みやーんZZ RHYMESTER武道館公演ライブレポート

みやーんZZ RHYMESTER武道館公演ライブレポート みやーんZZノート

ジャズパートに続いてはhy4_4yhが登場。『なめんなよ1989』、そして『B-BOYイズム』と披露していきます。RHYMESTERに負けないバチバチにハードなパフォーマンスを見せるhy4_4yh。MCで宇多丸さんも言及していましたが、天国にいるhy4_4yhプロデューサーの江崎マサルさん(Pちゃん)にもにも届いたはずです。

hy4_4yhの次はスチャダラパーが登場して『Forever Young』を披露。途中、ANIさんが歌詞を飛ばしたりする場面もありつつも、終始楽しそうにパフォーマンスする超ベテランの2組を見ているだけで胸がいっぱいになってきます。その後のMCで実は武道館公演をやったことがないというスチャダラパーBOSEさんに対して「うん。君たちもね、頑張ればいつか、できるよ」と武道館先輩面をする宇多丸さん。そして後輩面をして合わせるBOSEさん。どちらもめちゃくちゃキュート!

「お互いに健康に気をつけて、がんばろうね」とエールを交わしている姿は最高でした。世界的に見ても現役感を持って曲を作り、パフォーマンスを続けているこの世代のヒップホップアーティストって本当にレアなんですよね。そんな人たちのライブをいつまでも見ていたい、改めてそう感じた瞬間でした。

ここでまたブレイクとなり、「季節の◯種盛り」過去曲シリーズコーナーへ。料亭の女将・おウタが再び登場して今度は活動休止後の三種盛りを行います。「活動休止後の俺たちは大人になって、こんな曲も歌えるようになった」と話しながら披露したのは『ちょうどいい』『POP LIFE』、そして『The Choice Is Yours』。柔らかい、ゆるめな『ちょうどいい』から、ハードなメッセージをリスナーに突きつける『The Choice Is Yours』へと徐々に移行していくRHYMESTER。「俺たち、正直活動再開してからの曲の方がいいんだよなー」的なことを話していたのも印象的でした。

そして次はさらにハードな現実を歌い上げる最新アルバム楽曲『Open The Window』へと移っていきます。楽曲を披露する前のMCで宇多丸さんはロシアのウクライナ進攻やイスラエルのパレスチナ・ガザ地区への攻撃などを例に上げながら、世界中で起きている悲惨な出来事と我々の日常は繋がっていることを説きます。そんな中で心の窓を開け、開放することで自分ごととして考え、行動する。そのことによって世界をちょっとでもマシにできるのではないかと熱く語りかける宇多丸さんのMCは観客である僕たちの心を強く揺さぶっていました。そしてNulbarich・JQさんを呼び込んでのパフォーマンス。武道館の観客たちが拳を突き上げて「Stop the war, No more war」と歌う様は圧巻でした。

RHYMESTER『Open The Window feat. JQ from Nulbarich』

そして武道館ライブの最後の曲としてRHYMESTERがチョイスしたのは『待ってろ今から本気出す』。もうライブが終わりなのにここからさらに本気を出すというRHYMESTERの心意気、いいですねー。「お前ら、俺たちが本気を出すっつってんだから、お前らも今日イチの声を出せるよな? 100%? いやさ、120……150%の声、出せるだろ!」などと観客を煽り、全力のコール&レスポンスを強いる宇多丸さんに対し、我々オーディエンスも全力で声を上げて応えます。(※詳細な%の数字は忘れたので間違っていたらすみません)。楽曲中でも「ヘイヘイヘーイ!」「リーリーリーリー!」と全力で煽り合うRHYMESTER&オーディエンスの戦い、めちゃ楽しかったー!(笑)。そんなこんなでライブは一旦終了。RHYMESTERは舞台からはけて、しばらくしてからアンコールへ。

アンコールで登場したRHYMESTER。観客が事前に配布されていた青色サイリウムを光らせて歓迎すると、知らされていなかったRHYMESTERはちょっと驚きつつも嬉しそう。ツアーグッズのパーカーを着用し、物販紹介トークなどもしつつアンコール曲『Once Again』を披露します。RHYMESTERが活動を再開して一発目に放った超クラシック曲は何度聞いても素晴らしい! 前回の武道館公演を行い、活動を一旦休止して17年経ち、また再び武道館公演を大成功させたRHYMESTERが歌う『Once Again』の説得力は半端ないって! 全員で人差し指を高くかがけて歌う最高の瞬間でした。

アンコール『Once Again』

楽曲終了後、今度はDJ JINさんが呼び込まれて、DJブースからステージ上へ。JINさんが大成功の公演を締めにかかります。クラブに呼ばれ、DJは一切せずに一本締めだけを行いギャラをもらって帰ったこともあるという「プロの一本締め師」であるJINさん。そんなJINさんが「一丁締め(関東一本締め)」と「一本締め」をいまだに混同している世間の風潮を嘆き、その違いを丁寧に説明した後で、舞台上のRHYMESTERと武道館のオーディエンス全員で「パパパン、パパパン、パン!」と正しいスタイルの一本締めを行います。こうしてRHYMESTERの武道館公演は完璧な締めとなったのでした。

今回の公演、アンコールも含めると2時間30分を超えるかなりの長丁場であったにもかかわらず、途中でダレるところもなく、あっという間に終わってしまったように感じられました。アンコールまでは衣装チェンジも一切なく、客演やMCのバランスも絶妙に配分しながら見せきるRHYMESTER、やっぱりライブが上手すぎです。マジで「キング・オブ・ステージ」の異名は伊達じゃない! 正直、去年フェスで見たトラヴィス・スコットよりもトータルのパフォーマンスは上だと思ってしまったほどでした(もちろん、異論は認めます)。全世界的に見てもDJはPCなどで行うことが完全に主流となった中、いまだにヒップホップが生まれた時の形、2台のターンテーブルと2枚のアナログレコードを駆使して満員の武道館をロックし続けている世界的に見ても稀有なグループ、RHYMESTER。こんな人たち、他にいるだろうか? いや、いない!(反語表現)。

そして今回の公演で一番印象的だったのは、3月にソロアルバムをリリースするMummy-Dさんの言葉でした。「50歳で初ソロアルバムを出したらウケるよねって思っていたら、いろいろあって53歳で出すことになっちゃった。でもね、俺は今でもこう思っているんだよ。まだまだラップが上手くなりてえって」というこの言葉が僕には刺さりまくってしまったんですよ。僕よりも全然先輩であるDさんが「まだまだ向上したい。いろいろチャレンジしたい」と言っている。こんなすごいこと、ありますか? 40歳も超えるとだんだん、今までのルーティーンでなんとなくできてしまうことが多くなる中、どんどん新たなチャレンジをしていくDさん。もちろん、宇多丸さん、DJ JINさんもそれは同じだと思います。MCで宇多丸さんは「俺たち、まだまだやってないこと、あるんだよ。たとえば世界(海外)でライブだってしたことないし……」と海外でのライブの可能性にも言及したりしていて、超しびれました! いくつになってもかっこよくチャレンジしていく背中を見せてくれるRHYMESTERパイセン、やっぱりすげえや。「この人たちを好きになってよかった」と強く感じた、そんなRHYMESTERの17年ぶりの武道館公演でした!

宇多丸 RHYMESTER・17年ぶりの武道館公演を振り返る
宇多丸さんが2024年2月18日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション2』の中でRHYMESTERの17年ぶりの武道館を振り返っていました。
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