宇多田ヒカル『SCIENCE FICTION』リレコーディングと再ミックス作業を語る

宇多田ヒカル『SCIENCE FICTION』リレコーディングと再ミックス作業を語る J-WAVE

宇多田ヒカルさんが2024年4月15日放送のJ-WAVE『宇多田ヒカルのトレビアン・ボヘミアン スペシャル 2024』の中でベストアルバム『SCIENCE FICTION』についてトーク。自身の過去曲のリレコーディングと再ミックス作業について、話していました。

(宇多田ヒカル)宇多田ヒカル『COLORS (2024 Mix)』をお届けしました。これで思い出すこと……これって私、最初に19歳で結婚して。その後に出た最初の曲だったんだよね。そう。これ、最近……息子には私が離婚をしているというか、私とね、彼のお父さんが離婚してることとかは子供が大きくなってきてからもちろん、話す機会とかもあって。「どうして?」とか。いろいろ、すごい私も考えて、できるだけ正直に。でも、いろいろと気をつけながら話とかをしてたんだけど。

で、まあそれはそれで息子も、なんていうの? ちゃんと、しっかり聞いてくれるっていうか、受け止めてくれてるというか。だったんだけど。なんかこの前、ふとした時に「ああ、それは最初の結婚した時の……」っていうのをなんかで言っちゃって。「ええっ、ママ、1回以上、離婚してるの?」みたいになって。「えっ、ああ、しまった! こんな風にバレるはずでは……」っていう。ここまで話していいのか?

いや、でもいつか、そういうことも話さなきゃいけなかった。どうせいつか、知られることだったからまあ、しょうがないし。自分の行動というか、してきたことをちゃんと責任を持って伝えてというか。なんだけど、ちょっとその瞬間の自分の「ああ、やっちまった!」感みたいなのをちょっと今、パッと思い出しちゃった(笑)。

宇多田ヒカル『COLORS (2024 Mix)』

(宇多田ヒカル)この『COLORS (2024 Mix)』も収録されています宇多田ヒカルのベストアルバム『SCIENCE FICTION』が4月10日にリリースになりました。ありがとうございます(拍手)。今まで、ベストって抵抗があったんだけど。まあ、さすがに25年ってめでたいし。ここまでやれてきたのは私1人の力じゃないっていうか。やらせてもらえたっていう。うん。いろんな人の支えとかだなって。だから自分のために「わあ、25周年なの! 祝って!」っていうのじゃなくて。こうさせてくれた人たちっていうか、みんなに「ありがとう」っていうのを伝えるためになんか、やりたいなって思って。それで「ベストを出そう」ってなりました。あと、ツアーも。

で、タイトルはなんていうの? シンガーソングライターとしてさ、私の書く歌っていうのはノンフィクションでもないし、フィクションでもないし。そのまんまのこと書いてるわけでもないし、作り話でもないし。「なんか不思議だな。なんて説明したらいいのかな?」ってずっと思っていて。で、私は科学と文学が大好きだし。子供の頃から読んでた本も、本当に最初に英語の本読み出した時とかエドガー・アラン・ポーとか、C・S・ルイスとか、J・R・R・トールキンとかさ。なんかみんな、サイエインスフィクションだったなって思って。映画も私、ジャンルで選ぶ時は迷わずサイエインスフィクションから行くし。なんか、そういう表現の仕方もいいなって、しっくりきて。ずっと「宇宙人」って言われて育ってきたし。

あと、創作のプロセスのことをよく「ワームホールみたい」って私、たとえることがあって。なんか二つの世界を行き来してる感じ? だから、そういうのである時、パッと「それだ!」って思って、決めました。そう。あと今回、リレコーディングもしてて。これは結構、チャレンジだったけどすごく意味のあるチャレンジだったなというか。やってみてよかったなとは思う。みんなも、そう思ってくれたら嬉しい。

『Addicted To You』と『traveling』と『光』の3曲をね、やってみたんだけども。その中から1曲、聞いてください。それでは宇多田ヒカルのベストアルバム……台本通りに言っちゃったけど(笑)。ただ、私が「宇多田ヒカルのベストアルバム」っていうのはおかしいよね? じゃあ、なんて言えばいいんだろう? 私のベストアルバム『SCIENCE FICTION』から『traveling』のリレコーディングです。どうぞ。

宇多田ヒカル『traveling (Re-Recording)』

(宇多田ヒカル)お聞きいただいたのは私、宇多田ヒカルのベストアルバム『SCIENCE FICTION』から『traveling (Re-Recording)』でした。ああ、懐かしいな。なんかこの感じ……ラジオをやってるこの感じ、久しぶり(笑)。ええと、『SCIENCE FICTION』、アルバムねは、全26曲が入ってるんですが。この3曲、さっき話した新しくレコーディングしたよっていうのは元の音を一切、使ってなくて。全部ゼロから作り直したよっていう3曲の他にあと、10曲はミックスが新しくなっていて。私は結構この作業が感慨深くて。

ミックスで何が変わるか?っていうと、そのひとつひとつの音。全ての要素の扱い方とかトリートメント、エフェクトとか。あと音量だけじゃなくて、配置とか。なんていうんだろう? 周波数をどう整理するか、みたいな。空間デザインをし直すっていう感じで。で、前には聞こえないぐらいだったものがすごい引き立ったりとか。なんていうんだろう? 音以外で言うと、たとえば色味がすごい変わったり。立体感がすごい変わったり。まあ、増したり、減ったりとか。味付けが変わりな感じ。

で、あとはなんだろう? 声もね、もちろんそうだし。もう、このロンドンに来てからずっとやってくれてるスティーヴ・フィッツモーリスっていうエンジニアもさ、すごい気の知れた、友達みたいな……「友達みたいな」っていうか、もう良き友でもある、私のことをよくわかってくれてる人がまた、私の過去の曲をこうやってミックスし直してくれるっていう作業もすごく楽しかったし。過去の自分がやったことをそこでなんか、まざまざとというか、ちゃんとしっくり見れて。それがすごい面白かった。なんか、昔の自分にまた出会ったっていうか。本当に当時の自分の感覚に触れたっていうか。

あと、一番わかりやすいので言うと結構、終わり方も変えている。だからフェードアウトがあった曲をカットアウトにしたり。もしくは短いフェードアウト……もっと早い終わり方にしたりとか。あと、全体のアレンジも、ブレイクとか間を作ったり。いろいろ結構、細かいことをやって全体の印象はだいぶ変わってると思うから。そのうちの1曲をちょっと聞いてもらいたいな。

どうしよう? うーん……あのね、『Can You Keep A Secret?』がエンディングがすごい変わっていて、わかりやすいっていうか。それもいいんだけど。『Beautiful World』が立体感っていうか、広がりっていうか。なんかフワーッと浮かび上がった感じが私は好きだから。『Beautiful World (2024 Mix)』を聞いてください。どうぞ!

『Beautiful World (2024 Mix)』

(宇多田ヒカル)お聞きいただいたのは『Beautiful World (2024 Mix)』でした。どうだったかな?

<書き起こしおわり>

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