Ali Shaheed Muhammadが語る D’Angelo『Brown Sugar』制作秘話

Ali Shaheed Muhammadが語る D'Angelo『Brown Sugar』制作秘話 dommune

A Tribe Called QuestのAli Shaheed MuhammadさんがDOMMUNEに登場。DJ HASEBEさん、ダースレイダーさんと90年代HIPHOPについて語り合う中で、R&Bの名曲、D’Angelo『Brown Sugar』の制作エピソードを語っていました。ダースレイダーさんは司会プラス通訳として参加しています。(Aliのコメントはダースレイダーさんが通訳したものを記載しています)


(ダースレイダー)じゃあちょっと、ムードを変えるためにこれを聞いてみますか。

(DJ HASEBE)これ、BPM83なんですね。(レコードに)貼ってありますね。

(レコードをかける)

(ダースレイダー)はい、みんなが大好き、ディアンジェロ。これは95かな?96年(リリース)。

(Ali)92年に実はもうレコーディングしていた。自分がいままでかかわった中ではいちばんの仕事だ。15分でこの曲はできた。事故的に生まれてしまった曲だ。

(DJ HASEBE)事故的!?じゃあトラックはあって、レコーディングが15分で済んだ?

事故的に生まれてしまった曲

(Ali)当時、コンピューターでシークエンスする、シークエンサーを導入していて。最初はドラムマシーンの延長としてコンピューターを使っていたのが、より、コンピューターでエディティングする方向に変わっていく。(ソフトは)ビジョンを使っていた。あまり、当時は浸透していなかった。スタジオでは常に問題が起こっていて、コンピューターで問題が起こった時にもエンジニアが『これ、なんだ?なんだ?』っていう風に困っていて。そういった問題が起きた時には何かしらの準備をしておかないとダメだ。

機材が故障して、みんながそれを修理している間、ディアンジェロが1人でいろいろキーボードで弾いていた。アリはTony! Toni! Tone!とのセッションで、『ミュージシャンが何かしら遊んでいる時も、かならずレコーディングは続けろ』というのを教わっていたから、その時もレコーダーは回していた。エンジニアが機材を直している間、ディアンジェロが弾いていて、もう1人に『これ、レコーディングしてるのか?』って確認したら、『録っている』って言うから、『もう機材を直すのはどうでもいいから、これをやろう!』って言って。すぐにドラムをその場で組んで、その後にディアンジェロに『いま弾いていたやつをもう1回やってくれ』って言って、それをすぐに弾かせて。それでバックグラウンドボーカルまで、その場でもう歌って。

(DJ HASEBE)なるほどね。

(Ali)で、あとはそのまま流れに任せて、この曲が誕生して。その間、ほぼ15分。で、Brown Sugarというね・・・

(DJ HASEBE)それは92年に?

(Ali)92年にこの曲はもうできていて。ラファエル・サディークから、他にも3曲ほどデモを聞いていて。その時点ですごいことになるってわかっていたし、自分も関わっていたから早く出てほしい!早く出てほしい!って思っていたけども、結局3年かかって。でも、出たらあっという間に大ヒットに。

(DJ HASEBE)でも、いいタイミングだったんじゃない?ネオ・ソウルの盛り上がり的なタイミングでしょ?もちろん、その仕掛け人なのかもしれないけど。他もその準備をしてきて、95年にドバッと出てきた感じがあるから。やっぱりドンピシャなタイミングだったんじゃないかな?

(Ali)いま聞いてみると、またちょっとアレンジとか、自分だったらいまだったらこうするなっていうアイデアはいろいろあるんだけども。当時はベースを弾き始めた時期でもあって、ちょっとダブっぽいムードっていうのを。そして空間を活かした感じの作りにしたかったから、そういうアプローチをしていて。ディアンジェロにミュージシャンとして、自分がやりたいことを伝えることが当時はできなかったから、こういったノリになっているけども。いまだったら、またちょっと・・・

(DJ HASEBE)ディレクションがカッチリできるっていうね。

<書き起こしおわり>

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