プチ鹿島さんがTBSラジオ『プチ鹿島のスポーツ紙大将』でスポーツ報知の野球デスク 加藤弘士さんらとイチローが日本プロ野球界に起こしたファッション面での革命について話していました。
(山田美幸)次の見立てにまいりましょう。スポーツ報知、先週水曜日の紙面からです。「広島が前代未聞のサヨナラ勝ちを収めました。同点で迎えた9回ツーアウト1、2塁で赤松がセンター前ヒット。本塁を狙った菊池が一度はアウトと判定されましたが、新たに導入されたコリジョンルールによってなんと判定が覆りました。リプレイ検証を挟んでのサヨナラ勝ちは史上初でした」。
(プチ鹿島)という記事から、まあこの1ヶ月ね、ものすごく話題になっているコリジョンルールですよね。これ、元はと言えばメジャーで、要はオーナーサイドの意向で実現されたんですよね。っていうのは、高いお金を払っているから危険なプレーで怪我されたらたまらないということで、日本にも導入されたんですけど。なんかちょっと違くないですか?
(加藤弘士)腑に落ちないですね。だからやっぱり、野球のクロスプレーで「どっちなんだ? アウトか、セーフか?」っていうね。その一瞬のせめぎあいっていうのはこれ、プロ野球の醍醐味のひとつですよね。
(プチ鹿島)これがサヨナラの場面でね。
(加藤弘士)ねえ。生死を分ける場面でね。そこで、コリジョンルールってなってしまうとちょっと野球の魅力が削がれてるんじゃないかな?っていうことで、残念ですよね。
(プチ鹿島)もちろん、サヨナラとかそういう場面の前に、まずクロスプレーの魅力が失われてしまったっていうのはちょっとね。これ、今日のサンケイスポーツで野村克也さんがコリジョンルールについて、ああ、なるほどなということをおっしゃっているのが、要はコリジョンルールになるとキャッチャーは走塁を妨害しちゃいけないので、基本的に追いタッチになると。で、野村さんはこんなことを言っているんですよ。「従来から、『最も悪い技術』と指導されている追いタッチしか打つ手がない。つまりいちばん見せちゃいけないものをキャッチャーの武器とせざるを得ないこのコリジョンルールは、やはりプロとしていかがなものか?」って言っているわけですよ。
(加藤弘士)たしかに、これは悪質だなというようなランナーの突っ込んでくるのはありましたけど。そういう危険なプレーに関してはペナルティーを課せばいいだけの話なんですよ。
(プチ鹿島)だからそれはやっぱりある程度審判の人に……まあ、ファンも見ていて「このタックルは無理やりだろう」とか、あるじゃないですか。だからそれはちょっと、解釈の幅を審判にあげてもいいのかなと。
(加藤弘士)審判だって気の毒ですよね。まあ、もともと選手会が選手の体を守るためにというので、日本野球機構(NPB)の方に導入を要請したっていう経緯があるんですよね。審判たちが導入したくて導入したわけじゃないですから。ただ、やっぱり勝敗がわかれる場面ですとね、「なにをやってるんだ?」ってことになっちゃいますから。
(プチ鹿島)だからこれ、お仕事とか学校とか、「明日行くの、嫌だな」っていうプレッシャーを背負わされている人って、プロ野球の審判のことを考えればだいぶ気が楽になると思うんですよ。
(加藤・山田)(笑)
(プチ鹿島)だって、ものすごい天王山で今日、自分がプレートアンパイアって、嫌ですよ。俺。絶対に嫌だ。
(山田美幸)短期決戦なんか特にね。
(プチ鹿島)やだやだやだやだ。あれは審判のために、ねえ。
(加藤弘士)気の毒ですよね。
(プチ鹿島)で、皮肉なことに、プロ野球界でコリジョンルール。アウトだったものがセーフになる。セーフだったものがアウトになるって言っている時に、政界でコリジョンルールを適応したのが舛添さんですよね。あれね。
(加藤弘士)政界で?(笑)。
政界でコリジョンルール適応した舛添要一都知事
(プチ鹿島)「これ、アウトじゃね?」ってみんな言っていたのが、「セーフだ!」ってお一人でコリジョンを適応して……
(加藤弘士)あ、自分で適応しちゃった(笑)。
(プチ鹿島)だから5月から6月ってコリジョンだったんですよね。
(山田美幸)なるほどね。スポーツ界も野球界も政治界もですね(笑)。
(プチ鹿島)そう。どうですか? 舛添さん報道っていうのはやっぱりスポーツ新聞的に盛り上がったんですか?
(加藤弘士)まあ、社会部的にはやっぱり、大きな関心事で。しかも、やっぱりホテル三日月とかね、いちいち味わい深い。しかもあの、『朝まで生テレビ』時代は完全無欠の国際政治学者だった舛添さんが、あんなボロをやるっていうので。やっぱり読者からのニーズはありましたよね。アクセス数とかもすごく高かったです。
(プチ鹿島)あと、テレビで顔を売った人だから、やっぱりテレビ。すごくわかりやすいんですよね。キャラクターっていうのでね。だからさ、ここに来て、2代続けて。猪瀬(直樹)さん、舛添さん。もっと前は石原慎太郎さん。ねえ。こう、「人気投票でいいのか? 知名度優先でいいのか?」っていう声がありますけど。僕に言わせれば、もう20年前から人気投票じゃんっていう。青島幸男さんっていう方が出て、圧勝して。たぶんそこから流れが続いていると思うんですよ。
(加藤弘士)ええ、ええ。
(プチ鹿島)人気投票、知名度優先のね。あの時、大阪では横山ノックさんが同じ期になりましたでしょう? だから都知事選が面白くなっちゃったんですよ。イベント化して。で、大統領制と同じで直接選べる。で、有名人がひとつの席を。ねえ。で、もっと考えると、その前振りっていうのは91年の都知事選だったんですよ。
(加藤弘士)ほう。91年。
(プチ鹿島)91年の都知事選って、鈴木俊一さんっていう方が多選で。しかもご高齢じゃないか?っていう批判が出て。で、同じ自民党。当時、小沢一郎さんが磯村尚徳さんっていうNHKのキャスターを。
(山田美幸)銭湯でね、背中を流した。
(プチ鹿島)当時、民法ではニュースってやってませんでしたから。『ニュースセンター9時』(のキャスター)ってことは、いまで言う古舘さんとか久米宏さんが出たようなもんで。それでタレントでワッとなったんですけど。そこに、「磯村が出るなら、俺が出る」って言い出したのがアントニオ猪木さんなんですよ。
(加藤弘士)ありましたね!
(プチ鹿島)結局、出馬はしなかったんですけど。これ、なぜか? と言うと、猪木さんは76年に猪木 VS アリ戦というのをやっていて。まあ、「世紀の茶番」とか「凡戦」とか言われたんですけども。それを『ニュースセンター9時』で磯村さんが「茶番ですね」って冷ややかにコメントしたのを猪木さん、覚えていたんですよ。で、「磯村が出るなら、あの時の恨みは忘れねえ。俺が出る!」っていうので、完全に政策抜きなんですよ(笑)。
(加藤弘士)(笑)
(プチ鹿島)で、ワイドショーが盛り上がっちゃったんです。で、僕も当時、学生だったんですけど。「あっ、国政選挙はよくわからないけど、都知事選っておもしれーな。これ、猪木がなっちゃうの?」とか。で、その後に内田裕也さんも出てきちゃったり。
(加藤弘士)はい。
(プチ鹿島)で、気がついたらジャンピングシューズでドクター中松がピョンピョンピョンピョンしてますから。これ、イベント化しちゃったんですよね。だから都知事選がこうなった。舛添さんがこうなったっていうのも、元をただせば猪木 VS アリ戦にたどり着くという。そういうお話でございました(笑)。
(加藤弘士)(笑)
(山田美幸)ということで、政界もコリジョンルールがあるようです。スポーツ新聞ナナメ読み、その3でした。
<書き起こしおわり>