。

(酒井健太)「優勝候補のお出まし、か……」みたいに言ってんだけどさ。

(平子祐希)常勝軍団が来たみたいな(笑)。

(酒井健太)で、歩いていってさ、会場に近づけば近づくほどさ、いかついやつばっかりになってくんの。タトゥーも入ってくるしさ、ブリンブリンのでっけーネックレスみてえなのしてるしさ。めちゃめちゃ怖えじゃん? もう猫背もちょっとずつ直してさ、ピーンってなって、普通に歩いて。もう、『ユージュアル・サスペクツ』のラストよ。

(平子祐希)(笑)。徐々にね。

(酒井健太)カイザー・ソゼ(笑)。

(平子祐希)やべーやつじゃん(笑)。

(酒井健太)で、「会場ここなんすか?」みたいなことを話しかけたら、「あ、はい。ここです」みたいな。で、入っていって。中でもうみんな……。

(平子祐希)あ、怖い怖い。

(酒井健太)怖いでしょ? なんかエントリーの受付みたいなのしてるんだけど、その人もなんか怖かったりしてさ。みんななんか、そこに楽屋なんてないのよ。みんなたむろしていて、座ったりしてて。で、結構いろんなやつがいて。スーツ系のやつとかもいるのよ。で、他にもなんかね、学ラン着て丸坊主でメガネかけてリュック背負って。本当に田舎から出てきましたみたいな。

(平子祐希)うわっ!

(酒井健太)「うわっ、こいつザコじゃん! 絶対にこいつ、勝てるわ。ボコれるわ! こいつと当たりますように!」って思ってさ。

(平子祐希)うん。そうだね。

(酒井健太)で、エントリー費2千円を払って。なんかカードを引いて、番号が書いてあるの。で、俺は56番だったの。で、トーナメント表みたいなところに「菊田健太」って書いて。で、対戦相手もそこでわかったの。名前だけね。俺の対戦相手、Vit(ビット)。

(平子祐希)えっ?

(酒井健太)Vit。MCVit。1回戦の相手。

(平子祐希)あ、どっちだ?

1回戦の相手Vit

(酒井健太)(笑)。だからどんな……やっぱ見た目ディスとか大事じゃん。どのタイプかわかんねーしさ。「どうしよう?」って思っていたの。で、主催のMC正社員さんがルールの説明と点呼みたいなのを取って。「菊田健太さーん」「はーい」とかって挨拶して。で、いろんなやつが呼ばれて。「MCハスラーさーん」って言って、そしたらその田舎の中学生みたいなのが「はい」って言って(笑)。

(平子祐希)ハスラー?

(酒井健太)「いや、名前ハスラーかい! お前、ハスラーじゃねえから、ぜってー。血ゲーから!」って(笑)。で、みんな呼ばてってさ、Vitがいねーの。

(平子祐希)えっ?

(酒井健太)ちょっと遅れてたぶん入ってきて。俺がやりてえやつさ。

(平子祐希)いや、本当だね。

(酒井健太)ちょっとたぶんこいつ、やべーやつだなと思って。本番までいろいろ時間が結構あったから。ちょっと考えておこうと思って。「Vit、俺のラップにきっと嫉妬」とか考えていたの。

(平子祐希)まあまあね。

(酒井健太)で、外に出てガードレールのところで俺、腰掛けて。ちょっとイヤホンで曲を聞いて。みんな聞いてるからさ。周りのやつらも。雰囲気出さなきゃなと思って、ドラゴンアッシュの『FANTASISTA』を聞いて……。

(酒井健太)雰囲気を出して頭揺らしていたの。そしたらなんか、俺の横に背のちっちゃい人が2人ぐらいいて。「あ、すいません。酒井さん……」って。「はあ? 俺、菊田だけど?」ってちょっと思ったんだけど。「出るんすよね?」「ああ、そうなんすよ。出るんですよ。よろしくお願いします」とかって言ってさ。「えっ、でもすごいっすね。いまいくつなんすか?」みたいな話をしてさ。「15才です」って。15才の子がラップやるんだ!って思って。MCネームを聞いたら、夢句(むく)くんっていう……。

(平子祐希)!!!!

(酒井健太)「えっ、ビジュアル系かな?」って……。

(平子祐希)そうだね(笑)。

(酒井健太)「夢句です」とかって。で、もう1人の子も「MCよんろくって言います」みたいな。「出身はどこなの?」「あ、レペゼンっすか?」みたいな。

(平子祐希)やべー、やべー……。

(酒井健太)「レペゼンKNGWっす」って。

(平子祐希)は?

(酒井健太)「えっ、なにそれ? KNGWってなに?」「あ、神奈川です」って……。

(平子祐希)(笑)

(酒井健太)「DAIGOかよ、お前!」っていう。「KaNaGaWa」で。最初から言えよ!っていう。でも、レペゼン一緒だし、年下だし。こいつら、話しやすいなと思って。「夢句!」とか俺も言い出してさ。調子のってさ。で、よんろくっていうやつもさ、話を聞いてたらさ、「神奈川の川崎です」って。「ああ、そうなんだ。高校とか、どこなの?」って聞いたら、俺と同じ高校なの。「マジか!」っつって。「レペゼン県川じゃん!」とかって言って。

(平子祐希)ちょっとわかんねえけど。うん。

(酒井健太)「県立川崎高校なんだ! すげーな!」っつって。でも結構よんろくは見た目がさ、ラップ好きそうに見えないの。ちょっといまっぽい感じがしてんだけど。「すごいな、お前。それでやるんだ」っつって。「一緒に勝ち上がろうぜ!」みたいに言ってさ。「でも、お前なんか部活とかやってんの?」とかって聞いたら、「蜂蜜を栽培する部活をやっている」って。「おい、県川どうした!? そんなのやってんのか?」って思ってさ。

(平子祐希)(笑)。何部?

(酒井健太)養蜂部みたいな。

(平子祐希)ええっ? いよいよじゃん!

(酒井健太)で、なんか見た目イケてねえし、ラップやってるし。キャラが渋滞しまくってるんだよ。ギッチギチに。「でもすごいな、それ。やべーやつが2人いるな」と思って。「川崎でこれ、勝ち上がんべ! 決勝、県川対決じゃね?」みたいなことを言って盛り上がっていたの。

(平子祐希)おう。

(酒井健太)そしたら、そうこうしているうちにお客さんとかも入りだして。本当キャパがさ、平子さんはたぶんわかると思うけど、TWLぐらいなの。100人、150人……。

(平子祐希)ああ、じゃあ座ったらもう80でパンパンぐらいの。でも、みんな立ち見だからね。

(酒井健太)立ち見だから。もうギュウギュウ。300人ぐらいかな?

(平子祐希)ええーっ? 予選で? すごいね。

(酒井健太)ブーム来てるな!って思って。みんなそれでさ、もう楽屋もないからそのギュウギュウのオーディエンスの中にラッパーがいたりするのよ。

(平子祐希)ごめんなさい。ごめんなさい。ギュウギュウの?

(酒井健太)あ、オーディエンス。ヘッズ。

(平子祐希)客ね?

(酒井健太)あ、客。客か。客をかき分けてみんな、ステージっつっても段差がちょっとあるぐらいの。そこに行って2人でバトルするみたいな感じなのよ。で、俺、56番だからさ、中盤ぐらいかなと思って、待っていたの。で、Vitがまだ誰だかわかんねえし。Vitくんがわかんねーのよ。で、もうそろそろ俺の出番だなと思って。で、「MC菊田健太!」みたいに呼ばれて。

(平子祐希)うわー、ドキドキするな。

(酒井健太)ギッチギチのところをかき分けて行ってさ、Vitが出てきたの。割りとゴリッとしているやつが。Vitくん。「やべーな……」って思って。「たぶんうめーな、こいつ」と思って。で、先攻がVitなのよ。で、俺が後攻だったんだけど。で、Vitから始まったんだけど。すっげーたぶん上手いの。すっげー上手いんだけど、めっちゃ声が小さいの。

(平子祐希)(笑)。うわーっ、もったいない!

(酒井健太)めちゃめちゃもったいないんだけど、もうこれを突くしかねえわと思って。「おめーマジちいさえな、声量! 松井秀喜は星稜高校!」みたいなことを言って。

(平子祐希)うーわっ!

(酒井健太)ヘッズが「ウワーッ! イエーッ!」って。

(平子祐希)(笑)。ああ、それは決まった感じなんだ。

(酒井健太)もう、俺2回ターンがあるんだけど、全部俺は「声量がお前は小さい」と。

(平子祐希)ああ、そこを攻めて。

(酒井健太)「お前、マジラッパーか? ラップ下手クソだな、止めちまえ!」って言って。悪口言ったの。

(平子祐希)(笑)

(酒井健太)もうね、韻なんて考えられない。「お前Vit、きっと嫉妬」も全然出てこなかったもん。バイブスだけで、気持ちだけで行ったの。結果、それがよくて。お客さんの判定なんだけど。拍手とか「ウェーイ!」とか言うやつ。「先攻、Vit!」「(シーン……)」「後攻、菊田健太!」「ウェーイ!」。100:0。

(平子祐希)(爆笑)

(酒井健太)100:0で勝っちゃったの、俺。

(平子祐希)いや、たとえばエミネムのさ、『8マイル』とかでそういうシーンが出て来るけど。どんな気分なの、それ?

(酒井健太)いや、俺もう本当に目バッキバキだと思うよ。アドレナリンが出すぎて。「シャーッ!」とか言って。「2回戦も勝っちゃうから!」とかって。

(平子祐希)自動的に出てきて?(笑)。

(酒井健太)脳じゃない。心で俺言葉選んでるから。もう。で、外に出ていってさ。で、「Vitくん、ごめんね」って。歳を聞いたら18才なんだって。「ごめんね。本当は上手いんだけどさ。リスナーとかもたぶんいっぱい来てるし、勝っちゃってごめん」とかって一緒に写真撮ったりしてて。

(平子祐希)おお、そう。

(酒井健太)したらもう1人さ、外にその主催者の方が出てきていて。「写真、撮ってください」って言っていて。「(MCネーム)ダテメギリくーん。ダテメギリくん、ちょっと写真撮ってくれないかな?」って。なんか、すんげーひょろっとしていて、メガネかけていて。ラップオタクみたいなニュアンスの、ゴリっとしてない感じの。で、「撮るね。いきまーす。アイ、ニージュ!」って言って写真撮ったの。俺、不覚にもすげー笑っちゃって……(笑)。

MC正社員×酒井健太

アルピー酒井…じゃないや 菊田健太さん

戦極MCBATTLE 代表 MC正社員さん(@sengokumc)がシェアした投稿 –

(平子祐希)(笑)

(酒井健太)「アイ、ニージュ おもしれーな!」って思って。

(平子祐希)うんうん。おもしれー。

(酒井健太)「ありがとうございます」って。「すごいね。面白いね」とかって言っていたの。そしたら、「NSCに昔、入っていて」とかって言っていて。吉本の養成所に。「へー、そうなんだー。今日も出るんだー。がんばってね」っつって別れたんだけど。で、俺も2回戦あるからさ。もう次は誰と当たるか、全くわかんないし。もう、それまで待つしかないのよ。で、1時間ぐらい空きがあったのかな? スケジュールを見て。待っていたんだけど、まだちょっと余裕があるなと思ってコーヒーとか飲んでいて。したらね、20分ぐらいしたら、外から男の人が出てきて。「菊田さん!」って。「誰だ、菊田って? あ、違う違う。俺だ!」って思って、「はい」って。

(平子祐希)うん。

(酒井健太)「いまもう菊田さんの番、終わっちゃってますよ」って……。

(平子祐希)ええっ!?

(酒井健太)「これ、不戦勝になっちゃいますよ」って言っていて。「うわっ、やべえ!」って思って、急いで行って。「急げばなんとか正社員さん、してくれますから」って。

(平子祐希)呼ばれてるんだ。

(酒井健太)で、俺の次の試合は「もう先にやっちゃおう」ってやっていて。「やべー!」ってまたお客さんをかき分けていって。「すいません! すいません! やらしてください!」っつって。「もうしょうがないな、酒井さーん」とかって正社員さんに言われて。「もう、じゃあいいですよ。やりますか」って対戦相手を見たら、ダテメギリなのよ。

(平子祐希)うわっ! さっきの「アイ、ニージュ」のやつ。

(酒井健太)「I need you」とさ。「うわっ、こいつか!」と思って。しかも俺、先攻なのよ。次は。マジで即興じゃん?

(平子祐希)そうだね。

(酒井健太)なんにも考えてないからさ、どうしよう?って思って。「Ready, Fight!」みたいになって。「お前、NSCでお笑いやめてラップもできると思うなよ! やめちまえ人生! マザファッカ!」みたいなことを言って……。

(平子祐希)うーわっ!

(酒井健太)本当、バイブスだけで行くんだけど、いまいちなんか盛り上がんないの。で、ダテメくんのターンになって、まあ上手いの。もうパンチラインもカマすし、言葉のハメ方上手だし。音楽にもちゃんと乗って、フロウもあって。「ロリィタ族。とお前、付き合ってたみてーだな」みたいなことを言われて、「うわー……怖え……」と思って。もう、言葉が出てこない。そのひょろっとした感じでそんなことを言われたらもう泣きそうになっちゃって。もう、嫌だわ。

(平子祐希)心が痛んじゃって。

(酒井健太)心が痛んじゃって。「やめたい。もう、やだやだ。この場から立ち去りたい!」と思って。で、終わって。「先攻、酒井健太!」「(シーン……)」「ダテメギリ!」「ウワーッ!」って。100:0で負けたの。

(平子祐希)うわーっ!

(酒井健太)で、後々聞いたらダテメギリくんってすげー上手いんだって。めちゃくちゃ有名な人だったみたいで。で、後で「ありがとうございました」って腰も低くてその感じもなんかもう、旗立つ。俺がやりたかったやつだ、それ……。

(平子祐希)(笑)

(酒井健太)でもまあ、なんとか1回勝って終わったし、マジでよかったなと思って。もう、俺は出れないわと思って。もういいわって、外に出たらさ、夢句と川崎出身のよんろくがいてさ。「いやー、ダメだった。川崎。お前らも負けたんだろ?」って。夢句くんもよんろくも負けていて。「ダメだったな。もう俺はでも、いいかな」とかって言っていて。そしたら夢句くんがおもむろにスマホをいじりだして。「あ、川崎で今日、路上でラップやってるわ。酒井さん、行かないっすか?」って。「もういい。もういい!」って思って。「あっ、俺仕事あるから、帰る!」って(笑)。

(平子祐希)(笑)

(酒井健太)本当、もういいって思った。本当に。

(平子祐希)もういいね。

(酒井健太)もういい。

(平子祐希)いいのね。

(酒井健太)ラップはいい。

(平子祐希)(笑)

(中略)

(平子祐希)では、ちょっとメールが来ています。川崎市の方。(メールを読む)「『戦極』を見に行ってきました。1回戦。相手は18才のVit。酒井ちゃんは明らかにスキルがなく、自分のターンの8割を『イエーッ!』と言っていたももの、貫禄のプロップス勝ち。これ、『プロップス』っていうのはバトルだとさほどカマせてはいないが、知名度の差で客が上がったみたいな時に使う言葉です。酒井ちゃんは『申し訳ねえ。申し訳ねえ』と言いながらフロアに戻っていきました」(笑)。

(酒井健太)うわっ! すげー見られてるな(笑)。

(平子祐希)「……続いて2回戦はUMBの大分・長野予選で準優勝の経験を持つユーモアのあるライミングが武器のダテメギリ。ロリちゃんの話題が繰り広げられ酒井ちゃんが優位かと思われましたが、最後に『ラッパーとして若すぎる』というパンチラインをカマされ撃沈。2回戦敗退となりました。その後、司会の正社員さんに『なにか一言あれば』と言われると、酒井ちゃんは『日本のヒップホップ盛り上げてこうぜ。イエイ、イエイ、イエーッ!』とシャウト。この発言に僕の後ろの方で見ていたBボーイが『あいつ、ナメてんだろ?』と小声で言っていたのがはっきりと聞き取れました。酒井ちゃん、お疲れ様でした」(笑)。

(酒井健太)(笑)。やべー! やべーな、これ! ボコられんじゃん、俺!

(平子祐希)いやー、俺らお笑いの賞レースにアイドルが出て、舞台上で「もっとお笑い界を盛り上げていきましょう!」とか言うのと一緒だよ。

(酒井健太)うわっ! そんなやつ、ボコんもんな。

(平子祐希)(笑)

(酒井健太)うわっ! でも俺、言ったわ。最後。

(平子祐希)うわーっ! 怖っ……。

(酒井健太)「ヒップホップシーン、盛り上げていきましょう! イエーッ!」って(笑)。

(平子祐希)危なっ。無傷でよく帰ってきたな。

(酒井健太)傷だらけですよ(笑)。

<書き起こしおわり>

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