松尾潔さんがNHK FM『松尾潔のメロウな夜』の中でリスナーからのリクエストに応え、エイドリアナ・エヴァンスとエリカ・バドゥに会った際の印象を話していました。
(松尾潔)続いてご紹介しますのは京都府にお住まいの27才の男性リスナー、クマさんです。この方はエイドリアナ・エヴァンスの『Love Is All Around』にリクエストをくださりました。ありがとうございます。(メールを読む)「こんばんは。いつも楽しく拝聴しております。突然ですが、僕が愛してやまない女性シンガーの2トップ、エリカ・バドゥとエイドリアナ・エヴァンス。その両者にインタビューした経験のある松尾潔さんに対する尊敬の念は計り知れないものがあります。記事を読み返すたびにうらやましく思ってしまいます」。ああ、なるほど(笑)。まあ27才の方ですからね。僕、インタビューしたのが20年ぐらい前ですから。その時クマさんはまだ小学生ですか? なるほどね。記事を残してみるもんだなあ。
「……実際に会ってみたお二人の印象、雰囲気はどうでしたか? 素敵な女性であることは聞くまでもないと思いますが。この番組を通してたくさんのいい音と出会えています。この場をお借りして、いつもありがとうございます」。いやー、27才でこれだけR&Bに深く入り込んでいる人がいらっしゃるっていうのは僕にとっても勇気を与えられるお話ですね。いやいや、エイドリアナ・エヴァンスもエリカ・バドゥも一言で言うと知的な印象ですね。で、エリカの方がちょっとヤンチャな印象ですか。エイドリアナ・エヴァンスはね、もう本当にお付き合いしたい!っていうぐらいの感じの(笑)。僕も大好きなタイプなんですけどもね。
その時、もうドレッド・スコットという公認の恋人がいましたから。最初から恋人として見ていましたけど、エイドリアナ・エヴァンスはね。まあ、お母さんがね、ジャズシンガーで割と有名な方ですし、東京でも歌っていたりしていた人なんで。そういう意味では、ジャズやラテンなんかの素養も深いサラブレッドのエイドリアナに対して、もうちょっと音楽だけじゃなくて演劇を含むカルチャー全般っていうものを音の形で体現しているエリカ・バドゥみたいな。そういう違いはありましたね。たしかに当時、90年代の終わり、この2人が比較されることが多かったんです。特にイギリスとか日本ではね。
まあしかし、27才の方のメールでそういうことを思い出させてもらうっていうのはなんか、うれしいもんですね。じゃあ、聞いてもらいましょう。エイドリアナ・エヴァンス『Love Is All Around』。
Adriana Evans『Love Is All Around』
お届けしましたのはエイドリアナ・エヴァンスで『Love Is All Around』。彼女のデビューアルバム『Adriana Evans』に収められていた爽やかでメロウなナンバーでした。さっきね、僕、当時彼女に会った印象として、「本当にできることならお付き合いしたい」なんてちょっと調子のいいことを言いましたけども。それね、僕に限らず当時、エイドリアナ・エヴァンスとかエリカ・バドゥとか、もう1人、グルーヴ・セオリーのアメル・ラリューなんかもそこに加えていいかと思いますけども。このあたりの女性シンガーに恋心を抱いていた当時アラサーぐらいの日本人のR&Bファンっていうのはたくさん知っていますね。うん。擬似恋愛の対象になるようなアーティストと巡り会えるっていうのはこれ、本当に幸せなことですよね。
<書き起こしおわり>