相棒 元プロデューサー須藤泰司が選ぶ 相棒 おすすめ事件 3本

相棒 元プロデューサー須藤泰司 刑事ドラマの作り方を語る たまむすび

ドラマ『相棒』の元プロデューサー、東映の須藤泰司さんがTBSラジオ『たまむすび』に出演。自身が手がけたシーズン5までのエピソードから、おすすめの事件を3本選び、紹介していました。

(赤江珠緒)それでね、今日はそんな須藤さんがいままでたくさんの刑事ドラマの中で、この事件はすごかった!という、おすすめの回をいくつか選んでいただいておりますので。

(須藤泰司)これはですね、僕、相棒というのをだいたいシーズン5というところまで担当させていただいて。もちろん、曲のプロデューサーの方だとか、みんなでいろいろネタを集めながら作ってきたんですけど。まあ、その100本の中で、もう主観的に選ばせて。

(赤江珠緒)そうですね。まずは、こちらから行きましょう。意外なトリック編ということで。これは?

(須藤泰司)これはですね、トリックに使われたものが、便座。

(ピエール瀧)便座?

(須藤泰司)トイレのこのね・・・

(赤江珠緒)見ました!相棒のね。はい、もちろん!

(須藤泰司)赤江さん、本当にご覧になってますね。

(赤江珠緒)もう相棒、ほぼ見てますから。

(須藤泰司)そうですか!

(ピエール瀧)すごい(笑)。

(須藤泰司)話がしやすいなー!

(赤江珠緒)それでもう、再放送も何回見てるんだ?っていうぐらい、もう。再々放送とかも、何回も見てますもん。はい。もちろんこれ、便座。これが瀧さん、トリックだったんですよ!

(ピエール瀧)(笑)。すごいね。

(須藤泰司)これを見破る右京さんもすごいなと思うんですけども。

(赤江珠緒)ちょっと肥満体の奥様。

(須藤泰司)そう。かなり肥満体なんですけど。これはもう天才 輿水泰弘という脚本家が、これで来たか!と思った話なんですけど。あの、肥満した奥さんを殺そうとするわけですよ。それで、便座に、奥さんが座った時に割れるように仕掛けて。それで、旦那はアリバイのために海外に行っちゃうんですよ。

(赤江珠緒)出張にですね。

(ピエール瀧)なるほど。

(須藤泰司)そしたらその間に奥さんがこう便座に座って、ズボッと抜けて、便器から出られなくなって餓死してしまうという(笑)。

(赤江珠緒)(笑)

(須藤泰司)本当ですよ。本当。

(赤江珠緒)本当。これ。

(須藤泰司)これ、でも悲しい話なんです。

(赤江珠緒)そうなんです。そうなんですよ!悲しい話なんですよ。

(ピエール瀧)はい。

(赤江珠緒)これだけでもトリックが、えっ!?って思うんですけど、その動機がまたね。

(須藤泰司)実はこれね、旦那さんが浮気をしてて、邪魔になった太ったおかみさんを殺そうかなと思ったって、そういう話じゃないんです。実はこの奥さんが太ってからずっともう浮気をしてるんですよ。

(ピエール瀧)奥さんが?

(須藤泰司)それで嫉妬して許せなくて殺してしまうという。

(ピエール瀧)はー!

(須藤泰司)しかもですね、これ、殺す旦那さんが野村宏伸さん。細い。

(赤江珠緒)そうなんです!旦那さんが素敵なんです。

(ピエール瀧)そうね。優しそうな。はいはいはい。

(須藤泰司)で、本当は好きで好きでしょうがない。太っても、好き好き好き!。太った理由も、あまりに愛しているから奥さんに手料理を食べさせていると、その手料理で太ってしまって、そうなってしまったという。

(ピエール瀧)ああー!

(赤江珠緒)でも太ったよりもなによりも、自分を裏切っていることが許せなかったというね。

(須藤泰司)おっしゃるとおりです。

(赤江珠緒)それを便座で殺すという。

(ピエール瀧)便座にハメて。

(須藤泰司)ハメ殺し。

(ピエール瀧)ハメ殺し(笑)。

(赤江珠緒)では続いては、意外な凶器編、お願いします。

(須藤泰司)はい。これはですね、冷凍イカ。

(赤江珠緒)ああー!これもいい話なんですよ!

(ピエール瀧)早えなー(笑)。

(須藤泰司)早いな、もう!

(赤江珠緒)こちらは、ミシュランのようなね、レストランで。

(須藤泰司)ええとですね、ミシュランみたいなの三つ星の星をもらっているレストランのシェフが、二つ星に降格したということで、その自分を評価したインスペクター、要するに調査員ですね。調査員を、カーッとなって、その場にあった冷凍イカで刺し殺すという。

(ピエール瀧)(笑)。冷凍イカで刺し殺す!?

(赤江珠緒)そう。そう。だから、『凶器が刃物でもないし、なにでこれが・・・?』ってなっていて。イカだとちょうどいい!みたいな。実は。

(ピエール瀧)ああー。エンペラ部分もピシッとしてて(笑)。

(須藤泰司)そうそうそう。ヤリイカですからね。しかも。ヤリイカなら殺せるんですよ。すごいですよ、これ。もう尖っていて。

(赤江珠緒)しかもその後、調理しちゃっているんで。凶器がなくなっているわけですよ。

(須藤泰司)それでね、寺脇さん扮する薫ちゃんが『食べちゃったよ!』っていう・・・(笑)。

(ピエール瀧)ああー!食べられる凶器。

(須藤泰司)食べられる凶器。

(赤江珠緒)これもねー、まさかこの人が犯人か!みたいなね、感じでした。はい。そしてもう一つ。これは意外な殺人動機編。お願いします。

(須藤泰司)これ、ちょっとですね、これだけ聞くとあれなんですけど。感動的なお話でございまして。自分の名前が40年、30年も一緒にいるのに覚えられていなかった。

(ピエール瀧)あ、自分の名前が?

(赤江珠緒)スタッフ。スタッフの話ですね。

(須藤泰司)だからね、卓球さんにピエールさんの本名を知られてなかったみたいな。

(ピエール瀧)ああー!

(須藤泰司)そういうことで、恨んで殺してしまう。どういう話か?っていうと、ある巨匠監督がいて。巨匠監督が晩年になったんで自伝の本を出すんですよ。で、それに出版発表会みたいなところに当然スタッフもみんな来て。長年来の人がみんな来ると。

(赤江珠緒)もう○○組って言われているようなね、監督ですね。

(須藤泰司)それに『電飾さん』っていう人がいて。電飾さんっていうのは撮影所なんかで電飾。明かりとあれを加工する職人さんなんです。この人は、もう自分の奥さんが危篤の時も監督のために全部時間を投げ捨てて捧げてきた人なの。で、その彼が『監督、おめでとうございます。私にもサインをください』って言ったら、『お前、名前なんだっけ?』って。

(ピエール瀧)はいはいはい。

(赤江珠緒)普段、『電飾、電飾』って言われてるんでね。もう信頼しているスタッフなんですけど、実は名前を覚えてなかったという。

(須藤泰司)覚えられてなかった。それでカーッとなって、電飾さんは電飾ゆえに電気カーペットで殺すと。

(ピエール瀧)っていう。なるほど。

(赤江珠緒)(笑)

(須藤泰司)いや、マジな話で。ところがまだ、その話いくといい話としてですね、これが最後、実は監督が電飾さんをすごく認めていて。最後のインタビューで『俺たちの間に名前なんか必要ないぞ』と言っていたという。感動的な。

(赤江珠緒)そうなんですよ!その、なんか人間の心理のね、『あ、そこにいっちゃったんだ』みたいな。

(ピエール瀧)取り返しのつかない感もね。

(赤江珠緒)そうそうそう。いやー、いいですねー!

(須藤泰司)いや、ありがとうございます。

(赤江珠緒)素晴らしい。相棒。

(須藤泰司)いや、本当ですよ。本当に。見てください。ぜひね。

(赤江珠緒)ねえ。

(ピエール瀧)いや、そうねえ。

<書き起こしおわり>
https://miyearnzzlabo.com/archives/25826

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