ジェーン・スーさんが2026年6月3日放送のTBSラジオ『パンサー向井の#ふらっと』の中で映画『プラダを着た悪魔2』の素晴らしさについて話していました。
(向井慧)だからやっぱその砂鉄さんもそうですけど。インプットももちろん、やっぱり意識的に……たとえば、じゃあなんかエンタメ作品見たりとかっていうこともスーさんって日々、されてるんですか?
(ジェーン・スー)ええと、まあほとんどの自由時間は今、プロレスに割いてしまっているので……(笑)。
(向井慧)ここなんですよね(笑)。
(ジェーン・スー)その話は最後にしてくれって言ったんですけど。これになっちゃうと、これだけになっちゃうから(笑)。
(向井慧)ぐらい、たしかにSNSを見るともう空いた時間があればプロレスに行ってらっしゃるなという。
(ジェーン・スー)そうです。演劇を見に行ったりとか、映画を見に行ったりとかも月に1、2回はしてるんですけど。あとは全て、そうですね。
(三田寛子)でも、それがもう生きる活力になってるんですよね。どんどん元気になれるっていう。
(向井慧)そうですよね。最近、見たものでいうとでも映画も見て……いっぱいね、たぶん。スーさんに僕もおすすめしていただいた映画を見に行ったりもしたんですけど。最近でいうと?
(ジェーン・スー)最近はやっぱり『プラダを着た悪魔2』が本当に良くて。ご覧になりました?
(三田寛子)私ね、まだ見てないんですけど。メリル・ストリープさんのインタビュー記事を読んで「もう早く見たい!」と思って。
(ジェーン・スー)ぜひぜひ。20年ぶりの続編って、もう危うい匂いしかしないじゃないですか。
(向井慧)正直、2ってやっぱりなかなか難しかったりね。
(ジェーン・スー)難しい。期待が大きかった分だけ。
(三田寛子)スタッフさん、一緒なんですもんね。監督も。
(向井慧)なんか、続編の話があっても納得するのができるまでやっぱりOKを出さなかったみたいなお話もありますもんね。
(ジェーン・スー)で、みんなもうこの20年で……まあメリル・ストリープは当時から大女優ですけど。アン・ハサウェイもみんな、大女優とか大俳優になっているところで同じ役で集まってもう1回、やる。それで時代が……この20年の差ってかなり大きいじゃないですか。20年前っていわゆる、今だったら完全アウトのパワハラ的なことだったりとか。あと、むちゃくちゃな働き方とかもOKだった。その様子が描かれていた映画だったわけで20年後にそれをどう描くか?っていうのとか、もう山積みなわけですよ。解決しなきゃいけないことが。これをどう描くのか? かといって「はい、みんな、懐かしく集まりました。チャンチャン」だとまあ、ちょっと面白くないじゃないですか。
でもちゃんとアップデートして、横暴なことをミランダっていうメリル・ストリープの役の人が言うと、アシスタントの若い女の子が「ちょ、ちょっ、それはダメです。今、ダメです」みたいな感じで会議中、刺してくるんですよ。「今、ダメです。今、ダメです」「何? 何が悪いの?」とか言いながら。でも、なんだろうな? たまにあるのが20年ぶり、10年ぶりのリユニオンとか、2みたいなのでやりがちなのが「ああ、おばさんたち、もうついていけないわ」っていうのもあるんですけど。それをやると、こっちが見ていてしょげるんですよ。「ああ、やっぱりもうダメなのか」みたいな。だけどそういう描写はなくて。ちゃんと、この20年、めちゃくちゃみんな頑張って生きてたんだなっていうのがわかるような映画になっていて。すごく良かったです。本当に。
この20年、みんなめちゃくちゃ頑張って生きてきたことがわかる
(向井慧)割とスーさんが……この後、ご紹介する文庫になった『おつかれ、今日の私。』とかもそうですけど。もう本当に共通するテーマじゃないですけど。スーさんが発信していることともやっぱり、かなり重なる部分ありましたよね?
(ジェーン・スー)そうですね。なんか働くってどういうことなんだ、とか。あとは、なんだろう? 自分でどうやって選び取るかとか。だからなんかこう、エネルギー過多の人にとってはかなり楽しい映画なんだと思うんですけど。ちょっと最近、エネルギー抑えめの人もあれから20年経って多いので。そっちの人にハマるかどうかはわかんないですけど。まあでも、衣装とか見てるだけでももう綺麗だし。
あとやっぱり一番グッと来たのが結局、時代の波でどんどんどんどん全部が数字でジャッジ……投資する価値があるかとか、そんなのばっかりなんですよ。コンサル会社が出てきてとか。で、「初動がどうだ」とか。私たちもそうじゃないですか。数字、数字っていうのはあるんですけど。そこで「それだけじゃなくて積み重ねてくものっていうのがあるんだよ。それに価値があるんだよ。負けないぞ!」っていう描写をしっかりしてるんで。そこもすごい良かったですね。
(向井慧)なんかまあ、その成果主義みたいなものから抜け出すのって難しい段階の方もいっぱいいるじゃないですか。もちろん、だからスーさんもその、めっちゃ追われてる時期を経験してるからわかるって感じですか?
(ジェーン・スー)そう……いや、今のこの風潮になるまでのところを私たちは経験してるんで、運がいいと思います。「明日、結果を出せ」とか「今日、この瞬間の数字、なんだ?」って言われなかったじゃないですか。もちろん、テレビの視聴率なんかは違うと思うんですけど。積み重ねていく余裕がまだ、社会にあったと思うんですけど。今はもう、この瞬間に数字出せればOKだからみんな、どんどん道を外れたこととか、ちょっと過激なこととかをやりがちになるし。積み重ならないんですよね。そうするとね。でも積み重なることの方が大事だよっていうのを若い人たちも見たら、わかってもらえるんじゃないかなと。
(向井慧)たしかにこのSNS……最近、テレビ番組の作り方もちょっと問題になりましたけど。要はちょっと過激であればあるほどTVerが回るとか、再生数が増えるみたいなことからなかなか逸脱していくのが……どうしても、やっぱりその競争は常にずっとあるから。そこから外れるのって勇気がいるし。ちょっとこう、それ以外で成果を出したり、積み重ねるのがちょっと難しく感じる世の中ではありますからね。
(ジェーン・スー)そうなんです。だから若い人たちは本当に「頼む、見失わないでくれ」と私たちは思うんですけど。なんですかね? やっぱりその今、この瞬間でどれだけ数字が出せるかっていうことを重要視すると我々人間がそもそもゲスいので。
(向井慧)うんうん、そもそも。そうですね。
(ジェーン・スー)そもそも人っていうのが本当にゲスいので。
(向井慧)そこは否定できないですもんね。やっぱり好きだし。ゴシップとか悪口とか、やっぱり好きだしね。
(ジェーン・スー)そう。生き物としてやっぱり下等なんですよ、私たち。
(向井慧)そこが大前提(笑)。
(ジェーン・スー)大前提。だから理想とか建前とかをちゃんと持っておかないと、どこまででも落ちるから。私たちは。
(向井慧)たしかに。それはそうですね。そこを1本、自分の中でドンと刺しておかないと、余裕でぶれますからね。
(ジェーン・スー)で、結局、そのゲスい方に合わせていくと、こうなっちゃうわけじゃないですか。だから私たちも頑張らないと。

「この20年、めちゃくちゃみんな頑張って生きてたんだなっていうのがわかるような映画」というスーさんの表現、素晴らしいですね。前作を好きだった人たちをがっかりさせたくないという制作陣の強い意思を感じます。