石野卓球『Love Parade』とドイツでのDJ体験で学んだことを語る

石野卓球 萩原健一との楽曲『惑星のポートレイト 5億万画素』制作を語る TOKYO M.A.A.D SPIN

石野卓球さんが023年10月17日放送のJ-WAVE『TOKYO M.A.A.D SPIN』の中で『Love Parade』に出演した際の模様をトーク。テクノの本場、ドイツでのDJすることによって学んだことなどを話していました。

(高木完)だから、さっきプロフィールを読んでた……これはよくインタビューで読んでたから知ってたんだけど。この『Love Parade』。これがやっぱり……その8年後ぐらいになっちゃうけど。これがデカかった?

(石野卓球)これのきっかけも当時、電気グルーヴで4枚目か5枚目ぐらいのアルバムを出した時に、その中に入ってる『虹』っていう曲があって。その曲をドイツのMFSっていうレーベルからリリースするっていうことになって。それがきっかけだったんですね。それから海外の活動とかっていうのが全部、今にも繋がってるんですけど。

で、それとかの繋がりとかでこの『Love Parade』とかがあって。で、今年もね、行ってきたんです。もう『Love Parade』自体はないんだけど、それを主催していたドクター・モテがまた去年ぐらいかな? 『Rave The Planet』っていうっていう名前で。もうほぼ『Love Parade』なんですよ。場所も少女の天使の像の周りを車、トラックで回るっていう。それを今年もね、7月に行ってやってきたんですけども。

(高木完)DJとしてはだから、もう世界中でやって。電気グルーヴとそのDJっていうのの分け方っていうのは……「分け方」っていうのもあれですけど。だって、制作物に関しては、同時のものもある?

(石野卓球)まあ、1人が作っているから。もう1人があんまり音楽的じゃない担当なんで(笑)。なので、そこの線引きは明確にはないんですけど。でも基本的にはそのソロの方が当然、自由にできるんだけども。電気グルーヴの方がやっぱりポップというか。

(高木完)歌が乗るっていう。

(石野卓球)歌が乗るっていうところ。あと、電気グルーヴにもインストはあるんですけども。もうちょっと間口の広いものっていうところかな? あとはその瀧がいるっていう。やっぱりそのグループの中で、あいつがいるっていう。あいつの存在は常に意識して作るっていうところが一番違いますよね。

(高木完)じゃあ、ビートから組みだしたら「これはソロかな?」とかって?

(石野卓球)そうですね。あとは、その時の制作の期間。「今は電気グルーヴの期間だから」とか。

(高木完)じゃあ、DJを向こうでやられる時っていうのは、もう『虹』のリミックスがきっかけだとしても、最初の時とかはそれまでの自分が持っていたレコードとかでかけていって?

(石野卓球)うん、そうそう。だけど、最初の頃は自分のアウトプットよりも向こうに行ってやることのインプットの方が圧倒的に多くって。で、井の中の蛙じゃないけど。そんな感じだったから。

アウトプットよりもインプットの方が圧倒的に多い

(高木完)でも、すごいっすよね。だって、人数が……ええっ? 「150万人」って書いてあるよ?

(石野卓球)うん、そうそう(笑)。

(高木完)150万人って……。

(石野卓球)あんまりいっぺんに見ることのない人数っていう。

(高木完)その時って、レコードでしょう? それで、レコードで……『Love Parade』って僕、行ったことがなくて、よくわかってないんですけど。ジャンルはだって、テクノとしてみんながかけていて。かぶったりとか、そういうあれはないのかな?って。

(石野卓球)曲が? それは当然ありますよ。その時に流行ってたやつとかで、あるんだけど。ただ印象に残ってるのは、メインの少女の天使の像のところでやるんですけども。そこにブースがあって、それが全ヨーロッパにテレビ中継されるんです。

(高木完)ああ、そうなんだ! 今でいうところのYouTubeで流れるとかみたいに、テレビ中継で?

(石野卓球)で、それが全ヨーロッパに流れるんだけども。だもんだから、その放送時間とかが超シビアで。で、1人、DJは持ち時間が15分なんですよ。15分なんだけど、15分を1秒たりともはみ出しちゃいけないっていう。

(高木完)なにそれ? 昔の内田裕也さんのニューイヤーロックみたいな?(笑)。

(石野卓球)そう。本当に厳しくて。で、今のデジタルのデータだったら、ある程度は数字でわかるけど、レコードだから。もう横にストップウォッチみたいなのがあって。それを見ながらやるっていうね。

(高木完)ああ、15分か。だったらまだ、そんなにかぶるもかぶらないも……。

(石野卓球)で、15分ぐらいのがもう何十人とか出てくるっていう。

(高木完)で、そのところでアウトプットよりもインプットの方が多かったと今、おっしゃってましたけども。そのインプットの部分で一番最初に「ああ、これか!」と思ったのって、今でも思い起こせるものとか、何かあったりしますか?

(石野卓球)ドイツだったんですけど。その前に、自分がDJでドイツに行く前はロンドンとかのテクノクラブだったんだけど。やっぱりドイツに行って思ったのは、圧倒的なそのテクノっていうものの浸透の仕方。一般社会とかにも。今でも、ドイツってエレクトリックミュージックとかが圧倒的に強いんですけど。やっぱり土壌が違うなっていうか。もう、テクノっていうか電子音楽に対しての基礎体力が全く違うっていう。

電子音楽に対する基礎体力が全く違う

(高木完)だからやっぱり最初に僕が言っていた、U2に混ぜたりとか。そういうことじゃないんだもんね。元々、もうクラフトワークがいたり、クラウトロックがあるから。

(石野卓球)で、当時のエピソードでクラブで……僕が向こうにDJで行き始めた頃にブレイクビーツの曲をかけたら、客がブースに来て。「この曲、やめろ!」って。で、やっぱりフロアからきれいに客がいなくなるの。ブレイクビーツの曲をかけたら。で、「こんなファンキーな曲をかけるな!」って。

(高木完)ああ、そうなの? なるほどね(笑)。

(石野卓球)そう。「ブレイクビーツはファンキーすぎるから、エレクトロをかけろ!」って言われて。

(高木完)ああ、それを注意しに。「やめろ!」って。客がでしょう? スタッフじゃなくて。

(石野卓球)そう。客が。それを聞いて「さすがだな!」って思って。

(高木完)ああ、「ファンキーはやめろ。ノーファンキーだ」って?(笑)。

<書き起こしおわり>

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