伊集院光さんがTBSラジオ『深夜の馬鹿力』の中で、2015年お正月のビッグコミックオリジナルに掲載されたジョージ秋山先生の『浮浪雲』の衝撃的な鬱エピソードについて語っていました。
(伊集院光)今週気づいたこと。っていうか、まあお正月気づいたことで、言い忘れていること、言ってないことがすぐ賞味期限切れになっちゃうんで。あの・・・新年のあれ、何日発売かな?ビッグコミックオリジナル。5日発売か?オリジナル。5日に発売されたビッグコミックオリジナルの『浮浪雲』なんですけど。去年かな?去年の正月。一昨年の正月かもしんない。の、浮浪雲が、まあ救いのない話で。オチ、忘れちゃったけど、どうしようもない息子が年老いた母親を殺して、『明けましておめでとうございます』みたいな。
新春早々、これでも喰らえ!
もう・・・(笑)。ジョージ秋山先生からの、『新春早々これでも喰らえ!』で始まったと私、記憶してるんですけど。今年はね、まあ抗議もあったんだろうね。新春早々さ、それこそ1月の5日に出るわけだから。毎回、ビッグコミックオリジナル。5と20だから。そうするとさ、お正月で帰郷してたりするお正月気分がまだ抜けない松の内に、なんかいろいろ、今年もがんばろう!みたいなことを思って、自分の家に戻ってくる電車の中で読んだりするわけだから。それでね、今年がね、すっごい気の弱い亭主と、性悪っぽいカミさんの話なんだ。ほいで、なんか亭主が帰ってくると、どうやらカミさんが浮気してるらしい、みたいな。
ほんで、『浮気してんじゃねえのか?』みたいなことを言いたいんだけど、悶々としてるわけ。気が弱いから。そしたら、カミさんの方がぶち切れて、『やったわ!やってますけど。浮気。今さっきも、間男とセックスしてましたけど!?』みたいな。で、『あんたはそういうウジウジした性格だから、怒れもしないんだろ?あんたは。どうなってんだ、おめーは!?』みたいな感じでずーっと攻め立てて。結果、その静かな旦那が思い余って女房を刺し殺し、血だらけになりながら町に出たところで、最後のカットが、もう全身血だらけになって、町に出たところで、知り合いの人とすれ違って、『あけましておめでとうございます』って言うっていう、これなんですよね。
ジョージ秋山先生の正月
なんなんですかね?もうジョージ秋山は、正月もこういう感じで始まるって決めたん・・・ですかね?で、たぶん担当の人も、ジョージ秋山先生にそんなに文句も言えないと思うんですよ。ジョージ秋山が年末進行っつって、年末からお正月にかけて、漫画家さんとか作家さんの原稿ってすごい立てこむから、めちゃめちゃ忙しいから。ましてや、ジョージ秋山先生が『これ、正月分ね』って出してくるわけ。だって正月以外にはもう、転用のしようのないストーリーだから。だってエンディングが血だらけの服で出刃包丁を持って、近所の人に『あけましておめでとうございます』っつって。『おめでとうございます』って言い返すっていうオチだから。もう変えられないから。
それをもらった時点で、『これ、ボツです』とはたぶん言えないじゃないですか。で、そうするとこう、編集の人も載せるしかないから載せますよね。で、そうするとこの、どんな漫画もそうですけど、漫画の横の雑誌の耳の部分のところに、ちょっと編集者が一言キャッチフレーズみたいなのを添えるじゃん。で、それが、『愛は、まあるいばかりじゃない。この世の果てのような愛の形だって、ある。あけましておめでとうございます。』っていう(笑)。もう、しょうがないよね?みたいな。もうジョージ秋山先生、こう描いてきちゃったわけだから。なんか、ここを埋めないと!って思ったんだろうね。で、正月から超おもしろいっていう(笑)。やっぱりすごい。ジョージ秋山先生、すげーなっていうのが、気がついたけど言えなかったことで。
たぶんビッグコミックオリジナルは、さっきも言ったように5日、20日ですから。まだコンビニにあると思いますんで。行っていただいて、これか!って(笑)。ジョージ秋山先生の新春のご挨拶はこれか!っていうのを感じていただきたいと。月曜JUNK 伊集院光の深夜の馬鹿力!
<書き起こしおわり>