佐久間宣行さんが2026年9月30日放送のニッポン放送『佐久間宣行のオールナイトニッポン0』の中で映画『オデュッセイア』について話していました。
(佐久間宣行)佐久間宣行です。最近面白かったエンタメは映画『オデュッセイア』です。『オデュッセイア』、池袋のIMAXレーザーは全然取れなくてですね、別のIMAXで見たんですけど。まあ、それでもすごかったです。まずどんな話かというとトロイア戦争を終えた英雄オデュッセウスが妻と息子の待つ故郷に帰ろうとする物語なんですけど。その帰り道で神々や怪物に翻弄されてなかなか家にたどり着けないっていう古代ギリシャの有名な叙事詩をクリストファー・ノーランが映画にした作品で。
で、もちろんノーランなんであんまりCGを使ってない。で、全編IMAXカメラで撮った映像がまずエグいです。荒れる海、船、人間がちっぽけに見えるほどの風景。で、そこに現れる怪物。特にね、ひとつ目の怪物(キュクロプス)がまあシグネチャーというか。まあオデュッセウスの時には絶対に出てくるんだけど。それの映像がすげえフレッシュ。「こんな?」っていう。で、それが人間をガツンって食うところの恐ろしさとかもありながら。そういうのが画面が変わるたびに「これ、マジで撮ってんのか!」っていうクラクラする劇場で見る幸せを何度も感じさせるんですよ。
でも、やっぱり話を聞いた時とかは「なんで今、これをやってんだろうな?」っていう風に思ったのよ。だってさ、『TENET テネット』とかさ、『インターステラー』を撮ってさ。で、この間は『オッペンハイマー』を撮った監督がなんで『オデュッセイア』なんだろうな?って思ってたらこれ、単にすごい冒険をした英雄の話じゃないんだよね。
テーマとしてあるのがまあ要は戦争がありました。しかもそれがトロイの木馬……トロイの木馬って俺もその時、初めて知ったんだけど。トロイの木馬って子供の頃に聞いた時はさ、「嘘つけ」みたいに思わなかった? 「木馬の中入って、なんであれなんだよ」って。でもこの話でやっと理解したんだけど。昔のそのくらいの時代の時は戦争が終わった後の供物というか、贈ったものは無条件で入れる。で、そこはズルをしないっていうのが暗黙のルールだったらしいのよ。で、トロイの木馬ってそれを破った禁断の手法だったらしいのよ。みたいなのがあって。
そういう戦争をしたオデュッセウスが故郷には帰りたいけど、自分の戦場で見たこと、してしまったことからは逃げられないみたいな。なんていうか、ざっくり言うと……まあ俺の勝手な解釈だけど。まあまあ、そういう風に取る人もたくさんいるだろうけど。だからなんとなく雰囲気として旅の途中で目にする異様なものとか怪物とかも全部、一応オデュッセウスが語る伝聞なのよ。ってことはつまりそのPTSD的なことでそういう風にしか見えてなかったっていう解釈もできるような作り方をしていて。そう考えると今やる意味がすごくあるっていう。
幻覚の怖さと現実に戻れない人の怖さが重なってくる。で、戦争から帰るっていうのは家に着けば終わりじゃないみたいな、その問いをあの映像美でやったんだなっていう風に感じたので。「なるほど、そういう意味があるのか」っていう風に見つつも、ちゃんとエンタメとしてもすごい映像で。素晴らしかったなと思います。
『オデュッセイア』予告
佐久間さんの「今、『オデュッセイア』を描くことの意味」という読み解き、宇多丸さんも同じようなお話をされていましたね。興味深い!